国税専門官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
国家公務員である国税専門官。普段あまり接することはなく、堅いイメージのある職業ですが、実は私たちの生活に密着している税金を集めることが仕事です。今回はこの記事で、国税専門家の組織、仕事内容、やりがいや魅力などについてご紹介します。
国税専門官とはどんな仕事?
適正な税金を徴収し国の財源を支える
国税専門官の主な仕事は企業や個人などから適切な税金を徴収することです。
納められた税金は国の財源となり、健全な国家を運営していくうえでの重要な要素となります。税金の徴収だけでなく正しく税金が納められているかどうかのチェック、税金滞納者への督促、不正を行っている人への強制調査などその仕事は広範囲にわたります。
活躍の場は国税庁が管轄する国税局や税務署。北海道から九州まで11か所ある国税局と沖縄国税事務所、または各地域の国税局の下にある税務署に配属され業務にあたります。国税専門官は税金の知識以外にも、法律、会計など金融に関する専門知識を有しつつ、税金に関するプロとして時代の変化に対応しながら国家の財力を支える仕事をしています。
扱うのは直接中央税と間接中央税
税金にも多くの種類がありますが、国税専門官が扱うのは直接中央税と間接中央税です。直接中央税には、法人税、相続税、所得税、地価税、贈与税、などがあります。これらの直接中央税のほとんどは国税局と税務署(国税庁)へ納められます。
一方間接中央税は、消費税、印紙税、たばこ税、関税、登録免許税、自動車重量税、石油税、などが含まれます。両者の違いは直接税は税金を納める人と負担する人が同じであることに対し、間接税は税金を納める人と負担する人が異なることにあります。
税務署では5部門に分かれる
国税専門官の仕事は記述の通り国税庁や税務署に所属しますが、税金の徴収先である納税者と対面するのは基本的に税務署に所属する国税専門官です。税務署では納税者の種類によって3部門に分かれ税務調査などを行っています。
法人課税部門
法人課税部門は法人である企業や団体を相手とする部門です。適切な会計処理がなされているか、不払いや払い過ぎはないかどうかを調べることが仕事であり、脱税を追及する部門ではありません。
法人へ出向いて帳簿を見せてもらい、間違いがないかどうかを調べることを主な仕事としています。法人の規模は様々ですが、大きな企業であれば扱う金額も多く個人とは税法上の処理が異なることが特徴です。扱う税金は法人税や所得税です。
個人課税部門
個人課税部門では、自営業、フリーランス、個人商店、投資家などを対象に調査を行います。法人課税部門と同様に強制力はなく、税金の調査を行うことが主な仕事です。この部門で扱うのは消費税や所得税です。
資産課税部門
資産課税部門では、贈与税や相続税の調査を行います。調査以外にも申告する際の指導をしたり相談に乗ったりすることもあります。
徴収部門
徴収部門はその名の通り、期限内に納められていない税金を徴収する部門です。まずは納期の遅れている納税者に対して納税の指導や相談を行います。その後も納税されない場合は、財産の差し押さえなどの手続きを行います。
管理運営部門
管理運営部門の主な仕事は内部事務です。税務署には税金の申告や相談のために多くの人がきます。それらの人に対して納税証明書の発行、各種申告の受付などの窓口での対応に加え、確定申告書の入力や国税の債務管理などを行います。
国税専門官の仕事の具体的な内容
仕事内容は3部門に分かれる
国税専門官を深く掘り下げていくと、仕事の内容によって3つの種類に分けられます。それぞれに役割が決められており、いずれも適正な税金を国へ治めるための重要な役割を果たします。
国税調査官
国税調査官は企業や個人の税金の申告や納税がきちんとされているかどうかを調べることが主な仕事です。申告や相談に来た人に対して申告書類が帳簿と合致しているか、正しい申告の仕方をしているかなどの相談や指導をしつつチェックします。窓口対応のみならず、かかってきた電話での対応も国税調査官が行います。
また納税者のもとへ出向いて相談や指導にあたることもあり、デスクワーク以外の仕事が多いことも特徴です。出向く場所は管轄内の該当する地域であることから、時には出張することもあります。納税者が事業主の場合は、あらかじめその仕事内容や経営状態、取り扱う金額の規模などを把握しておくことが重要です。
国税調査官の繁忙期は確定申告が多く行われる2~3月中旬です。この時期には1年で最も多くの人が相談や申告に訪れるため、国税調査官の仕事は多忙を極めます。
国税徴収官
国税徴収官は、期限内に納められていない税金を徴収することが主な仕事です。滞納されている税金には、めどが立たずやむを得ない理由で納税できない場合や意図的に納税しない場合があります。
経済的な理由により納税が遅れている場合には、無理のない支払い方法を指導することもあります。納税を催促する時は、あらかじめ滞納者の家族構成、資産状況、就業状況などについて調べ、個々の状況に応じながら法律に従って納税を促します。
国税徴収官の中には「特別国税徴収官」が存在します。特別国税徴収官は国税徴収官だけでは税金の徴収が難しい悪質な滞納者への対応を仕事としており、国税局局長から辞令を与えられる特別な存在です。人口の多い首都圏や大都市(政令指定都市)などに多く存在し、税金の徴収が困難な滞納者に対しては最終的に差し押さえなどの措置で対応することもあります。
国税査察官
税金の滞納者に対して徴収を行う国税調査官に対し、国税査察官は脱税に関する捜査、強制調査、最終段階では裁判所への告発が主な仕事です。よく聞く「マルサ」と呼ばれているのは、国税専門官の国税査察官を表す言葉です。税金の滞納額は年々増えていますが、特に意図的で悪徳な脱税は個人や法人を問いません。
また法人の場合は組織ぐるみのことも多く困難を極める場合も多くみられます。国税査察官は大きく、情報担当と調査担当の2つに分かれています。情報担当の仕事は脱税が行われている情報を収集し、脱税者の内定調査、張り込みなどで脱税の証拠を集めます。集めた証拠で脱税がほぼ確信的と判断したら、裁判所に強制調査の許可書を請求します。
調査担当は情報担当者が請求した許可書で強制捜査を行います。テレビなどで見られる脱税を疑われた企業から大量の段ボールを運び出す国税専門官はこの部類に属します。脱税の証拠が発見されたら、検察官に告発をし、脱税者に対して刑事罰を求めます。
国税専門官の仕事のやりがい
国の財力を支える社会的責任がある
国庫に集められた税金は直接国の財力となります。国を健全に運営していくために財力は絶対的に必要なものであり、社会保障や公共事業などで使われる税金は国民の安全で快適な生活のためには欠かせないものです。そのため国税専門官の行う適切な税金の徴収は社会的責任が大きく、納税者と国を結ぶ大事な役目といえるでしょう。
税理士への転職にメリットがある
国税専門官の転職先で一番多いのは税理士への転向です。税理士になるためには難易度の高い試験を突破しなければなりませんが、国税専門官として働いていた場合はその経験年数によって試験の科目免除を受けることができます。これを「国税従事者の免除制度」と言います。
国税専門官として10年以上働いている場合は税法3科目、23年以上働いている場合は会計学、税法の全試験科目が免除となります。国税専門官として働いていた時の知識や経験を有効的に活用し、税理士として独立する人も多く見られます。また、国税専門官を定年退職まで勤め上げてから、国税局OBとしての看板や生かして独立する場合もあります。
現在では顧客の斡旋はないため自ら顧客の開拓が必要ですが、退職金を開業資金に回すことができることが定年退職後に独立するメリットとされています。
人との出会いで見識が広まり成長へとつながる
納税者と接する機会の多い国税専門官の仕事ですが、仕事で出会う人は個人から大企業の経営者まで実に様々です。幅広い年代の人、普段では会うことができないような人の話を聞くことにより、仕事をすればするほど見識が広がり、同時に様々な経験を積むことができます。
国税専門官の仕事内容まとめ
仕事を通じ成長しながら国へ貢献できる仕事
国税専門官の仕事は納められるべき税金を徴収して国の財源へとつなげることです。
悪質な滞納者に対しては強制捜査などを行う厳しい側面もありますが、納税者の相談を受けたり、疑問を解決したりと寄り添いながら指導を行うソフトな面も持ち合わせています。
国税専門官にとって国民が健全で快適な生活を送るための重要な財源を支えることが何よりのやりがいと言えるでしょう。
国税専門官の参考情報
平均年収 | 400万円~900万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 公務員 |
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