国連職員の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

国連職員の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

世界で起こる貧困・紛争などの諸問題解決に向けて、日々奮闘する国連職員。なかなかその内容が見えにくい職業ですが、どのような仕事をしているのでしょうか。今回はこの記事で国連職員が活躍の場や仕事の特徴・魅力などについて紹介します。

国連職員とはどんな仕事?

紛争・人権・貧困などといった世界の諸問題の解決に取り組む

国連とは国際連合の略称です。国際連合は、第二次世界大戦後1945年に世界の紛争を防止する仕組みを作る目的で設置され、現在は下記5つの目的に沿った活動を行っています。

  1. 世界の平和維持
  2. 各国間の友好関係を発展させる
  3. 貧困にあえぐ人の生活を向上させ、飢餓や病気を克服させる
  4. 識字率を向上させることで、互いの権利と自由の尊重を促進させる
  5. これらの目的を達成できるよう助けるために中心的な役割を果たす

国連職員は、上記の目的を果たすために国連本部や下部機関などで働く人々のことをいい、「国際公務員」などのように呼ばれることもあります。

国連加盟国から約44,000人程度の人が働いている

2019年1月現在の国連(国際連合)加盟国は196カ国あります。その加盟国の中から、約44,000人程度の人々が国連職員として働いています。

主な活動目的は、国際平和と安全の維持、国家対国家での友好関係の構築・生活水準の向上、人権の推進などがあります。

その他にも、世界各地にいる難民の救済・保護、テロ対策、発展途上国の開発、核不拡散への働きかけなど、世界各地にある課題解決に重点を置いています。

携わる職種は多種多様な分野にわたる

国連職員の身分は、「国際公務員」というものになります。ちなみに国連本部はスイスのジュネーブにあります。職員の中には本部職員として働いている人もいますが、それはあくまでも職員のうちの一部(全体の4割程度)です。

多くは、問題が起きている現地に赴いて、さまざまな国籍のスタッフと一緒に働くという形です。職員が携わる職種も多種多様な分野にわたり、金融・貿易・環境・ITなど多くの分野があります。それぞれを専門とするエキスパートが、現地で問題を解決すべく取り組んでいます。

例えば、アフリカの中では若年層の失業率が高く、若い人に仕事がほとんどないという地域があります。そうした地域では、仕事を求めている若者を対象に職業訓練を行ったり、起業支援をしたりするなど仕事を作るプロジェクトを進めているのです。

そこでは、各国の職業支援に関するスペシャリストがチームで職業支援をすべく働いています。

世界中を飛び回っての活動になることが多く、体力的には激務

国連職員としての業務は大変な激務が多いと言われています。それは、業務内容にもあるのですが、実際の勤務先が世界各地で問題が発生している現地に赴いての仕事となるためです。実際、採用が決まったら現地に赴いて多国籍スタッフと協働して仕事に当たらなければなりません。

また、多国籍スタッフなので、スタッフとの文化の違いはもちろんのこと、赴任先の文化・国民性にも馴染めるかどうかが重要です。そのため、最初は現地の文化やスタッフとのコミュニケーションに神経を配ることで体力的に消耗しやすいと言われています。

国連職員には高い専門性が求められる

国連職員の仕事内容を見ても分かるとおり、どの分野でも高い専門性が重視されます。そのため、学歴でいえば「Bachelor(学士)」で応募できる試験もありますが、実際には「Master(修士)」や「Doctor(博士)」の学位を求められることがほとんどです。

国連職員でいう「専門性」というのは、各機関で必要とされる高度な知識・能力を有していることを指し、それは職種や各機関によってさまざまあります。会計の仕事に空席があり、その仕事に応募したいと思ったとしましょう。

必要とされる学位には「経営学(MBA)」や「会計学」などが考えられます。その他、米国公認会計士(CPA)などの資格を取得していると、採用に有利になる可能性があるといえるでしょう。

また、選考と職務経歴が一貫しており、即戦力となることを求められるので、「〇〇をしたい(貢献できる)」という専門分野を持てるように考えておくことが大切です。

国連職員の具体的な仕事内容

国連本部やその下部機関で紛争・人権問題などの解決に取り組むのが主な仕事

国連職員とは、簡単にいうと「国際公務員」です。「公務員」というと官僚的な業務を行うと思われるかもしれませんね。実際、国連本部(事務局)で政策面から支援する職員もいますが、それだけではありません。

国連職員のうち約6割は本部以外の世界各地に派遣され、現地で紛争・人権・貧困など現地で起こっている諸問題の解決に動いています。

国連職員は現場主体の組織

先にも書いたとおり、国連職員の身分は「国際公務員」です。職員は、国連加盟国(196カ国)すべてにまたがっています。

ただし、国連本部(事務局)で働く人は全体の4割ほど。多くは、その高度な専門知識を活かし、援助を必要としている世界各地に派遣され、現地で支援を行うフィールド主体組織といえます。

勤務先は事務局をはじめとして下部機関に散らばっている

国連職員は事務局で働いている人もいれば、問題が発生している地域に派遣されて働いている職員もいます。事務局で働いている人は、ジュネーブ(スイス)・ウィーン(オーストリア)・ナイロビ(ケニア)に拠点がある「国連グローバル事務局」に籍をおいています。

その他、日本でもよく知られているUNICEF、国際労働機関(ILO)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連貿易開発会議(UNCTAD)や世界銀行などの下部機関で働きます。
多くの国連職員は、その専門知識を活かしてそれぞれが能力を発揮しやすい環境で仕事をしています。

金融関係

金融関係の仕事でキャリアを積んできた人、学生で金融関係のことを専攻してきた人であれば、国際復興開発銀行(IBRD)、国際金融公社(IFC)などといった金融系の組織でポストを探してみることをおすすめします。

これらは世界銀行に属するグループで、国際復興開発銀行では途上国に対する融資・補償・危機管理商品などを提供することで貧困を削減できるようにすることが主な業務です。国際金融公社では、発展途上国の民間セクター開発目的の投資支援や技術支援を行います。

特に後者の国際金融公社では、日本人職員の採用を大幅に増やす動きが見られるので、金融系のキャリアなどを有する人で、国連職員を志す人は特に狙い目といえるでしょう。

農業・工業関連

農業や工業開発関連でキャリアを積んできた人であれば、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連工業開発機関(UNIDO)があります。

国連食糧農業機関・国際農業開発基金では、食糧生産や分配を通した飢餓の撲滅、発展途上国での農業生産拡大を目的として融資を行うことが主な仕事です。国連工業開発機関では、途上国での経済発展・工業基盤の整備支援を目的として活動している機関になります。

日本では東京農工大学が日本ではじめて国連食糧農業機関と連携協定を結んでいます。将来、国連職員として働いてみたい学生は積極的にセミナーに参加してみるといいでしょう。

労働・電気通信・海事など

労働関連であれば国際労働機関(ILO)、国際海事機関(IMO)では海洋関連やテロ対策に関する活動を行っています国際電気通信連合(ITU)・アジア・太平洋電気通信共同体(APT)は、途上国に対する技術援助の促進を通して電気通信の利用に関する国際的秩序の形成を司る機関です。

その他、郵便分野における国際協力を目的とする万国郵便連合(UPU)、観光の振興・発展を目的とした世界観光機関(UNWTO)、保健・医療分野であれば世界保健機関(WHO)を探してみるといいでしょう。

その他にも、たくさんの機関があるので、それぞれのキャリアに合った機関を探してみてください。

国連職員の仕事は職種によって変わる

国連職員といっても、その仕事は職種によって変わります。ちなみに、国連の職員募集は8部門4カテゴリーに分けられています。8部門と4カテゴリーは、下記のとおりです。

【部門】

  • 管理遂行補助
  • 経済社会開発
  • 政治・平和・治安
  • 情報システム・コミュニケーション技術
  • 法務
  • 広報
  • 会議運営
  • 安全・セキュリティ

【カテゴリー】

  • 高度専門職
  • 一般職
  • 国別専門職
  • フィールドサービス

カテゴリーについては、下記で詳しく説明します。

高度専門職

高度専門職というのは、文字通り専門分野に関する知識を活かし、問題が発生している地域でその専門分野に関する問題解決を図る職員のことをいいます。

所属としては国連組織の中でグローバル事務局に入り、それぞれの専門に応じて世界各地に派遣され、その問題解決に向けて取り組むのが主な仕事です。

一般職員

基本的には現地で採用される職員です。主な仕事は、庶務・清掃・警備・ビルメンテナンスなどになります。

国別専門職

国別専門職の職員も同じく現地で採用されます。一般職と違うのは、専門知識が必要なことです。国別専門職として採用された職員は、その専門知識を活かして採用された国内で問題解決に向けて取り組みます。

フィールドサービス

フィールドサービスで採用された職員は、現地での業務遂行を補助することがその仕事です。それぞれ、事務・技術・運輸などの分野に分かれて現地での業務をサポートします。

国連職員の仕事は多岐にわたる

国連職員の仕事は世界中で発生している貧困・紛争・児童問題などの人権問題に関する問題解決や開発などが主な仕事です。解決に向かうもしくは収束したら、仕事はそこで終わりますが、こうした問題は世界各地で発生するため。活躍の場は広がっています。

特に平和問題や環境問題は世界的に注目度も高いので、これまで以上に力を入れている分野で、今後も新しい活動が広がりやすい分野といえるでしょう。

国連職員の仕事のやりがい

理想を持って仕事をすることができる

国連職員の仕事で、もっとも大きなやりがいは「理想を持って仕事をすることができる」という点でしょう。

仕事の多くは平和維持や工業や農業などといった各種開発が主要分野です。つまり、国連職員の任務というのは理想の世界を実現させることにあります。

企業で働く場合は、どうしても企業の利益が優先されます。そのため、本来あるべき姿からかけ離れたものを要求されることもあるでしょう。

一方、国連職員の任務はより良い世界を実現させることにあるので、理想を追いかけることができるので、その点で大きなやりがいがあります。

現状を変えるべく行動することができる

特に途上国支援においては、貧困や病気で亡くなった際などにおいて現地視察をする機会も多くあります。

もちろん辛い現実ですが、国連職員の仕事はその現状を少しずつ変えて理想の世界を実現することにあり、改善に向けた行動を起こすことが求められます。

本来求められている姿を十分に理解した上で、その実現に向けて行動を起こす唯一の職業といえるでしょう。

世界中が職場となる仕事

国連職員の活躍の場は、世界中にあります。そのため、仕事内容によっては短期間で世界各地を移動するということも十分にありえる仕事です。

その他、国連では世界中で問題解決に向けたさまざまなキャンペーンを行っています。キャンペーンには国際的に有名な人や各種機関も加わることが多く、民間企業ではなかなか実現が難しい仕事の一つです。

世界的意義があり、かつ必要とされている限り、こうした大規模な仕事に関わる機会を持てるのは国連職員ならではの魅力といえます。

国連職員の仕事内容まとめ

国連職員は理想の世界を実現するために働く

世界の貧困や各種紛争・人権に関する諸問題を解決するための機関でもある国連。その国連で国連職員として働くということは、理想の世界を実現するために働くということでもあります。

国連およびその下部機関は、中立的な機関でその職員についても中立的な立場で各種業務に当たることが求められます。

国連職員は全加盟国にいるので、その国籍もバラバラです。異なる文化的背景を持つ職員が、力を合わせて理想の世界実現に向けて動くという点で大変やりがいのある仕事です。

求められている分野はさまざまあるので、自分の経験を世界のために活かしたいと考えている人は、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

国連職員の参考情報

平均年収500万円~2000万円
必要資格
  • JPO派遣候補者選考試験
  • 国連ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)
資格区分 -
職業職種国際

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