カスタマーサポートの資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説
カスタマーサポートは、顧客から企業にかかってくる電話に対応したり、顧客に向けて企業の情報を提供したりする企業の顔としての役割を担います。カスタマーサポートに必要な接客や電話によるコミュニケーションなど、高いスキルを持っていることを証明する資格やその試験についてお伝えします。
カスタマーサポートの資格とは?
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせやクレームに対応する仕事を行います。
その仕事をする上で必要なのは、顧客の不安や疑問を解決するための自社の商品やサービスに関する知識と、電話で適切に対応できる接客やコミュニケーションのスキルです。そのようなカスタマーサポートの仕事をするためには必ずしも資格が必要というわけではありません。
しかしコールセンターやオペレーターなどに求められる「顧客対応力」を高めるために設けられた検定があります。それは、一般社団法人日本コンタクトセンター教育検定協会が主催する「コン検」です。
コン検(コンタクトセンター検定試験)
「コン検」とは、一般社団法人日本コンタクトセンター教育検定協会が主催する検定で「顧客対応力」を高めるために設けられたものです。
この資格には、エントリー資格(EN)、オペレーター資格(OP)、スーパーバイザー資格(SV)、オペレーションマネジメント資格(OMP)、コンタクトセンターアーキテクスチャ資格(CAP)の5段階があります。
このうちEN・OP・SVはオペレーションレベルとして、OMP・CAPはプロフェッショナルレベルとして設定されています。
エントリー資格(EN)
エントリー資格(EN)は、電話などを中心とした非対面のコミュニケーションに必要な知識やスキル、ビジネスマナーを習得していることを認定するレベルです。
ENの受検対象は、カスタマーサポートとしてのキャリアをスタートしたばかりの社会人やオペレーター、顧客対応を担う業務への従事を目指している未就業者や学生を対象としており、業務経験がほとんどない人向けに設定されています。
オペレーター資格(OP)
オペレーター資格(OP)は、専門性の高い顧客対応業務や、新人の指導を担当できる人材として必要な知識やスキルを習得していることを認定するレベルです。
OPの受検対象は主に顧客対応の担当者で、専門性の高い顧客対応業務やOJT(新人の教育訓練)と担当するオペレーターで、1年~3年程度の業務経験がある人向けに設定されています。
スーパーバイザー資格(SV)
スーパーバイザー資格(SV)は、管理者として必要なマネジメントにおける知識やスキルを習得していることを認定するレベルです。
SVの受検対象は主にオペレーターの管理者で、実際にSV業務を行っている人やSVにキャリアアップを目指すオペレーターで3年以上の業務経験がある人向けに設定しています。
オペレーションマネジメント資格(OMP)
オペレーションマネジメント資格(OMP)は、顧客対応部門の運営とパフォーマンス管理に必要な知識やスキルを習得していることを認定するレベルです。
OMPの受検対象は、コンタクトセンター業務の責任者や管理者の業務を担う人です。主にコンタクトセンター長やオペレーション部門のマネジャーなどの役職に従事している人で、5年以上の業務経験者向けに設定しています。
コンタクトセンターアーキテクスチャ資格(CAP)
コンタクトセンターアーキテクスチャ資格(CAP)は、コンタクトセンターの新規構築や新システム導入時における業務設計に必要な知識やスキルを習得していることを認定するレベルです。
CAPの受検対象は、主にコールセンターの構築担当者です。センター構築部門の業務を担当している人やITベンダーなどの営業担当者で、5年以上の業務経験者向けに設定しています。
カスタマーサポートの資格の難易度・合格率
コン検の試験概要及び合格基準
コン検の試験の概要や形態は、オペレーション資格とプロフェッショナル資格で異なります。
オペレーション資格はコンピュータで試験を実施するCBT方式によって試験が行われます。受検者は、コンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。出題形式は選択式です。
プロフェッショナル資格の出題形式は記述式となっており、事例を中心とした問題で、各専門分野からの実践的な内容が出題されます。この試験はカスタマーサポートの仕事についての知識量を求めるのではなく、実際に仕事をする上で必要な幅広い分野に関するスキルがあるかどうかが評価されます。
どのような分野のスキルが求められるかというと、例えばエントリー資格の場合は「コンタクトセンターについての基礎知識」「マナーと心構え」「お客様対応に必要なスキル」「お客様対応に必要な基礎知識」「お客様対応を支えるシステムとマネジメント」などの各分野から出題されます。
試験の合否判定基準は正答数の単純合計点ではなく、問題の難易度に応じて配点される項目応答理論を用いた能力値を算出し、能力値を評価得点(スコア200から800の値をとる)のスコア500以上を合格として判定されます。
コン検の合格率
各資格レベルごとの合格率は、次の通りです。
EN | OP | SV | プロフェッショナル | |
---|---|---|---|---|
実施年 | 2013~2018年 | 2010~2018年 | 2010~2018年 | 2011~2018年 |
合格率(%) | 79~84% | 69~89% | 66~89% | 36~56% |
このプロフェッショナル資格を取得するためには、検定試験に合格するだけでなく所定の認定要件を満たした上で申請する必要があります。この「コン検」はより実務的な経験やスキルが求められる検定試験であるといえるでしょう。
その他のカスタマーサポートに関連する資格
コミュニケーション能力に関する検定
カスタマーサポートは、主に顧客との電話による非対面のコミュニケーションを行う仕事です。この仕事をスムーズに行うためには、基本的なコミュニケーションスキルを習得する必要があります。
コミュニケーション能力の習得を目指すための資格としてコミュニケーション能力認定協会が主催する「コミュニケーション能力認定講座」があります。この資格には2級と準1級・1級・トレーナーレベルがあり、認定講座を受講すれば資格が取得できます。
接客スキルに関する検定
カスタマーサポートは電話による顧客対応が主な仕事ですが、お客様を対象としている仕事なので接客の仕事であることに変わりはありません。接客スキルの習得を目指すための検定には、NPO法人日本サービスマナー協会が主催する「接客サービスマナー検定」と公益財団法人実務技能検定協会が主催する「サービス接遇検定」などがあります。
接客サービスマナー検定は、接客サービスを行う業界で必要とされる接客サービスの基本から、ビジネスマナーやクレームへの対応のしかたなど、様々な知識や技能・接客サービスの能力を判定する試験です。
出題内容は、季節行事の知識や手紙文の書き方、敬語の使い方、簡単な英会話など、多岐にわたっています。試験の形式は、2・3級が筆記試験、準1級と1級が筆記試験と実技及び面接試験となっています。
これに対して、サービス接遇検定はサービスマインドの育成を目指すもので、サービス業務に対する心構えや対人心理の理解、接客時の応対の技術、言葉遣い、態度、振る舞いなどが審査されます。
2・3級は筆記試験のみで、提示された事例の場面でどのように対応するのが適切かを選択する形式です。1級は事例に対する対応を文章で記述する形式です。1級は面接も行われます。
カスタマーサポートの資格が取れる学校・講座
コン検の受検対策講座
カスタマーサポートの仕事に必要なスキルの習得を目指すことができる代表的な資格は一般社団法人日本コンタクトセンター教育検定協会が主催する「コン検」ですが、この検定の受験対策講座が同協会および、各企業の主催によって受講できます。
この講座は同協会が主催して行うこともありますが、企業単位で同協会に講座の開講を依頼することも可能なので、コン検の会場になっているビジネススクールやカスタマーサポート業務をアウトソーシングで担っている企業などが受講者を募って開講することもあります。
しかしこの講座が開かれる会場や頻度はかなり限られているので、受講が難しい場合も多いと思われますが、協会から受検対策用のテキストを購入して勉強することもできます。
カスタマーサポートを目指せる学校
カスタマーサポートの仕事をするためには必ずしも専門の資格が必要というわけではないので、この職種に特化した学びができる学校も特にありません。仕事に必要な知識やスキルは就職後に身に付けるものなので、特に高い学歴が必要というわけではありません。
もしも大学や短期大学、専門学校でカスタマーサポートの仕事に関連する学びをしたいと思うのなら、コミュニケーション学や情報学、通信工学、ビジネス系の学部や学科で学ぶと良いでしょう。
カスタマーサポートの資格・試験まとめ
知識だけでなく実践力が大切
カスタマーサポートの仕事をするために必要なのは、顧客の話をじっくり聴いたり、問題の解決策を分かりやすくアドバイスしたりするといった適切なコミュニケーション能力です。
「コン検」などのカスタマーサポート向けの資格は取得を目的とするのではなく、その学びを通して実践的なスキルを身に付けることを狙いとしており、本当に必要な能力は実務によって磨かれていくといえるでしょう。
カスタマーサポートの参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 販売・サービス |
カスタマーサポートの関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします