細胞検査士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
細胞検査士は、癌細胞や怪しい細胞を早期発見するための細胞病理検査を行います。患者ひとりひとりの命に関わる重要な検査を行うので、専門的な知識や資格が必要です。今回は、細胞検査士になるために必要な適性や学歴などについてご紹介します。
細胞検査士になるには何が必要?
細胞検査士は、医師が採取した患者である人体の細胞の一部を顕微鏡で観察して、癌細胞など怪しい細胞を早期発見するという役目を担っています。細胞検査士という職業は、医師の指示の下で臨床検査を行うのがその仕事です。
細胞検査士を目指すための方法は、まず「臨床検査技師」の養成機関で学び、国家資格を取得した後に1年間の勤務を継続した上で、細胞検査士の民間資格の取得を目指すというのが、一般的な道のりです。
臨床検査技師の職場としては、癌の専門病院や大学病院、一般の病院などの医療機関のほか、大学や民間企業等の研究機関や製薬会社など、医療関連の仕事を担う会社や研究所があげられます。
資格取得にも受験のために条件がある
細胞検査士として仕事をするための資格には、臨床細胞学会が認定する「細胞検査士」があります。この試験には受験資格があり、次のどちらかの条件を満たしていることが必要です。
1つ目は、厚生労働省が認定する「臨床検査技師」または「衛生検査技師」の国家資格を取得した上で、さらに細胞検査の実務経験が1年以上あること(ただし、衛生検査技師は現在養成されていません)。2つ目は、細胞検査技師の養成所または養成コースのある大学の卒業生及び卒業見込みの者であること。
以上の2点です。
この「細胞検査士」の資格は更新制となっており、有効期間は4年間です。資格を取得した後、4年を経過してからも引き続き細胞検査士の資格を所有し続けたい場合には、4年間の間に所定のセミナーや学会などで学び、必要単位を満たして申請を行う必要があります。この有効期間は2022年より5年ごとの更新となる予定です。
実務経験を満たすには、医療機関や研究機関に就職して臨床検査士として細胞検査に携わる必要がありますが、採用の予定や求人が極めて少ないので、そういった点ではこの職業に就くのは狭き門であるといえるでしょう。
細胞検査士に向いている人、適性がある人
医療に関わる仕事を希望する人
細胞検査士は、患者さんひとりひとりの細胞と向き合い、癌などの病気の早期発見につながる重要な役目を担います。患者さんと直接向き合う仕事ではありませんが、検査で早期発見ができたおかげで命を救うことができるという点で、やりがいのある仕事です。
細胞検査という、高い専門性を生かしながら医療に貢献できる職業なので、医師や看護師などとは異なる立場で医療関係の仕事に就きたいと希望している人に向いている職業だといえるでしょう。
細かい物を注意深く観察できる人
細胞検査士の仕事は、顕微鏡を使って細胞の標本を観察することです。ひとつひとつの細胞の細かな違いにも気づかなくてはならず、見落としがあってはなりません。そのため、かなりの集中力や精神力が必要な仕事です。性格的には、大雑把な方よりも、鋭い観察力があって細かい事を気にするタイプの方に向いているでしょう。
毎日毎日同じような仕事の繰り返しになりますが、毎回気持ちを切り替えながら、常に新鮮な気持ちで患者さんひとりひとりの細胞と向き合おうとする気持ちを維持できることも、細胞検査士の適性としては大切な点だということができるでしょう。
責任感が強く向学心が高い人
細胞検査士は、医療系の仕事の1つです。医療系の仕事では、人の健康や命に関わる役目を担っているという強い責任感や使命感を持つことが求められます。
自分の専門性を生かした仕事によって、患者さんの命を救うことができるかもしれないと考えたときにやりがいを感じることができるのであれば、細胞検査士としての適性があるといえるでしょう。
また、医療技術は常に進歩し続けています。細胞検査士は、この仕事に就いてからもずっと学び続け、新しい情報に精通していかなければなりません。新しい事を学ぶことに意欲的であること、常に前向きな気持ちで自己研鑚に励むことに生き甲斐を感じることも、細胞検査士としては重要な適性の1つです。
細胞検査士は、医療に携わる一員としての誇りを持ち、高い専門性を生かしながら、検査の仕事を通して医療に貢献していきたいという、強い気持ちを維持し続けることができる人にこそ、向いている職業であるといえるでしょう。
細胞検査士になるための学校
細胞検査士になるための学校には、細胞検査士養成コースのある大学と、細胞検査士養成所があります。
臨床検査技師および細胞検査士養成コースのある大学
臨床検査技師および細胞検査士養成コースは、主に医学部の保健学科や保健学部の医療検査関連の学科にコースが設置されています。
通常、大学の課程で学ぶことによって取得できる資格は「臨床検査技師」のみですが、大学によってはカリキュラムの工夫により、本来1年以上の臨床検査技師としての勤務経験が必要な「細胞検査士」の資格を取得できる大学もあります。
「臨床検査技師」と「細胞検査士」の両方の資格を取得できるコースを設置する予定の大学もいくつかあり、この養成コースを持つ大学が増えてくれば「細胞検査士」の資格取得も目指しやすくやっていくと思われます。
大学では4年間の修業年数の中で、医療分野の基礎となる化学や生物学、医学、解剖学、衛生学などをじっくり学んだ上で実習を行います。大学の中には医療現場さながらの施設・設備が備えられており、大学や近隣の病院で実習を行うといった形で授業が進められます。
授業にあたるのは、臨床の現場で高い実績をもつ教授陣で、大学で学ぶ学生は、4年間という時間をかけて、理論面、実践面にわたって幅広い知識を身に付ける事ができます。「臨床検査技師」の国家資格取得に向けた授業もあり、この養成コースを設置している大学では、高い合格率を誇っています。
細胞検査士養成所
細胞検査士養成所は、主に癌の専門病院に附属する形で設置され、臨床の現場と身近な環境の中で細胞検査士を目指す学生を受け入れています。入学資格は、すでに臨床検査技師の資格を取得するか、取得する見込みの者です。定員は10数名という少人数で、修業期間は7カ月間です。
出願の際にすでに臨床検査士として勤務している職場からの推薦が必要な場合があったり、「臨床検査技師」の国家試験に不合格の場合は退所しなければならないという規則があったりと、養成所で学ぶための条件もかなり厳しいものです。
ひとりひとりに顕微鏡が用意されているなど整った環境で、早朝から深夜近くまで細胞検査に関する高いレベルの学習が行われます。細胞検査士養成所で学んだ卒業生の「細胞検査士」試験の合格率の高さにも定評があります。
臨床検査技師を目指すことができる専門学校
「細胞検査士」の資格取得のためには、臨床検査技師としての実務経験が必要です。細胞検査士を目指すための方法として、専門学校で「臨床検査技師」の資格を取得して就職したり、細胞検査士養成所に入所して学んだりするという方法もあります。
「臨床検査技師」の資格が取得できる専門学校は、主に医療技術系の学校で、修業年数は3年となっています。専門学校には「臨床検査技師科」などという専門学科が設置され、臨床検査に関する専門知識と、充実した実習によって培われる実践的な能力を身に付けることができます。
「臨床検査技師」国家試験に向けた対策も万全で、100%近い高い合格率を誇っています。
細胞検査士になるには?まとめ
大学や養成所での専門的な学びが必要
細胞検査士になるには、「臨床検査技師」の国家資格と実務経験および臨床細胞学会によって認定される「細胞検査士」の資格が必要です。そのためには、大学や専門学校の専門学科や細胞士養成所などで学ばなければなりません。
専門性が高く、人の命に関わる大切な役目を担う職業ということもあり、専門知識や技術だけでなく、強い責任感と使命感、高い観察力などの適性も求められます。
細胞検査士の参考情報
平均年収 | 400万円〜500万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 医療 |
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