電車運転士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

電車運転士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

子供の頃、多くの人が憧れたことのある職業が電車運転士です。華やかな職業と思われていますが、その仕事内容は地味な部分も多くあります。ここでは、お客様の安全のために何をしているのかにスポットを当ててまとめていきます。

電車運転士とはどんな仕事?

電車運転士とは電車を運転して、乗客を無事に目的地まで連れて行くことが主な仕事です。通勤・通学などで使われる電車は、人々の交通に必要不可欠で、運転士はいわば運転のプロといえます。

運転において忘れてはならないのが、「正確かつ安全な運転を心がけ、乗客には快適に移動してもらう」ことです。それを実現させるために、電車運転士が実際に行っている仕事は多岐にわたります。

ここでは、実際の仕事内容についてまとめていきます。

運行スケジュールどおりに電車を発着させる

電車は、運行スケジュールがきっちりと決まっています。そのため、電車運転士はスケジュール通りに発着させなければなりません。特にラッシュアワーの電車は、秒単位でダイヤが動いていることもあり、少しでも遅れが発生したら多くの乗客に迷惑がかかります。なので、乗客の安全に配慮しつつ、信号や踏切などに気を配りながら、迅速に次の駅まで連れて行くことが大切です。

勤務する鉄道会社によって異なる点もありますが、基本的には運転士ごとに担当する区間が決まっており、各自の担当区間の運転を終えると、次の電車運転士と交代です。これを1日の中で何度か繰り返しながら勤務していきます。勤務終了後はその日の運転状況を報告して、その日の勤務は終了です。

後ほど詳述しますが、勤務時間は勤務日ごとに異なります。朝から夕方にかけて勤務する日勤を行うこともあれば、お昼に出勤して翌朝まで仕事を行う泊まり勤務を行うこともあります。出勤時間は不定期なので、勤務が終わるごとに次の勤務を確認して、次の勤務に備えることになります。

安全を確保するため、点検は入念に

電車運転士は、電車を運転して乗客を安全に目的地まで送り届けることが仕事です。そのためには、まず運転士自身が健康でなければなりません。もちろん、車両もきちんと整備された状態でなければ、それだけで乗客を危険に晒すことにもなりかねません。

そのため、点検も電車運転士の大切な仕事です。ここでは、運転前の準備から運転時の点検についてまとめていきます。

お酒を飲んでいないかどうか、しっかりとチェック

出勤すると、各自が所属する乗務区で点呼を受けます。出勤を確認すると、アルコール検査(呼気検査)などを行って、乗務員(運転士)の健康状態を確認します。

これで問題がなければ、仕業表(当日のスケジュールが書かれた表)など乗務で必要なものを受け取り、運転を行います。しかし、点呼後の検査でアルコールを飲んでいることがわかったら、その日は運転をすることができません。それぞれに担当区間が割り振られているため、万が一運転できないということになれば、他の社員にも迷惑がかかるので、厳格な自己管理が必要です。

車両の点検・報告も大切な仕事

電車運転士にとって、車両の点検も重要な仕事内容の一つです。車両の点検は、運転前に車庫から出す前に行い、運転中も何らかの異常があれば引き継ぎの際に報告を行います。運転前の点検は、ブレーキやモーター、連結器などの各部分に異常がないかどうかチェックを行います。異常があれば、その旨を報告し、異常がなければ乗務に入ります。

確認事項は法律で細かく決められているため、乗務中も異常がないかどうか点検を行います。具体的には、電車に乗り込んだ際に圧力計・速度計・電圧計などの計器類がきちんと作動しているかどうか確認を行います。その他にも、ドアの開閉がスムーズに行われているか、乗客の乗降がしっかりと行われているかなどのチェックを各駅で行っています。

停車時間はほんの数分程度であることがほとんどです。その数分の間に、すべてのチェックを素早く行うことが求められます。

何かトラブルがあったら現地で緊急対応も

発生しないに越したことはありませんが、点検を入念に行っていても車両トラブルや事故が発生することもあります。何らかの異常やトラブルが起きたら、まず電車運転士が緊急時の対応を行います。最初に行うのは、車掌などと協力して乗客の安全を確保、その後事故やトラブルの後処理を行います。

電車運転士の仕事は、体力と自己管理力が求められる

電車運転士の勤務時間は、勤務ごとに異なるという点が特徴的です。勤務時間は、各出勤日ごとに次の勤務予定がわかるので、勤務終了後に次の勤務を確認することが必要です。
仕事の前日にアルコールを飲んだことで、呼気からアルコールが検出されたら、その日は一切の乗務ができません。誰がどの区間で乗務するかというのは、細かく決められているので、一人でも乗務ができなくなると、周囲に迷惑がかかります。

そのようなことが起きないよう、次の勤務を確認したらアルコールを口にしないなど、きちんと自己管理を行うことが求められるわけです。勤務時間としては、日勤の他に24時間勤務が入ることもあるので、不規則な勤務に耐えられるだけの体力も必要になってきます。

勤続年数が長くなると、年収も高くなる

電車運転士の給与・待遇は、勤務する鉄道会社によって変わってきます。厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」によると、初任給は4年制の大卒で約19万円~20万円、高卒で約17万円~19万円です。これに賞与や各種手当が加算されます。初任給だけで見ると、他の民間企業と大きく変わらないでしょう。

ちなみに、電車運転士の平均勤続年数や平均年数を見ると、事業規模が1000人以上で賞与込みの年収が約645万円(平均勤続年数:18.5年)、事業規模が10人~99人の場合で約391万円(平均勤続年数:12.3年)になります。ここから見ると、勤続年数が長く、かつ事業規模が大きくなればなるほど、平均勤続年数・年収とも高くなることがわかります。

しっかりと自己管理を行い、長く勤務することができれば、その分高収入になりやすいようです。

電車運転士の勤務体系は様々

電車運転士の勤務体系(勤務時間)は、勤務する会社によって様々です。それぞれの運転区において「仕業表(スケジュール表)」があり、それに沿って勤務しています。

具体的には、次の4つに分かれます。

  1. 日勤
  2. 泊まり
  3. 明け(非番)
  4. 休み

それぞれ、下記のような勤務体系となります。

日勤

通常勤務です。勤務時間は担当するダイヤによって様々で、始発に当たった場合は始発からお昼すぎまで勤務します。終電に当たった場合は、夕方に出勤して終電までの勤務です。その他、朝から夕方mお昼から夜までなど、様々な時間帯があります。

始発からの乗務開始、もしくは終電まで乗務する場合は、前日から泊まることや翌朝帰宅することも。勤務時間については、ダイヤによってパターンが各種あり、そのパターンに沿ってローテーションでの乗務となるのが基本です。

泊まり

泊まりというのは、休憩や仮眠を挟んで24時間(丸一日)勤務することをいいます。いろいろな勤務パターンがあり、お昼に出勤して、途中で仮眠や休憩を行いながら、翌日のお昼まで働く場合など、会社ごとに様々なパターンがあるようです。

明け(非番)

明けというのは、泊まり勤務が明けた当日のことです。翌日朝もしくはお昼までの24時間勤務が終わったら、その日は明けとなるため勤務はありません。

休み

お休みの日のことを言います。休日は不規則ながら、週休2日です。約3~4ヶ月ごとに休日がずれていくため、平日になることもあれば、土日に休みが入ることもあります。

電車運転士が果たす役割

日本の電車は、世界一時間に正確で、安全性が高いと言われています。それを支えているのが、電車運転士の皆さんです。電車運転士は、どのような役割を果たしているのでしょうか。

トラブルが起きたら真っ先に対処

電車運転士になりたての頃は、先輩運転士が同乗して指導を行います。トレーニング期間が終了すると、いよいよ一人前の運転士として単独乗務です。単独で乗務するようになると、様々な事象について自分で判断して行動します。

普段からあらゆる状況を想定して、いろいろな訓練も受けていますし、細かい決めごとが書かれたマニュアルも完備しているので、よほどの大きなトラブルが起きない限り、「どう対処していいのか」というような場面は起きにくいでしょう。

ただし、急病人や線路への立ち入り、人身事故などのようなトラブルが起きたら、その後処理や点検があるので、その分電車の遅延が起こります。もちろん電車が遅延すると、様々なところに影響が出るものの、運転士の機転でそれも最小限に食い止められるかもしれません。

このように、トラブルが発生した際の冷静な対処は、電車運転士の腕の見せ所です。

安全への配慮

ある時は始発から勤務、ある時は終電まで勤務、またある時は24時間体制の勤務もあるなど、電車運転士の仕事は大変にハードです。

技術の進歩によって、安全性の高い車両や運転を逝去するためのプログラムができ、事故の発生を未然に防ぐための取り組みも、かなり進んでいます。しかし、運転するのは人間なので、やはり電車運転士の仕事に対する意識は大切です。

確かに「眠い」とか「疲れている」という状態のときもあるかもしれませんが、だからといって一瞬でも気を抜いてしまうと、死傷者が出るほどの事故につながるかもしれません。実際、過去には電車に関する痛ましい事故が起きています。

そういう点を考えると、「多くの乗客の命を預かっている」という自覚が求められる業務です。

大変なことも多いが、その分喜びも大きい

一勤務する会社によっても変わってきますが、電車運転士の仕事は大変な面も多くあります。それでも、大変な分喜びも大きいのがこの仕事です。ここでは、電車運転士の苦労についてまとめていきます。

実際は秒単位

皆さんもご存知のように、電車にはダイヤ(時刻表)があります。「○時○分発 △△行き」と表示されているのを見たことがある人も多いことでしょう。このように、乗客から見ると分単位で見ています。都心の電車であれば、ラッシュ時にはそれこそ3~4分ごとに次がやってきます。

しかし、電車運転士が気にしているのは「分」ではなく、「秒」を気にしています。JRであれば、多くの路線で15秒刻みです。一方、私鉄ではもっと細かくダイヤ設定されている場合もあります。

そのため、自分が運転する電車が遅れてしまうと、運転中の電車に乗っている乗客に迷惑がかかるだけでなく、前後を走る電車にも迷惑がかかるので、常に秒単位での仕事を強いられ大変です。

様々な人と接する仕事

電車運転士になる前は、駅員や車掌として様々なお客様と接する機会があります。電車運転士になると、基本的には運転がメインとなるため、駅員時代と比べると頻度は少なくなりますが、それでも様々な人に接する機会は多い仕事です。

電車は老若男女問わず様々な人が利用することもあり、時には無理難題を吹っかけられることもあります。その他、厳しい言葉を投げつける人もいます。深夜の時間帯であれば、酔っぱらいに絡まれることも少なくないでしょう。

個人的には腹立たしさを感じたとしても、やはり仕事としている以上、サービス業なので誠実に接しなければなりません。

電車運転士はこれからどうなる?

この世に電車が存続する限り、電車運転士という仕事がなくなることはありません。それでも、電車運転士の将来性について、不安に感じる人も多いことでしょう。ここでは、そんな電車運転士の現在とこれからについてまとめていきます。

全体的に人手不足な電車運転士

2007年から2008年にかけて、団塊世代の電車運転士が大量に定年退職を迎えました。その結果として、この10年近く運転士は全体的に不足しています。年齢構成を考えると、若い電車運転士を育成したいところです。しかし、電車運転士を育成しようと思ったら、養成所の費用は全部会社負担で、その上給料も支払わなければなりません。

訓練期間は約9ヶ月なので、その間の育成費用は約700万円かかると言われます。何人不足しているかにもよりますが、仮に15人不足していて、それをすべて社内で育成しようとすると、約1億円の経費がかかります。鉄道業界は慢性的な赤字を抱えているので、なかなか育成に舵を切れないのが現状です。そのため、他社で経験を積んでいる運転士を中途採用で募集している企業が多くなっています。

ただ、電車運転士にも定年がありますし、体力の問題もあるので、年配の人ばかり揃えるのはやはりリスクのある行為です。そのことを考えると、20代~30代前半で運転士を希望する人にとってはチャンスともいえます。基本的には経験を要する仕事ですが、中途採用でベテランを揃えているので、若い世代の運転士にとっては成長できるチャンスでしょう。

不動産やバス事業など、多角経営化しつつある

鉄道会社各社の中心事業は、電車の運行にあることはいうまでもありません。しかし、近年は不動産関連事業で周辺の再開発を行ったり、ホテルや飲食業、ショッピングモール事業などの流通業に参入するところが増えています。

基本的には、グループ企業が行う事業となりますが、親会社となる鉄道会社内にも関連事業部が設置されているところが増えているようです。ただし、電車運転士としてキャリアを積んでいる以上、こういった関連事業に直接関わることは、ほぼないといってもいいかもしれません。

それでも、各社とも生き残りをかけて関連事業を行い、人を少しでも呼び込むために様々な施策を行っています。電車運転士も社員であることには変わりないので、会社がどうなっているのかということに関心をもつことは重要です。

電車運転士の仕事のやりがい

みんな一丸となってトラブルを解決

地震や大雨などの自然災害が発生すると、安全確保の観点から運行を止めざるを得ません。しかし、止めてしまうとたちまち足止めを食らった人で溢れかえってしまいます。そうなってしまうと、何もしないわけにはいかなくなるので、社員総出で一刻も早く解決するために動き出すのです。

乗客からは「まだ終わらないの?」など厳しい言葉をかけられることも多いようですが、問題が解決すると感謝の言葉をかけられることも多く、それがやりがいにつながります。

無事に何事もなく終わった時にやりがいを感じる

電車運転士は、乗客を無事に目的地まで安全に運ぶことが使命です。ラッシュ時には2000人近い人の命を扱うプレッシャーはとてつもなく大きいものでしょう。常に集中力を保たなければならないというプレッシャーを常に感じながら業務にあたっています。

確かに大変ですが、1日何事もなく無事に終わった時、「今日もやりきった」という充足感を味わえるのは、電車運転士の醍醐味といえるのではないでしょうか。

経験や実力が形になる仕事

電車運転士は、多くの経験がものをいう仕事です。色々なケースを想定して訓練も行われますし、座学でも様々なことを学びますが、それでも実際の業務にまさるものはありません。実際、自分が一人で乗務している時に何かが起きたら、運転士がすべて判断して対処する必要があります。

長年経験を積み、運転技術が向上したと感じた時、やりがいにつながるでしょう。

電車運転士の仕事内容まとめ

電車運転士はプレッシャーが大きい分、やりきった時には充足感が味わえる

電車運転士は、乗客の命を預かる大変な仕事です。通勤・通学の足として、電車があって当たり前となっている世の中。運転士の果たすべき役割は大変に大きなものがあります。

事故を起こさないためには、高い集中力がなければなりませんが、その分やりきった満足感が得られる仕事です。若い世代の運転士が減っているのが現状ですが、十分に目指すだけの価値がある仕事といえます。

電車運転士の参考情報

平均年収400万円~600万円
必要資格
  • 動力車操縦者運転免許
資格区分 免許
職種運輸・乗り物

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