自動車整備士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
自動車整備士は安全に車を提供するために必要不可欠な職業です。自動車の設備不良があれば運転手の危険だけではなく、周りの歩行者にも危険が及びます。非常に重要な仕事であることから国家資格が必要です。この記事では自動車整備士の仕事内容について解説します。
自動車整備士とはどんな仕事?
自動車整備士の仕事は主に点検設備、分解設備、板金塗装の3種類に分かれます。それぞれの詳細について解説します。
自動車整備士の仕事内容
点検設備
自動車の保有者は車検を始めとした定期的な点検を行い、適切に保守管理を行う義務があります。点検設備は自動車に不備がないかどうか念入りに点検し、事故を防ぐためにも非常に重要な作業内容です。
点検は詳細な項目が行われます。ここでは代表的な点検項目をまとめました。以下の通りです。
- ハンドルの操作具合
- ブレーキの点検
- ホイールシリンダ―の液漏れ、摩擦、損傷点検
- 各種オイルやフィルタなどの汚れ、劣化の点検
- 点火プラグの状態点検
分解設備
自動車の故障、あるいは点検設備にて不良個所が見つかった場合に各種パーツを自動車から外し、修理や点検を行う業務にあたります。分解整備は高度な技術が必要とされるため、国の認可を受けた認証工場か指定工事でのみしか行えません。
また、運転中にブレーキが利かなくなった車や事故にあった自動車を点検するときは緊急整備と呼ばれます。
板金設備
主に自動車の車体に対する傷やへこみを直す業務です。車体の外側に対する修理を外板板金、車体の骨格にあたる内板やフレームの修理をすることも含まれます。
また、板金に対して塗装を行う業務もあります。板金塗装は資格を持っていなくても行うことができます。しかし、塗装業務自体は経験がものをいう仕事ではあります。
自動車整備士には種類がある
自動車整備士の資格には、一級・二級・三級・特殊整備士と種類があります。それぞれどのような違いがあるのかを解説します。
1級自動車整備士
自動車整備士資格の中で最上位にあたります。当然ながら相当の知識と技能を求められます。単純に自動車整備士として働くのであれば、1級まで取得する必要はないことから、1級の資格を持っている整備士は多くはありません。
しかし、1級を取得することでさまざまなメリットはあります。企業によりますが資格手当が支給されたり、他の整備士や作業員を指導する立場に就くこともできます。
また、1級自動車整備士は下記の三種類があります。しかし、現在は1級小型自動車整備士の試験しか実施されておりません。
- 1級小型自動車整備士
- 1級大型自動車整備士
- 1級二輪自動車整備士
2級自動車整備士
2級の自動車整備士は主に下記の4種類です。2級の資格があれば自動車の整備全てに関わることができます。多くの自動車整備士は2級の資格を取得しています。
- 2級ガソリン自動車整備士
- 2級ジーゼル自動車整備士
- 2級自動車シャシ整備士
- 2級二輪自動車整備士
3級自動車整備士
2級自動車整備士と同様、資格は4種類あります。2級との違いは使用できる設備の違いがあります。そのため、エンジンの分解修理といった大掛かりな設備が必要となる作業を行うことができません。
特殊整備士
特殊整備士は主に下記の3つがあります。それぞれの分野に特化したスペシャリストのことを指します。
- 自動車タイヤ整備士
- 自動車電気装置整備士
- 自動車車体整備士
自動車整備士はやりがいがある仕事?
どんなことにやりがいを感じるか?
自動車整備士の多くは車好きの方が多いです。単純に車が好きな方や車をいじることが好きな方と様々です。当然、自動車整備士を続ければ技術的なスキルが身に付き、知識も身につくので成長していく実感はあります。
また、お客様から感謝の言葉をいただくこともあります。その言葉を頂くことでモチベーションが上がる方も多いといいます。
車を整備することはお客様の安全を守ることであり、人との繋がりが大事な仕事ともいえます。自動車整備士はサービス業でもあるのです。
プライベートでのメリットもある
自動車整備士は、ディーラーの整備士の場合は自社の車やパーツを安く買えたり、設備を使って自分の所有する車の点検を自分で行えるのも大きなメリットです。車の維持費については大幅に節約できます。
自動車整備士は過酷で待遇が悪い?
自動車が好きな人ほどなってはいけない?
多くの場合、車が好きだからと自動車整備士を目指す方が大半です。自動車整備士は実際には車の整備士を自ら行い、技術的なことが身に付きやりがいがある面は確かにあります。
しかし、現状は過酷な労働も多く、収入もそれに見合うほど多いとはいえず、苦しい生活をしている人もいます。
残業が多い
自動車整備士の多くは定時で帰れることがほとんどありません。定期点検や車検の予約が毎日埋まっており、新人の場合は主に車検を担当し、1日に2台~3台を見ることがあります。
もし、わからないことがあれば先輩の方に聞く必要がありますが、日中は点検業務が忙しくなかなか仕事の質問ができる環境にありません。
自動車整備士は若者が少なく、今は年配者のベテランが多い状況です。ベテランの多くは作業を丁寧に教えるわけではなく、技術を見て盗めと考える方が非常に多いです。そのため、理不尽に怒られたりすることもあります。
結局思い通りに作業が進まずに残業せざるを得ない状況に陥りやすいことが残業を増やす要因となります。繁忙期であればあるほどこの状況になりやすいです。
体育会系が多い
前項目で年配者が多いと説明しましたが、その影響か自動車整備士の多くは体育会系の人が多いです。例えば新人は、先輩に呼ばれたら走って向かう。もしできなければ怒鳴られて怒られる、根性がないと言われたり若い人ほどストレスを抱えやすいです。
このように上司の多くは勝手に育つ部下を求めている傾向にあり、できない人は根性がないと一喝する体育会系的な傾向にあります。もちろん全ての職場がこのような環境ではありませんが、時代に合わせて改善の余地があるでしょう。
そもそも趣味でも車のカスタムは楽しめる
車のカスタムやちょっとしたメンテナンスであれば趣味の範囲でもやりやすく、実際ネットで検索すればやり方がすぐに出てくるような時代です。本格的な修理であればともかく、わざわざ仕事にしなくても気楽に楽しめる方法はあります。
好きを仕事にすることも大切ですが、どうしても技術力を身に着けたいという理由がない限り、職業として続けるのは難しい面もあります。
将来性がない業界である
近年では自動車整備士を目指す者も減り、逆に若者を中心に自動車整備士を辞めていく人が多いです。近年では若者の車離れが進んでおり、車の売れ行き自体悪くなっている現状も整備士の収入面が厳しい理由の一つと言えます。
また、自動車業界では今電気自動車が注目されはじめています。電気自動車の動力源はモーターといった電気部品が使われています。従来の自動車は内燃機関と呼ばれるエンジンを使っていますが、これは専門的な技術が必要であり、多大なコストもかかっています。また、従来は大手企業が自動車に関する技術を独占していました。
電気自動車は電気部品で製造できることからコストが大幅に抑えることができます。もし電気自動車がメジャーとなれば、自動車整備士のような専門的な技術はだんだんと必要とされなくなる可能性もあります。
現時点ではまだまだ需要がありますが、労働環境と電気自動車の登場を考えるとそれほど明るい未来が見えてこないのが現状です。
自動車整備士の仕事内容まとめ
人々の命を預かる重要な仕事ではあるが…
自動車整備士は人々の安全を守るための仕事であり、国家資格を必要とする仕事です。その仕事内容自体には誇りを持てるような内容ではあると言えます。
しかし、現状の待遇の悪さやキツさ、将来性を考えると、たんなる車好きという理由だけで目指せるほど甘い仕事ではないともいえます。それでも目指すのであれば、高い技術を身に付け、貴重な若手の人材となれるよう努力が必要でしょう。
自動車整備士の参考情報
平均年収 | 380万円~400万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 運輸・乗り物 |
自動車整備士の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします