航空機関士の資格・試験とは?航空機関士 資格試験の概要と合格の秘訣
「フライトエンジニア」とも言われる航空機関士は、国家資格となっています。現代でも残っているものの、乗務する機会はほぼ消滅しています。それでも航空従事者として知識は求められる場面もあり、未だに資格としては残っています。ここでは、航空機関士の資格情報や職業として不要になった背景について紹介していきます。
航空機関士の資格とは?
航空機関士の資格を得る条件
航空機関士は「フライトエンジニア」とも言われており、国土交通省管轄の国家資格です。航空機関士以外にも航空機に関する乗務・整備などを扱う仕事に付く場合は「航空従事者」と言われており、それに準ずる資格が無ければ仕事に就くことはできないようになっています。
航空機関士のライセンスを得るためには、以下のどちらかの条件を満たしている必要があります。
- 18歳以上で100時間以上の実地訓練の経験
- 1年以上の航空機の整備経験を持っており、かつ50時間以上の航空機関士の実地練習の経験
いずれかの実地訓練を終えた後、国家試験を受けて合格することで機関士として認められることになります。
現在では機関士だけで仕事をすることはない
時代が進むにつれて航空機の機器類も電子化が進み、航空機関士の仕事はどんどんパイロットや機器が代わりを務めるようになり、航空機関士という職業自体は2019年時点では存在していません。
90年代には航空会社が航空機関士のリストラを実施し始め、配置転換やパイロットへの職種転換を認めさせるなど、当時は大きな物議を巻き起こしました。航空機関士からパイロットになった人の中には機長になった人もおり、機関士の仕事は操縦に大きく影響していることがわかります。
日本では2009年にボーイング747クラシックの引退と共に、航空機関士が必要となる機体が無くなったことを受け、航空機関士の職業も事実上消滅しました。今でも航空従事者技能証明の中に航空機関士の資格試験は残っていますが、パイロットとして搭乗したとしても利用する機会が少ないこともあり、受験する人は少数派となっています。
航空機関士が活躍する場はまるのか
旅客機の現場において、航空機関士が活躍できる場は残念ながらほぼありません。しかし、自衛隊などで使われる航空機は航空機関士を必要とする機種が存在しており、未だにポジションとしては残っています。
陸上自衛隊では輸送ヘリなどを使い、積載物資投下の補助やパイロット操縦の支援、ほかにも搭載器材の整備や操作が求められます。そのため、陸上自衛隊では「機上整備員」とう名目で呼ばれています。しかし、陸上自衛隊の機上整備員は厳密に言えば航空機関士と同じではないので、その点については注意しましょう。
航空機関士の資格の難易度・合格率
航空機関士の資格概要
航空機関士は毎年5月・7月・9月・11月・1月・3月の合計6回行われており、実地試験は学科試験を合格してから2年以内に希望日を出して受験することになります。また、受験する際には事前に身体検査を受けた上で、各受験料(学科試験が5,600円、実地試験が52,300円)となっています。
航空機関士資格の合格率は非公開となっていますが、全体的に試験難易度は高いと言われています。また、民間の航空機において航空機関士の資格が必要となる機種はないため、全体の受験率は低くなっています。その影響もあり、資格を管理している国土交通省でも詳細な情報はあまり掲載されていません。
航空機関士
合格率 | 非公開 |
---|---|
受験資格 | 18歳以上で100時間以上の実地訓練の経験。もしくは、1年以上の航空機の整備経験を持っており、かつ50時間以上の航空機関士の実地練習の経験 |
受験費用 |
|
出題範囲 |
■学科試験
■実地試験
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その他の航空機関士に関連する資格
航空機は仕事別に資格を用意
航空関連に関しては航空法に基づき管理されており、国土交通省の管轄で運用されています。そのため、航空従事者の技能証明書に関しても国土交通省が発行しており、定期的に行われる試験に合格しなければ仕事に従事することはできません。
これは航空機関士だけでなく、他の航空関連の技術者においても同じことが言えます。たとえば、飛行機にはエンジンが1つだけ付いている単発機と、2つ以上ある多発機があります。旅客機は基本的にエンジンが2つ以上付いている多発機となるので、単発機の免許では操縦することができず、多発機でないとパイロットになれません。
さらに、旅客機は機種ごとに資格を設けており、ボーイング777・ボーイング737はそれぞれ機体ごとに資格が設けられており、いずれも資格が無ければ操縦できないようになっています。これだけ細かく資格を分けているのも、空の移動を支えるためのものとなっています。
旅客機を操縦するための資格の数々
パイロットは航空関連やその他の操縦するための資格だけでなく、安全に航空できるための各資格を用意しています。
たとえば、多少の悪天候でも運航できるように、計器によって空を飛ぶための知識を有していることを示す「計器飛行証明」という資格を用意しています。基本的に、日本でパイロットとして活動するには、この「計器飛行証明」が必要になります。
それ以外にも、無線機やレーダーの扱いを証明する「航空無線通信士」、機長となる人は各路線を飛ぶための「路線資格」も求められます。
以前は航空機関士も飛行機を飛ばすために必要な資格であると共に、必ず飛行機に搭乗させなければいけない人材の1つでした。しかし、現代では旅客機の機器の技術発展と共に必要性が薄れると共に、パイロットにも必ず求められる資格ではなくなっています。
- 定期運送用操縦士
- 事業用操縦士
- 自家用操縦士
- 一等航空士
- 二等航空士
- 航空通信士
- 一等航空整備士
- 二等航空整備士
- 一等航空運航整備士
- 二等航空運航整備士
- 航空工場整備士
パイロットには英語の資格も必要
飛行機は日本国内だけでなく外国との移動にも欠かせない手段であり、航空管制は英語が国際共通語となっています。そのため、国際民間航空機関は英語能力基準を策定し、一定の英語力がないとパイロットは国際線に搭乗できないようになっています。
日本においてもパイロットの英語能力は重要だと判断し、2006年から新しい資格として「航空英語能力証明」を設けています。国内線のパイロットであれば航空英語能力証明は必要ありませんが、国際線の場合は必須の資格となっています。
また、3年ごとに更新をしなければ証明書は有効にならない仕様となっており、常に英語能力を磨くことが求められています。
航空機関士の資格が取れる学校
需要の低下に伴って航空機関士を学ぶならほぼ独学になる
航空機関士は航空従事者が習得する資格の1つとなっており、航空学校や専修学校、航空系の学科がある学校にて学ぶことが可能です。
しかし、航空機関士を専門で学べる学校はほぼ無く、航空系の学校でも需要が減少傾向になっていることもあり、専用の学習プログラムはほぼないようです。どうしても航空機関士になりたい場合は、独学にて学ぶことになる可能性も考えたほうがいいでしょう。
航空機関士の資格・試験まとめ
現代ではほぼ需要は消えつつある資格
航空機関士は航空機のコックピットをはじめ、機器を専門に扱う「フライトエンジニア」とも呼ばれていた職業です。しかし、現代では技術進歩の影響もあり、航空機関士の需要はほぼありません。
航空機関士の資格試験はまだ開かれているものの合格率は公開されておらず、管理する国土交通省も受講者の減少を踏まえて詳細も積極的に公開していません。もし資格の勉強をする場合は、独学で行うことも検討しておく必要があります。
航空機関士(フライトエンジニア)の参考情報
平均年収 | 400万円〜600万円 |
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必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 運輸・乗り物 |
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