国会議員の資格・試験とは?国会議員として活動する資格を得るには選挙で当選することが必須

国会議員の資格・試験とは?国会議員として活動する資格を得るには選挙で当選することが必須

国会議員を目指す上で、特別な資格や試験は必要ありません。ただし、国会議員として活動するための資格を得るには、国民投票による選挙において当選する必要があります。本記事では、国会議員となる資格を得るための衆議院選挙・参議院選挙など、選挙についてご紹介します。

国会議員に必要な資格とは?

国会議員を目指す上で特別な資格や免許は不要

国会議員は「全国民を代表する選挙された議員」(憲法第43条)を指し、様々な役職があるものの、基本的には日本の国会は国会議員で構成されています。

国会議員の身分は憲法によって保証されており、憲法第43条には、「国会議員の身分は選挙による当選の効力の発生によって取得される」とあります。公職選挙法に規定された選挙制度に基づいた各選挙で当選を果たすことで、国会議員になる資格を得ることができます。

つまり国会議員になるために、特別な資格や免許は必要がありません。ただし、選挙(年齢制限あり)に当選しなければ国会議員になることはできません。

また、国会議員には各議院別に任期があります。任期を満了した後も継続して国会議員の仕事を続けるには、再度選挙に立候補して当選を果たす必要があります。

国会議員は衆議院議員と参議院議員に大きく分けられる

日本の立法府である国会は、下院としての衆議院と上院としての参議院から構成されるいわゆる二院制をとっています。衆議院と参議院では、任期も違えば選挙に立候補できる被選挙権を得られる年齢も異なっています。

衆議院議員の場合、任期は4年となっています。任期は4年ですが、衆議院には解散制度があり、所定の手続きを経て衆議院が解散した場合には、任期満了前に任期が終了となってしまう可能性があります。

参議院議員の場合の任期は6年ですが、3年ごとにその半数が対象となる議員が決められた上で改選されます。参議院自体の解散はないため、改選の対象とならない限りにおいては6年の任期をしっかり満了できます。

どちらの議院の国会議員でも共通しているのは、18歳以上の全日本国民に対して選挙権が与えられ、そうした選挙権を持つ人々からの投票を集めて当選することで国会議員となる資格を得られる、議員定数が各議院ごとに公職選挙法に基づいて規定されているという点です。

選挙に出馬するための諸条件・難易度

まずは日本国籍を持つ者である必要がある

選挙に出馬するためには、まず日本国籍を持つ者である必要があります。公職選挙法第10条に規定されている通り、全ての被選挙権について「日本国民」の文字が明記されています。

被選挙権を得られる年齢に達する必要がある

選挙に出馬するためには、規定の年齢制限があります。選挙に立候補できることを「被選挙権を得る」と言いますが、被選挙権を得られる年齢は各議院によって異なっています。

衆議院議員の場合、被選挙権は25歳以上の日本国民に与えられます。参議院議員の場合、被選挙権は30歳以上の日本国民に与えられます。

罪を犯し禁錮刑に処された人や執行猶予中の人は立候補できない

なお、被選挙権は特定の条件に当てはまることで失われることもあります。こうした特定の条件の例として罪を犯した場合が挙げられます。公職選挙法において権利を失ってしまう条件が規定されています。

被選挙権を失うのは、禁錮以上の刑に処せられた者でまだその執行が終わっていない者とされています。なお、選挙に関する犯罪以外の罪であって、かつ実刑に処されず執行猶予中であれば、被選挙権を失うことはありません。

ただし、公職選挙法に定める選挙に関する犯罪、政治資金規正法に定める犯罪を起こした際は、選挙権・被選挙権が停止させてしまいます。

また、公職にある間に収賄罪で実刑に処せられた場合、選挙権は実刑執行終了から5年、被選挙権は実刑執行終了から10年の間は失われてしまいます。また収賄罪の場合では執行猶予期間中であっても選挙に出馬はできません。

選挙に出馬するためには規定の資金が必要になる

選挙に出馬するためにまずは「供託金」が必須となります。供託金とは、法律で決められた金額を一時的に法務局に預けるお金のことで、こうした制度によって候補者を絞り込み、当選を争う気がない立候補や愉快犯的な立候補の乱立を防いでいるわけです。

供託金は非常に高額となり、衆議院小選挙区では300万円、衆議院比例代表では候補者1名につき600万円、参議院大選挙区では300万円、参議院比例代表では候補者1名につき600万円となっています。

また供託金の他、選挙事務所の家屋費、通信費、選挙にかかるハガキやポスターなどの印刷費、選挙カーや看板などの広告費、筆記用具代、選挙運動員の人件費や宿泊費、雑費など選挙には沢山のお金が必要です。お金がなければ出馬もできませんし、勝ち残ることも難しくなっています。

国会議員になる資格を得られる衆議院選挙

衆議院総選挙は小選挙区比例代表並立制

現在、日本における衆議院選挙は「小選挙区比例代表並立制」という制度に基づいて実施されています。名前の通り「並立」となっていますので、「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」の2つの制度に基づく選挙が同時に並立して実施されます。

18歳以上の全国民が選挙権を持つ「有権者」となります。選挙において有権者は1人2票を保有し、小選挙区選挙では各選挙区において立候補している「候補者名」を、比例代表選挙では「政党名」をそれぞれ投票用紙に書いて投票する形となります。

小選挙区選挙は、全国各地に289の小選挙区を設け、各小選挙区から1人の議員を選出する選挙制度です。公職選挙法改正によって小選挙区比例代表並立制が施行された際は300区あり、2013年の区割り変更で295区になりましたが、2017年にさらに区割りが変更され、現在では289区となっています。

小選挙区選挙では、1つの選挙区に対して最多数の票を獲得した1名のみが当選となります。これは公職選挙法第95条の規定によるもので、デメリットとしては最多数の票を得られた1名のみが当選となることによって僅差で落選した立候補者も多く発生するため、「死票」を生む可能性が大きくなることです。

こうした当選者以外の票として無駄になってしまった「死票」など結果として反映されない有権者の意見を正確に反映させる策として、比例代表選挙が併設されています。比例代表選挙によって、得票数に応じて複数の当選者を選ぶことが可能となります。

比例代表制で「復活当選」も可能

比例代表選挙では、全国を11のブロックに分けて選挙が行われるため、各政党は11のブロックそれぞれに複数の立候補者を立てます。有権者が「政党名」を書いて投票することによって、その得票数に応じて各党別の議席数が決まっていくという仕組みになっています。

また比例代表選挙では、各党は複数の候補者の間で優先順位をつけており、選挙の結果得られた議席数に応じて優先順位が高い人から順番に当選するというシステムもあります。

政党所属の議員であれば、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方に立候補できる場合もあり、これを「重複立候補」と言います。両方の選挙に立候補しておけば、小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で当選する可能性もあるということです。これを俗に「復活当選」などと呼びます。

とはいえ、小選挙区制での当選人数の比重が大きいため、各選挙区で最多票を取らなければならないプレッシャーは非常に大きいです。1票の差でも最多票に届かない場合は落選となり、こうした所に衆議院選挙の難しさがあります。

国会議員になる資格を得られる参議院選挙

参議院通常選挙は選挙区制と比例代表制が独立している

参議院通常選挙においては、衆議院選挙と同じように選挙区制と比例代表制が同時に成立しているものの各々が独立している、というところが特徴的です。

被選挙人からみれば、衆議院選挙と違い「重複立候補」や「復活当選」ができなくなっています。当選人数も少ないので衆議院選挙よりも当選が難しいと言えるかもしれません。

かつては「非拘束名簿式」と言って、比例代表選挙において、衆議院とは違い、政党からの候補者の間で順位はつけられない制度が参議院選挙には導入されていました。ですが、今夏(2019年夏)より、特定枠として衆議院選挙と同じように政党からの候補者に優先順位がつけられるようになりました。

また、参議院の場合は3年ごとに半数改選となるので、衆議院選挙のように総入れ替えのシステムではありません。議員定数は衆議院が465人(小選挙区289人・比例代表176人)に対し、参議院では248人(大選挙区148人・比例代表100人)の議員定数の半分である124人(大選挙区74人・比例代表50人)が当選することになります。

有権者による投票方法の大まかな仕組みは衆議院選挙と同じですが、こうした諸々の違いがあるため衆議院選挙とは大きく性格を異にします。

国会議員の資格・試験まとめ

国会議員になる資格を得るには選挙に出馬しなければ始まらない!資金も豊富に必要

国会議員は、選挙に当選しなければなれない職業です。また、選挙に出馬するためには被選挙権を得る必要があり、被選挙権を得るには所定の年齢や条件に当てはまる必要があります。

そもそも被選挙権を得られなければ国会議員になるスタート地点にも立てませんが、被選挙権を得ても供託金その他の豊富な資金がなければ、選挙戦を勝ち残っていくことはできません。

明確な政策や政治的主張だけでなく資金もなければいけない、というのが、国会議員になる資格を得るための特異性であり最大の難度かもしれません。

国会議員の参考情報

平均年収2300万円~4200万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種法律・政治

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