飲食店社員の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入統計
大手のファミリーレストランや居酒屋から個人店舗まで、就職先が幅広い飲食店社員。一般的に門戸が広いと言われる飲食店社員ですが、その給与・年収はいくらくらいでしょうか。今回はこの記事で、飲食店社員の初任給、平均的な給与や平均的な年収など収入面についてご紹介します。
飲食店社員の初任給
初任給は高水準ではないが昇給の可能性も
レストランなどに勤務する飲食店社員。店長をはじめとする経営・マネジメントや、調理、サービスなど様々な仕事をしますので、給与・年収は勤務先や仕事内容、経験年数などによって変わってきます。
飲食店社員は、企業に勤めるサラリーマンと同様に、役職に応じた給与となることが多く、飲食店社員の一般的な初任給は、17~22万円前後です。
大手のファミリーレストランや居酒屋などは、普通の企業と同様に役職が上がれば給与も上がる昇進制度となっていることがほとんどです。
飲食店社員は、学歴や資格などが関係なく、なろうと思えば誰でもなれる仕事なので、初任給としてはあまり高い水準ではありませんが、働きに応じた昇給のチャンスはあると考えられます。
中小の飲食店では、給与・年収は店によってかなり幅があります。人気店では給与・年収も高めとなりますが、経験者・即戦力が優遇されますので、未経験者の初任給はさほど高くはないでしょう。
しかし、大手と同様、店の経営状態や本人の働きぶりなどに応じて昇給できる可能性はあります。
広い業界~就職・転職の際は良く考えて~
飲食店は、一般的には大手は比較的経営が安定していますが、中小の飲食店は売り上げによって変動しやすいと言えます。
ただ、小規模だから収入も少ないとは限りません。規模が小さくても店の人気が出れば、売り上げアップに応じた高収入を得ることも可能です。しかし、大手企業のような昇給制度がない飲食店も多く、長年勤めたから必ず昇給するという保証はありません。
また、経営水準の変動が大きい業界なので、一時的に売り上げがよくても、それが長く続かないことも多々あります。大手では定期的な賞与・昇給も見込めますが、中小ではボーナスが支給されないこともあります。
さらに、社会保障や福利厚生が十分には整っていない飲食店も多くあります。就職や転職で飲食店社員を目指す場合は、給与・年収以外の諸条件についてもしっかりと下調べをしてください。
昨今は業界全体として慢性的な人手不足なので、求人倍率は総じて高い水準が続いていて売り手市場と言えます。就職・転職の際は、安定した大手の飲食店を目指すのか、様々な可能性を秘めた中小の飲食店を目指すのかをしっかり考えてみましょう。
転職すると給与・年収ダウンの可能性も
飲食店社員は、職歴や学歴が問われないので他業種からの転職もしやすい仕事です。しかし、慢性的な人手不足の業界では、即戦力が優遇される上、業界全体としての給与・年収の水準は決して高くありません。
そのため、未経験での転職の場合は、転職できたとしても収入がダウンする可能性が高いでしょう。
飲食店社員の平均給与
業界全体として平均給与は低め
飲食店社員の平均給与はどの程度でしょうか。一般的に、大手のファミリーレストランや居酒屋等の店長の給与が25~30万円前後と言われています。
飲食店社員のみの統計はないので、国税庁の平成29年「民間給与実態統計調査」により「宿泊業、飲食サービス業」の平均給与についてみて見ましょう。
統計によると、平均給与は20代後半から60代前半までで20万円台となっています。年齢別に見ると、もっとも多い35~39歳で26.1万円、次いで40~44歳が25.9万円、55~59歳が25.7万円などとなっています。
表 宿泊業、飲食サービス業の平均給与
年齢 | 平均給与 |
---|---|
19歳以下 | 7.0万円 |
20~24歳 | 12.0万円 |
25~29歳 | 21.8万円 |
30~34歳 | 23.6万円 |
35~39歳 | 26.1万円 |
40~44歳 | 25.9万円 |
45~49歳 | 24.7万円 |
50~54歳 | 24.5万円 |
55~59歳 | 25.7万円 |
60~64歳 | 20.4万円 |
65~69歳 | 16.4万円 |
70歳以上 | 15.2万円 |
全年齢平均 | 21.1万円 |
飲食店社員の平均年収
年収は300万円未満が多い
給与と同様に飲食店社員のみの年収を示す統計はないので、国税庁の平成29年「民間給与実態統計調査」をもとに「宿泊業、飲食サービス業」の年収について見てみましょう。
統計によると、「宿泊業、飲食サービス業」の平均年収は252.8万円です。
年齢別に見ると、30代から50代は300万円台か200万円台後半となっていますが、それ以外の年代はもっと低く、20~24歳は143.5万円、25~29歳は261.8万円などとなっています。
もっとも多い35~39歳でも313.2万円で、全体として高水準とはいえない現状が見受けられます。
表 宿泊業、飲食サービス業の平均年収
年齢 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 84.3万円 |
20~24歳 | 143.5万円 |
25~29歳 | 261.8万円 |
30~34歳 | 282.7万円 |
35~39歳 | 313.2万円 |
40~44歳 | 310.2万円 |
45~49歳 | 296.8万円 |
50~54歳 | 294.5万円 |
55~59歳 | 308.9万円 |
60~64歳 | 244.6万円 |
65~69歳 | 197.2万円 |
70歳以上 | 182.8万円 |
全年齢平均 | 252.8万円 |
女性は男性よりさらに低め
次に、平成29年「民間給与実態統計調査」の「宿泊業、飲食サービス業」について、給与階級別の平均所得者数とその割合を見てみましょう。
全体では、給与階級が100万円以下の人がもっとも多く、全体の28.0%を占めています。そして、200万円以下が23.0%、300万円以下が16.3%、400万円以下が13.8%と続いていて、全体の8割以上が400万円以下となっています。一方で、年収が1,000万円以上となるのは全体の0.8%の人のみという結果になっています。
男女別に見ると、平均所得者数は男性が1,065,330人に対して、女性は1,233,751人で、人数としては女性の方が多いのですが、平均所得者数の割合では、女性の方が低めの傾向にあります。
男性は、人数がもっとも多い階級が400万円以下で20.5%、次いで500万円以下が17.1%、300万円以下が15.9%、100万円以下が15.4%などとなっています。
一方、女性は100万円以下が38.9%と全体の4割近くを占め、次いで200万円以下が31.4%、300万円以下が16.6%、400万円以下が8.0%などとなっていて、400万円以下を合計すると全体の9割以上となっています。
表 給与階級別、男女別の年収
給与階級 | 所得者数(男性) | 割合(男性) | 所得者数(女性) | 割合(女性) | 所得者数(全体) | 割合(全体) |
---|---|---|---|---|---|---|
100万円以下 | 163,771人 | 15.4% | 479,518人 | 38.9% | 643,289人 | 28.0% |
200万円以下 | 142,140人 | 13.3% | 387,196人 | 31.4% | 529,336人 | 23.0% |
300万円以下 | 169,590人 | 15.9% | 205,081人 | 16.6% | 374,671人 | 16.3% |
400万円以下 | 218,614人 | 20.5% | 98,874人 | 8.0% | 317,488人 | 13.8% |
500万円以下 | 181,763人 | 17.1% | 40,759人 | 3.3% | 222,522人 | 9.7% |
600万円以下 | 89,958人 | 8.4% | 11,573人 | 0.9% | 101,531人 | 4.4% |
700万円以下 | 42,839人 | 4.0% | 4,510人 | 0.4% | 47,349人 | 2.1% |
800万円以下 | 14,554人 | 1.4% | 2,312人 | 0.2% | 16,866人 | 0.7% |
900万円以下 | 14,204人 | 1.3% | 1,241人 | 0.1% | 15,445人 | 0.7% |
1,000万円以下 | 9,977人 | 0.9% | 1,171人 | 0.1% | 11,148人 | 0.5% |
1,500万円以下 | 12,556人 | 1.2% | 1,246人 | 0.1% | 13,802人 | 0.6% |
2,000万円以下 | 2761人 | 0.3% | 131人 | 0.0% | 2,892人 | 0.1% |
2,500万円以下 | 753人 | 0.1% | 123人 | 0.0% | 876人 | 0.0% |
2,500万円超 | 1,850人 | 0.2% | 16人 | 0.0% | 1,866人 | 0.1% |
計 | 1,065,330人 | 100.0% | 1,233,751人 | 100.0% | 2,299,081人 | 100.0% |
独立すれば高収入も見込める
飲食店社員は、業界全体としてはパート・アルバイトの人も多く、給与・年収の水準も平均的にはあまり高くありません。飲食業界は学歴や資格、職歴を問わない、誰でも目指すことができる業界なので、その分、人の入れ替わりもよくあり、激しい競争もあります。
それだけに、独立して自分の店舗を上手く経営できる立場になれば、かなりの高収入を見込むこともできます。
将来、独立を目指すなら、その際に必要となる食品衛生責任者などの資格取得もあわせて考えておきましょう。その上で、飲食店での実務経験を積み、様々なノウハウを身に着けてから独立すれば、成功の可能性が高まるでしょう。
飲食店での独立は、今の会社を飛び出して独立するような場合と、いわゆる「のれん分け」のように、今の飲食店から応援してもらいながら独立する場合があります。自分がどのような飲食店経営を目指すのかによっても、働き方のモチベーションが変わってくるでしょう。
将来、独立を目指す場合は、視野を広く持ち、自分の未来をきちんと見据えながら働くことが大切です。
飲食店社員の給与・年収まとめ
給与・年収の水準は低めだが様々な可能性も
飲食店社員は学歴や職歴を問わず誰でもなることができる仕事で、比較的転職もしやすいと言われます。
その給与・年収の水準は、業界全体としてはあまり高くはなく、200万円台から300万円台の人が多いのが現実です。しかし、中には年収1,000万円を超えるような高所得を得ている人もいます。
賞与・昇給がある大手か、売り上げに応じた待遇となることが多い中小かでも異なります。また、独立開業すれば、高収入も見込めます。
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飲食店社員の参考情報
平均年収 | 250万円~350万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 飲食 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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