IR(投資家向け広報)の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入統計
企業のエリートコースとされるIR(Investor Relations)。ある程度の実務経験を積んでからIRにキャリアアップする人も多いようです。最近はIRに注目する企業も増え、求人も多く出ているようですが、実際の給与・年収は一体どのくらいなのでしょうか。本記事では、IRの初任給、平均的な給与、平均的な年収など、収入面についてご紹介します。
IRの初任給
新卒ではなれない職種
IR(Investor Relations、インベスター・リレーションズ)は、株主や投資家に対して企業の経営状況などを説明する仕事です。
財務、企画、広報といった幅広い分野での経験や知識が求められるため、企業内でこれらの部署をある程度経験してから異動や転職でIRになるのが一般的です。
新卒ではIRになれないという決まりなどは特にありませんが、実際の仕事内容を考えると、新卒でIRになるということは現実的ではありませんし、企業内で社会経験のない人がIRとして抜擢されることはまずないでしょう。したがって、IRは初任給という概念がなじまない職種です。
ただ、IRは上に挙げたような様々な経験をもとに仕事をするので、IRになったときの収入としては、それまでより昇給するのが通例です。
異業種からの転職は大きなチャンス
最近はIRを重視する企業が増えてきたこともあり、IRの求人は比較的多くあり、これまでの職歴、実務経験を活かしたい人にとってはチャンスが広がっていると言えます。
IRは即戦力として期待され、企業のIR業務を一手に任されることもあります。専門性や責任が問われる一方で、給与・年収についてもそれに応じた高額な求人が多いようです。
ただ、福利厚生なども含めてトータルで考えると、待遇が悪くなることもあり得ますので、転職の際はしっかりと精査してください。
IRの平均給与
一般的な会社員より高い水準
上場企業に就職し、財務、企画、広報などの部署で数年以上の実務経験を積んだ後にIRになった場合、平均的な給与は27~54万円前後と言われています。
給与は企業によっても異なりますし、実務経験がもっと長い場合は、その分の経験も考慮されてより高い金額となります。なお、上場していない中小企業の場合は、上記より低い金額となることも考えられます。
平均給与の統計
IRの給与についての統計はありませんが、金額の目安を知るために、国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成29年分調査結果)により、年齢別、企業規模別(株式会社の資本金階級別)の平均給与を見てみましょう。
統計によると、50代までは、年齢が上がるにつれ平均給与も増加しています。年齢層で見ると、平均給与がもっとも高いのは50~54歳で45.3万円です。
この50~54歳の平均給与について企業規模別に見ると、資本金2,000万円未満の企業で36.0万円、2,000万円以上で37.7万円などとなっているのに対し、1億円以上の企業では46.0万円、10億円以上では62.1万円と、企業規模が大きくなるにつれて平均給与も高くなる傾向にあります。
その他の年代でも概ね同様の傾向にあり、大企業の方が平均給与も高いという実態が読み取れます。
この統計は職種を問わない平均給与なので、実際のIRの平均給与は各年代ともこれよりも高い水準となることが期待できます。特に、IRを重視する上場企業に就職すれば、高い給与を得られるものと考えられます。
表 年齢別、企業規模別の平均給与(男女計) 単位:万円
区分 | 2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 5,000万円以上 | 1億円以上 | 10億円以上 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|
19歳以下 | 9.3 | 13.2 | 11.3 | 9.7 | 11.8 | 10.9 |
20~24歳 | 19.5 | 21.3 | 22.1 | 21.7 | 23.5 | 21.6 |
25~29歳 | 25.7 | 27.5 | 29.3 | 30.9 | 37.1 | 30.8 |
30~34歳 | 29.0 | 31.4 | 32.3 | 35.3 | 43.8 | 35.0 |
35~39歳 | 32.8 | 34.9 | 35.4 | 38.7 | 48.4 | 38.3 |
40~44歳 | 33.2 | 37.2 | 37.8 | 42.8 | 52.8 | 40.8 |
45~49歳 | 35.4 | 38.6 | 38.2 | 44.9 | 57.3 | 43.5 |
50~54歳 | 36.0 | 37.7 | 39.3 | 46.0 | 62.1 | 45.3 |
55~59歳 | 36.0 | 39.8 | 39.5 | 47.3 | 60.0 | 44.7 |
60~64歳 | 30.0 | 33.9 | 31.8 | 34.3 | 38.8 | 33.2 |
65~69歳 | 25.6 | 28.2 | 27.6 | 24.0 | 29.2 | 26.5 |
70歳以上 | 22.6 | 31.9 | 26.6 | 34.2 | 36.5 | 25.7 |
平均 | 30.9 | 34.4 | 34.3 | 38.6 | 49.2 | 37.5 |
(注)平均給与は年間平均給与を12で除して算定しています。
男性の平均給与はより高い傾向
次に、同じ統計で、男性の平均給与を見てみましょう。
統計によると、すべての年代、企業規模で、男女計よりも金額が高くなっています。つまり、全体として男性の方が女性より平均給与が高い傾向にあることがわかります。
年代別に見ると、いずれの企業規模でも40代後半から50代までの平均給与が高く、特に資本金10億円以上の企業では、55~59歳で75.9万円、50~59歳で75.6万円と他の企業規模・年代よりも高い金額になっています。
表 年齢別、企業規模別の平均給与(男性) 単位:万円
区分 | 2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 5,000万円以上 | 1億円以上 | 10億円以上 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|
19歳以下 | 10.6 | 15.4 | 12.5 | 12.1 | 14.5 | 13.1 |
20~24歳 | 21.2 | 23.2 | 23.9 | 23.8 | 25.8 | 23.7 |
25~29歳 | 28.1 | 29.9 | 32.0 | 33.5 | 39.9 | 33.5 |
30~34歳 | 33.2 | 34.4 | 36.0 | 39.6 | 49.0 | 39.3 |
35~39歳 | 38.1 | 39.0 | 40.5 | 44.4 | 56.3 | 44.2 |
40~44歳 | 39.7 | 43.1 | 44.6 | 50.5 | 62.4 | 48.5 |
45~49歳 | 43.1 | 47.0 | 48.1 | 55.3 | 69.9 | 53.8 |
50~54歳 | 45.5 | 45.9 | 49.6 | 58.6 | 75.6 | 57.1 |
55~59歳 | 44.1 | 48.2 | 49.4 | 59.9 | 75.9 | 56.3 |
60~64歳 | 36.9 | 41.1 | 39.8 | 44.3 | 49.4 | 41.6 |
65~69歳 | 31.0 | 34.0 | 33.5 | 31.6 | 41.7 | 32.9 |
70歳以上 | 26.0 | 36.8 | 32.7 | 44.5 | 53.7 | 30.8 |
平均 | 37.1 | 40.4 | 41.1 | 46.8 | 59.1 | 45.2 |
(注)平均給与は年間平均給与を12で除して算定しています。
IRの平均年収
年収は実務経験に応じて高くなる傾向
上場企業で数年の実務経験を経てIRになった場合の年収は、企業によって異なりますが、400~800万円前後がボリュームゾーンとなっています。実務経験がもっと長い人や優秀な人であれば、年収1,000万円以上となります。
IRは実務経験や様々な知識がないとできない職種なので、移動や転職にあたっては、それまでより多い年収を見込めるでしょう。
IRエグゼクティブなら更なる高給に
IRエグゼクティブ(上級管理職・経営幹部クラス)の場合、さらに高い年収を見込むことができます。
一定以上のキャリアを積んできた人向けに出ているIRエグゼクティブの求人を見ると、800万円から1,200万円前後の年収が提示されていることが多く、ほとんどが一般的な求人よりも高水準となっています。
IRエグゼクティブは、学歴や資格などがなくてもなることができる職種ですが、実際に仕事をこなすためには幅広い実務経験や知識、ビジネスレベルの英語力など、さまざまなスキルが求められます。また、IRエグゼクティブは部署内のリーダーとなるので、プロジェクトリーダーなどの職歴が採用の条件となる企業も多くあります。
さらに、企業によっては、ダイバーシティ・マネジメント(性別、年齢、国籍、人種、職歴・学歴など多様な人材を活用する企業の取組)やCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)といった企業の方針への理解と専門知識がある人をIRエグゼクティブとして登用します。
このようなスキルや実務経験がある人であれば、IRエグゼクティブとしての働き口は多く、高年収を見込むことができます。
IRは高給に見合う重要な仕事
企業にとって、IRはとても重要なポジションです。特に上場企業にとっては、IRは株価を左右するほどの影響力を持っていますので、優秀なIRを登用しようとするのも当然のことです。
中にはIR専門のコンサルティング企業もあります。このような企業でも、年収は800~1,100万円前後の高水準と言われています。このようなコンサルティング企業には上場企業から転職して働いている人も多くいます。
IRは実務経験や業界に対する深い知識が求められるので、その評価が給与・年収にも反映されていると言えます。
平均年収の統計
平均給与と同様、IRの年収についての統計はありませんが、金額の目安を知るために、国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成29年分調査結果)により企業規模別、男女別の平均年収を見てみましょう。
統計は、「役員」「正規」「非正規」に分けて公表されているので、ここでは一般社員より高給な傾向にあるIRの年収を知るため、「役員」の年収について見ていきます。
統計によると、全体の平均年収は715.2万円ですが、男性は827.3万円、女性は416.7万円と性別により大きな開きがあります。企業規模別に見ても同様で、いずれの企業規模でも男性の方が女性より高い金額となっています。
全体に企業規模が大きくなるほうが年収も上がる傾向にあります。男性では、資本金2,000万円未満の企業で649.2万円であるのに対し、1億円以上で1,555.9万円、10億円以上で1,801.8万円となっています。
表 企業規模別、男女別の平均年収 単位:万円
性別 | 2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 5,000万円以上 | 1億円以上 | 10億円以上 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 649.2 | 1001.0 | 1157.6 | 1555.9 | 1801.8 | 827.3 |
女性 | 388.7 | 514.5 | 596.4 | 687.6 | 650.7 | 416.7 |
計 | 567.8 | 896.5 | 1076.4 | 1463.8 | 1712.3 | 715.2 |
IRの給料・年収まとめ
IRの給与・年収は高め
IRの平均給与や平均年収は、他の職種と比較して高めです。特に、上場企業ではIR次第で株価に影響が出るほど重要な仕事であるため、IRの給与・年収は企業内でも高く、上級職と位置づけられます。業務の重要性や専門性の高さ、責任の重さに相応しい、高水準の収入を期待することができます。
最近はIRを重視する企業も増えていて、求人も比較的多く出ていますので、興味のある方はぜひチャレンジしてください。
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IR(投資家向け広報)の参考情報
平均年収 | 400万円~800万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | オフィス |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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