ピアノ調律師の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

ピアノ調律師の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

ピアノ調律師は調律、整調、整音、修理などピアノがきちんと音を出せるようにそのコンディションを整える仕事を専門とする職人です。この記事では、調律師として役立つ資格やその内容等を解説します。

ピアノ調律師の資格とは?

結論から先に言えば、ピアノ調律師になるために資格が必要というわけではありません。

ピアノ調律師として就業するには、調律科のある専門学校・大学で学んだ後、楽器メーカーや調律専門の会社などに就職し、調律師としてデビューします。他にも楽器メーカーなどの調律師養成施設で学んだ後、就職して調律師になるという方法もあります。

そのため、資格なしでもピアノ調律師として就業することができます。しかし、「ピアノ調律技能士」という資格を取得すれば、調律師として確かな知識と技術を持っているという事を認めてもらうことができるので、調律師として仕事をする場合に有利に働きます。

次章では、ピアノ調律技能士の資格について解説していきます。

ピアノ調律師に役立つ資格「ピアノ調律技能士」

ピアノ調律技能士は、国家資格である技能検定制度のひとつです。一般社団法人日本ピアノ調律師協会が実施しているピアノ調律に関する学科及び実技試験(通称:ピアノ調律技能検定)に合格することで、ピアノ調律技能士の資格を取得できます。

ピアノ調律技能士の等級区分

ピアノ調律技能士の資格は1級・2級・3級に分かれています。それぞれの級の違いは以下の通りです。

1級ピアノ調律技能士

グランドピアノ・アップライドピアノの調律ができる

2級ピアノ調律技能士

アップライドピアノの調律、グランドピアノの一部の調律ができる

3級ピアノ調律技能士

アップライドピアノの基本的な調律ができること

ピアノ調律技能士の資格の難易度・合格率

ピアノ調律技能士の資格試験の難易度、受験資格や試験内容などを紹介します。

ピアノ調律技能検定試験の難易度は高い!?

ピアノ調律技能検定試験は、1級・2級3級のどの級でも、学科試験と実技試験があります。近年の合格率は以下の通りです。

等級 合格率
学科試験 実技試験
1級 71% 33%
2級 86% 40%
3級 89% 36%

どの級でも学科試験の合格率は高いですが、実技試験の合格率は低くなっています。

ピアノ調律技能検定試験の受験資格

ピアノ調律技能検定試験は1級・2級・3級のどの等級からでも受験することが可能です。ただし、受験資格に関しては各級ごとに異なる受検資格がありますので、受験前に資格を満たしているか確認が必要です。

ピアノ調律技能検定 1級学科試験の受験資格

ピアノ調律技能検定試験1級の受験資格は以下の通りです。

■学科試験

次の4つのうちどれかに該当すれば学科試験の受験が可能です。

  • 7年以上の実務経験(ピアノ調律に関する)を有する者
  • 専門高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校、養成機関を卒業又は普通職業訓練を修了後、5年以上の実務経験を有する者
  • 大学卒業後、3年以上の実務経験を有する者
  • 2級の技能検定に合格した者であって、その後2年以上の実務経験を有する者
■実技試験
  • 1級の技能検定において学科試験に合格した者

ピアノ調律技能士検定 2級学科試験の受験資格

ピアノ調律技能検定試験2級の受験資格は以下の通りです。

■学科試験

次の4つのうちどれかに該当すれば学科試験の受験が可能です。

  • 2年以上の実務経験(ピアノ調律に関する)を有する者
  • 専門高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校、養成機関を卒業又は普通職業訓練を修了後、1年以上の実務経験を有する者
  • 大学を卒業した者
  • 3級の技能検定に合格した者
■実技試験
  • 2級の技能検定において学科試験に合格した者

ピアノ調律技能士検定 3級学科試験の受験資格

ピアノ調律技能検定試験3級の受験資格は以下の通りです。

■学科試験

次の3つのうちどれかに該当すれば学科試験の受験が可能です。

  • 1年以上の実務経験(ピアノ調律に関する)を有する者
  • 専門高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校、養成機関を卒業又は普通職業訓練を修了した者
  • 大学、専門高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校、養成機関に在学する者又は普通職業訓練をうけている者
■実技試験
  • 3級の技能検定において学科試験に合格した者

ピアノ調律技能検定試験の試験内容

次に1級・2級・3級のピアノ調律技能検定試験の試験内容を紹介します。

ピアノ調律技能士検定 1級学科試験の試験内容

■学科試験

音楽一般・ピアノ概論・ピアノ調律・ピアノ整調・ピアノ整音・ ピアノ修理・ハイブリッドピアノのメンテナンスの7項目から出題

■実技試験

グランドピアノ・アップライドピアノの調律・整調・ピアノ修理

ピアノ調律技能士検定 2級学科試験の試験内容

■学科試験

音楽一般・ピアノ概論・ピアノ調律・ピアノ整調・ ピアノ修理・ハイブリッドピアノのメンテナンスの6項目から出題

■実技試験

アップライドピアノの調律、グランドピアノ・アップライドピアノの整調、ピアノ修理

ピアノ調律技能士検定 3級学科試験の試験内容

■学科試験

学科試験:音楽一般・ピアノ概論・ピアノ調律・ピアノ整調・ ピアノ修理・ハイブリッドピアノのメンテナンスの6項目から出題

■実技試験

アップライドピアノの調律、アップライドピアノの整調、ピアノ修理

ピアノ調律技能検定試験の受験手数料

ピアノ調律技能検定試験の受験手数料は以下の通りです。

■学科試験
  • 1級 8,500円
  • 2級 8,500円
  • 3級 8,500円
■実技試験
  • 1級 29,500円
  • 2級 26,500円
  • 3級 23,500円

ピアノ調律師に役立つ資格が取れる学校

今回紹介したピアノ調律技能士の国家資格を在学中に取得できる学校を最後に2つ紹介します。

  • カワイ音楽学園
  • 日本ピアノ調律・音楽学院

カワイ音楽学園

カワイ音楽学園は、日本ピアノ調律師協会に認定されたピアノ調律師養成機関のひとつです。

この学校では1年間のカリキュラムで調律師になるための必要な基本的知識や技術を学ぶことができます。また調律師養成機関なので、在学中にピアノ調律技能士3級の受験資格が得られます。

カワイ音楽学園がおすすめの理由

カワイ音楽学園がおすすめの理由は次の3つです。

  • メーカー直営ならではの質の高い調律技術が学べる
  • 1年間で調律技術を習得できる
  • 高い就職率

ピアノを含め日本の楽器メーカーとして有名なメーカー直営の調律師養成機関なので、しっかりとした教育を受けることができます。卒業生の多くが河合楽器製作所やその支店、工場、特約店などに就職していますので、調律師として就職するのに有利な点もおすすめです。

日本ピアノ調律・音楽学院

創業93年のウイスタリアピアノ社が母体の音楽学院です。ウイスタリアピアノ社は、日本において古くからピアノ製作、修理、調律を営んできた会社であり、現在でも各内外の有名ピアノメーカーのピアノ販売を手掛けています。

日本ピアノ調律・音楽学院には2年間のカリキュラムを提供している調律科があります。この学校の調律科に通えば在学中にピアノ調律技能士2・3級の取得を目指すことができます。

日本ピアノ調律・音楽学院がおすすめの理由

この学校での資格取得をおすすめできるいくつかの理由があります。

  • 在学中に資格が取得できる
  • 実技教育に重点が置かれている
  • 完全防音BOX完備での個人指導体制

在学中にピアノ調律技能士2級・3級の資格取得が可能です。さらに卒業後、調律師として2年の実務経験を積むだけで1級試験の受験資格が手に入ります。

この学校はピアノ製造の歴史があり、グランドピアノ・アップライドピアノそれぞれの調律・整調・整音だけでなく、日本式・ドイツ式それぞれの方法も学ぶことができます。これまでの歴史的経験を活かし修理に関してもより実践的な授業をベテランの講師から受けることができます。

さらにこの学校では、技術習得のためドイツの工房や音楽ホールでの課外学習なども実施されており、世界で活躍できる調律師を育てることにも熱心です。

ピアノ調律師の資格・試験まとめ

ピアノ調律技能士の資格を取得すれば一流の職人として認められる

ピアノ調律師として就業するために、基本的には特別な資格や試験に合格すること等は必要ではありません。

しかし、ピアノ調律技能士の国家資格があれば、確かな技術を持つ職人として認知してもらうことができます。試験に合格すれば合格証書が交付され、名刺やホームページ上に「〇級ピアノ調律技能士」と書くことができます。

調律師を要請する専門学校などでは在学中でも2級・3級の資格を取得することができます。ピアノ調律師になりたいという目標があるなら、ぜひピアノ調律技能士の資格取得を目指してください。

ピアノ調律師の参考情報

平均年収300万円~400万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種音楽・ラジオ

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