家庭裁判所調査官になるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説

家庭裁判所調査官になるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説

家庭裁判所調査官になるには難しい試験に合格する必要があり、合格しても約2年間の研修を受けなければなりません。その後、晴れて国家公務員である「家庭裁判所調査官補」として任官されます。本記事では、家庭裁判所調査官になるために求められること、向いている人の特徴などについてご紹介します。

家庭裁判所調査官になるには何が必要?

家庭裁判所調査官には、法律知識・教育学・社会学など多くの専門知識を求められます。これらの知識を習得し、最終的に職に就くためには、裁判所が実施する試験に合格しなければなりません。

裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)に合格する必要がある

家庭裁判所調査官になるには「裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)」に合格することが最初の目標です。

この試験には「大卒程度区分」と「院卒者区分」に分けられており、高い学歴を求められます。また同時に大卒程度(見込みを含む)の場合は21歳以上30歳未満、院卒者(見込みを含む)は30歳未満という年齢制限も設けられています。

「家庭裁判所調査官補」として任官される

裁判所職員採用総合職試験に合格したら国家公務員である「家庭裁判所調査官補」として任官されます。そして合計2年間の養成課程で研修を受け講義を修了しなければなりません。2年間の研修内容と開催場所の主な内訳は以下の通りです。

  • 総合職採用職員初任研修(裁判所職員総合研修所)
  • 1.予修期研修(配属庁・約1ヶ月)
  • 2.前期合同研修(裁判所職員総合研修所・約3ヶ月間)
  • 3.実務修習(配属庁・約1年間)
  • 4.後期合同研修(裁判所職員総合研修所・約6ヶ月間)

研修の最初におこなわれる「予修期研修」では、家庭裁判所において実際の審判を見学し、初歩的な知識の習得をします。2番目の前期合同研修は講義を受けることで基礎的な技法または知識の習得に励みます。

次に行われる実務修習では実際に指導者の下につきながら調査の補助を行い、事案に取り組みながら実践的な技法と知識を学びます。最後の後期合同研修では演習を行い、専門的技法や知識の研修を受けます。

このように、2年間の研修の中には基礎的な知識を得るところから始まり、最終的には実務に加わったり専門的な知識を習得したりとスキルアップをはかります。家庭裁判所調査官補は、全ての研修内容を修了してはじめて「家庭裁判所調査官」に任官されます。

家庭裁判所調査官になった後も研修は続く

家庭裁判所調査官補の間に受ける養成課程を修了し、家庭裁判所調査官やその上の主任家庭裁判調査官になっても、定期的な研修は続きます。

応用研修・専門研修・特別研修・中間管理者研修など、その時々の経験年数に合わせて、調査官としての技量や知識を高める努力が求められます。

家庭裁判所調査官に向いている人、適性がある人

ここでは、家庭裁判所調査官に向いている人の特徴や性格、適性について解説します。

責任感と思いやりのある人

家庭裁判所調査官は主に家庭内で起こる紛争や問題、少年事件について審判をするための調査や報告をおこないます。そのため、自分の担当した事案について最後まで責任を持って解決をしようとする気持ちが重要です。

特に未成年が起こした事件に関しては、審判を下すために仕事をするだけでなく、その後の更正の道を考えたり、当事者の気持ちに寄り添いながら仕事を進めたりする思いやりの心が重要となるでしょう。

デスクワークとフィールドワーク両方をこなせる人

調査と報告書の作成を主な仕事とする家庭裁判所調査官は、デスクワークとフィールドワーク両方の業務を効率的におこなうことを求められます。面談や事案の分析など机に向かってする仕事も多いのは事実ですが、調査を行うためには自分の足で情報を収集しなければなりません。

出向く先は少年鑑別所・保護観察所・児童相談所や学校など。また、裁判官とのミーティングをしたり、事案関係者のいる場所に出向いたりするなど、フットワークが軽いことが重要な資質となるでしょう。

観察力・分析力・徹底的に調べ上げる力のある人

家庭裁判所調査官の作成した報告書の内容は、裁判官が審判を行う上での重要な情報源になります。そのため事案の調査を少しでも怠った場合は、審判を受ける当事者に間違った結果を与えてしまう可能性もあります。

そのため、家庭環境や親族の人間関係、それまでの生育歴や学校での様子など、事案に関係する全ての情報を徹底的に調べ尽くす力や観察力が必要となるでしょう。また、調査結果をもとに「どうしてこのような問題が起こったか」「これからどうすれば良いか」ということを考えられる冷静な分析力も必要です。

調査官は少年や家族の気持ちに寄り添いながら業務を遂行しなければなりませんが、一方では客観的な視点で物事を冷静な目で判断する力も加えて必要とされるでしょう。

数年おきに転勤があっても構わない人

家庭裁判所調査官は総合職であるため、転勤や移動は避けられません。養成課程で研修を受ける「家庭裁判所調査官補」に任官されている間は、東京・大阪・福岡・札幌・広島などの大都市にある大きな庁に配属されます。

約2年間の研修を終えて「家庭裁判所調査官」に任官された後は、人材育成のために3年ごとに小規模庁、中規模庁への異動や転勤が命じられます。各々の希望する庁に異動できるのは9年目以降と言われていますが、昇格やその時々の事情に応じたローテーションがなされるため、一概に自分の希望が通ると断言することはできません。

家庭裁判所調査官として働くなら「どのような地域に配属されても構わない」という心構えでいることが重要です。

家庭裁判所調査官になるための学校・教室

家庭裁判所調査官に求められる学歴や学力、学校などを紹介します。

試験を受けるには最低でも大卒以上の学歴が必要

家庭裁判所調査官になるには、まずは「裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)」の試験に合格しなければなりません。

この試験は「大卒程度区分」と「院卒者区分」の2つに分けられているので、最低でも大学を卒業(見込み・最高裁判所が認める同等の資格を有している者を含む)していることが必須条件です。

家庭裁判所調査官補は国家公務員の中でも人気の職種であり、難易度がとても高い試験のため、大学卒業といってもかなりの高い学力が必要となることは言うまでもないでしょう。

採用試験に有利な学部がある

裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)の試験内容は、数年ごとに少しずつ内容が変化しています。

2020年度から以前に比べ試験の実施方法が少し変わり、基礎能力が問われる多肢選択式の第1次試験、専門知識が問われる記述式試験・集団討論や個別面接を行う人物試験の第2次試験方式となりました。

特に第2次試験の記述式の出題内容は(これまでとほぼ同様になるとされている)心理学・教育学・福祉・社会学・法律学に関係する領域が出題されます。そのため、大学ではこれらの学問に関係のある学部であらかじめ勉強をしていた方が、試験対策をする上では、大変有利です。

家庭裁判所調査官を目指して大学に入学する場合は、心理学部・教育学部・社会福祉学部・社会学部・法学部などを選択し、試験に通じる内容を学べるかどうかを予めよく調べておきましょう。

公務員予備校の活用

大学に通いながらも独学だけでは不安な場合は、公務員予備校を併用しながら勉強をする方法もあります。家庭裁判所調査官になるための代表的な公務員予備校を2つ紹介します。

クレアール

クレアールの公務員講座は、Web専用スタイルが特徴です。校舎は東京に1ヶ所のみなので、時間にとらわれずに勉強したい人や地方に住んでいて通学が難しい人などに適しているといえます。

通信講座なので価格が安いこともメリット。パソコンだけでなくスマホやタブレットなどで何時でも好きな場所で受講できるのも魅力です。通信講座であってもメールや電話での相談が可能で、模擬面接も無料で受けられます。

LEC東京リーガルマインド

LEC東京リーガルマインドで学ぶなら、通信と通学のいずれから選択が可能です。校舎は全国各地にあり、どちらの学習スタイルでも自習室を使用が可能です。

家庭裁判所調査官は心理系公務員に属しますが、LECにおいては色々なコースが数多く設定されているのが魅力です。また併願コースもあるので他の公務員試験も考えている人にとっては学習しやすい環境になるでしょう。

家庭裁判所調査官になるには?まとめ

まずは家庭裁判所調査官補の採用試験の合格を目指そう

家庭裁判所調査官になるには、まずは「家庭裁判所調査官補」の採用試験合格を目指しましょう。

この試験は人気もあり難易度が高いため、試験に有利な学部に入ったり、公務員予備校の講習を受けたりしながらしっかりと試験対策を行うことが重要です。

また、家庭裁判所調査官への適性を持っている人は、真摯に仕事に向き合い、思いやりを持ちつつも客観的な視点で物事を判断できる人だとといえるでしょう。

家庭裁判所調査官の参考情報

平均年収500万円~700万円
必要資格
  • 裁判所職員採用総合職試験
資格区分 試験合格
職業職種法律・政治

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