パティシエの資格・試験とは?製菓衛生師・菓子製造技能士 資格試験の概要と合格の秘訣

パティシエの資格・試験とは?製菓衛生師・菓子製造技能士 資格試験の概要と合格の秘訣

お菓子職人、パティシエとして働く上で、資格や試験に合格していれば就職や開業の際に有利に働く可能性があります。 今回はこの記事で、パティシエに関連する代表的な国家資格、製菓衛生師と菓子製造技能士の試験の情報をご紹介します。

パティシエの資格、製菓衛生師とは?

食の安全に関する国家資格

製菓衛生師は昭和41年制定の製菓衛生師法に基づき、厚生労働省が定める国家資格です。

資格保有者しか名乗ることができない名称独占資格で、試験は都道府県知事が行います。試験の目的は、パティシエを含めお菓子づくりに関わる人の資質と衛生面向上です。

合格すれば、製菓業務の知識や技術だけでなく、安心・安全な食品を提供するための公衆衛生学や、食品添加物などに関する専門知識も有するという証明になるでしょう。

食品衛生責任者の資格も認められる

製菓衛生師の資格取得は、食品衛生責任者の資格取得と同等の扱いになるのも特徴です。

食品衛生責任者は、飲食店を開業する際に必要となる資格です。通常なら講習を受けて資格を取らないといけませんが、製菓衛生師の資格があれば受講する必要がありません。

将来的にパティシエとしてお店を持ちたい人や、飲食店の店長として働きたいと考えている人であれば、同時に製菓衛生責任者の資格が認められる製菓衛生師の取得は大いに役立つでしょう。

製菓衛生師試験の難易度・合格率

要点を抑えれば難易度は低め。十分な試験対策を

製菓衛生師の試験は主に筆記試験が中心です。合格ラインは正答率60%以上で、0点の科目がないことが基本となるようです。都道府県ごとの試験実施になるため合格率はばらつきがありますが、全国平均は約60~80%といわれています。

要点をおさえて試験に臨めば、難易度的にはそれほど高くない傾向のようですが、幅広い分野から出題されるため体系的な勉強が必要になると考えられます。

独学で目指すのは難しいという人は、製菓衛生師の試験対策コースや資格取得支援制度のある学校・講座を探すのもひとつです。効率よく、より確実な合格を目指すのことができるでしょう。

製菓衛生師

合格率 全国平均約60~80%
受験資格 次のうちいずれかに該当すること

  • 学校教育法(昭和22年法律第26号)第57条に規定する者であって、都道府県知事の指定する製菓衛師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得したもの
  • 学校教育法第57条に規定する者であって、2年以上菓子製造業に従事したもの
受験費用 各都道府県により異なる
出題範囲 衛生法規、公衆衛生学、栄養学、食品学、食品衛生学、製菓理論、製菓実技
※菓子製造技能士資格保持者は製菓理論及び実技の試験免除

試験を受けるには一定の経験が必要

製菓衛生師の資格試験は受験資格対象者が決まっています。簡単にいうと中学校卒業以上で、製菓専門学校など専門の養成施設で1年以上勉強をした場合か、製菓製造業に就職して2年以上の実務経験がある人が対象になります。

現在、製菓業務についていない人でも、過去2年以上の実務経験があれば受験可能です。専門学校の場合は、厚生労働大臣が指定する製菓衛生師養成施設として認可されている学校であれば、受験資格が得られます。学校選びの際は、受験資格が得られるかどうかもチェックしましょう。

試験合格後は免許申請をして資格取得を

試験自体はどこの都道府県でも受けることができます。ただし、製菓衛生師の資格を得るには、各都道府県が実施する試験に合格したのち、住所地の都道府県知事に免許を申請しなければなりません。

パティシエの資格、菓子製造技能士とは?

お菓子づくりのスキルを認定する資格試験

パティシエとして働く職人の多くが受験する菓子製造技能士も、国家資格のひとつです。試験は都道府県知事によって行われます。

製菓衛生師が製菓知識や食の安全性を問われるのに対し、菓子製造技能士はデザインや技術的な部分に主軸を置いた試験です。試験ではお菓子づくりに必要な一定レベルの技能と知識が習得できているかどうかがチェックされます。試験は技能検定制度となっており、2級と1級に分かれているほか、受験分野も和菓子と洋菓子とに分かれます。

菓子製造技能士の試験は、洋菓子店、和菓子店、ホテルやレストランなどさまざまな場所で働く人、経営者が取得を目指す試験です。今よりキャリアアップを目指す場合に受験する人が多く、受験者の年齢層も幅広いのが特徴といえるでしょう。試験に合格すれば、技術力の高さを証明することにもなります。転職や就職の際のアピールにもなるでしょう。

合格すればほかの資格取得時にも活かせる

菓子製造技能士の資格試験を受けて合格すれば、製菓衛生師の資格試験を受験する場合、製菓理論と実技試験が免除されるというメリットがあります。

その他、職業訓練指導員という免許取得を目指す場合も、実技試験免除の特例を受けることができます。学科試験のみで受験できるようになれば、精神的・身体的な負担は減らせるでしょう。

菓子製造技能士検定の試験難易度、合格率

試験の難易度は高め。合格すれば技術的な信頼度も高い資格

菓子製造技能士検定は、試験の難易度でいうとほかの技能士検定に比べても難しい部類に入るといわれています。

正確な合格率は都道府県によって異なりますが、2級の場合全国平均が約40~50%、1級になると30%程度になることもあるようです。難易度は高めですが、合格すればしっかりとした技術を持つ職人であることが証明できる、信頼性の高い資格と考えられます。

菓子製造技能士

合格率 全国平均約40%~50%
受験資格
  • 1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
  • 2級:2年以上の実務経験者あるいは、専門高校、短大、高専、高校専攻科の卒業者。または、厚生労働大臣指定の専修学校、各種学校卒業者で800時間以上の修了者.

※学歴によっては実務経験不要

受験費用
  • 学科試験:3,100円
  • 実技試験:16,500円

※都道府県によって異なる

出題範囲
  • 学科試験(洋菓子の場合は食品一般、菓子一般、関係法規、安全衛生、洋菓子製造法)
  • 実技試験 (材料の仕込みを含め、課題を指定の時間内で仕上げる)

※製菓衛生師免許保持者は一部試験免除

実技試験は事前の練習が可能

菓子製造技能士の試験は学科試験以外に実技試験も行われます。実技試験は試験の1か月前に試験内容が公表されるため、事前に練習が可能です。

実技試験の内容は受験する級によって異なりますが、1級・2級ともにデコレーションケーキの仕上げが課題になったケースがあるようです。製菓技術を問われる試験なので、実技では見た目の美しさだけでなくセンスも問われるでしょう。

認定スクールを利用して資格取得を目指す方法も

菓子製造技能士検定の受験対象者は、2級は実務経験2年以上から受験できますが、1級は基本的に7年以上の実務経験が必要です。ただし職業訓練を受講し修了すれば、その期間を実務経験としてみなされます。

一般的に菓子製造技能士の試験を受験する場合は、製菓業務の仕事に就いて地道に経験を積み、スキルを習得してからという人が多いです。ですが、少しでも早く受験を希望するのであれば、職業能力開発協会の認定スクールに通うのも選択肢のひとつになるでしょう。

その他のパティシエ関連資格

国家資格以外にもパティシエに関する資格はさまざま

製菓衛生師や菓子製造技能士の資格以外にも、パティシエの仕事に関連する資格はいくつかあります。

お菓子だけでなく食品開発や栄養指導などの業務にも興味がある人は、管理栄養士や栄養士の資格取得も視野に入れてみるといいかもしれません。

  • 管理栄養士
  • 栄養士
  • 食品衛生責任者
  • 調理師
  • スイーツコンシェルジュ
  • スウィーツ・スペシャリスト
  • 職業訓練指導員免許(パン・菓子科)
  • 野菜パティシエ認定試験

一覧にある食品衛生責任者資格は、飲食店や食品工場には1人以上の配置が義務付けられており、食品衛生に関わる全ての仕事で必要とされる可能性がある資格です。講習を受けると取得できますが、製菓衛生師や調理師、栄養士の資格保持者は受講免除となります。

職業訓練指導員免許(パン・菓子科)は職業訓練指導員になるための資格ですが、受験には菓子製造技能士の資格が必要です。

パティシエの資格が取れる学校

東京ベルエポック製菓調理専門学校

東京ベルエポック製菓調理専門学校 は、パティシエを目指す人のためにパティシエ実践科、パティシエ科、製菓調理師科などが用意されている専門学校です。東京のほか、全国各地にグループ校があります。

全学科で国家資格の取得を目指している学校なので、パティシエ科や製菓調理師科では在学中の製菓衛生師資格取得も可能です。試験対策もカリキュラムに組み込まれているため、確実に勉強を進めることができるでしょう。

製菓衛生師以外にもパティシエに役立つサービス接遇検定や色彩検定などの資格取得も目指せます。

基礎から応用まで!実習中心の授業が魅力

資格取得支援だけでなく、実習中心の授業で基礎から応用までしっかり学べるのも魅力です。

有名ホテルやレストランなどのシェフによる授業が受けられるため、味だけでなく見た目の華やかさや流行を抑えたお菓子づくりも学べるでしょう。

就職面でも、学校側が全面的なサポートを行っているため求人も見つけやすく、面接対策も万全にできるはずです。

辻学園調理・製菓専門学校

辻学園調理・製菓専門学校は、1年制の製菓パティシエ科や、2年生の製菓マイスター科などがある学校です。

製菓衛生師の資格については、全課程を修了・卒業した場合に受験資格が得られ、実技試験は免除されるカリキュラムとなっています。その他、食の6次産業化プロデューサーや色彩検定など、多くの資格取得を目指せます。

より多くの資格を目指す人のために!Wライセンスコース

複数の資格を取得したい人には、Wライセンスコース(ステージアップ制度)の活用がおすすめです。辻学園や同一校の他学科、そのほか三幸学園のグループ校で使える制度で、製菓衛生師と調理師と両方の資格取得を目指せる制度です。

2校目または2学科目は入学金免除と授業料が半額になるため、学費が抑えられるメリットもあります。利用するかどうかは入学後に決められるので、じっくり考えることが可能です。

海外就職も目指せる手厚い就職サポート

辻学園調理・製菓専門学校では就職支援も積極的に行われています。

担当教員がつき、一人ひとりに合わせた就職サポートを受けられるほか、北海道から沖縄まで求人が検索できるでしょう。国内外のパティスリーやホテル、レストランにもネットワークがあるので、海外での就職も目指せるのも魅力です。

山手調理製菓専門学校

山手調理製菓専門学校は学校法人村川学園を母体とする専門学校です。パティシエに関するコースには製菓総合本科があり、パティシエ専攻やブライダルパティシエ専攻を選択できます。

山手調理製菓専門学校にも、在学中に製菓衛生師と調理師、2つの国家資格取得を目指せるWライセンスシステム制度が用意されています。1年目は製菓、2年目は調理について学ぶとともに製菓衛生師試験対策が行われ、確実な試験合格を目指せるでしょう。

山手調理製菓専門学校には1年制の製菓衛生師科も用意されています。製菓衛生師科の場合は、卒業時に製菓衛生師の受験資格を取得できます。そのほかにも、食育指導士や全国料理技術検定協会上級認定証などの資格取得や、実用フランス語技能検定試験やレストランサービス技能検定などの試験合格も目指せます。

就職サポートも万全。インターンシップで現場を体感できる

山手調理製菓専門学校は食品業界と強いパイプを持つことにより、就職面でも充実したサポートを受けられるというメリットもあります。

2年目はヨーロッパ研修へ参加できたり、インターンシップも経験可能です。インターンシップ先は豊富にあるため、自分が希望する場所で、実際に現場の雰囲気や技術を肌で感じることができるでしょう。

パティシエの資格まとめ

パティシエになるなら2つの国家資格、製菓衛生師と菓子製造技能士試験合格を目指そう

パティシエの仕事自体は、特別な資格や試験に合格しなくても業務に就くことは可能ですが、就職や転職、開業を考える場合には、資格を持っているほうがベターです。国家資格である製菓衛生師や菓子製造技能士試験に合格すれば、一定の知識やスキルを証明するのに役立つでしょう。

製菓衛生師の資格については、試験対策が充実している学校で勉強すれば合格率も高まりそうです。技術面のレベルを問われる菓子製造技能士の資格は難易度が高めですが、その分合格した場合の価値は高いと考えられます。実務経験を積み、地道な努力を重ねれば合格にも近づけるでしょう。

パティシエに関する資格試験は、国家資格以外にもさまざまな試験が行われています。まずは製菓衛生師、菓子製造技能士の資格取得を目指しつつ、自分の理想とするパティシエ像に役立ちそうな資格取得も目指してみてはいかがでしょうか。

パティシエの参考情報

平均年収200万円~400万円
必要資格
  • 製菓衛生師
  • 菓子製造技能士
資格区分 国家資格
職業職種飲食

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