技術アジャスターの仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
私たちが交通事故に遭った時、加入している損害保険会社から適正な保険金額が出されます。技術アジャスターの主体となる仕事内容は、損害車両の確認や保険金の算出です。今回は、技術アジャスターの具体的な仕事内容や、仕事のやりがい、魅力などについて解説します。
技術アジャスターとはどんな仕事?
ここでは、技術アジャスターの主な仕事内容や、働き方などについて解説します。
メインの仕事は事故車両の修理費用や保険金の算出
技術アジャスターのメインとなる仕事は、自動車保険に加入している顧客が事故を起こした時に、事故の原因を調査して自動車の修理費用とそれに伴う保険金を算出することです。
対象車両は交通事故などで破損したものが多くを占めますが、広域災害(台風や水害など)で被害にあった車両や火災車両、盗難発見車両なども対象に含まれます。
独立してこの仕事を行っている人の中には無資格の人も存在しますが、協会の定める試験に合格して資格を保有している方が高い評価を受けることができます。
技術アジャスターの多くは「一般社団法人日本損害保険協会」に加盟している保険会社に属する社員であり、協会にアジャスターとして登録された人が業務を行っています。
勤務時間は不規則な場合も
大手の損害保険会社などに所属して働く場合は、月~金曜日までの勤務で週休2日制に従って休みを取れるのが一般的です。一方、保険加入者や相手方との面談や連絡が勤務時間内に取れない場合は、残業をすることも珍しくありません。
また、事故は日時に関係なく発生するので、時には休日や夜間に対応することもあります。そのため、場合によっては休日出勤をしたり夜間の対応に追われたりすることもあると考えておきましょう。
取り扱い車両は一般車両
技術アジャスターが取り扱うのは一般車両。消防車や建設機械などが事故を起こした場合は「特殊車アジャスター」といわれる人が業務を担当します。両者は扱う車両の種類が異なるだけで、基本的な業務内容は同じです。
専属アジャスターと乗合アジャスター
技術アジャスターの勤務スタイルは大きく2種類に分類されます。1つ目は特定の損害保険調査会社や損害保険会社に属して働く「専属アジャスター」。特に損害保険会社に雇われて働く場合は、車両の修理費用や保険金の算出以外の示談交渉や過失割合の認定など、他の業務も兼任して行うのが一般的とされています。
一方、乗合アジャスターとはフリーランス(個人事業主)として業務を行う技術アジャスターを指し、いくつかの損害保険会社から仕事を請け負って業務をおこないます。専属アジャスターのように他の関連業務はおこなわず、調査業務だけに専念して仕事をするのが特徴です。
技術アジャスターの具体的な仕事内容
ここでは、損害保険調査会社や損害保険会社に所属する「専属アジャスター」が実際どんな仕事をしているのか、事故の発生から順を追って見ていきましょう。
事故の整合性を確認する
事故が発生したら、最初に損害保険会社は自動車保険に加入している顧客または保険代理店から事故報告を受けます。
技術アジャスターは報告を受けたら、報告内容と車の破損状況や現場状況が一致しているかどうかを調べる必要があります。保険加入者やその相手などの当事者から詳しい事故の状況、入庫先の整備工場の情報などを聞き出し、実際破損している車両を確認します。
また、事故現場に出向いて周囲の環境を確認したり、事故の痕跡が残っている場合は調査を行ったりする必要があります。損害を受けた車両は自動車修理工場に出されますが、修理が行われる前に「どれくらい損傷しているか」「修理にはどれくらいの金額がかかるのか」ということも聞き出さなければなりません。
保険加入者から「ヒアリングした内容」と「実際の損害車両や事故現場の痕跡の整合性」がとれていなければ、正しい損害金額や保険金の算出ができなくなることから、整合性の確認は技術アジャスターが事故後に行う重要な業務とされています。
整合性の確認場所と方法
損害車両確認は事故の場合は整備工場が主ですが、原因が災害などの要因の場合は警察署や自宅、レッカー業者で実施されることもあります。
損害調査は実際の車両を整備工場で確認する「立会調査」の他にも、インターネットを利用して整備工場から画像を送ってもらう「画像伝送調査」があります。また、損害額が少ない場合に多く見られる見積もりと写真を同封してもらう「写真調査」もあります。
車両の損害額を算出
それぞれの整合性が一致したら、車両の損害額の算出をします。この算出業務で大切なことは、損害車両の「どの部分」を「どのような方法」で、「どれくらいの金額」で修理できるかという点です。
損害車両が全損なのか分損なのかを判断すると共に、車の時価額調査などもおこなわなければなりません。損害車両の修理金額は、自動車修理工場から見積もりが出されますが、この見積もりが適切なものかどうかを見極めるのも、技術アジャスターの仕事です。
見積もり金額が適切でないと判断した場合は、自動車修理工場にかけあい、話し合いをしながら折り合いをつける必要があります。
日々の勉強は不可欠
事故などの整合性の確認や損害費用の算出は実際の実務的な仕事ですが、日々進化する車の性能や新しい保険商品について勉強し続け、知識を増やしていくことも技術アジャスターとして働く上では重要です。
昨今では自動運転車や電気自動車の普及もあり、交通事故のパターンも多様化しつつあります。時代の流れに沿って知識や技量を高めることで、どのような案件にも対応できる技術アジャスターとして現場で活躍することが可能となります。
示談交渉・保険金支払い
損害車両の損害額が決定したら、まずは損害保険の加入者に結果を報告します。この結果に対して保険加入者が納得すれば問題はありませんが、そうでない場合は折衝を行う必要が出てきます。また、対物保険の場合は相手方との過失割合を決定する際の示談交渉も重要な業務です。
ただし、示談交渉は非弁護法があるので技術アジャスターが関与できる業務は限られており、専属の弁護士の指導下において補佐的な立場で業務を行う必要があります。示談交渉が成立しなかった時は裁判へ移行しますが、その際技術アジャスターは裁判を行うための報告書を作成して提出する作業をおこないます。
現場を離れたら人材育成やフリーランスの道も
長年技術アジャスターとして経験を積んできた人の中には、現場を離れて後輩の人材育成に努める人もいます。
一人前の技術アジャスターになるには、資格取得をはじめとして幅広い専門知識の習得や定期的な研修が必要です。長年の培った経験を活かしながら指導者の立場として技術アジャスターを育てることも将来的な選択肢の1つといえるでしょう。
また、人脈があり多くの成果を発揮してきた人の中には独立して個人事業主の技術アジャスターとして働く方法もあります。
技術アジャスターの仕事のやりがい
保険加入者に安心を届けることができる
技術アジャスターは、事故の報告を受けて迅速に対応することが重要です。車を所有する人が損害保険に加入する理由は、トラブルの発生時に金額面やその他の安心を得るためです。
的確な判断と素早い処理能力で、速やかに保険金が下りるようにするためには、技術アジャスターの知識と技量が必要とされます。事故を起こした顧客に対して、親身になって相談を受けたり、正しいアドバイスを行ったりして安心を与えることで、感謝の言葉をもらった時にはやりがいを感じることができるでしょう。
事故が起こってから無事に円満解決できるまでの期間が、保険会社ならびに技術アジャスターの腕の見せ所といえるでしょう。
専門職として社会貢献できる
技術アジャスターの仕事は、高い専門性を求められる仕事です。自動車がなくならない限り、自動車事故もなくなりません。
仕事の専門性を追求しながら同時に社会貢献できる技術アジャスターの仕事は、将来的においても必ず必要とされる仕事であり、長年に渡って続けることができる仕事といえるでしょう。
技術アジャスターの仕事内容まとめ
交通事故や災害などによって損害を受けた車両を素早く的確に調査し、適正な保険金額を算出することが技術アジャスターの基本的な仕事内容です。また、誠実に個々の案件に向き合うことで保険契約者に安心感を与えることも重要な仕事内容の1つです。
今後の見通しにおいても車が損害を受ける可能性がある限りは、常に技術アジャスターの必要性が重視されると考えられます。
技術アジャスターの参考情報
平均年収 | 400万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 金融 |
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