美術スタッフになるには?必要スキルや向いている人の特徴などを具体的に解説
私たちが何気に見ているテレビや映画に出てくるセットや小物は、全て美術スタッフが作り出したものです。美術スタッフになるには、一体どのようなことを求められるのでしょうか?このページでは、美術スタッフに求められる能力や向いている人の特徴などについてご紹介します。
美術スタッフになるには何が必要?
美術的センスとモノを作り出す技術力
美術スタッフは舞台・映画・テレビなどに必要な大道具・小道具など出演者の周りに設置されている全ての装飾品を作り上げることが仕事です。
そのため、作るものは作品に合わせてその都度変わるのは当然で、特に時代物の映画や舞台、ドラマなどの場合は時代考証も加味して違和感のないモノ作りをしなければなりません。
よって、美術スタッフは美術的センスとモノを作り出す技術力の2つが必要となり、経験や実力がダイレクトに仕事に反映される職業です。特殊な資格や免許は特に必要ではありませんが、培ってきた知識や技術は全て仕事の糧として活かすことができます。
大道具と小道具の違い
美術スタッフが作り出すものは大きく大道具と小道具の2つに分けられます。
大道具とはその名の通り、スタジオに配置される美術セットを指します。演出家の指示によってどのような美術セットを設置するのかという指示が出され、美術スタッフはその指示に従って製図を行い、美術セットを完成させなければなりません。
一方小道具は、セット内におけるインテリア用品や出演者の身につける持ち物を作り、一から手作りで制作することもあれば、市販されている既製品を使用する場合もあります。
大道具と小道具では作り出すものの大きさや種類が異なりますが、両者ともセンスと制作技術が必要です。
美術スタッフの種類
複数の美術スタッフで仕事をする場合、一番上に立つのは美術監督です。美術監督の下に大道具や小道具の係がいますが、他にも美術助手や装飾助手、デザイナーが存在することもあります。
美術監督は作品の総監督と直接やり取りをしながらアイディアを部下に伝えて指示する立場であり、美術スタッフとして働く人ならば最終的に目指す、美術スタッフの中でも最も上の地位とされる立場です。
美術系の専門学校や大学に通う
美術スタッフになるための知識や技術を身につけるためには、映像や美術系、デザイン系の専門学校や大学に進んで学ぶことが一般的とされています。
製図やデッサン、デザイン、CG技術など、モノを作り出すためには幅広い能力が求められます。学校で一通りの基礎的な知識や技術を学んだ上で、次のステップである就職に進むことが一般的であるようです。
テレビ局・美術・映像・映画制作会社に就職する
ニュースやドラマ、バラエティなどのテレビ番組や映画で活躍する美術スタッフになるには、直接テレビ局に就職したり、美術・映像・映画の制作会社に就職したりして、テレビや映画の仕事を請け負うことで、美術スタッフの道が開けることが多いようです。
また、在学中にアルバイトとして美術スタッフの仕事をしていた流れで、そのまま就職するパターンもあります。就職先にもよりますが最初はアルバイトやアシスタント、契約社員での雇用も多く、経験を積むにしたがって正社員として採用されることもあります。
また、小さな劇団や劇場では、所属する劇団員が俳優業と兼任して美術スタッフの仕事をするパターンも多く見られます。
直接弟子入りする道も
学校などに通い美術の知識や技術を身につける以外にも、直接弟子入りをして美術スタッフになる道もあります。狭き門ではありますが、弟子入りする先は有名な美術監督や舞台美術家などが多く、熱意をもって直接かけあえば美術スタッフの世界に踏み込むことができることもあるようです。
人脈を活かしてフリーランスになることも
長年美術スタッフとして働き、多くの知識や経験を得た場合には、独立してフリーランスとして働く方法もあります。
フリーランスとして活躍するのに一番大切なのは人脈です。自ら仕事を作るには、前もって人脈を広げておくことが重要となるでしょう。また、フリーランスになった後も勉強を怠らず新しい知識を増やし続け、多くの物事に触れて感性を磨く努力も必要です。
美術スタッフは圧倒的に男性が多い世界とされていますが、女性で結婚や出産を機に美術スタッフの職を辞めてしまった人でもフリーランスの道を選べば、自分のライフスタイルに合わせて仕事ができるとされています。
美術スタッフに向いている人、適性がある人
長時間労働に耐えられる体力がある
テレビや映画の撮影や舞台の現場では、美術スタッフの仕事が終わらないと他のスタッフの仕事が始まりません。
予定された期限までに大道具や小道具を完成させるために、美術スタッフは、時には夜を徹して仕事をすることも多くあります。また、撮影期間中や舞台の公演期間中においても十分な睡眠時間の確保が難しいことも珍しくありません。
大道具を担当するのであれば、大きなセットを運んだりすることも多いでしょう。このように、美術スタッフの仕事は締め切りの期限を守りつつ、スケジュールに合わせて仕事を行うため、作品ごとに定期的な休みや十分な休養が取れなくても耐えられる、体力のある人が向いている仕事といえるでしょう。
想像力・クリエイティブ能力に長けている
美術スタッフはクライアントや演出家の指示を受けて、作品で使われる大がかりな美術セットや小道具を用意することを求められます。指示される内容が大雑把な場合も多く、そのような場合は自分で台本を読み込み、想像力を働かせてモノ作りを行う必要があります。
また、細かな指示がでた場合は、言われた通りの作品を綿密に作り上げることが求められます。制作するときは、作品の時代考証や雰囲気を考えて素材を選んだり、デザインを考えたりするクリエイティブな能力や情報収集して分析する力が重要になります。
コミュニケーション能力がある
一つの作品を作り上げるには、多くのスタッフと力を合わせて仕事をする必要があります。
美術スタッフは美術監督を補佐しながらその他のスタッフとコミュニケーションを細かく取りつつ、仕事を進めていかなければなりません。周囲の人と上手くコミュニケーションをとることで、撮影や各パートの作業を円滑に進めることが可能となります。
モノ作りが好きであること
美術スタッフになる要素として一番重要なことが「純粋にモノ作りが好きである」ということでしょう。美術スタッフには機械だけでは成し遂げることができない、人の手を介して作られた作品を求められます。
モノ作りは、デザインから始まり、材料や原料を集めて制作するという過程全てが好きでなければ続けることのできない仕事です。美術スタッフは華やかな世界に身を置いて仕事ができる半面、途中で辞めてしまう人も多い職種です。
一方、体力などに自信があるフリーランスであれば、何歳になっても続けることが可能な仕事でもあります。好きなことを仕事として生涯携わっていくことができることは、これ以上ない喜びとなるでしょう。
美術スタッフになるための学校・教室
美術関係の学校
美術スタッフになるには、美術系のコースを置いている学校に通うことがオーソドックスな道とされています。
高校を卒業後、大学・短大・専門学校に進みデザインや製図などを学んでから就職する人が多いようです。ここでは、美術スタッフになるための専門学校を紹介します。
東放学園専門学校 テレビ美術科
東放学園専門学校は、TBSの教育事業本部が設立した番組制作スタッフを育てるための学校です。コースは放送芸術家・放送技術科・照明クリエイティブ科・テレビ美術科・放送音響科の5つ。
その中の「テレビ美術科」では美術デザイナー・美術プロデューサー・大道具や小道具などの美術スタッフを育成するためのコースで、2年間であらゆる知識を専門的に勉強することができます。
「美術番組現場実習」や作図ソフトでの製図作成、実際の美術セット制作の技術指導など充実した教育内容が魅力的です。
日本工学院蒲田校 放送芸術家 美術コース
日本工学院蒲田校・放送芸術科 美術コースでは、業界で活躍していた経験のある講師陣が指導を行い、美術スタッフに必要な知識や技術について学ぶことができます。
このコースは美術専攻と大道具専攻があり、それぞれ実際のセットを利用して背景や電飾、場面に合わせた装飾などを行います。また、就職面においても講師やOBの紹介が就職先の主な決定場所となっており、プロへの道が近いとされています。
美術スタッフになるには?まとめ
体力・美術センス・制作技術の3つが大切
美術スタッフになるには、美術的なセンスや大道具・小道具に使用するモノの制作技術が必要です。しかし、一番に大切なのは激務をこなすことができる体力や、それに伴う精神力でしょう。
モノ作りが好きで美術スタッフになりたいのであれば、まずは学校で美術系の専攻で学んで関連企業に就職するか、テレビ局などのアルバイト募集に応募して直接美術スタッフになるかが一般的な方法だといえるでしょう。
美術スタッフの参考情報
平均年収 | 300万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | テレビ・映画・映像 |
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