ステノキャプショナーになるには?必要スキルや向いている人の特徴などを具体的に解説
現代の多チャンネル時代に必要でありながら、不足しているステノキャプショナーになるには、努力を惜しまない覚悟が必要です。どんな要素が関係しているのでしょうか。今回のこの記事では、ステノキャプショナーになるために求められる事柄や適正などについて詳しくご紹介いたします。
ステノキャプショナーになるには何が必要?
高速で正確にタイピングする技術
ステノキャプショナーは、聴覚障害者や耳の遠い高齢者がテレビで放送される内容を把握し、楽しめるようにリアルタイムで字幕打ちをすることが主業務です。
ステノキャプショナーは字幕速記人といって、話されている内容を字幕で伝えるためタイピングに速度と正確さといった精度が要求されます。そのため、2人1組で仕事を行うのですが1人は高速で正確なタイピングをし、もう一人は間違いがないかを瞬時に判断して必要であれば訂正して字幕としてアップするという連携で行っています。
さらに、こうした2人1組の組が複数待機し、一定の間隔で交代することで常に万全の体制になっています。そして、正確さが欠いてしまうということのないように配慮されながら業務が進められているのです。
平成9年に放送法が改定されて「視聴覚障害者向け番組の放送努力義務化」となり平成19年には「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」の策定もあって多チャンネル時代となった今、増々このステノキャプショナーという仕事の需要が高まっています。
また、「テープ起こし」という会議や講演などの録音テープからその音声を文字に起こすという仕事があるのですが、その仕事でもステノキャプショナーは活躍できます。それでも実際はステノキャプショナーが不足しているのが現状です。
専門学校で学ぶのが近道
ステノキャプショナーは、特殊なキーボードを使用するためこれまでのパソコンでのタイピング経験やワープロ検定上級合格者であればできるという仕事ではありません。
ステノキャプショナーが使用するキーボードは、日本語スピードワープロ「ステノワード(スピードワープロ研究所)」というキーボードで10個のキー(左側5個は子音、右側5個は母音)とさらに親指で操作するキー4個でタイピングする特殊なキーボードです。そのため、特殊なタイピング方法を習得する必要があるのです。
ステノワードは、いくつかのキーを同時押しすることで「単語」、「文節」などを打ち込むことができるのですが、その文字数は2~20文字程度を1アクションで入力できるのです。その組み合わせは約3000種類(テキスト数冊分)あるということなので、それを丸暗記し体に叩き込むには相当の努力が必要となります。
また、タイピング速度においても1分間に300文字以上を目指す必要があるため、練習時間も相当数の時間を充てる必要があるでしょう。ステノキャプショナーとして仕事をする場合は、日本情報処理検定協会の「スピードワープロ技能検定(級は5級から初段まで)」を受けて1級を目指す必要があるといわれています。
プロとして通用するまで2~3年はかかるようなので、根気強く学ぶ必要があります。
活躍の場
ステノキャプショナーの仕事は、主にテレビ番組が多いとはいえテレビ局やテレビ制作会社に入社するわけではありません。
では、どのような就職先があるのでしょうか。
- 字幕制作会社
- 文字入力作業代行会社
- 速記事務所
- 映像会社
いずれの勤務場所も正社員の採用もありますが、アルバイトや派遣といった雇用もあります。
ステノキャプショナーに向いている人、適性がある人
集中力のある落ち着いた人
リアルタイムで伝えなければならないという仕事柄、語り手たちの言葉を聞き逃すことのないように細心の注意を払う必要があります。
それでも聞き逃してしまったり、間違ってしまったりする事もあるでしょう。そうした事を引きずってしまうとその後のタイピングに悪影響が出てしまいます。そのため、少しのことで動じない落ち着きと集中力がどうしても必要となってきます。
集中力のある落ち着いた人は、物事を冷静に判断できますからまさに ステノキャプショナーに向いているといえます。
学習意欲
ステノキャプショナーが字幕入力の仕事をするのは、主にテレビ番組です。最近のテレビには様々な機能が付くようになってきましたが、その一つに字幕表示があります。そのような機能付き対応テレビのリモコンには字幕表示ボタンといものが付いているので、ワンタッチでリアルタイムで字幕付き番組を楽しめるわけです。
ニュース、会議中継、スポーツ中継、トーク番組などがそのサービスの対象となっていますので、タイピングの内容はとても幅広い分野にまで及んでいることがわかります。さらに、最近では講演会やシンポジウム、舞台公演や大学の授業での字幕表示をするようになってきているところもあるので、専門的な分野を扱うことも多くあります。
そのため、専門用語や固有名詞などを瞬時にまた正確に入力しなければなりません。ステノキャプショナーになるには、そうした知識や国語力を身につける必要がどうしてもあるのです。
努力を惜しまない学習意欲のある人は、新聞、書籍、雑誌などをよく読み語彙を増やし、日本漢字能力検定などで上級を目指して漢字力を身につけることによって、漢字変換ミスを防ぐ努力もすることでしょう。
女性に向いている
ステノキャプショナーとしての仕事に就いている人たちの多くは女性です。女性は男性に比べて複数の事柄を同時で行うことができると言われています。
それには、女性と男性の脳の働きの違いにあるようなのですが、男性は1つのことに集中して物事を考えて行う傾向があるので、そういうわけで男性より女性に特に向いている仕事と言えます。
また、ステノキャプショナーはまだまだ不足していますし、専門的技術である仕事がらステノキャプショナーとしての実務経験を積んでおけば結婚、出産、子育てなどで退職を余儀なくされたとしても再就職しやすいという点で有利といえます。
さらに、出社しなくても「テープ起こし」などの在宅ワークとしても働くことができるため、結婚や子育てしながらでもできる可能性があります。ステノキャプショナーとして、長く仕事に携わりさらに実績を積むことができます。
ステノキャプショナーになるための学校・教室
ステノキャプショナーになるための養成学校や講座はあります。以下で紹介する講座の費用は数万円なので学び始めやすいといえます。
養成学校
ステノキャプショナーになるための学校として「スピードワープロ学院」があります。全国に5校を展開しており初級から上級、速度、実務へとステップアップしていきます。
各学校によりますが「平日コース(週3回)」、「午前部」、「午後部」、「夜間部」、「土曜講座(週1回)」とコースが選べます。どのコースも数時間の受講時間なので働きながらでも受講可能なので、自分の都合に合わせて学ぶことができます。
養成講座
株式会社ワードワープによる、電子速記「ステノマシン」を使ったステノキャプショナーの養成講座もあります。公益社団法人日本速記協会主催「速記技能検定1級」の合格を目指します。
受講にあたって簡単な一般常識テスト及び面接の試験があります。「本科コース(週4回午前中)」、「土曜日コース(毎週午後)」で2~3年の養成期間があります。他にも様々な講座があります。
ステノキャプショナーになるには?まとめ
ステノキャプショナーは地道な努力の積み重ねで目指す
ステノキャプショナーになるための受講料は比較的に安いので学び始めやすいといえます。しかし、身に着けるまでには長い期間をかけて地道な努力の積み重ねが必要です。
ステノキャプショナーになるための技術を身につけるのに、あきらめそうになってしまう可能性がありますが、聴覚障害者や高齢者をはじめ様々な娯楽を楽しむ機会を提供するためにも頑張りましょう。
ステノキャプショナーの参考情報
平均年収 | 240万円~300万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | テレビ・映画・映像 |
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