治験コーディネーターの資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説
新しい薬や医療機器を世の中に流通させるには、多くの治験と検証機関が必要です。最近では日本の治験数が増加傾向にあり、今後も多くの新薬開発が予想されています。これから活躍が期待できる治験コーディネーターとして働くには、どのような資格試験が必要なのでしょうか。
治験コーディネーターの資格とは?
治験コーディネーターには医療系の資格が役立つ
治験コーディネーターとして働くのに、特別な資格は必要ありません。
ただし、治験コーディネーターは新しい医薬品や医療機器を扱う専門性の高い仕事であり、仕事をする上では医療関係の知識が必要不可欠となります。そのため、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの資格を持っている方は、就職活動で有利となるでしょう。
看護師の資格取得後に治験コーディネーターになる人が多い
治験コーディネーターの仕事では、治験に協力する患者さんのところへ出向き、治験の説明や治験にまつわる検査の同意を取得した上でスケジュールを調整するなど、きめ細やかなサポート業務を行います。そのため、医療知識はもちろんのこと、患者さんの病状に配慮した対応やコミュニケーション能力が求められます。
看護師の資格と経験がある方は、患者さんとのコミュニケーション能力に長けており、医療知識も備わっていることから、治験コーディネーターの即戦力として活躍が期待できます。実際に、第一線で活躍する治験コーディネーターの約半数が、看護師の資格を活かして働いています。
看護師国家試験の概要
治験コーディネーターを目指す過程において看護師の資格を取得するには、看護師国家試験に合格しなくてはなりません。
受験資格 | 看護学系の大学、看護学科系の3年制の短期大学、3~4年制の看護師等養成所などを卒業すると、国家試験の受験資格を与えられます。 |
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試験日 | 2月 |
試験地 | 北海道、青森県、宮城県、東京都、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県および沖縄県となります。 |
合格発表 | 3月中旬から下旬 |
治験コーディネーターの認定制度
これまでお伝えしたように、治験コーディネーターは医療関係の資格を活かせる仕事ですが、必須の資格はありません。ただし、治験コーディネーターの質の向上を目的に、関連団体などが独自の認定制度を設けています。
この認定制度の試験に合格することで、就職活動や昇進昇格などで有利に働く場合があります。時には、資格手当を受け取ることも期待できるでしょう。
日本SMO協会の公認CRC
CRC(Clinical Research Coordinator)とは、治験コーディネーターの略称です。日本SMO協会が主催する「公認CRC」は最も人気のある資格試験となります。
公認CRC制度の詳細
制度の目的 | 治験のサポート業務を円滑に行うために、質の高い治験コーディネーターの育成を目指すものです。 |
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受験資格 | 協会が定める研修を受けた上で修了証を取得している方、研修修了日から2年以上の実務経験を有する方は受験することが可能です。 |
手数料 | CRC受験料は12,000円、公認証発行手数料は5,000円となります。いずれの金額も一人当たりの金額となっています。 |
日本臨床薬理学会の認定CRC制度
認定CRC制度の中で、最も難しい試験と言われています。
認定CRC制度の詳細
制度の目的 | 誰もが安全な医療技術を受けられるよう、適正で円滑な臨床試験をサポートする治験コーディネーターの育成を目指し、一定水準以上の治験コーディネーターを日本臨床薬理学会認定CRCと位置付けています。 |
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受験資格 | 専任CRCとして2年以上の勤務経験が必要です。 |
治験コーディネーターに関する資格の難易度・合格率
看護師資格の合格率は約90%
これまでお伝えしたように、治験コーディネーターに特別な資格は必要ありません。ただし、現在活躍している治験コーディネーターの多くが看護師の資格を取得しています。
看護師国家試験の合格率をみると、2019年看護師国家試験の合格率は89.3%となっています。その中で、新卒者だけの合格率をみると94.7%と非常に高い割合となっています。過去10年の合格率をみても88~91%という高い数値で推移しています。このことから、国家試験に向けた事前準備を確実にすれば、合格はそれほど難しくないことが分かります。
ただし、看護師の国家試験を受験するには、所定の学校に数年間通う必要があります。その中で複数の医療機関へ看護実習として参加し、レポートや課題を提出する機会が多く設けられています。そのため、ただ通学すれば良いという訳ではなく、卒業と国家試験合格に向けた努力をする必要があるのです。
薬剤師と臨床検査技師の合格率
治験コーディネーターとして活躍される方の中には、薬剤師や臨床検査技師の資格保持者もいます。
薬剤師の平成29年度合格率は70.58%であり、新卒者のみの合格率は84.7%となっています。また、臨床検査技師の平成29年度国家試験の合格率は79.3%であり、新卒者のみの合格率は90.5%と高くなっています。
ただし、薬剤師と臨床検査技師どちらの場合も、通学する学校によって合格率が異なります。大学や専門学校選びをする場合は、その学校の卒業生だけで算出した合格率を確認することが重要です。
当然ですが、合格率が高い学校ほど国家試験の対策やサポート体制が充実しているため、合格に向けたモチベーション維持を期待することができるでしょう。
総合職として就職するには難易度が高い
治験コーディネーターとして就職活動をする場合、一般職もしくは、総合職で採用されることになります。総合職の場合は、一般職よりも採用基準が高くなりがちです。
総合職として治験コーディネーターの仕事をする場合、より専門的で高度な業務内容が予想されます。そのため、修士号を取得している方が総合職として採用されるのに有利となるでしょう。
治験コーディネーターとして就職後も努力が必要不可欠
就職活動を終え、無事に治験コーディネーターの職を得た場合、就職後も常に学び続ける努力が必要です。現在の日本では、新薬の開発が活発化しており、多いときには年間150件以上の治験が行われます。
今後も治験数の増加が見込まれていることから、治験コーディネーターの採用試験を突破したあとも常に最新の医療情報を把握するなど、努力を惜しまない姿勢が必要不可欠です。
治験コーディネーターの資格が取れる学校
治験コーディネーターとして働く場合、医療関係の資格を持っている方が多く活躍されています。そのため、看護師や薬剤師などの資格を取得できる学校に通うケースが大半を占めますが、最近では、治験コーディネーターとしての就職を目指すことのできる学校もあります。
大阪バイオメディカル専門学校・バイオ学科・生命科学コース医薬品分野
特徴 | 卒業後の進路は、医薬品開発に携わる仕事に就くことを目指します。 |
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年限 | 3年制 |
初年度納入金 | 1,280,000円 |
強み | 就職や資格取得に向けたサポート体制が整っています。
また、それぞれの業界で実際に活躍する講師が指導に当たるため、充実したカリキュラムが魅力です。 |
東京医療秘書福祉専門学校・くすりアドバイザー科
年限 | 2年制 |
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初年度納入金 | 1,020,000円 |
強み | 薬のプロフェッショナルとして、一般医薬品の約9割を販売できる「登録販売者」の資格を取得することができます。
また、治験コーディネーターの就職を支援するカリキュラムが新設される予定です。 |
北里大学・薬学科
年限 | 6年制 |
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初年度納入金 | 2,350,000円 |
強み | 薬学の基礎研究と臨床薬学を組み合わせた薬学教育を学ぶことができます。卒業後の進路として治験コーディネーターを目指すことも可能です。4つの大学付属病院で充実したカリキュラムを受講することができます。 |
治験コーディネーターの資格・試験まとめ
治験コーディネーターに必須の資格はない!医療系資格があると就職に有利!
治験コーディネーターとして働くのに特別な資格は必要ありません。ただし、実際に働く約半数の方が看護師資格を持っているのが現状です。
このように、看護師をはじめとする医療系の資格保持者は、治験コーディネーターの就職や転職に有利となるでしょう。また、看護師の資格を持っていない場合でも、治験コーディネーターの資格取得に力を入れている専門学校も増えています。
治験コーディネーター(治験協力者)の参考情報
平均年収 | 300万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 医療 |
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