便利屋の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

便利屋の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

さまざまなジャンルの依頼を手堅くこなす必要のある便利屋。車での送迎や電気工事などといった多くの作業を遂行するためには、多くの資格や免許を取得する必要があります。ここでは、便利屋に求められる資格・試験について紹介します。

便利屋の資格とは?

開業には資格・許可は必要なし

依頼者からの依頼によってどんなことでも対応する便利屋。別名何でも屋と呼ばれるほど、どんな内容の依頼にも対応することを期待されますが、便利屋として開業するためには特に資格や届出は必要ありません。

対応業務によっては資格が必要

しかし、便利屋が受ける依頼の中には公的な許可を得る必要がある内容のものもあります。便利屋の業務の主軸となるものもあるため、積極的に許可や免許を得るのがよいでしょう。

代表的な業務と、必要な免許・資格には以下のようなものがあります。

ごみ処理

一般家庭で出たごみを収集し、処理場まで運ぶためには「一般廃棄物収集運搬業」免許が必要です。この免許は市町村長の許可を得ることが必要ですが、許可を得るためには下記の条件を満たす必要があり、個人で取得することは非常に困難です。

▼廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第7条第5項

市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

  • 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。
  • その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
  • その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。

なお、一般家庭ではなく事業活動により生じた一部の廃棄物は「産業廃棄物」として扱われ、「産業廃棄物収集運搬業」の免許を得ることで処理をすることができます。

一般廃棄物と比べ、産業廃棄物の免許は容易に所得することができますが、一般家庭のごみを処理することはできないため、注意が必要です。

不要物の引き取り

ごみとしてではなく、別途販売する目的で不要物を引き取るためには、「古物商許可申請」が必要です。中古品を引き取り、販売するために必要な免許で、地域の警察署の生活安全課に届出を出すことで取得することができます。

貨物軽自動車運送事業

軽トラックを用いて有償で荷物の運搬を行うために必要な許可です。各地方の運輸支局に届出を出す必要があります。

この免許では、「三輪以上の軽自動車および二輪自動車」を用いた運搬が許可されます。もし一般車を使った運搬を行う場合には、別途「一般貨物自動車運送業」を取得する必要があります。

人物の調査

特定の人物の所在や行動について、依頼を受けて「尾行」「聞き込み」「張り込み」を用いた調査を行うためには、「探偵業」の許可を得る必要があります。警察署経由で公安委員会に許可申請を出すことで、免許を得られます。

ねずみ・害虫駆除

建物内のねずみや害虫を駆除するためには、「建築物ねずみ昆虫等防除業」の許可が必要です。都道府県知事へ申請を行う必要があります。

電気工事

コンセントの修理やエアコン設置など、小規模な電気工事を伴う作業には「第二種電気工事士」の資格が必要です。これは試験を受けて合格する必要があり、二種は年2回受験のチャンスがあります。

客の送迎、代行運転

客の送迎や代行運転を行う場合には、代価を得て人を運搬するため、「普通自動車二種運転免許」が必要です。免許センター・自動車学校に通うか、警察署・免許センターで試験を受ける必要があります。

便利屋の資格の難易度・合格率

第二種電気工事士

電気工事を行うために必要な第二種電気工事士の資格は、年2回実施されています。

上期試験 筆記試験(6月ごろ)、技能試験(7月ごろ)
下期試験 筆記試験(10月ごろ)、技能試験(12月ごろ)

それぞれ筆記試験合格者のみが技能試験へ進むことができます。平成30年度の合格率は以下の通りとなっており、難易度は特別高いわけではないようです。

筆記試験 55.4%(123,279人中68,321人)
技能試験 67.5%(95,398人中64,377人)

なお、一度筆記試験に合格することができれば、次回以降の受験時には筆記試験は免除となるため、技能試験だけを受験することができるようになります。

普通自動車第二種免許

乗客を運ぶことを目的として自動車を運転するときに必要となるのが二種免許です。便利屋が運転する自動車は大半が普通乗用車までのサイズのため、普通自動車二種免許を取得できれば十分でしょう。

乗客を乗せる「旅客運送」に関する知識が必要となり、一種免許よりもさらに安全に配慮した運転技術も求められます。適切な運転技術・知識を身に着けるため、教習所や自動車学校に通うのがよいでしょう。

警察庁が公表している「運転免許統計」によれば、平成29年度の普通自動車二種免許試験の合格率は42.1%でした。一種免許が71.9%であることを考えると、難易度は相当上がっていると考えられます。

その他の便利屋に関連する資格

便利屋技能検定

便利屋は誰でも名乗ることができ、集客さえできればすぐにでも事業を始めることができる、参入障壁の低い業種です。そのため、十分な知識や技能を持たないまま参入し、トラブルを起こす業者も少なくありません。

そういった新規参入者に便利屋としての十分な知識を身につけさせるために作られたのが「便利屋技能検定」です。

「一般社団法人日本便利屋技能検定協会」が認定するこの検定は、便利屋の業界や仕事に関わる基礎的な知識や注意点など、便利屋の業務を行うために必要な知識を学ぶことができます。

便利屋開業のために必須というものではありませんが、これから便利屋を開業したいと思うならば、挑戦してみるのもよいでしょう。

便利屋の業務に制限はない

一般的に便利屋に求められる仕事と、それに必要な資格・免許を紹介しましたが、便利屋の業務には制限がないため、どんな依頼が飛び込んでくるかわかりません。

散歩に付き添ってほしい、一定時間話を聞いてほしいというような軽めの依頼もあれば、結婚式の出席代理、事務所の電話番といったマナーの知識が必要なもの、年度末の確定申告の代行や海外からの旅行者の通訳といった専門的な知識が必要な案件もあるでしょう。

便利屋としてどこまで対応できるか、対応したいかによって、身に着ける知識や技能は変わってきます。肉体労働を中心とするのか、事務系の業務も請け負うのか、語学を生かした通訳・翻訳に対応するのかなど、業務の範囲は無限大といえます。

自分自身がどのような便利屋になりたいかを考え、必要な資格や免許を取得しましょう。

便利屋の資格が取れる学校

工学系の専門学校

小さな電気工事は需要が高いため、二種電気工事士を取得することはオススメします。二種電気工事士取得には、専門学校で学ぶことがよいでしょう。

筆記試験は独学でも対応できますが、技能試験のための対策は個人では難しいため、費用はかかりますが、専門学校での訓練が資格取得への最短のルートです。

自動車学校で二種免許取得

送迎や運転代行のための普通自動車二種免許取得には、教習所・自動車学校への通学は必須といってよいでしょう。

二種免許にもいわゆる「一発試験」はありますが、一種免許では考えもしなかったような運転技術が求められるため、専門的な訓練を行うことが求められます。

電気工事士同様、通学のための費用はかかりますが、結果的に早く二種免許を取得することができるでしょう。

便利屋の資格・試験まとめ

便利屋を開業するのに資格は不要だが、あると役立つ

便利屋はさまざまな分野の需要にこたえる仕事ですが、届出や免許は必要なく、誰でも開業することができる職業です。

しかし不用品の売買、乗客の送迎や運転代行、電気工事など一部の業務には免許や届出、資格を取得する必要があり、無許可での対応は法律違反となる恐れがあります。

どのような業務に対応する便利屋になるかを考えた上で、必要な資格を取得することが、便利屋として事業を行うために必要でしょう。

便利屋の参考情報

平均年収250万円~400万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種販売・サービス

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