養護教諭の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

養護教諭の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

「保健室の先生」として多くの生徒から親しまれている養護教諭。養護教諭の給与や年収はいくらくらいなのでしょうか。本記事では、養護教諭の初任給、平均的な給与、平均的な年収など、収入面についてご紹介します。

養護教諭の初任給

養護教諭の初任給は勤め先が「公立または私立」によって異なります。公立学校の場合は勤務先の自治体、私立学校の場合は経営する法人によって決められます。

公立学校の初任給は大卒で22万円位が相場

公立学校の養護教諭になるには、養護教諭免許を取得した後に教員採用試験に合格して採用されることが必須です。公立学校の養護教諭の給与体系は自治体によって異なり、「地方公務員法」をもとに算出されます。

自治体によって数値が異なるので一概には断定できませんが、大学卒業後の新卒初任給の相場は約22万円。短大卒の場合は大卒よりも約2万円低いのが一般的です。初任給に加算して支給されるものには、「通勤手当・住居手当・扶養手当・地域手当」などがあり、これは個人の生活状況によって支給額が異なります。

初任給からは社会保険料や税金が引かれるので、実際の初任給の手取りは10万円台後半といったところが一般的と言えるでしょう。

私立学校の初任給は法人によってさまざま

私立学校の養護教員の初任給は、各学校の規定に基づいて支払われます。また、諸手当なども学校ごとによって異なります。一般的には月給や年収などの生涯賃金は私立学校の方が公立学校よりも低めと言われています。

ただし、私立学校でも高い初任給を支給している学校も多くあり、必ずしも公立よりも低いということはありません。就職活動をするときは、各学校の賃金規定をきちんと確認してから、採用試験を受けるとよいでしょう。

転職して養護教諭になった場合

転職を経て公立学校の養護教諭になった場合の初任給も自治体によって異なりますが、その支給額は公には発表されていません。前職が養護教諭の仕事に関係する「スクールカウンセラー・保健師・看護師」などの場合は、定められている初任給に加算される場合もあるようです。

パート・アルバイトの時給

基本的に養護教諭の配置は各学校に1人です。ただし、規模の大きい私立学校の場合は複数人がチームとなって働く場合があり、正規採用の養護教諭の補助としてパートやアルバイトでの採用も見受けられます。

求人サイトによると、養護教諭のパートやアルバイトの時給相場は1,000~2,000円程。条件もフルタイムから短時間、週に数日勤務など、採用する学校によって異なります。

養護教諭の平均給与

養護教諭の平均給与は一体どれくらいなのでしょうか。ここでは公立小中学校の養護教諭に例を絞って見ていきます。

公立学校の平均給与は約36万円

年代 平均給与額
20代 約24~33万円
30代 約38~40万円
40代 約43~47万円
50代 約48~50万円
60代 約31万円

総務書が発表した平成29年4月1日付の「地方公務員給与実態調査」によると、公立小中学校の養護教諭全体の平均給与額は35万9,806円で平均年齢は42.8歳です。年齢別推移では、20代で約24~33万円・30代で約38~40万円・40代で約43~47万円・50代で約48~50万円・60代で約31万円となっています。

これらの統計から、養護教諭は年齢が上がるにつれて平均給与も上がる傾向があり、定年前の50代が最も高い給与が支給されることがわかりました。なお、初任給と同じく月給からは税金や社会保険料が差し引かれるので、手取りは月収の8割くらいと考えておくとよいでしょう。

令和元年現在、公立学校の教職員の定年は60歳と定められていますが60歳を過ぎた後でも再任用される制度もあります。昨今の年金支給開始などの問題からも、今後は定年が引き上げられ、60歳以降も養護教諭として働く人が増えることも考えられるでしょう。

小中学校と高等学校では少し差がある

公立学校の養護教諭の主な勤め先は、小学校・中学校・高等学校などがありますが、小中学校よりも高等学校に勤務する養護教諭の平均月収の方が少し高い傾向にあります。

平成29年4月1日付の「地方公務員給与実態調査」では、高等学校に勤務している養護教諭の平均月収は37万7,218円で小中学校よりも約2万円弱高くなっています。

養護教諭の平均年収

ここでも平均給与と同様に、公立の小中学校に勤務する養護教諭の平均年収を見ていきましょう。

公立学校の平均年収は約670万円

年代 平均年収額
20代 約400~530万円
30代 約530~690万円
40代 約700~780万円
50代 約780~810万円

公立学校の小中学校に勤務する擁護教諭の平均年収は672万4,105円で、平均年齢は42.8歳です。年齢の推移では20代が約400~530万円・30代が約530~690万円・40代が約700~780万円・50代が約780~810万円となっています。

平均給与と同様に年齢が上がるにつれて年収も徐々に上がり、定年前の50代後半が一番多く収入を得ているようです。

ボーナスはいくら

平均年収に多く影響する要素にボーナスがあります。平均ボーナスの支給額は年に170万2,561円です。公立学校に勤務している教職員のボーナスは6月と12月の年に2回。1回につき2ヶ月程度、年間で約4ヶ月分が支給されています。

ボーナスが支給される養護教員は正規採用と臨時採用の場合のみで、パートやアルバイト勤務または非常勤での採用の場合は支給されません。

地域別では東京と大阪が高い

公立学校の教職員は「地方公務員法」によって給与が支給されるため、所属の自治体によって平均年収に差が出てきます。

推定値ではありますが、全国の中でも養護教諭の平均年収が高いのは東京の約873万円と大阪の約748万円です。これは物価などを加味して加算され、市町村単位で設定されている「地域手当」が高いことが原因とされています。

退職金と生涯年収

公立の小中学校に勤める養護教員の退職金の推定額は約2352万円。生涯年収の推定値は約2億7927万円とされています。生涯年収に関しては一般企業に勤める大卒の男性社員とそれほど変わらないとされています。

年収をアップさせるには

勤務地や年齢によって大きく異なる平均年収をアップさせるには、どのようなことが有効なのでしょうか。

公立学校で働く養護教員は地方公務員に属するため残業代は出ません。また、校長・教頭・学年主任のように役職になることはないので、役職手当もありません。

ここでは、養護教員として年収を上げる対策をいくつか紹介します。

専修免許状が一番有利

養護教諭になるための免許は大きく3種類に分類されます。大学院卒業の専修免許状・大学卒業の一種免許状・短大卒業の二種免許状です。

採用時には短大卒でも可能な学校が多くありますが、特に私立学校の採用では専修と一種の免許状を条件としているところが多く見られます。また、初任給が一番高く設定されているのは専修免許状なので、年収アップをはかるなら最低でも一種、可能であれば専修免許状を取得するとよいでしょう。

既に養護教員として働いているけれど二種免許状しか持っていない場合は、働きながら通信教育などで一種免許状の取得も可能ですので、是非チャレンジしてみるとよいでしょう。

正規採用で働く

養護教諭のパートやアルバイトの時給の相場は約1000~2,000円と、他の職種より高い傾向にあります。しかしボーナスや各種手当てが出されることはないので、長く続ければ続けるほど正規採用の養護教諭との収入には格差が出てきます。

養護教諭に限ったことではありませんが、年収アップを目指すなら正規採用を目指して就職活動を行いましょう。

地域手当の高い場所で働く

養護教諭に支給される手当の中で、最も差がでるのが「地域手当」の存在です。地域手当とは、居住している地域によって異なる物価や地価の差額を補填するものです。そのため、基本的には地方よりも都心部で高く設定されています。

学校の数も地方よりも都心部の方が多くあるので、就職や転職のときに就職先を探すなら都心部の方が見つけやすいと考えられます。

高等学校・特別支援学校で働く

基本的に公立の小中学校の養護教員で収入を得るよりは、高等学校または特別支援学校で勤務したほうが高い収入をえることができるとされています。

就職希望の勤務先にこだわりがない場合は、学校種を軸にして収入アップをはかるのも一つの手段といえるでしょう。

養護教諭の給与・年収まとめ

免許状の種類や働く場所によって収入に差が出る

養護教諭で平均よりも高めの収入を得るなら、最低でも一種免許状を取得して正規採用として働くのが最良の方法といえるでしょう。ただし、養護教諭は学校に通う子どもの健康に関わる重要な仕事です。

収入だけにとらわれず、まずは「どんな学校のどんな保健室の先生になりたいか」ということをよく考えて、就職活動をすることが大切です。

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養護教諭の参考情報

平均年収400万円~600万円
必要資格
  • 養護教諭普通免許状
資格区分 免許
職業職種教育・保育

統計情報 出典元:

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