国税専門官の給与・年収は?初任給や支給されるボーナスはどれくらい?
税金の徴収を主な仕事とする国税専門官の仕事。国税局や税務署で活躍している国税専門官は一体どれくらいの給与や年収を得ているのでしょうか?今回はこの記事で、国税専門官の初任給、平均給与や年収、給与アップの可能性についてご紹介します。
国税専門官の初任給
国税専門官の初任給は約20万円
国税専門官の給与は税務職俸給表が基になり算出されます。大学新卒採用の国税専門官の場合は税務職俸給表1級22号にあたり、19万9,800円です。平成28年の東京都特別区勤務の場合を例にすると、国家公務員である国税専門官の初任給は、24万5,160円です。
ボーナスは4.2カ月分出され、基本給以外にも住宅手当、通勤手当、扶養手当などが支給されます。税務職俸給表が基礎となり初任給などの給与が決定しますが、地域ごとに物価などが異なるため、働いている地域によって支給割合が異なります。当然首都圏や政令指定都市のような物価の高い地域のほうが支給割合は高くなります。
よって国税専門官の初任給は税務職俸給表に値する金額、地域ごとの手当、交通費などの個人の理由による手当が合計額です。国税専門官になるには特別な学歴を必要としません。大卒、短大卒、高卒全ての人において「国税専門官採用試験」を受ける資格があります。
ただしこの試験の受験資格は21歳以上と定められていることや、試験内容の難しさもあることから合格者は大卒がほとんどを占めているのが現状です。よって、国税専門官の初任給は一般の民間企業の大学新卒者の初任給と比べ、さほど変わらないと考えてよいでしょう。
国税専門官の平均給与の統計
国税専門官の平均給与は49万1,380円
人事院が発表した平成29年国家公務員給与等実態調査によると、国税専門官(行政職の国家公務員の値を参考)の平均給与は月額46万4,552円で、平均年齢は43.6歳です。給与の中には手当なども含まれていますが、2018年人事院勧告の資料から推測する金額で、中でも一番多いのが超過勤務手当の51,094円、次に地域手当の45,006円、最後に扶養手当の10,423円です。
なお各種手当を含まない国税専門官(行政職の国家公務員の値を参考)の給与月額の平均は、33万531円で、平均年齢は43.6歳となっており、給与に含まれる手当の割合が多いことがわかります。
国税専門官の給与は年齢とともに順調に上昇
国税専門官の給与は税務職俸給表による値が適用され、その給与額は年齢とともに上昇します。20代では22~35万円、30代では35~45万円、40代では45万から55万円ぐらいとされており、これらの平均値には手当等も含まれています。また、40代以降も月額給与は上がり続け、50代の後半ではおよそ60万円が支給されています。
税務職俸給表には級と号俸がある
国政専門官の給与の基となる税務職俸給表を見る上で、「級」と「号俸」を理解しておいたほうがよいでしょう。
「級」は仕事の専門性や職務内容を表し、役職が上に行けばいくほど級の数字が大きくなります。「号俸」は同じ級の中でも功績や勤続年数を表します。これらの級と号俸は細かく設定されており、たとえ勤続年数が同じであったとしても昇進や仕事内容によって各人の給与は異なります。
国税専門官の年収統計
国税専門官の平均年収は約770万円
人事院が発表した平成29年国家公務員給与等実態調査によると、国税専門官(行政職の国家公務員の値を参考)の平均年収は771万7,113円で、平均年齢は43.6歳です。
年齢が上がるにつれ順調に給与がアップしていくので、年収も年齢が上がるにつれて高くなります。年齢別の平均年収は、20代で約400~500万、30代で約550~650万、40代で約800万前後、50代で約830~900万円弱、60代で約550~600万円です。
高卒の平均年収は大卒よりも低い
21歳以上の受験資格や試験難易度が理由となりその多くが大卒者の占める国税専門官ですが、学歴に縛りはないため高卒の国税専門官も存在します。ただし高卒の場合は大卒よりも初任給が16~18万円と低く設定されていることから、平均年収も低い傾向にあります。学歴による国税専門官の仕事内容に変わりはありません。
また高卒で就職した場合は大卒よりも早く経験を積むので現場経験が多くなります。しかし国家公務員の「税務職俸給表」に従って給与が与えられるため学歴による差が生まれ、年収も大卒者より低くなります。昨今では国税専門官の大部分は大卒者が占めていますが、一昔前は税務職員の仕事は高卒を率先して採用していたので年齢が高くなるにつれて高卒者の割合が高い傾向にあります。
年代別による給与の伸び率
学校を卒業してあまり年数が経過していない20代の平均年収は400~500万円です。国税専門官の経験年数がそれほどなく、どんどん仕事を覚えていく時期に値することから、それほど重要な仕事を任されることはありません。各人の仕事内容によって年収の多少の個人差はありますが、大きく差が出てくることはないと考えられるでしょう。
30代に入ると平均年収は20代より100~150万円前後上がり、この時期には少しずつ責任のある仕事を任せられるようになります。仕事内容が複雑化することが職務給に反映され平均給与が高くなります。また結婚などによるライフスタイルの変化も多い年代となり、扶養手当などを受ける人の割合が多くなることも年収がアップする要因の一つです。
40代に突入すると、平均年収は800万円前後まで上がります。国税専門官として働いてきた年数も長くなるこの時期は、人によっては役職が与えられる場合も多く見られます。当然役職がつくことによる職務給が給与に反映されることから、必然的にボーナスもあがり、結果的に年収もぐっと上がるのが特徴です。
役職がついた場合の平均年収は、一般的な民間企業に勤める同年代の平均給与とくらべて高い傾向にあります。50代の平均年収は高くても900万円台と40代からそれほど伸びしろはありません。50代のこの時期には新たに昇進することも少なくなり、年齢や仕事内容のピークを超えることから、収入の増加は落ち着く傾向にあります。
60代に突入すると、今まで上昇していた平均年収は下がります。50代から退職する人も増え、年齢的に役職を解かれることも多くなるため、収入が少なくなるのが現状です。ほんの一部の上位の役職に就いている人に関しては、50代よりもさらに上昇し、年収が1,000万円を超えることもあります。
役職の内訳
国税調査官の年収アップにおいて役職の有無は重要な位置を占めます。役職が上に行けば行くほど給与が上がり、当然年収にも大きな影響を与えます。国税専門官の役職は主に6つに分けられます。学校を卒業し、試験に合格して研修が終了してすぐは「財務事務次官」となります。
その後約4年で初めて「国税調査官」となり、11~15年経過すると「上席国税調査官」になります。この肩書は係長級であり、問題なく仕事をしている限りはほぼ全員が昇格できるとされています。次のステップは30代後半から40代にかけて昇進する「統括上席国税調査官」ですが、このポストは税務署課長補佐級ポストとなり昇進できない人も出てくるため、このポストにつくかどうかが今後の年収に大きな影響を与えることとなります。
さらに次の肩書に昇格できる場合は、課長級、副署長級のポストとされる「統括国税調査官」、さらに少し上の「特別国税調査官」で、およそ40代前半でなることが多いとされています。この2つの肩書を持った人の一部が総務課長へ昇進し、さらに副署長、署長への道が開けるわけですが、税務署長になるためには100人に1人の難関を突破しなければなりません。
ボーナス
国家公務員に準ずる国税調査官は、1年間に2回期末・勤勉手当としてボーナスが支給されます。2017年現在でのボーナスは俸給月額等の4.2カ月分です。民間企業のように業績が悪い場合はボーナスが出ない、ということはありません。期末手当と勤勉手当は細かい計算を経て算出されています。
国家公務員のボーナスは人事院が民間企業との均衡を図りながら決定しているものです。そのため国税専門官のみならず国家公務員のボーナスは、不況の状態が続けば引き下げられたり、逆に景気が良い状態が続けば上げられたりするなど調整がされています。よって国税調査官のボーナスは一定額を保証されているものではなく、世間の景気にも少なからず影響されているのが現状です
退職金
国家公務員の退職手当は、国家公務員退職手当法が基礎となり支給されます。内閣官房の「退職手当の支給状況」によると、税務署職員の国税専門官の定年退職金額の平均は2271万9,000円です。
国税専門官の給料・年収まとめ
平均年収は一般企業よりも高めと判断できる
国税専門官の給与は税務職俸給表を基礎としていますが、勤務年数によって全員が一律という訳ではなく住んでいる地域や仕事内容、功績によって個人差があります。
また、40代以降の役職がつく年代になると、その個人差はさらに広がります。国税専門官として給与アップを狙うなら、確率の低いトップの肩書を手に入れることが重要です。
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国税専門官の参考情報
平均年収 | 400万円~900万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 公務員 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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