陶芸家の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

陶芸家の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

陶芸家は、粘土を捏ね上げ成形し、また大型の陶磁器を作ることもあるので、芸術的な仕事ではありますが、体力も必要になってきます。土器にしろ、陶磁器にしろ、様々な形を粘土で作っていくわけですから、繊細さやセンスも重要です。この記事では、陶芸家の仕事内容や、将来性についてご紹介します。

陶芸家とはどんな仕事?

粘土を使って、土器、陶器、磁器などを作り上げる仕事

陶芸とは、粘土を捏ねて成形した上で、高温で焼成することで、陶器や磁器、土器などを作る技術を指す言葉です。俗に「焼きもの」とも呼ばれます。こうした技術を用いた陶磁器などの制作を生業とする者のことを、陶芸家と呼びます。

陶芸は、人類史上最も古いテクノロジーで、最古の芸術形式でありながら、今もなお主要な産業として存続しています。歴史をたどると、日本では縄を巻きつけた棒を用いて成形した器などが知られる縄文土器に始まり、中国から伝わった白く薄く硬い白磁、唐三彩などを中国から輸入するようになって磁器が広く用いられるようになり、やがて千利休の見出した茶陶によって日本独自の陶芸が花開きます。そして伊万里焼、萩焼、信楽焼、有田焼など各所で様々な焼きものが作られるようになり、現在に至るまで受け継がれてきました。

歴史の教科書の文化史の項目で、陶芸技術を用いて作られた様々な作品の写真が掲載されていたのを覚えている方も多いのではないでしょうか。シンプルでありながら、非常に多様性のある陶芸は、人々を魅了してきました。同じ土から、釉薬(うわぐすり)を塗ったり、焼き方を変えたりして、様々なバリエーションを生み出してきました。

陶芸の基本はまず、長く受け継がれてきた伝統技術を身につけることです。古きを温めて新しきを知る、と言うように、陶芸家を目指すのなら、途方もない長い年月をかけて先人たちが錬成してきた陶芸の技術を徹底的に学ぶ必要があります。土の扱い方、器の焼き方、轆轤の回し方など、あらゆる工程に先人の知恵が積み上げられ、洗練されています。

陶芸の特徴はそれぞれの陶芸家が一つの作品を一貫して作ること

陶芸の特徴として、他の職人系の職業のように工程ごとの分業制を取らないことです。陶芸家が複数いる工房であっても、一人一人が違う作品を最初から最後まで一貫して制作します。つまり、それぞれの陶芸家一人一人がプロフェッショナルで、陶芸の全行程をしっかりと理解していなければならないということです。

陶芸は、極めてシンプルでありながらも非常に繊細な制作技術であり、土に含む水分量一つとっても、作りたい作品ごとに細かな調整を入れながら作って行きます。なので、一貫して一人が全ての行程を担当しなければ微妙なバランスが崩れてしまうことになります。下手に分業制にすると逆に混乱を招くのです。

そういう意味では一作品ごとにそれぞれの制作者の色合いが出やすい技術と言えます。

陶芸家の仕事の具体的な内容の例

陶芸技術が生み出す、磁器、陶器、土器の大まかな違いについて

陶芸は、同じ土の粘土から、様々な硬さや色合いの器を生み出すことができます。大まかに分けると、磁器、陶器、土器の3種類になりますが、この3種類の違いとはどのようなものなのでしょうか。

まず、最も硬い磁器の特徴は、土の色が白く、表面が硬くツルツルしていて、叩くとチーンという音がします。ガラス量が多く、吸水率はほぼ0%です。例えばラーメンの器、西洋料理を盛り付ける皿、コーヒーカップやティーポットなど、いわゆる「瀬戸物」と呼ばれているものが磁器です。

焼く温度も磁器が最も高く、1,300度の高温で焼き上げます。磁器は機械生産がしやすいという点が特徴で、日々の食事に用いられる食器や日常的に使うコップなど大量に流通しているものに磁器が多いのは、それが理由です。

陶器は、土の色こそ茶色やグレーが主体となっていますが、様々な釉薬を施すので、その色合いは多種多様です。陶器は磁器ほどガラス質を含んでおりませんので、吸水率は10%ほどとなっています。叩くとコツコツ鈍めの音がして、磁器ほど鋭い音は出ません。

主に熱いお茶を入れる湯呑みや、汁物を入れるお椀などに陶器が使われることが多いです。陶器は素地が穴だらけで、光を通しません。焼く温度は1,250度ほどで、磁器に比べると低めの温度で焼き上げます。

土器は、まさに土といった感じの色をしています。壊れやすく、吸水率が高く、水漏れが起こる場合もあるので、いまでは食器に用いられることはほとんどありません。植木鉢や屋根瓦などが土器の名残です。焼く温度も900度ほどと磁器や陶器に比べると低くなっています。

順番に、伝統的な工程を守って器は作られる

陶芸は、伝統的にある程度の工程は決まっていて、基本はその通りに作られます。まず、「土練り」「成形」という工程から始まりますが、陶芸の全ての基本となる土は、全国各地で採取された土をまず水に溶かして篩を通すなどして、小石や細かい屑、虫などを取り除きます。

土は採取される地域によって質が異なります。その細かな質の違いが、地域ごとの焼きものの特質を生み出します。そして多くの場合、陶芸家は複数の種類の土を混ぜて使います。何を作るかによって適切な配合を調整しますが、これも地域や工房ごと、場合によっては一人一人異なります。

混ぜ合わせた土を練って硬さを均一にし、土に含まれる空気を念入りに抜きます。空気が入っていると、焼成の過程でその部分が膨らみ、弾けてしまうからです。土の硬さも陶芸家一人一人によって異なります。板やヘラで押し潰したり、細い棒で伸ばしたりして、「土を締める」工程を行います。しっかり締めないと、焼成や乾燥の際に形が崩れやすくなります。

「成形」の方法は様々です。最古から存在し、球や紐状の形をした粘土を手でこねて成形していく「手ひねり」、円形の回転台に土を乗せて電動機を用いて回転させ、穴を開けたり、広げて底を作ったり、厚みを均一にして切り揃えて形を整えていく「轆轤(ろくろ)」などです。焼き上げる前に、釉薬を塗ったり土に混ぜ物をしたり金を塗ったりして「装飾」することもあります。

「焼成」「乾燥」の工程では、土を焼いたり乾燥させたりして不可逆な変化をもたらします。柔らかく変形できた土は焼成、乾燥によって硬くなり、しっかりとした形が保持されるようになります。先にも説明した通り、焼く温度によって出来上がるものは異なりますし、窯の保温管理などの関係で一定期間は窯の最高温度を保つことがあります。また、複数回に分けて焼くこともあり、陶芸家によって様々に計算しながらじっくりと焼き上げて行きます。

「仕上げ」「検品」の工程まできたらほぼ完成と言っていいでしょう。しかし、ここでも綿密に検査が行われます。窯が冷えたら焼きあがった器を取り出し、並べます。この状態では器の底はザラザラしているので、しっかりと磨きます。磨きながら検品作業を行い、そこから品質の良いものだけを選別します。

こうした工程を経て完成した器は、工房によって取りまとめられて問屋に出荷し、あるいは現地で販売されます。自分で工房兼店舗を持って、作りたてのものを売っている陶芸家もいます。

陶芸家の仕事のやりがい

広く一般的に用いられる「器」を生み出す仕事

人間の生活において、皿、お椀、コップなどの食器は欠かせません。食事の際は様々な食器に頼り、出す料理によっても使う器を細かく変えています。また食事だけでなく、植物を入れる花瓶や、綺麗に装飾された芸術品に至るまで、家をざっと見渡しただけでもかなりの数の「陶芸品」があるはずです。

伝統的技法を守る陶芸家は一つ一つ丁寧にそれらを作っています。また、工業生産品であっても、陶芸の技術が応用されていることに変わりはなく、多くの人が何らかの陶芸品を日々用いていることは間違いがありません。

陶芸はそうした意味で今でも重要な立ち位置をキープしており、人々の生活に密着した器具を作るという役割は、社会的にも非常に大きなものです。特に伝統的技法を守る陶芸家の場合、そうした重要な品々を一つひとつ手作りで生み出すことができますので、やりがいも大きくなります。

伝統を受け継ぎ、次世代へ伝える仕事

陶芸は古くから人々の生活に欠かせないものとして親しまれてきました。「陶芸家」という名称こそ、昭和から生まれたものですが、かつては「陶工」などと呼ばれて脈々と技術は古代から中世、近世から近代、現代へ受け継がれてきました。

その過程で、特に日本では、地域別に特色のある陶芸技術が独自に進化してきました。滋賀の信楽焼、岐阜の美濃焼、石川県の九谷焼など、日本では数多くの焼きものが今も受け継がれています。そうした各地の伝統技術を受け継ぎ、支え、次世代へ伝えていくのが陶芸家の主要な役割でもあり、大きなやりがいでもあります。

また、滋賀県の信楽焼の工房が、信楽焼の技術を使ってロボットを作るという試みが近年注目を集めています。伝統技術を用いつつも、概念や思い込みにとらわれることなく、これまでには見られなかったようなものを新たに成形していくのも、陶芸家の面白さでしょう。

陶芸家の仕事内容まとめ

誰しもが用いる食器などを作る、やりがいのある仕事

陶芸家という職業は昔から存在し、長い年月を経て廃れることなく、今でも重要な産業として存続し続けています。シンプルであり、様々な応用がきく陶芸は、食器のみならず、様々な器具や、あるいは芸術作品を生み出しました。今も人間にとって陶芸は身近であり、重要な存在であり続けています。

こうした陶芸品を生み出すことができる陶芸家の役割は大きく、偉大なものです。伝統的な工法を守り続けることの大切さも、伝統にとらわれない新たな試みを行える面白さも、陶芸家の仕事の大きな魅力と言えるでしょう。

陶芸家の参考情報

平均年収200万円~300万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職種広告・デザイン・アート

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