ケースワーカーになるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説

ケースワーカーになるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説

ケースワーカーになるためには、社会福祉主事の任用資格と公務員試験に合格する必要があります。厚生労働省が定めている学科を履修できる大学・短大・専門学校に通ったのちに公務員試験に合格した場合、ケースワーカーとして勤務できます。本記事では、ケースワーカーになるために求められること、向いている人の特徴などについてご紹介します。

ケースワーカーになるには何が必要?

ケースワーカーになるには2つの資格が必要

ケースワーカーとして働くためには2つの資格が必要になります。

  1. 社会福祉主事任用資格を取得
  2. 地方公務員試験に合格

1番目の社会福祉主事任用資格とは、国が定める特殊な職業に就くための任用資格なので、この資格だけではケースワーカーとして働くことはできません。

2つの資格を有して初めてケースワーカーとして働くことができるのです。それぞれを詳しく解説します。

社会福祉主事任用資格の取得

あまり聞き馴染みのない、社会福祉主事任用資格とは社会福祉の枠組みの中で困っている人の悩みを解決するための資格です。この資格を取るためには以下の方法があります。

  • 大学等において社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業
  • 厚生労働大臣が指定した指定養成機関・講習会を修了
  • 社会福祉士・精神保健福祉士等の試験に合格

上記3つのうち1つでもクリアしているなら、申請希望を出して社会福祉主事任用資格を取ることができます。

地方公務員試験に合格

先に説明したように社会福祉主事は任用資格のため、これだけでは特に効力はありません。ケースワーカーの場合も同じく、社会福祉主事任用資格を取得した後に各自治体が管轄している地方公務員試験を受けて合格する必要があります。

地方の公務員試験は各自治体によって管理されているため若干の違いがります。公務員として採用する際に福祉職員として採用される場合と行政職員として採用される場合があります。この二つを明確に区分して採用試験を行っている自治体もありますし、明確な違いを設けていないところもあります。

福祉職員として採用された場合は高い確率でケースワーカーとして、働くことになりますが、一般行政職員として採用された場合、社会福祉以外の部署に配属される可能性もあり、もしそうなった場合は各部門の事務員として勤務することになります。

政令指定都市や東京23区などは福祉職と一般行政職員の間に区分を設けて公務員試験を行っています。どうしてもケースワーカーとして働きたいと思っているのであれば事前に確認しておく必要があります。

ケースワーカーになる流れ

ケースワーカーになるための流れをまとめると、以下のようになります。

  1. 大学・通信教育等で資格取得に必須な科目を修了
  2. 社会福祉主事任用資格を取得
  3. 福祉職または社会福祉職の区分で地方公務員試験に合格
  4. 社会福祉主事として配属された場合ケースワーカーとして勤務可能

ケースワーカーに役立つ他の資格

社会福祉士

社会福祉士とはソーシャルワーカーとも呼ばれており、精神的・経済的・身体的な悩みを抱えている方の相談を受けて援助を行います。

日常生活を問題なく行えるようにサポートしたり、実際的な解決策を提案します。社会福祉士の資格があれば社会福祉主事任用資格があると見なされるため、ケースワーカーになるための近道になります。

また、東京都では地方公務員として福祉職に就くために社会福祉士の資格取得が必要となっています。社会福祉士の資格を取ると、役所だけでなく以下の場所でも勤務可能です。

  • 老人福祉施設
  • 社会福祉事務所
  • 社会福祉協議会
  • 医療施設関係

将来的に幅を広げていきたい方は社会福祉士の資格取得を目指してもいいでしょう。

精神保健福祉士

国家資格の一つでもある精神保健福祉士は精神科ソーシャルワーカーとも呼ばれており、精神障害者をメインとしてサポートします。

精神障害者の数が増加傾向にあるなか、社会参加や対人関係を営めるように時間をかけて援助します。

社会福祉士と同じく、この資格を持っていることで社会福祉主事任用資格があると見なされ、ケースワーカーとしても勤務しやすくなります。

ケースワーカーに向いている人

メンタル力が強い

ケースワーカーが取り扱う仕事は多岐にわたります。しかもその業務の多くが人と向き合ってこなしていくものです。相手との関係性において大きなストレスを感じることもあるのです。そのため、強いメンタル力がなければ続けていくことは難しいでしょう。

例えば、生活保護を受けれるように誠心誠意、援助してあげたのに申請者が嘘の申告をしており、不正受給者だったりすることもあります。また、資格を満たしていない生活申請者から罵倒を浴びせられたり、時には暴力を振るわれそうになることもあるでしょう。

時にケースワーカーは行政と個人との間に入って物事を行っていく必要があるので、時には思いやり深く、時には毅然とした対応が必要になります。

加えて、時には人の死に関わることもあるでしょう。生活上の問題を抱えて相談していた人が苦しみのあまり自殺してしまう可能性もあります。高い専門性とスキルが求められるだけでなく強い精神力も必要になります。

高いコミュニケーション能力がある

ケースワーカーには事務的な作業もあります。書類を作って行政に申請したり、申請者が提出して情報を確認する必要があります。とはいえ、主な業務は人と向き合ってこなしていくものなのでコミュニケーション能力は必須となるでしょう。

まずは相手の言っていることを本当の意味で把握する必要があります。何を必要としているのか、何が問題をなっているのかを的確に判断して、解決策を提示することが求められます。

中には感情的になって自分の気持ちを上手に表現できない人もいるでしょう。そのような場合は、上手に気持ちを汲み上げる必要があります。また、自分の見解を伝えるときにも相手の感情を害さないように細心の注意を払って、提案や助言を与えることが求められます。

例えば、生活保護の申請が通らなかったときに「申請はダメでした」だけでは相手は納得しません。なぜ、ダメだったのか、他のサービスを受けることは可能なのか、などを丁寧に説明してあげる必要があります。このようにケースワーカーには高いコミュニケーション能力が求められています。

困っている人を助けてあげたい人

ケースワーカーの仕事は困っている人を助け上げることです。高齢者、身体障害者、生活保護受給者などは日々の生活に悩みを抱えている人なので、「困っている人を助けてあげたい」という思いを強く持っている人にはおすすめの職業です。

他の人の困りごとを解決することに喜びを見いだせるなら天職となるかもしれません。ケースワーカーの仕事は定時で終わることもあれば残業が続くこともあります。悩んでいる人が多ければ一日の対応件数も多くなり、時間外労働も増えるでしょう。

しかし、根底に他の人の役に立ちたい!という気持ちがあれば過度なストレスを抱えることなく喜びをもって働くことができるかもしれません。

知識欲がある

ケースワーカーの仕事は多岐にわたるため、幅広い知識が必要になります。最初は苦戦するかもしれませんが、知識とスキルが身につくにつれてやりがいを感じることでしょう。

勉強が苦手、新しいことに挑戦するのは嫌!という人はちょっと難しいかもしれません。知識欲があり新しいこと、自分の知らない分野のことにも関心を持ち、挑戦する気持ちがある人の方が適しています。

特にケースワーカーは行政や法律関係に詳しくないといけません。自分で調査したり、時には先輩職員に尋ねるなどして知識とスキルを身に着けていく必要があります。普段の生活ではあまりなじみのない分野のことに挑戦したい!という方に適しているでしょう。

マルチタスクを行える

ケースワーカーはマルチタスクをこなさなければいけません。一人ひとりと向き合って悩み事を解決しますが、申請者一人に付きっきりになるわけにはいきません。頭を切り替えて次々に業務を遂行していきます。そのため、同時に複数のことをこなせる能力がある人は適しているでしょう。

行政からの返事を待っている間に新しい書類を作成し、申請者と連絡を取り、別の悩み事にも対応していく臨機応変さが重要になってきます。基本的に男性よりも女性の方がマルチタスクが得意といわれており、女性のケースワーカーが多いのもそれらが関係しているのかもしれません。

組織内のホウ・レン・ソウができる人

ケースワーカーの仕事には事務作業も含まれます。それも他の部門、機関と連携しながら行っていく必要があるものです。そのため、相談者とのコミュニケーションだけでなく職場内、上司、行政機関とのホウ・レン・ソウがしっかりと行える人が適しています。

自分が理解しているから問題ない!という考え方では他の人に迷惑かけてしまうかもしれませんし、最終的には相談者の信頼を裏切ってしまうことにもなりかねません。組織内の情報連結がしっかりと行えることも重要な要素になります。

介護の現場でも勤務可能の人

時としてケースワーカーは介護の現場でも働きます。自分で生活することができなくなった高齢者のために介護施設を探したり、高齢者を介護するための介護器具の選定をすることがあります。

普段、介護の現場に足を踏み入れることは少ないかもしれませんが、介護現場はだれでも働けるものではありません。高齢者の下の世話や痴ほうが入っている方を目の当たりにすることもあるでしょう。

また、高齢者の悩みを辛抱強く聞き、問題を解決してあげるためには根気・忍耐力・柔和さなどが必要になります。時々、介護の現場を目の当たりにして気持ちが落ち込んでしまうケースワーカーもいるようです。介護の現場でも気持ちを強く持ち続けることができる人は適しているでしょう。

ケースワーカーになるための学校選び

大学・短大で学ぶ

ケースワーカーになるには厚生労働省が定めた必要科目を大学・短大などで履修する必要があります。

必要科目は約30ほど定められており、代表的な科目は以下の通りです。

  • 社会福祉論
  • 児童福祉論
  • 老人福祉論
  • 社会政策
  • 心理学
  • 公衆衛生学
  • リハビリテーション論

社会福祉主事の任用資格を取得するためにはこれらの中から3科目以上を取得する必要があります。

当然のことですが、大学によってはこれらの科目を設定していない学校もあるため、ケースワーカーを目指すのであれば厚生労働省指定の科目が入っているか確認しておきましょう。

専門学校で履修する

大学だけでなく医療系や福祉系の専門学校でも先の科目を履修できます。求められているのは大学と同じで厚生労働省が認可している科目を3つ履修することです。

大学との大きな違いは専門学校では実習カリキュラムが充実しており、実体験を積みながら資格を取得できる点です。

現場に行って実際に相談者と対面したり、事務作業の一端を体験することによってケースワーカーの魅力だけでなく大変な部分も把握することができます。就職してから理想と現実の差に苦しむことなく就業できるかもしれません。

養成機関の通信教育、講習会の受講

大学・短大・専門学校以外でも厚生労働省が認可している養成機関を受講したり、講習会に通うことによっても社会福祉主事の任用資格を得ることができます。

例えば、以下のものがあります。

  • 全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程
  • 日本社会事業大学通信教育課
  • 社会福祉に必要な科目を履修できる短大通信教育

通信制の養成機関によっては、民間の社会福祉施設の職員として働いた経験のある人を対象にしているものがあり、社会福祉事業に携わっていない人は受講できない場合があります。事前に確認しておきましょう。

ケースワーカーになるには?まとめ

ケースワーカーになるには3つのステップが必要

ケースワーカーになるための方法を要約すると、以下のようになります。

  1. 社会福祉主事任用資格を取得するために大学・短大に通う
  2. 地方公務員採用試験に合格
  3. ケースワーカーとして勤務開始(ただし、場合によっては他の部門に配属される可能性あり)

ケースワーカーは資格が必要な職業ですし、専門性の高い職種になります。その分、やりがいもあり、充実感や達成感を味わうことができるでしょう。

人付き合いが上手な人、専門性の高いスキルを身に着けたい方にはおすすめの職業です。

ケースワーカーの参考情報

平均年収400万円〜500万円
必要資格
  • 社会福祉主事任用資格
  • 地方公務員採用試験
資格区分 任用資格
職業職種心理・福祉・リハビリ

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