電車運転士の資格・試験とは?動力車操縦者 資格試験の概要と合格の秘訣

電車運転士の資格・試験とは?動力車操縦者 資格試験の概要と合格の秘訣

電車が好きな人であれば、誰しも憧れるのが電車運転士。運転士になるには、動力車操縦者の資格が必要です。試験に合格するには、専門的な内容の正確な理解・実践が必須。そこで、資格試験の内容と難易度をまとめてみました。

電車運転士の資格、動力車操縦者とは?

電車の運転に関する国家資格

動力車操縦者」というのは、一般的にいえば「電車・鉄道・列車の運転士(機関士)」などと呼ばれている人たちを指している行政上の用語で、日本国内において機関車や電車、路面電車、トロリーバス、気動車の運転に必要な資格の総称として用いられる総称のことをいいます。

日本の法律で定められた鉄道しか運転できない

日本国内の鉄道会社で、電車運転士になりたいと思ったら、この「動力車操縦者」の資格試験を受験して、合格しなければ、運転することができません。

同資格の所管は国土交通省で、鉄道の運転資格における業務独占資格です。そのため、鉄道会社に勤務している社員で、運転士を希望する人はこの資格を取ることが義務づけられます。ただし、これはあくまでも日本国内の電車などの鉄道に関する運転免許です。自動車のように国際運転免許証に相当する制度はありません。

動力車操縦者の難易度・合格率

要点を抑えれば難易度は低め。十分な試験対策を

動力車操縦者の試験は、その種類に応じて全部で12種類に分かれています。

  • 蒸気機関車運転免許(甲種・乙種)
  • 電気車(電気機関車・電車)運転免許(甲種・乙種)
  • 内燃車(内燃機関車・内燃動車)運転免許(甲種・乙種)
  • 新幹線電気車運転免許
  • 磁気誘導式電気車運転免許(第一種・第二種)
  • 磁気誘導式内燃車運転免許(第一種・第二種)
  • 無軌条電車運転免許

動力車操縦者試験の概要

合格率 約80%
受験資格 次の両方を満たしていること

  • 20歳以上
  • 運転免許を所持しており、かつ過去1年以内に取り消し処分を受けていない
受験費用 22,100円
出題範囲 【筆記試験】

■蒸気機関車運転免許

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(甲種)
  • 軌道運転規則(乙種)
  • 道路交通法および道路交通法施行令(乙種)
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 蒸気機関車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■電気車運転免許

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(甲種)
  • 軌道運転規則(乙種)
  • 道路交通法および道路交通法施行令(乙種)
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 電気車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■内燃車運転免許

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(甲種)
  • 軌道運転規則(乙種)
  • 道路交通法および道路交通法施行令(乙種)
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 内燃車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■新幹線電気車運転免許

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 新幹線鉄道電気車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■磁気誘導式電気車運転免許(第一種・第二種)

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 磁気誘導式鉄道電気車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■磁気誘導式内燃車運転免許(第一種・第二種)

  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 磁気誘導式鉄道内燃車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

■無軌条電車運転免許

  • 無軌条電車運転細則
  • 運転の安全の確保に関する省令
  • 道路交通法及び道路交通法施行令
  • 無軌条電車の構造及び機能
  • 運転理論
  • 一般常識

【実技試験(全種共通)】

  • 速度観測
  • 距離目測
  • 制動機の操作
  • 制動機以外の機器の取扱
  • 定時運転
  • 非常の場合の措置

この他に、身体検査と適性検査が行われます。このうち、身体検査については多くの鉄道会社において、採用試験を受ける際の受験資格にもなっています。つまり、採用試験受験の段階で身体検査基準をクリアしていなければ、採用試験を受けることができないわけです。

動力車操縦者運転免許における身体検査基準

視機能 次のすべてを満たしていること

  1. 視力が両眼で1.0以上、かつ一眼でそれぞれ0.7以上(矯正視力を含む)
  2. 正常な両眼視機能を有すること
  3. 正常な視野を有すること
  4. 色覚が正常であること
聴力 各耳とも5メートル以上の距離で、ささやく言葉を明らかに聴取できること
疾病・身体機能の障害の有無 次の疾病及び身体機能の障害がないこと

  • 心臓疾患
  • 神経及び精神の疾患
  • 眼疾患
  • 運動機能の障害
  • 言語機能の障害
  • その他、動力車の操縦に支障を及ぼすと認められる疾病または身体機能の障害
中毒 次に掲げる中毒症状がないこと

  • アルコール中毒
  • 麻薬中毒
  • その他、動力車の操縦に支障を及ぼす中毒の症状

適性検査は、内田クレペリン検査が課されます。

動力車操縦者自体。特殊な資格なので、全く知らない人にとってはかなり難しい試験です。しかし、本試験は鉄道会社で実務経験を積んで、適性を認められた人が養成所で訓練を受けてから受験するため、合格率は約80%とかなり高くなっています。

ただ、個人で気軽に取得できる資格ではないので、独学で取得できる資格ではありません。

試験を受けるには養成所での訓練・教習が必要

動力車操縦者の試験を受ける受験資格は、以下の2つを満たしていることです。

  1. 20歳以上
  2. 運転免許を所持しており、1年以内に取り消し処分を受けていないこと

これを満たしていれば、鉄道事業者に在籍しているかどうかは条件に入っていないので、上の条件を満たしていれば、省令上は誰でも受験することができます。しかし、学科試験・実技試験とも、かなり専門的な試験となっているため、多くの場合は国土交通省が認可した養成施設で専門の教育訓練を受けてから、試験に臨むのが一般的です。

養成施設は、JRや大手私鉄であれば自社で施設を持っていますが、その他の私鉄(準大手や中小私鉄)は、施設がないため他の事業者に訓練を委託しています。免許取得費用は鉄道事業者が負担しています。

試験合格後は免許申請をして資格取得を

筆記試験は、札幌・仙台・新潟・横浜・名古屋・大阪・広島・高松・福岡などで行われます。試験に合格したら、免許申請をすることで電車運転士として乗務することが可能です。

電車運転士になるまでにすべきこと

まずは駅務・技術の実務経験を積むこと

まずは鉄道会社の採用試験を受験して、鉄道現業職(運輸職)として採用されることが必要です。現業職として採用された場合は、駅員→車掌→運転士の順番でステップアップするパターンが多くなります。その他、鉄道技術職(車両職)から運転士になるというパターンもあります。

両者に共通しているのは、駅の構造を覚えるからという理由と、車掌業務に従事することで電車の状況を知ることができるという要素が考えられます。

適性が認められると、選抜試験を受ける

鉄道現業職・技術職で入社すると、駅員や車掌、もしくは車両の点検・保安業務の経験を積むこととなります。そこで「電車運転士の適性がある」と認められると、養成所に入所するための選抜試験を受けます。

選抜試験の内容は、事業者によって異なりますが、このような形で行われるようです。

選抜試験の内容(一例)

筆記試験
  • 国語
  • 英語
  • 数学
  • 時事問題
  • 会社の規則
  • その他
面接 行われない場合もある
適性検査 内田クレペリン検査
医学検査
  • 視力検査
  • 聴力
  • 心電図など

選抜試験の受験資格は、鉄道会社によって様々です。例えば、掌選抜試験を受けるために駅員の経験を○年以上、運転士選抜試験を受けるために車掌経験を○年以上などのように定めています。大手私鉄の場合、1年~3年に設定しているところが多いようです。

中小私鉄の場合は、退職者が出た場合など欠員の状況によって選抜試験を行います。そのため、車掌の経験がなくても、運転士になる方や20歳で運転士になる方も多くいるようです。倍率は、会社により様々です。高い時は、200人受験して合格者が20人(10倍)という時もあります。

養成所では何をする?(学科編)

大手私鉄やJRであれば、自前で養成施設を持っているため、選抜試験に合格したら養成施設の学科講習過程に入ります。中小私鉄の場合は持っていないところが多いので、大手の養成施設に入る場合と筆記試験対策を自社で行うところがあるようです。試験を受ける場合は、年2回(春・秋)学科筆記試験が行われ、それに合わせて対策を行います。

養成所に入った場合は、鉄道一般、車両に関すること、運転法規などの授業を3ヶ月間受けます。授業が終わったら卒業試験があり、全科目70点~80点以上取ることができれば、学科試験は合格となり、動力車操縦者運転免許の筆記試験が免除されます。

学科が修了するといよいよ技能講習

学科講習過程を修了、もしくは学科試験に合格すると、次は技能講習過程です。技能講習も、同じく養成所の講習課程を受ける方法と、年2回(春・秋)行われる技能試験を受ける方法があります。

技能講習とは、速度観測や距離目測などの訓練を行います。学科試験と同様に、3ヶ月の講習が終わると卒業試験があり、合格すると晴れて動力車操縦者運転免許を取得できます。

一方、技能試験対策を所属する会社で行う場合、会社で技能試験対策を行います。試験は指定された期日に行われ、試験当日は国土交通省から試験管の方が来て、試験を行います。全科目において基準以上の得点を取ることが必要です。

免許が届いたらいよいよ乗務開始

「動力車操縦者運転免許」が届いたら、いよいよ乗務開始です。といっても、いきなり単独乗務ができるわけではありません。多くの場合、経験を積んだ指導運転士がついて、新人運転士の指導を行います。

単独乗務ができるようになると、いよいよ独り立ち

指導運転士から許可が出ると、単独乗務がはじまります。ここではじめて電車運転士として辞令が降り、一人前の運転士となります。大手の場合、単独乗務が切るようになってから免許を渡すのが一般的なようです。

電車運転士の資格まとめ

電車運転士の資格を取るには、まずは適性を認められるところから

電車運転士の資格を取りたいと思ったら、まずは駅員・車掌として経験を積むところからはじまります。その他、車両職など技術職の経験を積むところからスタートです。

大手であれば。駅員や車掌として数年経験を積み、運転士としての適性を認められると選抜試験を受けます。そこで合格すれば、養成所に入って運転士への第一歩がはじまるのです。

運転士の資格試験自体、かなり専門的な内容なので、独学で受かるのはまず不可能なので、しっかりと講習を受けるようにしましょう。

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電車運転士の参考情報

平均年収400万円~600万円
必要資格
  • 動力車操縦者運転免許
資格区分 免許
職種運輸・乗り物

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