青年海外協力隊員になるには?世界各地に派遣される日本人に必要なこと
青年海外協力隊と聞いて、どんな仕事をイメージするでしょうか。インフラのための肉体労働や、畑仕事を想像する人も多いかもしれません。しかし一概に青年海外協力隊といっても、その仕事の種類は様々です。海外ということもあり、一緒に働く現地の人の性格や、生活リズムも実に多様で、どの仕事も派遣先の国に慣れるまでは常に探り探りで進めなければなりません。青年海外協力隊員になるには、一体どんな適性が必要なのでしょうか。今回は、青年海外協力隊員に向いている人の性格や、必要なスキルなどについてご紹介します。
青年海外協力隊員にはどんなことが必要?
青年海外協力隊を目指すには年齢制限(20~39歳まで)があります。大前提として、ある一定の年齢しかできない職業であることを念頭においておきましょう。
まずは「やる気」そして「基礎的な知識や技術」が必要
青年海外協力隊員は、青年ボランティアとして国を背負って派遣されて行く立場です。国を代表し、開発途上国政府の求める支援を青年ボランティアという立場から行います。国を跨ぐことになるわけですから、重要な役割となるのは勿論のこと、慣れない海外、かつ開発途上国での生活をして行くことに対するチャレンジ精神も充分に備えていないといけません。
開発途上国での生活は、インフラ面、衛生面、またコミュニケーションや精神面でも、まるで体験したことのない様々な問題を乗り越えていかないと成立しません。異国でも暮らしていけるという自信があれば、青年海外協力隊員としての適性があることになります。もし自信が持てなければ、NGOなどが行なっているスタディツアーへ参加して、異国の生活を体験してみるのも一つの手です。
また、派遣先は必ずしも希望通りになるとは限りませんので、自分の望み云々よりも、与えられた役割に殉ずることが何より重要視されます。それに耐えられる精神的なタフさも重要です。
青年海外協力隊には専門性の高い仕事も含めて、多種多様な仕事があります。仕事によっては、資格や学歴、高い技術を求められる場合もあります。試験でも高い専門性を問われる場合がありますので、希望の職種がある場合はまずその分野での知識、経験を積んでおくことが第一です。
「語学能力」が必要、英語だけでなく現地語も
試験で問われる語学力については、英語の語学レベルのみなのですが、派遣される国によっては、共に過ごす現地の人たちが英語を話せず、現地語しか話せない場合も多いです。
派遣国が決まると、派遣先の国で使われる言語に関して、語学訓練が行われます。日本国内にある訓練施設で派遣前に2ヶ月、現地でも1ヶ月の語学訓練があります。その際の理解力、語学への適応力も重要です。
「精神力」のみならず「体力」「免疫力」も大事
言葉も、環境も、人間性も大きく異なる異国での就労というのは、苦労がつきものです。最初のうちは、苦労しかないと言ってもいいでしょう。仕草や性格といったコミュニケーションの根本にあるものも大きく異なりますし、現地には日本人がいない場合も多いです。異国の環境に耐えられる、そして適応できる強い精神力が必要です。
異国では、食事も違えば睡眠や排泄などの環境も日本とは大きく違います。トイレは地面を掘っただけ、洗濯は川で手洗いと言ったことも珍しくはなく、日本のように整備が整っている環境はまずないと言っていいでしょう。また、特に熱帯地方など日本と環境が大きく異なる場所では、日本ではあまり罹ることがないような感染症が広まっていることがあります。
不衛生な環境でも病気にかからない強靭な体力が備わっているかどうかは、試験でも問われる内容となっています。異国で現地の人たちと共に生活できるかどうかの精神的・社会的な適性も、現地で重要となるからこそ、試験でしっかり見られます。心も身体も、しっかり鍛えておきましょう。
青年海外協力隊員に向いている人、適性がある人
青年海外協力隊は、その名の通り海外へ派遣されるということ一つをとっても、普通の仕事と大きく違います。また、国から派遣されて働けるということは、国際的にも重要な役割を担うということで、それだけ大きな経験を積むことができます。ですので、日本国内の仕事とはまた違った適性を求められます。
求められるのは、大きな責任感と謙虚な精神の持ち主
青年海外協力隊員には、社会人として、そして日本の国を代表する立場として、また開発途上国において先進国から開発援助に赴いた立場として、しっかりとした責任感を持つ人がまず求められます。
普通に国内で仕事をする際も責任感は重要ですが、青年海外協力隊員は開発途上国の人々に技術指導を行う役割を担うことも少なくないので、それ以上に大きく、広い意味での責任感を自覚できるかどうかが、まず問われることになります。
大切なのは「忍耐力」そして「思考の柔軟性」
青年海外協力隊員は、異国の人々と生活、労働を共にします。派遣先によっては、ろくにインフラが整っていなかったり、日本人がろくにいなかったりする場合もあります。日本人が周りにいない、語学が不安であまり現地の人に馴染めない、そうした不安はどこにいってもつきまといます。
環境面もそうなのですが、やはり違うのは人間です。現地の人たちは、時間にルーズだったり、自分のミスを人に押し付けたり、隙があれば手を抜こうとしたりと、国や地域によっても異なりますが、日本と比べると、非常に自由で、自己中心的な人が多いと言われます。嫌な目にあうことも多いかもしれません。どんな場所でも大抵のことは笑って流せるくらいの精神的なタフさ、思考の柔軟性が重要になってきます。
違いを尊重し、受け入れることができる「人間性」
日本で育っていると、ついつい日本の常識が世界の常識と思ってしまいがちです。どこの国の人も、ローカルルールというものを持っていますが、とりわけ日本人の場合は、他人に気を遣い、丁寧に、時間通りに仕事に真面目に取り組むことが美徳とされています。海外に出ると、そのような常識は通用しません。
仕事以外でも、生活上不便を感じることは多いです。電車、バスなどの公共交通機関が遅れる、来ないのは当たり前。日本のように徹底した時間厳守が行われる方が珍しい、という認識をまず持ちましょう。日本のようにうまくいかない、といったことに耐えられないと、海外での生活は確実に苦痛でしかなくなります。
性格も異なれば、国民性も異なる国に派遣されるわけですから、まずはその国の人々の生活や心の持ちようといったスタイルを受け入れ、適応することができる、そんな豊かな人間性を持った人が求められます。
青年海外協力隊員になるための学校など
青年海外協力隊員になるためには、まずは英語などの「語学能力」が必要です。資格制度はないので、幅広く門戸が開かれており、指定の学校を出なければ就けないような仕事ではありませんが、青年海外協力隊員になるにあたり必要だったり、有利になったりするような知識や能力を育てる学校の例を紹介していきます。
「語学能力」と「グローバル力」を育てる大学
昨今、グローバル化が叫ばれて久しく、日本にも年々観光客や労働者などで海外の人々の流入が急増し、インバウンドという言葉の認知度も上がりました。ここ10年に渡り、4年制大学、短期大学問わず、国際教育やグローバルな視点、国際競争力を育てるための学部が多く新設されました。
語学重視の外国語大学を中心に、国際教養学部、グローバルコミュニケーション学類、国際協力科など学部学科の名前に「国際」「グローバル」という文字が増え、グローバル人材を育てていこうという取り組みを感じさせます。青年海外協力隊員への目標の第一歩として、大学進学を選ぶ先輩は多いようです。
大学の例:京都外国語大学(2018年に国際貢献学部を新設)、学習院大学(国際社会科学部)、立命館大学(国際関係学部)、清泉女子大学(地球市民学科)、津田塾大学(多文化・国際協力学科)等
語学と国際交流を実践から鍛える専門学校
大学のみならず、専門学校にも、国際化を見据えた教育を行なっている学校があります。専門学校は修学年限が短いこともあって、大学よりもより小さなコミュニティの中で、より実践的な試みを行うことで知られています。
生命科学、農学を学ぶコースも併設し、充実した海外研修、農業実習など、世界で幅広く役立つ人材を育てる試みを行っている専門学校もあります。語学や国際交流といった環境は実践と慣れが大事です。専門学校から青年海外協力隊へ進んだ実績も少なくなく、青年海外協力隊員にとって身になるでしょう。
専門学校の例
- 東京外国語専門学校(東京)
- オイスカ開発教育専門学校(静岡)
- 大阪外語専門学校(大阪)
青年海外協力隊員になるには?まとめ
派遣期間は2年間!心と体を磨いて使命に備えましょう
青年海外協力隊の派遣期間は原則2年間と、あらかじめ期間が決められています。定められた期間だからこそ、開発途上国のために自分は何ができるのかを考えながら、心身共に磨いて試験に臨むのが肝要でしょう。
また、帰国後のキャリアプランもしっかり考えておきましょう。派遣先への行き帰りの交通費、生活費や諸手当など、金銭的にもしっかりとフォローのある環境で、豊かな海外経験を積むことができます。何よりも夢や信念が大切ですが、海外で得た貴重な経験をどう活かすかも大事です。
社会人の方にも「現職参加」というシステムがあり、所属先から承認が得られれば、休職扱いで、職を失うことなく青年海外協力隊員になれる道もあります。年齢制限もありますので、後悔しないよう、情報を集めて納得のできる道を進みましょう。
青年海外協力隊の参考情報
平均年収 | 100万円〜200万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 国際 |
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