医師の資格・試験とは?医師国家試験の概要などについて解説

医師の資格・試験とは?医師国家試験の概要などについて解説

医師の活躍できる分野はたくさんあります。しかし、どの分野に進むにしても医師国家試験に合格して資格を取得することが必要です。その他にも、多くの関連資格があります。この記事では、基礎資格となる医師国家試験、専門性を証明するための資格に関する情報をご紹介します。

医師に必須の資格、医師国家試験とは?

これがなければ何も始まらない!医師国家試験

医師国家試験は、医師免許を取得するために必要な国家資格で、厚生労働大臣より与えられます。

受験資格などについては、医師法第9条~16条に定められています。死体検案書の作成を唯一行うことができるなど、名称・業務とも独占権のある資格です。

同試験は医師実地修練制度に基づいて1946年に始まり、2018年からは出題数400問、毎年春(2月)に2日間の日程で行われています。

2日間にわたって受験が必要なので、体力的・精神的に非常にハードといえるでしょう。

出題範囲は幅広く、英語を取り入れた問題が出ることもある

医師国家試験の特徴は、出題範囲・内容の幅広さです。医師法第16条の2において、「診療に従事しようとする医師は、2年以上臨床研修を受けなければならない」と規定されています。

そのため、資格試験の基本的な考え方として、下記のような考え方で実施されています。

  1. 臨床実習での学習成果を中心として、臨床研修開始前の全体的な到達度を確認する。
  2. 医師としての基本的な姿勢を含めた診療能力があるかどうかを見る。
  3. 「医学総論」、「医学各論」では、日本国内にあるどの医療機関でも対応できるような内容に限定して出題する。

治療の基本や主要疾患などといった必須の基本的事項から、保健医療や予防と健康管理などの医学総論、精神疾患や心臓疾患などの各分野からまんべんなく出題される上、英語を取り入れた問題が出ることもあるので、しっかりと準備を行うことが求められます。

医師国家試験の試験概要・難易度・合格率

医師国家試験の試験概要

合格率

全国平均 約88%~90%前後

受験資格

医師法第11条、12条の規定に基づき、次のうちいずれかに該当すること

  • 学校教育法に基づく大学において、医学の正規の過程(医学部医学科・6年制)を修めて卒業したもの(※)
  • 防衛医科大学校を卒業したもの(防衛省設置法第17条の規定による)(※)
  • 医師国家試験予備試験に合格したもので、合格後1年以上の診療および公衆衛生に関して実地修練を経たもの
  • 外国の医学校を卒業、または外国で医師免許を得たもので、上記の2つと同等以上の学力および技能を有し、かつ厚生労働大臣が適当と認定したもの
  • 沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令第17条第1項の規定により、沖縄復帰前に琉球政府の医師法(1955年立法第74号)の規定による医師免許を受けたとみなされるもので、厚生労働大臣が適当と認定したもの

(※)試験実施年の3月に医学部医学科の正規全課程を終了する見込みのものも可。

受験費用

15,300円(受験費用相当の収入印紙を受験願書に貼付)

出題範囲

【必修の基本的事項】
  • 社会と医療
  • 医師のプロフェッショナリズム
  • チーム医療
  • 一般教養的事項

など全18項目

【医学総論】
  • 保健医療論
  • 人体の正常構造と機能
  • 病因、病態生理
  • 診察

など全9分野

【医学各論】
  • 精神・心身医学的疾患
  • 血液・造血器疾患
  • 神経・運動器疾患
  • 感染性疾患

など全13分野

合格率は高いが、出題範囲は広い。しっかりと対策を!

医師国家試験は、下記3つから構成されています。

  • 必修の基本的事項
  • 医学総論
  • 医学各論

問題は全部で400問あり、すべて選択制(マークシート方式)です。問題は必修問題とそれ以外に分けられています。ただし、採点除外の取り扱いとする問題が出てくる関係上、合格基準は毎年異なります。

以下は、2019年2月に実施された第113回医師国家試験の合格基準です。

(1)【必修問題】

一般問題 1問1点
臨床実地問題 1問3点
合格基準 総得点が160点以上(満点200点)
※全体の8割

(2)【必修問題以外の一般・臨床実地問題】

一般問題 1問1点
臨床実地問題 1問1点
合格基準 総得点が209点以上(満点296点)
※全体の約7割前後

(3)【禁忌肢問題選択数】

合格基準:指定された問題のうち3問以下であること

それぞれの基準は必修問題が8割、それ以外が約7割前後となります。また、禁忌肢を一定数以上選んでしまった、もしくは(1)と(2)の試験問題のいずれかで合格ラインを下回った場合は、不合格となるので注意が必要です(合格基準についての詳細は後述)。

医師国家試験の合格率

さて、これだけ厳しい基準が設けられている医師国家試験ですが、合格率を聞くと少しびっくりするかもしれません。今年2月に実施された第113回医師国家試験の合格率は89.0%(合格者数:9,029人/受験者数:10,146人)。

以前は、試験の難易度などによって合格率が60%台になることも珍しくありませんでした。しかし、ここ10年は88%~91%台で推移し続けています。

難関国家資格といわれる司法試験の合格率が29.1%(2018年、法科大学院修了者)、公認会計士が同じく11.1%(2018年、最終合格者)であることを考えると、驚異的な合格率といえるでしょう。

ただし、「合格率が高い=難易度が低い」と決めつけるのは早計です。医師国家試験の出題範囲は、全科目を網羅して臨床の現場に出てから必要になると思われる分野について出題されるので、必然的にその範囲は広くなります。

医学部生としての6年間で真面目に実習の授業を受け、特に5年生~6年生の2年間は、それこそ脇目もふらずに勉強に励むことが必要です。しっかりと対策を立てて、準備万端で臨みましょう。

合格ラインは絶対基準と相対基準で決まってくる

医師国家試験の合格ラインは、下記のような考え方で設定されています。

必修問題と禁忌肢 絶対基準
必修以外の一般・臨床実地問題 相対基準

つまり、必修と禁忌肢は全受験生の出来にかかわらず、一定ライン以上の得点が求められるということになります。そのため、必修問題に関しては、周りの出来不出来に関係なく8割以上正解していることが必要です。

一方、必修問題以外の一般・臨床実地問題は相対基準です。必修問題以外の基準は、全受験生の出来不出来で変わることを意味します。第113回の合格基準が約70.6%、第112回は同じく約69.6%と、例年は65%~70%前後です。

禁忌肢とは、医師として絶対に間違えてはいけないもの

医師国家試験が他の資格試験と異なる大きな特徴が、「禁忌肢」が設けられている点です。

「禁忌肢」というのは、医師を目指すものであれば、絶対に正解すべき(間違えてはならない)問題のことで、毎年何問かこうした禁忌肢が設定されています。

どの問題が指定されているのかについては非公開となっていますが、試験作成者が指定した問題については、4問以上間違えるとそれ以外で合格ラインを上回っていても不合格となるので注意が必要です。

医師国家試験に合格したら、研修先に報告して医籍登録を行おう!

医師国家試験は毎年2月上旬~中旬の2日間行われ、合格発表は3月中旬~下旬に行われます。医師国家試験に合格したら、まずは研修医からスタートするのですが、採用に際しては医師免許を取得する前提で採用されています。

そのため、万が一国家試験に不合格だった場合、自動的に採用も取り消しとなってしまいます。なので、合格したことを確認したら研修医として入職予定の研修先に連絡をして、お世話になる旨を伝えるようにしましょう。

その次に行わなければならないのは、医籍登録の手続きです。医籍登録とは、医師免許を得たものの氏名・本籍などの情報を登録するために行われ、その帳簿は厚生労働省が保管しています。

これを4月1日までに行わないと、医療行為ができないので、万が一登録が遅れると、その間無休ということになりかねません。

合格発表から研修先への入職までとなると、約2週間しかないので本当にギリギリです。合格発表当日に動いていたのでは間に合わないので、合格発表までに書類を揃えてすぐに提出できるようにしておきましょう。

医籍登録に必要な書類は、下記のとおりです。

  • 医師免許申請書
  • 健康診断書(発行日から1ヶ月以内ものの)
  • 登録済証明書用ハガキ(62円切手を貼付)
  • 戸籍謄本(発行日から6ヶ月以内もの)
  • 登記されていないことの証明書
  • 収入印紙60,000円分(登録免許税)

この中で、特に注意しなければならないのが「戸籍謄本」と「登記されていないことの証明書」の2つです。

戸籍謄本は、本籍地のあるく市町村役場で申請しなければなりません。本籍地に住んでいるのであれば、直接出向けばその人のうちに発行が可能です。しかし、遠方に住んでいる場合は郵送しかありません。郵送であれば約3~4日、連休があればもっとかかるので、余裕を持って申請しましょう。

登記されていないことの証明書とは、あなたが成年被後見人もしくは被保佐人として登記されていないことを証明するための書類です。成年被後見人と被保佐人は、医師法の欠格事由に該当するので、そうでないことを証明する必要があり、そのための書類になります。

こちらも同じく発行日から6ヶ月以内のものが有効で、法務省に直接出向くか郵送で申請してください。法務局に行けば即日交付してもらえますが、郵送であれば10日程度かかるので注意が必要です。

手続きが完了したら、「登録済証明書用ハガキ」が届きます。これは、医師免許が届くまでの仮の証明書です。入職日に提出を求められることもあるので、求められたら提出してください。

その他、医師に関連する資格

医師国家試験合格後も、さまざまな認定医資格がある

これは医師国家試験合格後のことになりますが、専門分野(学会)ごとにさまざまな認定医・専門医制度があります。

整形外科の分野であれば、スポーツ医。リウマチ医、運動器リハビリテーション医などがあります。

その他にも、肝臓専門医、消化器内視鏡専門医、老年病専門医、救急科専門医、超音波専門医など、診療科目ごとに様々な分野の認定医・専門医があり、多くの医師がその認定を受けています。

受験資格は各認定位・専門医ごとに基準が定められており、試験を受けて合格すれば認定医を名乗ることが可能です。

これらの認定医・専門医については、取得してもしなくても問題はありませんが、持っていればその分野について十分な知識を有する証明にはなります。

医師国家試験の受験資格が取れる学校

医師国家試験の受験資格は色々とありますが、もっとも確実なのは大学の医学部医学科を卒業することです。

ちなみに、医学部医学科は全国47都道府県に最低1校設置されており、全体では国公立・私立・大学校の合計で全国に80校あります。

学校選びの基準としては、やはりオープンキャンパスなどに積極的に参加して、雰囲気をつかむことが大事です。

もちろん、医学部に入るということはよほどのことでもない限り国家試験を受験するということでもあるものの、合格率だけがすべてではありません。

ここでは、医学部のある学校の中から3校程度を抽出して紹介していきます。

自治医科大学

自治医科大学は栃木県下野市にある、私立の医科大学です。この大学の特徴は、なんといっても全国47都道府県が共同で設立したという点にあります。つまり、「地域医療に人材を供給する」ことを是としているということです。

そのため、近年は各地の医大も行いはじめた「地域枠」との関係で、志願者もやや減少気味なものの、各都道府県から毎年2~3名を選抜して、その選び抜いた学生に医師国家試験で一発合格すべく教育をしています。

6年という期間の中で医療人としての医学教育はもちろんのこと、人間教育にも力を入れています。

人気の理由は奨学金制度の充実などの手厚いケアにあり

自治医科大学は、2013年から今年まで医師国家試験合格率7年連続1位に輝いています。今年も125名が受験して124名が合格、合格率は99.2%という驚異的な数字です。

では、どうしてこのような高い合格率を維持できるのでしょうか。その理由が、大学の設立理念と充実した奨学金制度。

もともと、「地域医療に人材を供給する」という理念のもと、各都道府県が共同で設立したのが自治医科大学です。毎年都道府県ごとに2~3名を選抜して、医療の知識や技術を教えています。また、それだけでなく地域社会でリーダーになるべく、そうした資質を身につけるための教育にも力を入れています。

その他大きいのが、充実した奨学金制度でしょう。当大学では、奨学金の貸与を行っています。これについては、大学卒業後に出身都道府県が指定した病因で修業年限の1.5倍(9年間)勤務することで、返済が免除されるのです。

毎年、意識の高い学生が集まり、少人数の中で教育された学生が切磋琢磨することで、高い合格率を維持しています。

横浜市立大学

横浜市立大学は、神奈川県横浜市にある公立大学です。毎年安定して上位に入っている数少ない国公立大学で、2018年度は自治医科大学について2位に入っています(受験者87名、合格者85名、合格率97.7%)。

大学院医学研究科と同大学が有する附属2病院と連携して、基礎医学と臨床医学の最先端を学ぶことのできる体制づくりが大きな特徴です。

附属病院では、最新の医療技術を導入することで最先端医療を使った全人的医療を実践できる人材を作ることをモットーとしています。

少人数のきめ細かい教育

横浜市立大学では、1年次は「共通教養科目・医学基礎教育科目」を履修します。2年時以降は文部科学省が提言する「医学教育モデル・コア・カリキュラム」をもとに作った、「医学科専門教育科目」を学びます。

4年時までに基礎医学実習などを履修して、「共用試験」を受験します。この教養試験で一定の成績を収めると、臨床実習に進むことができます。

医学部医学科は6年制ですが、6年間を通して学生には担任が配置され就学面に関するサポートを受けることが可能です。

順天堂大学

順天堂大学は、医学部を中心としてスポーツ・健康系の学部が充実しているスポーツ系の総合大学です。

順天堂大学の魅力は、臨床医学に関することはもちろんのこと、基礎研究医を養成するためのプログラムも充実している点にあります。

大学院と学部が連携して教育に当たるので、従来であれば博士号取得までに12年かかっていたのが、現在では10年まで短縮されました。

もちろん、臨床教育も充実しているので、従来どおり臨床医として活動することもできますし、臨床研修を受けながら、基礎研究に打ち込むこともできる恵まれた環境です。

1年次から大学院での研究を体感できる

順天堂大学では、新しい基礎研究者養成プログラムを導入したことで、医学部と大学院がより緊密に連携を取れるようになりました。

これによって、1年次から大学院の研究を体験することが可能になり、所属する教室が決まれば、研究を開始することができます。

また、4年次には奨学金の貸与を最大7年間行うことが可能になり、これにより大学院の単位を前倒しで最大10単位取得することができます。

さらに学会発表や留学もできるので、さらに最先端の研究が可能です。もちろん、臨床研修を並行して受けて、研究成果と臨床での実践をシームレスに行うこともできます。

そういう意味では、かなり恵まれた環境にある大学といえるでしょう。

医師の資格・試験まとめ

臨床・研究・産業のいずれを目指すにせよ、まずは医師国家試験への合格が必須!

医師、特に臨床医もしくは将来的に産業医を目指すのであれば、医師国家試験に合格することが必須です。

研究医であれば、無理に今すぐ臨床研修を受ける必要はありません。実際、そのまま大学院に進学してそのまま研修を受けていない人もたくさんおられます。

医師国家試験に合格さえすれば、基本的にいつ研修を受けてもいいのではありますが、やはり若いうちに受けたほうがいいのは確かです。

また、研修を受けておかないと、病理研究ができないこともあるので、現状はどの大学も研修をできるだけ早く終えることを推奨しています。

医師は、資格取得後も毎日が勉強です。ある程度経験を積むと、認定医や専門医の資格も取得できるので、自身の知識を確認したい人は挑戦する価値があるでしょう。

医師の参考情報

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