トラック運転手の給与や年収は?統計から見る実態は意外に給与が低い

トラック運転手の給与や年収は?統計から見る実態は意外に給与が低い

拘束時間は長いけれど高給取りのイメージが強いトラック運転手ですが、国が発表した統計からは意外な事実が浮かび上がってきます。給与統計から見るトラック運転手の収入実態と、働き方の選択肢などを紹介します。

トラック運転手の初任給

トラック運転手はあまり学歴に左右されない職業とはいわれていますが、初任給にはどの程度影響があるのでしょうか。

全体の平均に近い

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」における、平成30年の労働者全体の初任給平均と、トラック運転手を含む「運輸業、郵便業」の初任給平均の統計はそれぞれ以下の通りとなっています。

全体の初任給平均

学歴 初任給
大学院 233.4
大学 206.1
高専・短大 179.2
高卒 162.1

※単位:千円

運輸業、郵便業の初任給平均

学歴 初任給 全体平均に対する割合
大学院 231.8 99.3%
大学 198.6 96.4%
高専・短大 182.2 101.7%
高卒 168.5 103.9%

※単位:千円

全体の平均と比較しても、16万円~23万円と運輸業の初任給はほぼ差がないようです。データ上は学歴による収入差も全体平均と同程度ありますが、年齢が取得可能免許種に影響するため、対応できる仕事の範囲が収入に影響しているのかもしれません。

トラック運転手の平均給与の統計

トラック運転手はどの程度給与をもらい、年齢とともにどのように推移していくのでしょうか。

年齢別平均の推移

トラック運転手の年代別平均年収は以下の通りです。

年齢 きまって支給する現金給与額 所定内給与額
~19 206.0 179.1
20~24 255.1 208.9
25~29 277.7 228.0
30~34 303.0 244.1
35~39 325.9 265.3
40~44 339.9 279.6
45~49 349.8 286.9
50~54 341.8 282.7
55~59 328.4 273.3
60~64 274.6 233.9
65~69 252.8 217.9
70~ 229.9 209.5

※単位:千円
※厚生労働省「平成29年度 賃金構造基本統計調査」より

「きまって支給する現金給与額」は超過勤務分を含んだ給与額、「所定内給与額」とは含まない給与額を指しています。

他の職業と同じように、45~49をピークにして徐々に減衰していくようです。超過勤務分だけが減少していくわけではなく、所定内給与額も同じように減少していくため、年齢とともに体に負荷のかかる、負荷が高く報酬の良い仕事からは離れがちになるのでしょう。月収の平均としては、およそ25万円~35万円となっています。

大型・小型の運転手に差がある

大型の運転手と小型の運転手を比較すると、以下のような差があります。

運転する自動車の種別 所定内給与額
営業用大型貨物自動車運転者 280.5千円
営業用普通・小型貨物自動車運転者 257.1千円

大型トラック運転手は、通常の大型トラックのみでなく、コンテナを運ぶけん引やタンクローリーといった特殊な免許・資格を要求される運輸物にも対応できるため、給与が上がりやすい傾向にあるようです。

トラック運転手の年収統計

では年間を通じた年収はどのような推移をするのでしょうか。

トラック運転手の年収平均は425万円

年齢 総支給額 うち超過勤務分除く
平均 4,250.20 3,568.60
~19 2,522.50 2,199.70
20~24 3,255.00 2,700.60
25~29 3,583.30 2,986.90
30~34 3,965.40 3,258.60
35~39 4,295.10 3,567.90
40~44 4,503.00 3,779.40
45~49 4,614.60 3,859.80
50~54 4,515.50 3,806.30
55~59 4,348.80 3,687.60
60~64 3,498.20 3,009.80
65~69 3,147.50 2,728.70
70~ 2,842.20 2,597.40

※単位:千円
※厚生労働省「平成29年度 賃金構造基本統計調査」より

全体を見たときの総支給額の平均年収は約425万円です。超過勤務を除くと約357万円のため、68万円分ほどの超過勤務が発生しているようです。

年齢別に見ると、給与同様に45~49歳が最も高く、体力・気力とキャリアのバランスが獲れている年代であることが伺えます。

平均年収は全職業の平均を下回る

トラック運転手は高収入を得られる職業のイメージが強くあります。しかし実際はトラック業界全体が抱える問題として、賃金の水準が低いことが挙げられているのです。

国土交通省が発表した「トラック運送業の現状等について」では、厚生労働省の資料をもとに、他の産業との賃金格差を以下のようにまとめています。

職種 平均年収
全産業平均 490万円
大型トラック運転手 447万円
中小型トラック運転手 399万円

上記金額は超過勤務分の賃金を含んだ平均年収です。全産業の平均と比べ、大型トラックでも40万以上、中小型トラックでは90万円も下回る結果となっています。

賃金が上がらない理由

国の物流を支え、人々の生活に必要不可欠な職業であるはずのトラック運転手ですが、なぜ全産業に対して賃金が低いような状況になっているのでしょうか。

移動コストの増加と不安定さ

ガソリンの価格は上がり下がりはあるものの、全体的には緩やかに上昇しており、じわじわと運輸会社・配送会社の経営を圧迫しています。

総務省統計局が発表した「ガソリン1L当たりの小売価格(東京都区部)」の資料によれば、東京都内において1997年5月に1リットルあたり97円でしたが、原油価格の高騰を受けて2008年8月には最高額の182円まで上昇。

その後リーマンショックやガスエネルギー台頭の余波を受けて2015~16年にかけて下がりましたが、2018年には140円後半まで上昇しています。

エネルギー関連で大きな動きがあるたびに価格は上下し、その上で徐々に増加傾向にあるガソリンのコスト増のために、資金面での余力を残しておかないといけないのでしょう。

新規参入者の不足による業界の新陳代謝不足

トラック運転手はその過酷な業態のイメージや、若年層の車離れの影響を受けて新たにトラック運転手になろうという希望者が年々減少しています。

また実際になっても長時間労働や賃金に不満を持ち退職してしまうため、新しい層が育ちにくいようです。そのため古くから働いているベテランが引退することもできず、同じような給料で働き続けることになってしまっています。

トラック運転手の年収は本当に低いのか?

厳しい統計情報ばかりが出てくるトラック運転手ですが、本当にそれほどまで収入が低いのでしょうか。

大手求人情報サイトで募集されているトラック運転手の求人を調べたところ、統計とは異なる事実が見えてきました。

トラックの運転手の募集は大きく分けて

  • 大型トラック
  • 4t程度の中型
  • 2t程度の小型(準中型)

に分類されます。

大型トラックの募集は高額

大型トラックを募集しているのは建設会社や運送会社で、募集要項には月給で25~45万円ほどが並んでいます。

別途賞与や残業代の支給も明示されており、月給35万円で賞与4ヶ月の場合には年間560万円ほどと、一般的なサラリーマンの年収を上回る収入が期待できます。

また、キャリアを積み業務委託を受けるようになり、単価の高い配送業務を担当するようになれば年収1,000万円も夢ではありません。

ただし、昼夜を問わない長距離の移動、待ち時間も含めて長い拘束時間、地域の移動にともなう寒暖の差など、肉体的・精神的にも厳しい仕事のため、調子を崩してしまう人も少なくないようです。

中型はほどほどの年収で

中型トラック運転手の募集は地域内のルート配送が多く、4トントラック募集が中心のようです。月収20~25万円前後の募集が多くありますが、ルート配送の場合日勤だけ7~8時間だけの勤務という会社もあり、肉体的・精神的な負担は大きくありません。

過酷な大型トラック業務で体調を崩したあとに中型トラック業務に転向し、規則正しい勤務によりすっかり復調したというドライバーもいるようです。

ワークライフバランスを重要視するならば、中型トラックの運転手は狙い目の職業といってよいでしょう。

小型は日給制中心

普通免許でもOKというような小型トラック運転手は1日あたり10,000~15,000円ほどの日給換算の募集の割合が増えます。

月間の勤務日が決まっている形態のものもあれば、登録した日に仕事があれば働くというような請負型もあり、空いている時間だけ働くというような柔軟性の高い働き方ができるのが魅力といえるでしょう。

日給12,000円でも月間22日で264,000円、年間で300万円を超える収入が期待できるため、先々のステップアップのために経験を積むにはちょうどよいのかもしれません。

トラック運転手の給料・年収まとめ

トラック運転手は低賃金長時間労働の傾向あり

トラック運転手は統計を見る限りは、低賃金の傾向が強く、実態を見ると長時間労働になりやすい職業であるようです。若手の参入も少なく、業界は今後さらに人材確保に苦労することが続くでしょう。

働く目的に合わせやすい

しかしトラック運転手を業態別に見てみれば、長時間労働で大きく稼ぐ大型、ワークライフバランスを取りやすい中型・小型と、働く目的に合わせやすい職業であることがわかります。

自分自身にとって仕事をどのように捉えるかによっては、トラック運転手はよい選択肢であるといえるでしょう。

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トラック運転手の参考情報

平均年収350万円~400万円
必要資格
  • 大型自動車第一種免許
  • 普通自動車第一種免許
  • 中型自動車免許
  • 準中型自動車免許
資格区分 免許
職業職種運輸・乗り物

統計情報 出典元:

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