彫刻家の給与・年収は?本業の彫刻制作のみで十分な収入を得て食べている人は一握り

彫刻家の給与・年収は?本業の彫刻制作のみで十分な収入を得て食べている人は一握り

彫刻家は彫刻を生み出すことで生計を立てています。近現代においてはアートとしての側面が強く、彫刻で稼ぐのは非常に厳しいといわれています。彫刻で稼ぐためには芸術的、文化的価値が認められる必要があるからです。本記事では、彫刻家の収入面についてご紹介します。

新人彫刻家に「初任給」はない

彫刻家という職業に安定した収入はほぼない

彫刻家は彫刻を生み出すことでお金が貰える仕事であり、プロフェッショナルとして彫刻を作成しています。しかしながら彫刻家は基本的に芸術家の範疇にある職業であることから、彫刻家に安定した収入は期待しないほうがいいでしょう。

なぜかと言えば、彫刻家の収入源は彫刻そのものの制作のみだからです。画家が絵画の制作によって稼ぎ、音楽家が音楽の作曲や演奏によって稼ぐように、彫刻家は彫刻の制作そのものでしか収入を得ることができません。

正確にはそうとも限らないのですが、純粋に彫刻家としての収入、といった場合は彫刻の制作によって入る収入のみが当てはまります。

“彫刻家”と特別に言う場合は、基本的に木彫刻家や仏師など伝統文化に根ざした彫刻を制作する人を指すことが多く、近代的、現代的な彫刻を制作する人は一般的には「彫刻家」と呼ばれますが、概ね稼ぎ方のシステムは同じですし、定義上の違いもほぼありません。呼び方の違いのみとなっています。

彫刻家になるにはまず著名な彫刻家への弟子入りをするのが定石

彫刻家の作る「彫刻」はそもそも、昔は特にですが、大掛かりな彫刻を手がけることが多く、個人ではなく集団で作業するのが普通でした。今でこそ一人で工程の全てを手がける彫刻家も多くなっていますが、その場合でも彫刻は基本的に重く、ある程度の大きさがあるのが前提となっています。

また、彫刻とは彫ることで形を作っていきますので、基本的に大きな木材や石材、金属、現代ではコンクリートや合成樹脂など、重い素材を使うことが多いです。そのため彫刻の制作・運搬・設置などにおいて多くの人の協力が不可欠となっています。

そのため伝統的な家屋等で用いられる木の彫刻を彫る木彫刻家や近現代の彫刻家と呼ばれる彫刻を制作する人の多くは、まずは著名な彫刻家・彫刻家に弟子入りし、雑用や制作補助から始める場合が多いです。多くの場合、著名な彫刻家は工房を持っていて、集団で制作に当たっていますので彫刻家志望の人の多くはこうした工房へ見習いとして弟子入りします。

工房の給料などは統計があまりなく公開されている求人もあまりありません。例えば東京神楽坂の小さな彫刻の工房の場合、アシスタント職はアルバイト採用で、時給は1,000円からとなっていました。

東京都内のとある仏所・工房のホームページの「弟子入り」の項目を見ると、木彫刻家、仏師、仏画師を目指す人向けに内弟子を受け入れており、形式としては住み込みで働く丁稚奉公となっていました。手当は月数万円ですが、住居、食事は無料で提供されます。

収入を得にくく、彫刻家のほとんどは兼業

かつては権力者と密接に結びついた職業、今は性格が異なっている

彫刻は伝統的に日本の宗教、文化とも密接に関係しており、かつては権力者のお抱えとして彫刻家が活躍した時代もありました。

平安時代までは天皇が職人に命じて、寺社仏閣の建造や彫刻の制作を行わせていましたし、武家社会に入ってからも、こうした建築や彫刻、工芸などの職人が権力者とも密接に結びついていました。

しかし近現代において彫刻は公的資産的な側面は鳴りを潜め、個人による芸術作品という色合いが強くなりました。勿論、今でも大きな企業や自治体の役所などからの依頼で彫刻を制作する彫刻家もいますが、多くの場合、有名な芸術賞やコンクールなどで実績を積み上げた一握りの著名な彫刻家に限られます。

そのため多くの彫刻家は彫刻や美術に関する別の仕事を持ちながら彫刻の制作を行っている場合が殆どです。

墓石制作、戒名彫りなど石材彫刻を兼業する彫刻家も少なくない

基本的に多くの彫刻家志望者は大学の彫刻科を出ていますが、大学卒業後の進路の主なものとしては、大学院まで進んでから大学の講師になる場合や小中高などの学校の教員になる場合、また彫刻教室、絵画教室、木彫り教室などの講師を務める場合が多いようです。

彫刻そのものを生業とするために工房へ進む人はあまり多くはないようです。はっきりとした統計はないとはいえ、公開されている求人の少なさからもそれは読み取れます。

安定した需要があり、彫刻作業が発生する職業としては墓石を彫ったり、既存の墓石に戒名を彫ったりする仕事があります。こうした仕事はどちらかというと石工的ではありますが、広義でいえば彫刻の範疇です。石を扱う彫刻家の場合、こうした職業に就きながら個人の彫刻作品を制作している人も少なくありません。

こうした仕事を請けるのは、基本的には石材加工を担当する工務店だったり、暮石店だったりしますが、多くの場合彫刻家というより石工職人が担当しています。

ヨーロッパでは石工と彫刻家は同じギルドに属し、近代まで石工と彫刻家の区別はついていなかったようですが、日本では石工はどちらかというと建築に携わる事が多かったので彫刻家とは区別される傾向にあります。

彫刻家として収入を得ていくには

木彫刻家の場合は工房の職人になれば給料がもらえる

木彫り作品を多く制作する木彫刻家は、1300年の歴史を誇り、伝統の中で職人の技術は磨かれながら長く受け継がれて行きました。そのためいまも木彫刻家の社会では丁稚奉公による弟子入りという形態が普通です。

弟子入り後の修行は5〜10年ほどが目安となり、その後、師匠の許可を得て独立するパターンと、そのまま師匠の工房に残り、職人として給料をもらうパターンがあります。木彫刻家の修行中の給料は月数万円前後が普通で、その代わり住居と食事は無料で提供されます。

工房の正規の職人になれば、一定以上の給与が出るようになりますが、これは彫刻家によっても様々で、しっかりとした統計は見つかりませんでした。

工房独立後も大半は彫刻家を辞めないといけなくなる場合が多い

彫刻の世界で収入を得るのは、絵画の世界よりもさらに厳しいといわれていて、仮に工房で10年間修行してその腕を認められて独立を果たしたとしても、その大半が10年以内に彫刻家を廃業せざるを得なくなる状況に追い込まれるといわれています。

絵画の世界も絵画だけで食べていくのは難しいといわれていますが、まだ彫刻よりは絵画の方が状況は良いでしょう。

どこでも飾りやすい絵画と異なり、彫刻作品は物理的にも置き場を選びますし環境に見合った彫刻作品となると尚更慎重に選ぶ必要があります。こうした障壁も、彫刻が商品として消費されることが少ない理由です。

彫刻だけで収入を得る代表的な手段は、有名になること

彫刻家として収入を得ていくには、工房の職人になる以外には自分の作品が有名になって価値がつく場合しかほぼありません。

有名な彫刻家になると作品は非常に高値で売れます。これまでにオークションで落札された最高額はスイスの代表的な彫刻家ジャコメッティの「指差す男」で1億4130万ドル、日本円でおよそ150億円以上という大変な高値です。2位、3位もジャコメッティの作品で、いずれも1億ドルを超えています。

日本では、主に企業の経営者や自治体など比較的大きな組織的な規模を持つ個人や団体が買い手となり、有名になればそうした大口の顧客がつき、非常に高い年収を得る事が可能になります。

有名企業の敷地や社内に置かれたり、ギャラリーや自治体が管理する美術館などで展示されたりすることになります。

近年はフィギュア制作で収入を得ている彫刻家が増えている

近年ではいわゆるサブカルチャーがますます活発となり、特に技術の発展に伴って様々な分野でフィギュア制作が行われるようになりました。例えば子供向けアニメや、大人向けアニメや特撮ヒーロー、実写映画のフィギュアまで制作されるようになってきています。

フィギュア制作は精巧な技術を必要とし、フィギュアを購入する層もファンとしての意識が非常に高いことから、立体物としての完成度を高く問われる仕事です。アニメ文化が国際的に受け入れられている現代において、フィギュア制作は日本国内のみならず海外にも広く需要があります。

多くの彫刻家志望者の新たな収入経路としてフィギュア制作が台頭してきたのも、時代の流れの産物といえるでしょう。

彫刻家の給与・年収まとめ

有名にならないと専業は難しい。新たな時代を見据えた活動を

彫刻家を専業にして高収入を得られる人は殆どいません。殆どの人は兼業ですが、少しでも彫刻に関連する職業に就いて、日々個人で彫刻制作に励んでいる人が多いです。

しかし彫刻づくりを広義に捉え、フィギュア制作など新たな需要に彫刻の腕を発揮するのも一つの手です。フィギュアはコレクターアイテムなので、新たな時代の美術品のように見ている人もいます。

こうした様々な需要を見据えつつ、自分に適した収益モデルを構築していくことが大切です。

彫刻家の参考情報

平均年収-
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職種広告・デザイン・アート

統計情報 出典元:

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