人々の健康を守る管理栄養士。仕事内容や必要なスキルをチェック!
いつの時代も、食は健康の土台と言われてきました。食に関する様々な情報が飛び交う現代で、人々の健康を守る「管理栄養士」に憧れを抱く方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな管理栄養士の仕事内容や勤務形態、魅力について詳しくご紹介します。
「管理栄養士」はどんな仕事?「栄養士」との違い
国家資格を持つ栄養管理のプロ
人々の健康のために働く「管理栄養士」。よく間違われやすい職業に「栄養士」があります。
どちらも栄養のスペシャリストに違いありませんが、管理栄養士は国家資格が必要であるほか、責任の範囲が広いといった理由から栄養士よりも難易度の高い職業と言えます。
しかし、どちらの職業も食事・栄養に関する指導(栄養指導)と食事管理(栄養素計算・献立作成)を行う点は同じです。
病気の人に対しても栄養指導を行うのが管理栄養士
栄養士と管理栄養士の違いは栄養指導を行う対象が異なる点です。
栄養士が健康な人を対象に指導を行うのに対し、管理栄養士は健康な人はもちろん病気の人(または特別の配慮が必要な人)に対しても栄養指導をします。そのため、より高度な専門知識を必要とするのです。
管理栄養士の仕事内容
管理栄養士の指導内容は主に3つ
- 病人や怪我人に対する、療養のための栄養指導
- 個人に対する健康保持・増進のための栄養指導(特定保健指導など)
- 特定多数の人(施設など)に対する給食管理・栄養指導
医療のイメージが強い管理栄養士ですが、個人や集団への栄養指導も行います。また、ある程度の規模の大きな給食施設にも管理栄養士の設置が義務付けられているのです。
管理栄養士が働くフィールドは幅広く、病院・工場・児童福祉施設・介護施設など様々。それぞれの職場によって仕事内容が異なるため、詳しくは『勤務場所によって変わる管理栄養士の仕事』で紹介します。
繁忙期は6月以降、9月が最も忙しい
管理栄養士の繁忙期は6月以降です。一般的に会社の健康診断は4月〜7月頃に行われるので、診断を受けて治療が必要と判断された人に対し指導を行うためこの時期が目安になります。しかし、実際のところ7月・8月は夏休みの時期であることから、9月以降が最も忙しいのです。
9月以降が忙しいと言われるのは、健康診断に基づく「特定保健指導」が2段階にわかれているためです。第一段階では個人面談(あるいはグループ)を行い、その3ヶ月後、または6ヶ月後にメールやファックスなどで追加の支援を行うのです。
勤務時間はビジネスマンと同じくらい
管理栄養士の勤務時間は職場によって変わりますが、夜勤は比較的少なく朝早い職場が多いです。
- 保育園や企業:午前7時出勤〜午後9時頃まで。ビジネスマンと大きな差はありません。
- 朝食担当:出勤時間が早く、午前5時や6時と出勤時間が早いです。
- スポーツジム・エステなど:お店の開店時間が遅いため、管理栄養士も朝は遅めの出勤、夜遅くまで働くこともあります。
職場によって勤務時間が変わるので、自分の生活リズムを合わせる努力が必要ですね。
勤務場所によって変わる管理栄養士の仕事
活躍の場が広い管理栄養士ですが、就職先は以下のような傾向があります。
管理栄養士の就職先TOP4
- 病院
- 工場(事業所)
- 児童福祉施設
- 社会福祉施設・介護施設
ランキング上位には病院や施設が目立ちますが、「分野」で見るとそのフィールドの広さを感じていただけると思います。
- 病院
- 給食施設(企業)
- 給食施設(保育園・学校)
- 社会福祉施設・介護施設
- スポーツ
- エステティックサロン
- 食品メーカー
- フードコーディネーター
- 料理研究家
- 飲食店
ここでは、「病院」「給食施設」「スポーツ」「エステティックサロン」「食品メーカー」の5をピックアップして紹介します。
病院
管理栄養士の就職先で最も多いのが、病院(クリニック・医院・診療所など)です。病院で働く場合は「チーム医療」として、様々な医療専門職とともに患者さんの健康をサポートします。
すでに病気を患っている方の健康を支えるという、責任・やりがいともに大きな仕事です。主な業務内容は「栄養ケア・マネジメント」「給食経営管理」の2つ。
・栄養ケア・マネジメント
NSTの一員として、医師や医療スタッフとともに入院患者や外来患者への栄養管理・栄養指導を行います。
※NSTとは、食・栄養のプロである管理栄養士と医師、看護師、薬剤師などが連携する栄養サポートチームのことです。
・給食経営管理
管理栄養士の専門知識を活かして、栄養価計算された安心・安全な食事の調理と提供を行います。
病院食には「おいしくない」というイメージを持つ人も多いので、「安全」かつ「おいしい」食事が求められます。
給食施設(企業・保育園・学校など)
・企業
企業のダイニング(食堂)は、働く人のエネルギーを充電する重要な場所です。そのため、「バラエティ豊かなメニュー」や、やる気アップに繋がる「おいしさ」を提供することが大切。
主な業務内容は「献立作成」「調理」「食材の選定・購入」「調理場の衛生管理」など。これらの仕事を全般的に行う職場もあれば、デスクワークのみの職場もあります。就職先によってかなり差があるのが特徴です。
・保育園・学校
子どもが好きで保育園や学校給食の管理栄養士を目指す方は多いのではないでしょうか。
「食育」という概念が重要視される教育現場では、管理栄養士を「学校栄養教諭」「栄養教諭」と呼びます。「学校教諭」は企業と同じく一般的な管理栄養士の業務が中心ですが、「学校栄養教諭」は学院免許を取得し、子ども達への食育指導が可能です。
給食施設では管理栄養士として総合的な経験を積めるため、「まずは安定してキャリアを積みたい」という方に人気です。
スポーツ
スポーツ分野にも管理栄養士の活躍の場はあります。一般的な勤務先はフィットネスクラブやスポーツジムなどですが、独立してスポーツチームと専属契約する人も多い傾向です。
スポーツ栄養学のスペシャリストを目指すなら、「公認スポーツ栄養士」の資格取得によってさらに仕事の幅が広がります。
エステティックサロン
あまり知られていませんが、エステティックサロンで働いている管理栄養士もいます。
この場合はもともとエステティシャンとして働いていた人が、「さらに深い知識を付けたい!」と資格を取得するケースが多いようです。
サロンに訪れる顧客のダイエットを栄養学の視点からサポートできるため、管理栄養士は重要な位置付けとなっています。
食品メーカー
「商品開発がしたい」「研究が好き」という方が目指すのが、食品メーカーです。
業務内容は「メニューの開発・企画」「商品設計」「レシピ化」「ブランド名の立案」など幅広く、手がける商品も様々です。(お弁当・離乳食・ドリンク剤・サプリメントなど)
食品メーカー勤務は管理栄養士としてさらなるステップアップが期待できます。
管理栄養士のキャリアアップ
まずは調理技術・現場の理解から
専門知識を持つ管理栄養士ですが、下積み時代は現場での調理が多く、まずは「現場を理解すること」が求められます。
現場を理解しているからこそ調理の段取りや現場の忙しさを理解でき、それらを考慮した献立作成ができるようになります。現場で培った知識は必ずその後の仕事にいい影響を与えます。
下積みからデスクワークへ。転職に有利な働き方とは?
下積み経験の長さは就職先や職場環境によって差があります。しかし、何年も現場で調理しか任せてもらえない場合は、転職を考える方も多いようです。
そもそも管理栄養士の本来の仕事は「栄養マネジメント」や「献立の作成」などが中心ですので、現場の経験がメインだと「管理栄養士としての仕事をしていない」ということになってしまいます。
2〜3年経っても調理ばかりという場合は、新たな就職先を探したほうがいいかもしれません。
管理栄養士の仕事のやりがい
人々の健康をサポートし、人の役に立てる
管理栄養士の一番のやりがいは、やはり「人々の健康の役に立てる」ということです。現代では健康な人でも食事を疎かにし、不調を起こすケースも増えています。そんな人たちに適切な栄養指導をし、患者さんが元気になっていくことはこの職業ならではの喜びです。
また、給食では子どもたちや働く人々に安全・安心でおいしい食事を提供することで笑顔になってもらえることが何よりの喜びでしょう。
経験を積めば仕事の幅が広がる
管理栄養士としての経験を積めば、さらに資格を取得したり、独立したりと自分の努力次第で活躍の場を広げることができます。
下積み時代は現場作業が多く「早くデスクワークがやりたい」と考えるものですが、そんな経験を経てステップアップした時には、自信を持って新たな仕事に取り組むことができます。
管理栄養士の仕事まとめ
管理栄養士は努力と思いやりが必要
国家資格が必要な管理栄養士は、資格取得をするためのハードルが高いのが事実です。しかし、その分より「人々の健康」に寄り添った栄養指導ができるのが魅力。
管理栄養士には専門知識が必要ですが、それと同じくらい大切なのが「思いやり」の気持ちです。「誰かの助けになりたい」「笑顔になってほしい」そんな姿勢が、患者さんや、食事を食べてもらう人々に伝わるのです。
また、医療現場でも給食施設でもチームで連携して仕事を進めることが多いため、コミュニケーション力も必要と言えるでしょう。
地道な努力が必要な仕事ですが、人々を健康に導き、笑顔が見られる管理栄養士の仕事はやりがいがありますよ。
管理栄養士の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 飲食 |
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