家庭裁判所調査官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

家庭裁判所調査官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で取り扱う事案に関する調査を行い、その結果を報告書としてまとめるのが主な仕事です。しかし調査と報告書作成以外にも多くの業務を日々おこなっています。本記事では、家庭裁判所調査官の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。

家庭裁判所調査官とはどんな仕事?

裁判所には最高裁判所と下級裁判所の高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の5つの種類があります。家庭裁判所調査官が働くのは、そのうちの一つである「家庭裁判所」。

家庭裁判所は、家族や親族関係で発生する争いごとを、法律を使って解決することを目的としています。家庭裁判所調査官がおこなう仕事は、これらの事案に関する「調査・報告」です。

家庭裁判所で扱う主な事案にはどのようなものがあるか見ていきましょう。

家事事件

家事事件とは、家族または親族内で起こる争いごと(審判事件・調停事件・家庭内の訴訟事件)を指します。主に、夫婦関係における離婚・慰謝料・子どもの扶養・認知問題、親族関係における相続放棄・遺言書の検認・遺産分割などが例としてあげられます。

家事事件の発生は事案に関わる人間の感情の対立やもつれなどが原因となることが多いため、単に法律に従うのではなく、各当事者の状況や気持ちを理解しながら解決へ導くことを求められます。

少年事件

少年事件とは、20歳未満の未成年が起こした犯罪を取り扱いますが、厳密には次の3種類に分けられます。

1つ目は14歳以上20歳未満の犯罪を起こした「犯罪少年」。2つ目は、刑事責任能力を問われない14歳以下の「触法少年」。3つ目は、現段階では犯罪を起こしていないが非行傾向が見られ、将来犯罪を起こす可能性のある未成年の「虞犯少年」です。

平成29年に警視庁が発表した「少年の補導および保護の概況」によると、少年犯罪の内訳は万引き・占有離脱物横領罪・自転車窃盗・傷害が多くを占めています。少年がこれらの犯罪をし、補導や逮捕されたときは、検察へ送致され家庭裁判所で「少年審判」を受けます。

その他の問題

家庭裁判所が主に取り扱うのは記述の通り家事事件と少年事件ですが、その他にも家庭裁判所の権限下となる戸籍名や性別の変更・養子を里親に委託する審判・国際的な子どもの返還紛争事件なども取り扱います。

家庭裁判所調査官の具体的な仕事内容

家庭裁判所が問題や事件に関する裁判や審判を取り扱うとき、多くは家庭裁判所調査官が調べた調査報告をもとに、裁判官や調停委員が審判を下したり問題を解決したりします。

ただし、全ての事案に関して調査が必要とされる訳ではなく、裁判官が必要と判断した事案にのみ調査命令が出され、調査官が調査と報告書の作成をおこないます。

ここでは、少年事件が発生したときの家庭裁判調査官の主な仕事の流れについて解説します。

調査の事前準備をする

家庭裁判所調査官は実際の調査をする前に、さまざまな事前準備をする必要があります。

起こった少年事件から想定される事件の動機や原因・少年像・学校や家庭環境・それまでの生活歴など非行や事件に至った経緯を想定し、事案から考えられるある程度のイメージや仮設を頭の中に立てておきます。

また、調査でのアプローチ対象や方法、調査事項をはっきりと決めておくことも重要です。加えて、それまでの非行や犯罪履歴の有無、学校照会書の確認をし、しっかり目を通して内容を把握しておきます。

実際の調査にあたる

家庭裁判所調査官の行う調査内容は、面接調査・書面や電話照会・家庭や学校訪問・心理テストなどです。詳しく調査を行った上で、非行や事件に至った原因や経緯を突き止め、内容に応じて教育的措置の働きかけをおこないます。

面接調査

あらゆる調査の中でも面接調査は事案内容を知る上で一番重要なポイントを占める業務です。ここでの主な面接対象者は少年と保護者。在宅事件の場合は両者とも家庭裁判所で1回、必要であれば数回の面接を行います。

少年本人の身柄が拘束されている場合は、少年本人は少年鑑別所において3~4回、保護者は家庭裁判所で1~2回の面接をします。少年本人からは非行や事件を起こしたときの状況や心理、家庭環境を聞き出します。

また、保護者からも家庭環境や少年の性格などを聞き出し、生育歴の把握、保護者本人の教育態度などの判断など、広範囲にわたる関係者の生活環境や状況を把握します。少年本人の傾向や資質をさらに深く知るために、面接以外に心理テストを実施することもあります。

分析と評価

面接調査で得た情報をもとに「非行や事件がなぜおこったのか」「抑止できる要素はあったのか」「再度問題を起こさないためにはどのような施策があるのか」などを考えます。

主な連携機関は児童相談所・保護観察所・少年鑑別所など。少年を更正させるために、保護処分がおこなわれるときは、事案の内容と本人の資質を考慮した上で適切な教育的措置の方法を考えます。

更正へ向けてのプログラムとは

家庭裁判所では少年を更生に向けて歩ませるために、各庁においてさまざまなプログラムを用意しています。少年をプログラムに参加させる目的は「自分の起こした非行や犯罪の意味を考えて反省する」「自分を知る」「どうしたら問題を解決できるかを考える」などです。

プログラムの内容は清掃などの「体験学習指導」、保健指導や交通講習の「セミナー指導」、親子合宿や保護者の会などの「グループワーク指導」、学習支援や就職に向けて支援を行う「就労・学習支援指導」に大きく分類されます。

少年がこれらのプログラムへ参加することは「どのような心理状態や原因で問題を起こしたのか」を本人に認知させ気づかせることで、再犯の防止や今後正しい道に導く重要な施策となります。

また保護者にとっても、同じ境遇の人達と子どもの教育上での悩みを打ち明けたり、共有したりすることで、今後子どもとの関わり方を学ぶ良い機会になります。

報告書の作成をする

家庭裁判所調査官の作成する報告書は「少年調査票」と言います。記載されている内容は、調査官が面談や訪問等で得た情報またはそれに対する専門的知見からの分析など。事実事項だけでなく、調査官が調査をして感じた評価や意見などの記載もされます。

少年調査票は審判が始まる前に裁判官に提出され、裁判官はこの資料をもとに審理をおこないます。少年事件の審判の結果には、少年院送致などの「保護処分」、処罰に値するとされた場合の「検察官送致」、家庭裁判所の教育的措置だけで更正が見込まれる場合の「不処分」などに分かれます。

少年調査票は審判の際に裁判官が使う書類としてだけでなく、各連携機関で参考資料としても利用されます。

審判への出席

少年事件における審判では、家庭裁判所調査官が出席する場合とそうでない場合があります。出席しないのは、スケジュールによって出席が困難な場合、大きな事案でない場合など。

ただし、裁判官が家庭裁判所調査官の出席が必要と判断した事案や、観護措置や試験観察中の事案の場合は少年審判への出席が求められます。審判の最中は裁判官と同様に質問などの話しかけをすることが可能です。

家庭裁判所調査官の仕事のやりがい

ここでは家庭裁判所調査官の仕事のやりがいや魅力についてご紹介します。

専門性を高めながら成長できる

家庭裁判所調査官は法律の知識はもちろん、心理学や面接技法など多岐にわたる専門性を駆使しながら仕事をしなければなりません。正式に調査官になった後にも年に数回研修が行われ、長く働けば働くほど実務で得た知識や経験を後の仕事に生かすことができます。

また、調査官は多くの人との関わりを持つ仕事です。そのため、多くの事案を取り扱う中で新しい側面から物事を判断できるようになったり、今まで気づかなかったことを発見したりと、自分が成長している実感を得ることができるでしょう。

問題解決と同時に社会貢献ができる

家庭裁判所が扱う多くの事案は家庭内で起きる問題です。調査員は法律に則って事務的に業務を遂行するのではなく、当事者の気持ちに寄り添いながら問題を良い方向へ向かわせる努力をします。

特に未成年の犯罪に関しては教育的支援を行い更正へ導くなど、事件を起こした後のケアもします。このように、調査員の仕事は大変社会意義が大きいといっても過言ではないでしょう。

家庭裁判所調査官の仕事内容まとめ

家庭裁判所調査官は人と向き合う仕事

家庭裁判所調査官の主な仕事は、事案の調査と報告書の作成なので一見単調な業務に思われがちです。しかし、一つ一つの案件の内容は全て異なり、事案の当事者や周りの人の気持ちをくみ取りながら、仕事を進めることを求められます。

人としっかり向き合うことは大変ですが、その分事件を起こした少年たちを更正に向かわせるなど、社会的意義の大きさややりがいを存分に味わうことができる仕事でもあります。

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