心理学者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

心理学者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

心理学者は従来、大学や研究機関に勤める研究職を指していましたが、近年では心理分野の支援が多方面に求められる現状があり、多くの民間企業や公的機関において心理学者が常駐しており、汎用性・領域横断性が高い国家資格も生まれています。今回は、心理学者の仕事の内容や特徴、将来性についてご紹介します。

心理学者とはどんな仕事?

「人々の心の問題に対する研究および分析」が主軸

心理学者は、人々の精神的な事象全般を取り扱う学術分野であり、人々の心の問題を取り扱う研究分野です。

学者、ということからも分かる通り、基本は研究および分析、仮説の検証、実験、論文の執筆、学会発表などを主に担当し、心理学分野における学術的な発展に大きく寄与しています。

心理学といっても扱う分野は幅広く、精神分析学、認知心理学、発達心理学などを主軸として発展し、社会学、生理学、病理学、教育学、行動学、言語学、哲学など様々な学術分野とも結びつきながら、多様な分野において心理学的研究が発展してきました。

大まかには「実験心理学」と「臨床心理学」の2つにわかれます。実験心理学は科学的なアプローチから観察・実験・調査・分析によって一般法則を見出していく学術的性格が強いもので、臨床心理学は、精神的なダメージを負った様々な人々を受け入れ、理解し、支援する性格の色濃い分野です。

心理学者は、人間をあくまで調査対象としてみなし、社会単位で見出される心理的な傾向や法則を見出す場合に思い浮かびがちな職業ではありますが、個人個人の心の問題に向き合って臨床現場での心理療法に寄与する場合にも、心理学者の力が求められています。

心理学者の役割は広く一般に求められている

近年では、様々な状況下においてストレスを重く感じやすい社会になっており、「ストレス社会」という呼称が一般的になるほど、精神的ダメージや心の傷を負い、またそれが解消しづらい社会になってきています。

現代社会が生み出す孤独感やストレスは年々多くの年齢層に広がりつつあり、近年特に労働者や高齢者において深刻な問題となっています。こうした心の問題が重くみられている現状を鑑み、民間企業や公的機関において心理学者を常駐させるようになってきています。

従来は実験・観察・調査・分析を主体とした性格が強かった心理学者の仕事ですが、このような社会となっている以上、臨床現場も含めた様々な場所において心理学の知見が求められており、その役割は広く一般に求められていると言えるでしょう。

2018年度より国家資格「公認心理師」の認定も始まりました。この国家資格は、領域横断性・汎用性の高い資格となっており、学術・研究分野をはじめ、カウンセリング、心理教育など様々な領域にまたがった知識が求められています。

今後、既存の心理職、特に医療機関での心理カウンセラー業務において、公認心理師の国家資格が必須となる可能性があるようで、心理職はより総合的な仕事が求められていくこととなりそうです。

心理カウンセラーの具体的な仕事内容

大学や研究機関に勤める心理職

心理学者と聞いてまず思い浮かぶのは、大学や公的研究機関、民間企業の運営する研究所などで心理学分野の研究や調査を行う仕事ではないでしょうか。

もちろん心理学者は学者ですから、高度な知識・経験に基づき、科学的手法によって心理法則を見出し、詳らかにしていくことが大きな使命となっています。

研究機関に勤める場合、心理学者は多くの場合研究所において適した研究が行えるかどうかを見出すためポスドクと呼ばれる短期研究員として任期付きの雇用をされます。そこから専門分野と照らし合わせ、詳細なマッチングを行ったのち、正規職員として採用されます。

研究機関に勤めるからと言って、自分の好きな研究ができるとは限りません。多くの場合、研究チームが組まれ、その一員として日々研究に明け暮れることとなります。

研究機関では一定の成果も求められますし、組織運営上の都合も大きく関わってきますから、研究を牽引できる立場にならない限りは、自分の好きな研究はほぼ出来ないと言ってもいいかもしれません。

大学の場合、博士課程までは学生として自分の研究分野に個人として向き合っていくことが可能ですが、学部生の指導やゼミの運営、授業の補助、非常勤講師など心理学の研究以外にも様々な仕事を任されることとなります。

教授になれば、大学自体の運営にも関わっていくことになるので、経営会議などにも出席しなければなりません。

国や地方自治体、公的機関、医療機関に勤める心理職

心理学者と言っても働き方は様々にあります。例えば国や地方の公務員として働く心理職だけでも、様々な働き方が考えられます。

例えば、法務省管轄のもとでの少年院・少年鑑別所、刑務所・拘置所などの心理技官や法務教官、厚生労働省管轄の職業安定所や職業能力開発局の求職者や職員に対する心理支援を行う心理職、家庭裁判所の調査官などがあります。

地方公共団体の場合では、さらに一般社会に身近な立場での心理職が多くあり、児童相談所や教育相談所、精神保健福祉センター、精神薄弱者・身体障害者の更生相談所、総合社会福祉センターなどに心理職として常駐することとなります。

より臨床的な仕事では、心理判定員やケースワーカー、セラピストなどを含めて、心理分野での公的援助が必要な場合に応じて、様々な相談に乗ったり、アドバイスや指導を行ったり、カウンセリングや心理療法といった措置を行ったりします。

医療機関においては、主に総合病院、精神科や心療内科、メンタルクリニック、リハビリテーションセンターなどといった場所で、患者の相談を受け、適切な治療を施していきます。

民間企業に勤める心理職

民間企業においても、心理学者の力が求められており、心理学に大きく関連する部署としては、人事・労務の仕事と、企画・開発の仕事が挙げられます。

心理学が扱う分野は内省的なアプローチのみではなく、他人や多くの顧客に働きかけるという積極的なアプローチも含めていますので、例えば企画・開発における市場調査、マーケティングなどの情報収集、および情報の整理や管理も心理学が関係してきます。消費者層の心理の一般的傾向を把握し、それに合わせた商品開発を行うよう導くことも心理学者の役割です。

また企業の組織運営の中でも「人材」にフォーカスしている人事部、労務部といった部署では、職員が働く上で困っていることや適性、環境に関する悩みなどを扱い、職員の能力開発やメンタルヘルスを総合的に扱う上でも、心理学の知識や経験が大いに役立ちます。

心理学者の仕事のやりがい

人々の心の問題を探求することは、人間そのものの秘密に迫ること

人間の心というものがそもそもどういったものなのかという問題については、まだまだわかっていないことも多くあり、特に心の問題が大きくクローズアップされがちな現代社会において、人間の心や意識の仕組みを研究することは大きな社会的意義があります。

また、そうした公共的な意義だけでなく、知的好奇心も尽きない仕事でもあります。人間の心は移り変わりが激しく、抽象的になりがちで、身体的な欠陥や疾患によって突発的に、発作的に精神状態が急変したり、非常に複雑でわかりにくく、まだその正体が明らかになっていません。

だからこそ、人間の心や意識に関する問題や課題は山積みで、少しずつわかってきていることもあるとはいえ、まだまだ尽きることがありません。それゆえに、様々な学問と連携を取りながら、人々の心そのものの仕組みを解明していく必要があります。

心理学という学問は、こうした性格ゆえに研究者の興味が尽きることはありません。人間が人間である理由は心の有無が大きく関わっていると考えられていることからも、心理学を突き詰めていくことは、人間そのものの秘密に迫っていくことでもあるのです。

心理学者の仕事内容まとめ

人々の心の問題の解決にも大きく寄与する仕事

心理学者の本分は、主に科学的な方法を用いて調査・研究・検証・分析などを行った上で、人々の心理に関する一般的な法則を導き出すことにあります。

そうした純粋な研究を積み重ねていくことによって、人々の意識や精神に関する構造が明らかになって行き、それが現代社会に横たわる精神的な問題の解決の糸口となります。

人々が精神負担を感じることが年々増えている現代において、心理学者の知見は研究分野を超え、臨床分野にも大きく関わってきています。多くの人々が健全に社会生活を営んでいく上での心理的支援も含め、様々な場所において心理学者の知識と経験が求められています。

心理学者の参考情報

平均年収400万円~550万円
必要資格
  • 博士号
  • 修士号
資格区分 学位
職業職種教育・保育

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