撮影監督の仕事内容とは?日本と欧米での違いなどについても解説

撮影監督の仕事内容とは?日本と欧米での違いなどについても解説

撮影監督は、映画やテレビなどで使われるひとつの映像を作り上げる仕事です。カメラのアングルや照明など撮影に関することだけでなく、他部署との打ち合わせもあります。本記事では、撮影監督の仕事内容やその魅力などについてご紹介します。

撮影監督とはどんな仕事?

映像(撮影・照明など)全てにおける責任者

撮影監督とは、テレビや映画・アニメなどの撮影現場における映像全体の責任者です。

撮影する内容にもよりますが、大体は企画から撮影の演出まですべてに関わって指示を出したり、演技指導を行うなど、製作する作品のすべての責任を持って完成させるのが主な仕事です。

どんなカメラを使うか、そして構図などのカメラワーク、映画や映像作品を制作するスタッフと入念な打ち合わせも仕事のひとつです。また、ヒット作にするにはどうすれば良いのかを考えるのも撮影監督の仕事です。

撮影監督の経験が少ない場合は、他のスタッフ達と協力や指導を仰ぎながら作品を完成させていくケースが多いです。権限を持ってはいても、色々任せてもらえるには豊富な経験や実績が必要になってきます。

沢山の分野に関する知識も求められる

ドラマ、映画、作品によって任される仕事は若干異なりますが、基本的に音楽から演技など細かいセッティングなども管理しないといけないため、あらゆる分野での知識がないと指示を出せません。

撮影監督は作品に関連すること、例えば台本の流れからセリフ、照明、衣装、音楽についてもちゃんと把握しておくべきです。より良い演出が思いついた時に試せるのかどうかなどを判断する時に必要になってきます。

映像業界は専門用語も多いので、色んな分野の知識を求められることも多い職業です。

仕事内容によって対応範囲が異なる場合も多い

ほとんどの撮影監督は照明やカメラアングルなども指示を出すことが多いです。しかし予算が少ない場合は、撮影監督が自ら自分でカメラを操作することもあります。コマーシャル撮影などはカメラオペレーターも撮影監督が行うケースがあります。

また、編集関連の作業に関して、あまり撮影監督が関わるケースは少ないです。ただ、簡単な指示や、編集作業担当の作業に関しても確認は行います。

名称は時代に合わせて変化している

撮影監督の仕事には、撮影はもとより照明や特殊効果(音楽・効果音など)、照明・色彩、場合によっては撮影した画像の編集など、映像に関わる全ての責任者としての役割があります。

ちなみに、英語では「Director of Photography(DP)」もしくは「Cinematographer」(アメリカ)、「Lightning Cameraman」(イギリス)などが撮影監督に相当します。

映画が誕生した当初は単にカメラを回すだけだったので、カメラマンという名称が一般的でした。その後、映像技術が高度化・複雑化したことで、複数台のカメラで撮影することも珍しくなくなったため、現在の「撮影監督」という呼称を用いるようになりました。

なお、複数人の撮影者がいる現場ではファースト・カメラマン、セカンド・カメラマン、サード・カメラマンなどの用語が使われることもあります。この場合は、ファーストが撮影監督、セカンド以下はカメラオペレーターです。

撮影監督の仕事内容は国や現場で異なる

日本での撮影監督

撮影の仕事はカメラでの撮影の他に、照明や色彩、露出計測なども含まれます。

日本では撮影はカメラマン(撮影監督)が行い、照明や色彩は照明監督(照明技師)、露出計測は撮影助手がそれぞれ担当します。

複数台で撮影する場合は、複数のカメラマンがつく

近年では撮影技術が高度化・複雑化したことに伴って、複数台のカメラで異なる方向から撮影することも増えてきました。

そのような現場ではファースト・カメラマン、台数に合わせてセカンド、サードというようにカメラマンが存在します。複数台カメラがある場合は、ファーストを撮影監督が担当して、セカンド以下はそれぞれの担当カメラマンが撮影を担当しているようです。

照明や色彩は照明監督が担当する

日本の場合は、長年照明や色彩については照明監督(技師)が担当してきました。

これはなぜかというと、作品を量産せざるを得なかった時期があったためです。特に大手では「照明監督が決めたことに口を挟まない」ことで早く仕事を進めようと考え、その名残があったと言われています。

欧米での撮影監督

欧米の撮影監督は、どちらかというと撮影に関する技術的判断が主な仕事となります。

契約にもよりますが、実際の撮影はカメラオペレーターと呼ばれる人が行い、撮影終了後に撮影監督がそれらをチェックするという形です。

その他、照明に関しては撮影監督が判断して技師に指示を出し、日本では撮影助手が行う露出計測も撮影監督自らが行います。

そのため、撮影監督は映画監督に次ぐと言われています。

撮影監督がカメラを使う機会は少ない

特にアメリカでは、ユニオンとの契約によって撮影監督はカメラでの撮影を行わないこととなっています。原則として撮影時に使用する台数分のカメラオペレーターが存在し、4台使う場合は4人のオペレーターがそれぞれ担当のカメラを操作しているのです。

ただし、契約時に「メインカメラは自身でオペレートする」ということにしていれば、自らがカメラを操作することができます。その場合は、撮影監督自身がメインカメラを操作して、オペレーターはBカメラ、Cカメラ、Dカメラなどに分かれて操作を行います。

日本の撮影監督よりも忙しい

日本の撮影監督と欧米のそれで異なるのは、仕事量の多さです。

日本では、撮影は撮影監督、照明は照明技師、露出計測は撮影助手というように作業が分担されているのが一般的です。

しかし、欧米の撮影監督は照明機材の設定以外は、露出計測も含めてすべて自身で担当するため、現場では撮影助手よりも忙しそうに動き回っています。

機材調整も撮影監督自身が行う

撮影をする場所は平地だけとは限りません。場合によっては水中や空中、崖の上からということもあります。そのため、不要な機材を長期間持たないようにする工夫が求められます。

カメラについては「フォーカスプラー」と呼ばれるファーストアシスタントカメラマンが、照明については「ギャファー」と呼ばれるチーフライティングテクニシャンが、ベストボーイと一緒に機材の手配や調整を担当しています。

優秀な撮影監督は50代以降に多い

いうまでもありませんが、撮影監督は撮影した映像全体の最終責任者です。

撮影監督は基本的に撮影そのものに関わることは少ないものの、カメラオペレーターや照明技師に指示を出して画作りを行い、衣装部や役者などと協力しながら映像を作る仕事なので、最終的な映像が悪い場合は撮影監督にすべての責任がかかります。

優秀な映像を作成するためには、こうしたオペレーターや照明さんとの連携が不可欠です。

そのことを考えると、優秀なスタッフを持つことができるか、チームをまとめることができる人間的魅力があるかにかかってくるので、若い人より経験を積んできた40代後半~50代以上に多いといえます。

アニメの撮影監督

邦画・洋画に関係なく、日本で上映される映画はアニメが意外と多くあります。

実は、アニメにも撮影監督が存在します。撮影と照明の最終責任者という点では、実写映画の撮影監督と同じです。しかし、少し異なる点もあります。

動画と背景を合成して映像にする

セルアニメだった時代は、セル画と背景を適切な順序・位置に重ねた上で、撮影台にセットして撮影することが仕事でした。しかし、デジタルアニメになってからは、動画と背景を合成して映像にすることを「撮影」と呼びます。

これに加えて、透過光。多重露光、マルチブレーン・カメラなどの特殊効果設定が主な仕事です。

日本でも欧米型に近づきつつある

現在は、日本でも欧米の撮影監督のスタイルでやっている映画監督も増えてきています。しかし、約半数近くは従来のように分業制でやっている人もいるようです。

ただ、日本では撮影監督というのは、特に著名なカメラマンのことを指すことも多く、今でも「カメラマン(キャメラマン)」と呼ばれています。

撮影監督の仕事のやりがい

満足いく作品が完成したとき

当然のことですが、撮影は一人だけではできません。画面で演じる役者さんはもちろんのこと、表に出ることのない撮影監督や照明、撮影助手などの撮影スタッフ、スタイリスト、完成した作品のPRを行う営業社員がいて、はじめて世に出るのです。

スタッフ全員の協力があって完成するので、作品作りに全力を注ぎ、その結果満足する作品ができたときに喜びや達成感が感じられます。

まずはアルバイトで経験してみるという方法も

「撮影監督になりたい」と思っても、なかなか採用枠が少ないのが現状です。映像を扱う仕事なので、映像関連の学科がある大学や専門学校へ進学して学ぶことが近道なのはいうまでもありません。

しかし、撮影チームも人数に限りがあります。そのため、まずはアルバイトなどで撮影現場を経験してみるといいでしょう。

撮影の仕事は実務経験がものをいいますし、現場で培った人間関係もどこかで力を発揮します。少しでも実務を知る、経験を積む目的でアルバイトを経験するのはいい方法です。

誰かにとっての特別な思い出になる仕事

撮影監督に限らず、関係者にとってやりがいを感じる要素のひとつに『誰かにとっての「特別」になる仕事であること』があります。撮影監督は、映像に関する全責任を負う仕事であると同時に、自身の思いを映像に託して作品を作っていきます。

どのスタッフも出来上がった映像に対する思い入れは強いものですが、特に撮影監督は映画などの映像に感動した経験から目指す人が多いので、自分が関わった作品に対してポジティブな口コミが多いと嬉しくなるといいます。

撮影監督の仕事内容まとめ

一つの映像が出来上がる瞬間に立ち会えるのが、撮影監督の魅力

撮影監督の仕事は、映画などの映像をテレビもしくは映画館で見た人に、感動を届ける仕事です。見た人が感動したり、どこかに共感したりすることはもちろん大切なことですが、同じようにスタッフが満足する作品を作ることもまた大切な要素になります。

撮影監督は資格よりも実務経験が求められる仕事ですが、撮影助手からスタートしてだんだんステップアップしていきます。映画が好きなことと同時に、映像制作に関わる実務を貪欲に吸収する姿勢が大切です。

また、実務経験を積むことと同時に、撮影現場のスタッフと信頼関係を結んでおくことも、将来の仕事につながるかもしれません。

撮影監督は映像制作会社に入社しますが、採用人数はやや少なめです。求人を見つけたら、アルバイトから積極的に応募してみてはいかがでしょうか。

撮影監督の参考情報

平均年収250万円~500万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種テレビ・映画・映像

役立ったら応援クリックお願いします

にほんブログ村 資格ブログへ

撮影監督の関連記事

テレビ・映画・映像に関する他の職業KANREN JOB