葬儀屋の資格・試験とは?葬祭ディレクター資格試験の概要と合格の秘訣
葬儀屋の資格として、取得しておくと有利になるのが葬祭ディレクターの資格。国に認定された資格ではありませんが、責任のある仕事を任され、手当が付くなど多くのメリットを期待できます。ここでは、葬儀屋という仕事をする中で役立つ葬祭ディレクター試験の内容や合格率などについて詳しくお伝えし、それ以外の葬祭関連資格もご紹介していきます。
葬儀屋に役立つ資格、葬祭ディレクターとは?
葬儀屋という仕事を進めていく中で、必ずしも資格が必要ということはありません。ですが、葬儀業界には厚生労働省認定の「葬祭ディレクター技能審査」という制度があり、「葬祭ディレクター」という名の資格を取ることができます。
葬祭ディレクターの試験は葬祭ディレクター技能審査協会が主催していて、試験に合格すると「葬祭ディレクター」と認定されます。ですが、厚生労働省が認定しているのは葬祭ディレクター技能審査という制度であり、国家資格ではないという点に注意してください。
葬祭ディレクターの資格について
葬祭の受注や会場設営、式典の運営など葬祭業界で働く人間に必要な能力や知識レベルを審査するのが葬祭ディレクター技能審査という試験。毎年9月に試験が実施され、合格すると葬祭ディレクターを名乗ることができます。
葬祭ディレクターには1級と2級がありますが、試験を受けるには実務経験が必要で、2級は2年以上、1級で5年以上の実務経験が必要となります。在学中におけるアルバイトなどの期間は実務経験には含まれません。
葬祭ディレクターになるために必須の資格は無い
葬祭ディレクターになるために必須となる資格は特にありません。ですから、高校、専門学校、短大・大学を卒業して葬儀屋へ就職したとしても、資格を取りにくくなるということはありません。
葬祭関連の専門学校の場合、葬儀に関する学科を設置していることもあり、葬祭業に関連する知識を身に付けることができます。就職前に葬祭関連の知識を学んでおきたいなら、専門学校への入学を検討するといいでしょう。
葬儀屋になるための専門学校というのは少ないので、ブライダル系の専門学校で葬儀に関する学科を併設していないかに注意して探してみてください。
葬祭ディレクター試験の難易度・合格率
葬祭ディレクター技能審査協会が公開しているデータでは、平成8年から平成30年までの受験者数、合格者数が公開されています。過去22年間の合格率は1級葬祭ディレクターが59.8%、2級葬祭ディレクターが70.8%(平成30年は1級65.2%、2級72.5%)となっています。
数字だけを見ると2人に1人以上が合格し、意外と簡単そうに思えるかもしれません。しかし、5年以上、2年以上の実務経験者のみが受験できる試験なので、誰でも簡単に受けられるわけではありません。それでも、半分以上が合格できる試験なので、きちんと勉強していれば合格できる難易度といえるでしょう。
合格基準と受験免除
学科試験、実技試験とも70%以上の点数で合格となります。どちらか一方が基準点に達した場合は一部合格者として、3年以内に同じ等級を受験する場合は合格している科目の受験を免除してもらえます。
平成30年の受験料は1級受験者が54,400円、2級受験者が39,000円でしたが、どちらか一方が基準点に達した一部合格者で、学科試験または実技試験が免除になる人は以下のようになっています。
1級学科試験のみ受験 | 8,200円 |
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1級実技試験のみ受験の場合 | 46,200円 |
2級学科試験のみ受験の場合 | 8,200円 |
2級実技試験のみ受験の場合 | 30,800円 |
葬祭ディレクター試験の内容は?
葬祭ディレクターの試験は学科試験と実技試験からなり、理論から実践までをカバーする内容となっています。実技では、お客様からのさまざまな質問に対応できるかを測るため「幕張」、「司会」、「接遇」の3つの課題が用意されていて、葬儀式場設営の習熟度、葬儀の司会能力、マナーのテストなど現場で適切な対応ができるかを評価されます。
1級は葬儀の全てにおける知識と技術が問われ、2級は個人葬における受注から式典運営までの一般的な知識と技術が試験範囲。1級が社葬までできる人間かを評価し、2級は個人葬までできる人間かどうかを評価されることになります。
前年の問題集も販売されているので、気になる方は葬祭ディレクター技能審査協会のホームページをご覧になってみてください。
葬祭ディレクター以外の葬祭関連資格
葬儀業界には、葬儀以外の部分を担当する葬祭カウンセラーや仏壇コーディネーターなど、葬儀の前後に適切なアドバイスをしてくれる専門家がいます。これらの仕事は資格を取ることができ、葬儀屋という仕事をしていく中で助けになることもあるでしょう。
グリーフケアアドバイザー
死別などによる深い悲しみを持つ方々に寄り添い、ケアしていくことをグリーフケアと呼びます。グリーフケアに関する正しい知識とアプローチ方法を習得したスペシャリストがグリーフケアアドバイザーです。
一般財団法人日本グリーフケア協会が認定する民間資格ですが、実にさまざまなところで活躍しています。資格を持つ人の多くは葬儀関係者、寺院関係者、心理カウンセラーなどで、講座へ参加することで資格を取得することができます。
受験資格は18歳以上で、この条件を満たせば誰でも2級を受講することができます。1級は2級を取得していることが条件で、日本グリーフケア協会の推薦があれば特級を取得することも可能です。受験料は2級が32,400円、1級が54,000円となります。
葬祭カウンセラー
葬祭カウンセラーというのは、葬儀やお墓のことに精通したアドバイザーという位置づけで、基本的には2日間の受講で取得することができます。誰でも受けられる2日間の養成講座では、習俗、儀式構造、葬祭ビジネスなどを学ぶことができ、受講料は50,000円ほどとなります。
葬儀を進めていく中で事前に準備しなければいけないこと、心積もりなどをお手伝いする葬祭カウンセラー。ご遺族の悩みを中立的な立場でしっかりと聞き、アドバイスすることができるようになるでしょう。
その他の葬祭関連資格
他にも仏壇コーディネーターやお墓ディレクターなどの資格もありますが、これらの資格は仏壇仏具を販売する事業者に向けた資格制度で、葬儀屋という仕事内容からは少し離れてしまいます。終活カウンセラーなどの資格も同様で、葬儀屋というよりも弁護士や司法書士など終活に関わる職業のための資格といえるでしょう。
映画「おくりびと」で有名になった死化粧師というものもありますが、死化粧師はそれだけで一つの職業として成り立っています。遺品整理士なども職業として認められているので、知識として知っておくといいかもしれません。
葬祭ディレクターの資格を取れる学校はある?
専門学校の「葬祭ディレクター学科」がおすすめ
最近は葬祭ディレクターを目指せる専門学校も増えてきています。ブライダル系や観光サービス系の専門学校で「葬祭ディレクター学科」を探してみてください。在学中に葬祭ディレクターの資格を取得することはできませんが、葬祭ディレクターへとつながる本格的な学習ができるでしょう。
このような専門学校では、「お墓ディレクター」のような葬祭業に関連する資格受験が可能なこともあり、合格するための対策授業を行っていることもあります。若いうちから葬儀屋になることを決めているなら、就職した時に即戦力として活躍できるよう、このような専門学校で学ぶことをおすすめします。
葬祭ディレクターはこれから増えていく?
平成30年までに誕生した1級、2級の葬祭ディレクターは合わせて35,000人以上。平均すると毎年1,600人ほどの葬祭ディレクターが誕生していますが、全国の葬儀屋の数からすると、まだまだ多いとはいえないでしょう。
葬祭ディレクターがいる葬儀屋が良い葬儀屋とは限りませんが、葬祭ディレクターは葬儀に関する知識と技術を持ち合わせたプロフェッショナル。葬祭ディレクターがいるかどうかは一つの目安になるはすです。
求人広告で「葬祭ディレクター」という文字を見かけることも多くなってきました。この調子で毎年1,600人もの葬祭ディレクターが生まれていけば、将来は持っていて当たり前の資格になるかもしれません。
葬祭ディレクターの資格まとめ
超高齢化社会の中で高まっていく葬祭ディレクターの需要
国家資格のように国に認められた資格のない葬祭業界ですが、葬祭ディレクターの資格を取得すれば葬儀を担当することができるようになり、手当も期待することができます。実際に葬祭ディレクターが優遇される葬儀屋は多く、資格取得を支援してくれるところもあります。
葬儀では細やかな心遣いと対応が求められ、葬祭ディレクターは信頼の指標として評価されつつあります。葬祭業界における葬祭ディレクターの有資格者は3万人を超え、今では従業者全体の3分の1を占めるほど。超高齢化社会に入る今、老衰で亡くなられる人の数も増加傾向にあり、葬祭ディレクターの需要はさらに高まってくることでしょう。
葬儀屋の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
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