官僚になるために必要なこととは?勝負は大学選びから始まる
官僚は日本の公務員のトップ集団であり、日本のルールを作るエリートといえる人々です。官僚になるためには厳しい条件の試験を突破した後、さらに省庁から選ばれる必要があります。官僚になるために必要なこと、向いている人物像について紹介します。
官僚になるには何が必要?
行政機関である各省庁で働く国家公務員である官僚になるためには、どんな事が必要なのでしょうか。
国家公務員採用総合職試験の合格が第一関門
官僚は国家公務員として採用されるための試験に合格する必要があります。
かつては国家公務員Ⅰ種という試験に合格する必要がありましたが、国家公務員制度改革基本法にもとづき2011年に廃止され、2012年からは国家公務員採用総合職試験となっています。
一次試験は基礎知識試験、二次試験は専門知識試験と面接となり、その倍率は10倍を超える難関試験として知られています。
合格後に官庁訪問
無事に国家公務員採用総合職試験に合格しても、そこで官僚になれることが確定するわけではありません。合格者は各省庁を訪れ、面談を通じてどの省庁に勤務したいかをアピールする、官庁訪問を行う必要があります。
面接の結果で所属する省庁が決まる
各省庁を訪問し面接を行った結果、どこの省庁に所属するかが決定します。面接の結果によっては、どれだけ入省を希望してる省庁があったとしても、希望通りに入れるとは限りません。
また、官庁訪問の結果次第ではどこの省庁にも入省することができないこともあります。その場合には、翌年に再度官庁訪問をやり直す浪人となるか、民間への就職を検討するかの選択を迫られることとなります。
厳しい試験に合格していても必ず官僚になれるとは限らないことから、官僚とは非常に厳しい世界であることが伺いしれます。
官僚に向いている人、適性がある人
厳しい関門を乗り越えてようやく就くことができる官僚という職業ですが、どのような人が向いているといえるのでしょうか。
日本に仕え日本を創る使命感
官僚の仕事は予算案や法案といった、日本の根幹となるルールを作ることです。そのルール一つ一つがこれからの日本の命運を左右するといっても過言ではないほど、重要な役割を持っています。
これからの日本に何が必要で、何を行わなければいけないのかを真剣に考えることが求められます。しかしその一方、直接一般の人々と触れ合うことは少ないため、自分たちの仕事がどれほどの影響を及ぼすか実感することがありません。
感謝やねぎらいの言葉を受けることは非常に少ないといえますが、日本のために日本を創っていくという使命感を持って、確実に一歩一歩を踏み進むことができる人間こそが、官僚として望まれる人物像でしょう。
独りよがりにならないバランス感覚
どんなに日本のためになるような法案を作ったと思っていても、必ずしもそれが万人に認められるわけではありません。その法案に関係する利害関係者は必ず存在します。関係者のどちらかには利益にはなるけれど、反対に損害になる立場の関係者も生まれてしまうため、必ず法案が認められるとは限らないのです。
日本の法律の変化が、国内だけでなく国際問題になることもあり得るため、関係者それぞれの意見を聞き、また立場を尊重した法案に調整していくことも官僚に求められる能力の一つです。
時には痛みを伴う変革が必要なときもありますが、自分自身の意見だけでなく様々な立場からの意見を反映させ、落とし所を探っていくバランス感覚が望まれています。
常に知識を更新していく向上心
官僚の仕事の一つに、大臣の国会答弁の原稿作成があります。質問をしてくる側もプロのため、うかつな発言につながってしまえば、大臣のクビが飛ぶような事態につながることもあります。
どんな答弁にも対応できるよう、官僚は常に勉強をし、最新の情報を頭に叩き込んでおく必要があります。そのためにはニュースなどをチェックし、膨大な量の書籍を読む必要もあるでしょう。
国家公務員試験に臨んだ時をしのぐほど、圧倒的な勉強量を重ね続けることができる向上心が、官僚にとって生命線となる資質といえます。
厳しい職務に耐えるタフな心身
官僚は公務員の分類に入りますが、その業務は非常に難解で、さらに長時間の勤務になることが少なくありません。規定の勤務時間は1日8時間程度と定められてはいますが、その通りに帰宅できることは非常にまれなようです。
国家に影響を及ぼす仕事というだけでもプレッシャーが強い上、長時間の勤務時間は肉体的にも精神的にも非常に強い負荷となりますが、それに屈しないだけのタフな心身を持つことが官僚を続けられるための重要な適性の一つでしょう。
官僚になるための学校・教室
非常に高度な知識と能力が求められる官僚の職に就くために必要な学校はどのようなものがあるのでしょうか。
一流大学の卒業が必須
国家公務員採用総合職試験の受験資格は、大卒または大学院修了が条件となっています。しかし現実には、どんな大学を卒業しても合格できるというものではないようです。
人事院が発表した「2018年度国家公務員採用総合職試験の合格者発表」によれば、大卒程度試験の合格者は1,158名でした。そのうち東京大学の合格者数は194名(16.8%)、早稲田大学が82名(7.1%)、京都大学が79名(6.8%)と3大学で30%以上の割合を占めています。その下に並ぶ大学名も慶應義塾大、北海道大、東北大、大阪大、中央大と高偏差値の国立大学、有名私立大で占められています。
この数字は実際に官僚となった人数ではなく、試験を突破した人数です。そのため、試験で一定の得点を獲得できればどんな大学でも合格できることにはなっていますが、実際は高偏差値の大学で専門分野を学ぶ必要があることが伺えます。
また公式には認められていませんが、各省庁には「学閥」があり、優先されやすい大学が存在するようです。仮に同じ点数の試験合格者2名のうちどちらかを採用したい場合には、省庁内に同窓の人間が多い大学出身者が有利となる傾向があるといわれています。
有利なのは東京大学法学部
各省庁の採用予定人数について、人事院が発表した「平成30年度府省等別採用予定数」によると、多くの省庁で法文系(政治・国際、法律、経済、人間科学)の大卒程度合格者の採用予定が最も多いことがわかります。
特に国土交通省、農林水産省事務系、厚生労働省事務系、財務省、外務省、総務省、警察庁事務系では、20名以上の採用が予定されている中で、その多くを法文系から採用する予定となっています。
また衆議院法制局は、少人数とはいえ、法律を学んだ学生を指定して採用するため、全体的に法学部出身者の選択肢が最も多いことがわかります。前述の学閥の影響も加味すると、入学すること事態が困難ですが、東京大学法学部が最も官僚への道に近いといえるでしょう。
専門学校で試験対策
国家公務員採用総合職試験に合格するためには、大学で専門的な知識を身につけると同時に、専門学校で試験に特化した勉強をする必要があるでしょう。
多くの公務員試験対策のコースがある専門学校は、中央省庁の国家公務員を対象にした特別コースを用意しています。一次試験、二次試験それぞれに必要な対策を取ることができるでしょう。
官僚になるには?まとめ
官僚になるためには国家公務員採用総合職試験に合格する必要があります。合格後には希望の省庁へ訪問し、最終的には省庁側から採用されることで、初めて官僚となることが出来ます。
試験の受験資格には大学卒業または大学院修了が求められ、専攻によって入省できる省庁が限定されます。多くの省庁で最も多く採用される学部は法学部であり、また学閥の存在から東京大学の法学部が最も官僚になりやすい大学であるといえます。
官僚を目標とし入りたい省庁が決まっているなら、大学・専攻選びの時点で入省の可能性が決まるので、希望省庁に適した進路を選びましょう。
官僚の参考情報
平均年収 | 500万円~1000万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 公務員 |
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