ピアノ調律師の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

ピアノ調律師の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

ピアノには木材や羊毛などの天然素材がたくさん使われています。ですから温度や湿度の影響を受けてしまいます。ピアノが「生き物」と呼ばれるのもそこに理由があります。そのため、ピアノの状態を保ち綺麗な音を出すためには専門の調律師が必要になります。この記事ではピアノ調律師の具体的な仕事内容を紹介します。

ピアノ調律師とはどんな仕事?

ピアノ調律師はピアノを調律し、ピアノの状態を常に良い状態に保つピアノ専門のドクターの様な仕事です。まずはピアノに調律が必要な理由を紹介します。

ピアノ調律師の仕事が必要な理由

ピアノには、木材や羊毛などの天然素材が使われています。そのため、ピアノは暑さや寒さ、湿度などの影響を受けやすい楽器です。

ピアノは鍵盤を弾くと、ハンマーが弦を叩き、それで音が出るという仕組みです。鍵盤からハンマーに力が伝わるまでのこの仕組みは「アクション」と呼ばれており、たくさんの部品で構成されています。ピアノ全体では、約8,000個、アクション部分だけでも6,000個の部品が使われています。

ピアノ1台には230本程の弦があります。そして弦1本には90㎏の力が加わっっており、ピアノ1台には20tの力がかかっています。そのため、普通に置いている状態でも、時間が経過することで音が自然に下がるという傾向があります。

こうした理由でピアノは「生き物」と例えられることがあります。たくさんの部品が共同しながらロスなく動き、かつ演奏者のイメージする音色を出せるようにするためには、調律師という仕事が必要なというわけです。

ピアノ調律師の仕事が生まれた背景

楽器は基本的には演奏者自身が管理し調律します。しかし先ほど述べたように、ピアノはたくさんの部品による複雑な仕組みで構成されている楽器です。ですから、ピアノについて専門的な知識を持っている調律師が調律や保全の仕事を行います。

ピアノという楽器が生まれてからすぐの時代は、演奏家自身が演奏会のたびに調律をしていました。しかし、ピアノの構造の進歩や普及と共に、高度で専門的な知識と技術を持つピアノ調律師の仕事が必要とされるようになりました。

日本のピアノ調律師の数

日本ピアノ調律師協会のホームページでは、正確な数字は分からないとしながらも、会社に所属する調律師、自営業者、フリーランスの調律師などを合計すると約10,000人いると推測されると報告しています。

ちなみに、この協会に所属する認定調律師の数は平成27年度末で約2,500人であり、約30%がピアノのメーカーか販売会社に籍を置く調律技術者です。

ピアノ調律師の仕事の具体的な内容

ピアノ調律師の主な仕事は調律です。調律以外にもいくつかの仕事があります。ピアノ調律師の仕事は次の4つになります。

  1. 調律
  2. 整調
  3. 整音
  4. 修理や保管のアドバイス

これらの仕事をひとつずつ詳しく説明していきます。

調律

ピアノ調律師の主な仕事がこの調律です。先ほど紹介したようにピアノの弦1本には90㎏の力がかかっており、温度や湿度の影響も受けやすい楽器です。時間が経過すると音が自然に下がっていきます。230本ほどある弦を引っ張り正しい音の高さになるように調整します。ピアノの音の高さを合わせ、基本的な音程を作る仕事が調律の仕事です。

ピアノ調律師に調律の仕事を依頼した場合、普通行なわれるのがこの作業です。しかしピアノ調律師は依頼があった場合、次に紹介する3つの仕事も行います。通常これらの仕事を依頼した場合は、調律の料金に加えて別料金が発生します。

整調

ピアノが音を出す仕組みは、鍵盤を弾くと、ハンマーが弦を叩き、それで音が出るというもので、この仕組みは「アクション」と呼ばれていました。整調とは、すべての鍵盤のアクションの仕組みを調整する作業です。

整調の仕事の果たす役割

ピアノ調律師の整調の仕事の果たす役割は、ピアノが最も良い状態で音を出せるようにするという事です。

演奏者の細かな指の動きが鍵盤からハンマーに伝わり、ハンマーが弦の最適な位置を叩くように調整するので、鍵盤のタッチがなめらかになって弾きやすくなる、粒立ちの良い音が出るなどの効果が生まれます。

整音

整音とは簡単に説明すると、音色のチューンナップのことです。弦を叩くハンマーフェルトの形状を整える、弦との噛み合わせや針を刺して弾力を整える、全てのハンマーの音の硬さを揃えるなどの調整を行います。

整音の仕事の果たす役割

調律師の行うピアノの整音はピアニストのイメージにある繊細な音色を生み出すための仕事です。音色をもっとやわらかくしたい、引き締まった感じにしたいなど演奏者や依頼者のイメージする音色のリクエストに答えるという繊細で技術の求められる仕事です。

具体的な方法は、ハンマーフェルト形状や弾力を調整することで、音色に変化をつけます。この作業はたいへん高度で繊細な作業のため、調律師によって生まれる音にも違いが生じます。この整音の作業はピアノ調律師としての個性と腕のみせどころです。

修理や保管のアドバイス

鍵盤を押しても音が出ない、鍵盤が戻ってこないなどのトラブルが生じた場合の修理にもピアノ調律師は応じます。アクション部分の軽度の故障などであればその場で修理することも可能ですが、共鳴版の割れ、フレームの割れなどの症状がある場合は、工場に持ち帰り修理しなければなりません。

こうした修理の依頼以外でも、調律師はピアノの保管場所の温度や湿度の管理に関する相談、防音に関する相談を受けそれにアドバイスすることもあります。

ピアノ調律師の仕事のやりがい

ピアノ調律師としての仕事のやりがいや魅力を最後にいくつか紹介します。

お客様に喜んでいただける

ピアノ調律師の仕事は職人技が求められる技術職ではありますが、個人の家や音楽教室などでお客様と直に接して仕事を行うので接客業の一面も持ち合わせています。

調律したピアノの音を機械や自分の耳で確認してふさわしく調整されたことは確信できても、最終的にはお客様が自分でピアノを弾いて音を聞いて判断するものです。お客様と話をしながら調律し、最終的にお客様が喜んでくれる音を提供できたならそれがこの仕事のやりがいになります。

またピアノの調整を行うことで、音楽に興味を持つ人、音楽に関わる人を増やすことができたという喜びも味わえます。

演奏家と共に音を生み出すという魅力

調律師の仕事は、ピアニストと共にコンサートホールなどのピアノを調律するという仕事もあります。

ピアニストと調律師の関係は、レーサーとピットクルーの関係のようなものです。ピットクルーはレーサーに状態を確認し、マシンを最高の状態に仕上げていきます。同じように調律師はピアニストのリクエストに答えながら、最高の状態で演奏できるようにピアノを調整していきます。

そして大勢の観客の中でピアニストが見事に演奏を終えた時、大勢の観客が最高の音楽に満足しているのを見た時、それがピアノ調律師の仕事の醍醐味を感じる時です。

アルバムに名前が残る

一流のピアノ調律師になれば有名ピアニスト専属の調律師になることもあります。そうなれば、そのピアニストのレコーディングにスタッフとして参加し、最終的には発表されたアルバムに担当調律師として名前が残るということもあります。

海外で活躍できる可能性もある

日本人は繊細な感性を持つ民族として知られています。ピアノ調律師として必須の感覚をすでに持ち合わせており、手先が器用な日本人のピアノ調律師は、すでに海外のピアノメーカーや工房などで活躍しています。

また、海外から来日してコンサートを開くピアニストもたくさんいます。このことから、語学力と技術力があれば海外で活躍できる可能性もあります。

ピアノ調律師の仕事内容まとめ

ピアノ調律師は音の職人

ピアノ調律師の仕事は、たくさんの部品から構成された複雑な仕組みをもつピアノの音を調整する、職人技の仕事です。

時間の経過とともに音が下がるピアノの音の高さを合わせる「調律」、ピアノが最も良い状態で音を出せるようにする「整調」、演奏家のイメージに合う音にセッティングする「整音」などの仕事が主な仕事です。

ピアノの音を調整することでお客様に喜んでもらえたる、ピアニストを支えコンサートの成功を陰で支えるといったことがこの仕事のやりがいです。ピアノ調律師は音楽で人を幸せするというとても魅力的な仕事のひとつです。

ピアノ調律師の参考情報

平均年収300万円~400万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種音楽・ラジオ

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