宇宙飛行士の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

宇宙飛行士の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

憧れの宇宙飛行士ですが、業務内容の専門性の高さや過酷な訓練を伴うことを考えると、給与・年収はそれほど高い水準とは言えないようです。また、実務経験年数や学歴・年齢などによっても変わるようです。本記事では、宇宙飛行士の初任給、平均的な給与、平均的な年収など、収入面についてご紹介します。

宇宙飛行士の初任給

実務経験年数などによって金額が変わる

日本の宇宙飛行士はJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、Japan Aerospace eXploration Agency)に所属しているので、給与・年収はJAXAの職員給与規程によります。

JAXA宇宙飛行士は、採用の条件として「3年以上の実務経験」がなければならないので、一般企業に就職した新卒者の初任給とは異なり、それまでの実務経験年数や年齢、学歴などによって給与・年収の金額が変わります。

もっとも最近行われたJAXA宇宙飛行士の応募要項によると、採用時本給は大卒30歳で約30万円、大卒35歳で約36万円(平成20年1月1日現在)となっています。今後の宇宙飛行士の応募は未定ですし、給与規定が変わることもあり得ますが、おおよその初任給は30万円台となりそうです。

異業種からの転職は慎重に考えて

宇宙飛行士というと宇宙で最先端技術の実験や研究をする、高給取りの専門職のようなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実際の金額はそれほど高い水準ではありません。

宇宙飛行士を目指す人はパイロット、医者、その他有名大学卒業者でそれぞれの分野で活躍している人が多い傾向にあるようですが、そのような職業から宇宙飛行士への転身を目指す場合、それまでの高収入から大きくダウンする可能性が高いでしょう。宇宙飛行士という職業に給与・年収を上回る魅力を感じられない人は、安易に目指さないほうが良いと言えます。

宇宙飛行士という職業は、募集が不定期で募集人員も少ないので、選抜試験は毎回かなりの高倍率となりますが、待遇面は人気に比例して高いとは言えないのが実態です。

宇宙への憧れや希望を抱く人は多いかもしれませんが、それまでの社会的地位や業績を失ってでも宇宙飛行士を目指すのかどうかは、慎重な判断が求められます。特に、一度辞めてしまうと復職が難しい職業の場合は熟考が必要でしょう。

宇宙飛行士の年齢制限

宇宙飛行士には明確な年齢制限があるわけではありませんが、JAXAの定年は60歳です。10年程度の訓練後に宇宙へ飛び立つと考えると、必然的に宇宙飛行士を目指せる年齢も限られてきます。

大学を卒業して数年以上の実務経験を経た時期と言えば、一般企業なら重要なプロジェクトを任されるようになったり、昇進したりする人が多いでしょう。同世代がそのようなキャリアアップを図っていこうとしている時期に、大幅な給与・年収ダウンを覚悟してでも宇宙飛行士を目指すのは、自分自身の志だけではなく家族・周囲の理解も必要となり、現実的にはなかなか難しいかもしれません。

また、高倍率の試験を勝ち抜いて宇宙飛行士に選抜されたとしても、その後は厳しい訓練の日々が待っています。実際に宇宙へ飛び立つまで何年も待たされるということもよくあります。

実際に搭乗が決まればロシアの「ガガーリン宇宙飛行士訓練センター」などで訓練もありますので、生活がそれまでとは大きく変わることは覚悟しなければなりません。さらに、宇宙飛行や宇宙での職務は一つ間違えれば命をも失いかねない危険もあります。

宇宙飛行士になるには、このような様々なリスクが伴います。それを上回る熱意や志がなければとても務まらない仕事と言えます。宇宙飛行士への転身を考える際は、夢や憧れだけではなく、実際の仕事内容や待遇面についてもしっかりと下調べをしましょう。

宇宙飛行士の平均給与

業務内容からすると特に高い水準とは言えない

宇宙飛行士の平均給与に関する統計はありませんが、JAXA宇宙飛行士の給与はJAXAの職員給与規程によることとなっていますので、平均的な給与の見当をつけることは可能です。

「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の役職員の報酬・給与等について」による平成29年度の一般職員(常勤職員)の平均年齢は44.0歳、平均給与は50.6万円です。(金額は賞与を除く所定内年間給与額を12で除して算定。通勤手当を含みます。)

福利厚生などは完備

JAXAの職員給与規程によると、宇宙飛行士の給与は基本給のほかに「住居手当」「通勤手当」「期末手当」などの各種手当が付きます。また、年1回の昇給、年2回の賞与もあります。

その他に、独身用または世帯用の宿舎(空きがなければ住宅手当の支給)や、契約保養施設、スポーツクラブなどの利用ができます。

宇宙飛行士手当の実際

あまり良く知られていませんが、JAXA宇宙飛行士には「宇宙飛行士手当」も付きます。金額は一律ではなく、搭乗割当の有無等によって変わります。

JAXAの職員給与規程による宇宙飛行士手当は、3通りに分かれています。まず、搭乗が決まっている場合などに固有の訓練をしたり、スペースシャトル、宇宙ステーションでの業務をしたりする宇宙飛行士は、基本給のおよそ75パーセントが支給されます。

それ以外の訓練等を行なう宇宙飛行士は基本給の37パーセントが支給されます。搭乗割当を予定しない場合は15パーセントとなります。

宇宙飛行士の平均年収

専門的な職業だが年収は一般的な水準

平均給与と同様に、宇宙飛行士の年収についての統計はありませんが、JAXA宇宙飛行士の年収はJAXAの職員給与規程によるので、おおよその年収を知ることはできます。

「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の役職員の報酬・給与等について」による平成29年度の一般職員(常勤職員)の年間給与額(平均)は844.8万円です。また、モデル給与として示されている金額は、35歳(本部係長)で598.4万円、50歳(本部課長)で1,039.7万円となっています。

年収試算も目安に

JAXAのホームページには、採用情報のところに「年収試算」があり、最終学歴や実務経験年数を入力すると、年収試算が表示されます。興味のある方は以下のページでお試しください。
http://www.jaxa.jp/about/employ/trial_j.html

たとえば、最終学歴を「修士」、実務経験年数を「5年」とすると、年収試算は6,082,701円と出てきます。

この試算は、超過勤務を月20時間として住居手当、賞与などを含めて計算した金額なので、実際の金額は諸条件によって変わりますが、JAXAに勤務した場合の年収を知る目安となるでしょう。

宇宙飛行士を退職後も活躍できる

宇宙飛行士は、退職後もその希少な体験や知識・技術を活かして様々な職業に就くことが可能です。

これまでのJAXA宇宙飛行士のうち、毛利衛さん、向井千秋さん、土井隆雄さん、山崎直子さんはすでにJAXAを退職しています。毛利衛さんは退職後、日本科学未来館初代館長や大学教授などに就任していますし、向井千秋さん、土井隆雄さん、山崎直子さんも現在、大学教授などを務めています。

このように、退職した宇宙飛行士はそれまでとは別な形で宇宙開発や研究に関わるなどの活躍を見せています。宇宙に関する研究開発への参加や大学での講義のほかにも、講演会やイベントへの出演、メディア出演、著書出版など様々な業務をこなしていますし、公益団体の役員などの要職にも就いています。

そもそも宇宙飛行士になれる人数が非常に少ないこともあり、活躍の場は広くあるようです。

給与・年収を上回る魅力

宇宙飛行士時代は業務内容の割にはあまり恵まれた給与・年収とは言えませんが、退職後は仕事の仕方次第で年収アップも可能です。

しかし、宇宙飛行士には収入面以上に大きな魅力があると考えられます。宇宙飛行をする、宇宙で任務にあたる、といった体験は、世界中を見渡してもごく一部の人しか体験できません。宇宙から地球を見た時の感動は、限られた人だけが味わえる希少なものです。

宇宙にはまだまだ多くの謎が残されています。宇宙開発にはゴールがあるわけではなく、技術も日進月歩で進化していますので、宇宙実験や船外活動もどんどん多様化しています。

自分自身の手で人類の未知なる領域にチャレンジできること、誰もやったことがないことを人類で初めて経験できることには、選ばれた人だけが味わえる感慨が伴うことでしょう。

宇宙飛行士の給与・年収まとめ

業務内容の割に給与水準は低めだがそれを上回る魅力も

宇宙飛行士の給与はJAXAの職員給与規程によって決まり、30歳代の人で30万円台前後です。仕事内容の過酷さや専門性の高さを考えると、それほど高い給与水準とは言えません。

特に、高給な仕事から宇宙飛行士へ転職すると大幅ダウンの可能性が高いのが実情です。しかし、宇宙飛行士の仕事には給与・年収以上の魅力があります。宇宙飛行や宇宙での任務には、選ばれた人だけが味わうことができる感動があることでしょう。

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宇宙飛行士の参考情報

平均年収500万円~800万円
必要資格
  • JAXA宇宙飛行士選抜試験
資格区分 試験合格
職業職種運輸・乗り物

統計情報 出典元:

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