診療放射線技師になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
診療放射線技師は、医療機関などで医療機器を取り扱い、放射線を使用した検査や治療補助を行う仕事です。診療放射線技師になるには国家資格の取得が必須ですが、どういった人に向いているのでしょうか。今回は、診療放射線技師に向いている人の適性や、必要な能力、資格についてご紹介します。
診療放射線技師にはどんなことが必要?
放射線と人間の関係に関する深い理解が不可欠
診療放射線技師は、人体に危険を及ぼす可能性のある放射線を、患者さんの治療対象部位や検査対象部位に対して照射する仕事です。
放射線は人体を透過し、人体の中身の詳細な状態を確認できる利便性があり、治療に際しては悪性の細胞に放射線を照射する事でダメージを与えたり、非常に効果的である一方で、被曝の危険も伴う治療です。
そうした治療を行えるのは、医師職を除けば、診療放射線技師の有資格者のみとなっている事からもわかる通り、非常に高度な専門知識と技術が必須の仕事となっています。非常に効果的な検査や治療を行える分、大きな危険も伴う放射線の取り扱いには細心の注意が必要です。
診療放射線技師には、放射線というものに対する深い理解はもちろん、放射線を照射した時にどのような影響があるのか、またどれだけの放射線量を照射すればなるべく危険がなく治療や検査が行えるのかなど、人体への作用や影響に関わる放射線の使い方の熟知も必要になります。
検査結果、治療結果に応じた的確な対応を行える洞察力
診療放射線技師は、放射線という人体に危険ももたらすものを用いて治療を行うため、そうそうミスややり直しが許される仕事ではありません。なるべく人体への影響を最小限にするために、放射線の照射は最低限に抑えなければなりません。
そのために診療放射線技師に求められるのは、放射線を照射するための医療機器を細部に渡って正確に使用できる技術力と、一度の検査で的確に病状を把握できる鋭い洞察力と、検査結果に応じて適正な治療方針を、決定権を持つ医師に対して提案できる提案力です。
特に放射線治療の際は、放射線を照射する部位を非常に正確性の高い位置に合わせる必要があります。そのために患者さんに指示を出し、かつ正確に固定する必要があります。危険が伴うからこそ、ルールをしっかりと遵守できる強さが、診療放射線技師には求められます。
診療放射線技師に向いている人、適性がある人
観察力や配慮に長けた人
診療放射線技師は、放射線を使用するという特性から、様々な制約の中で仕事に従事しなければなりません。放射線検査にしろ、放射線治療にしろ、診療放射線技師に特に必要なのは、注意力、観察力をもって仕事に取り組む事です。
迅速かつ正確な機械操作はもちろんのこと、検査結果を確認する際に、医師の治療方針に大きく寄与する画像分析、解析をしっかり行い、どんな些細な怪しい影なども見逃さない、類い稀なる観察力が求められます。
また、特に放射線治療の際は、患者さんに所定の部位に正確に放射線を照射するために、患者さんに対し適切な指示を出して、決まった姿勢、位置を指定して、患者さんを固定する必要があるので、治療にあたっての正確な位置取りを行うために、積極的な声がけを行う事が必要ですし、危険なイメージのある放射線を照射される患者さんを安心させる気遣いも重要になってきます。
こうした観察や対応における正確性と、正確な検査や治療を導くための人間的な配慮を併せ持つ人が、診療放射線技師に向いています。
連携力やコミュニケーション能力が高い人
診療放射線技師は、医師の指示の下で放射線機器を用いて検査や治療を行いますので、診療放射線技師単独で仕事をする事はできません。治療全般の方針決めや治療や検査過程のコントロールは必ず医師が行わなければなりませんので、医師との連携力が非常に大事になってきます。
また、医師以外にも、看護師や医学物理士や臨床検査技師など他の医療従事者もたくさん関わってきますので、チーム医療の一員として、あらゆる医療従事者との連携を行わないといけません。
そうした際に自分の専門分野に基づいた検査結果報告や治療報告などを医師をはじめ他の医療従事者に対して正確に共有できるコミュニケーション能力が欠かせません。診療放射線技師としての専門知識を駆使しつつ、如何に適切に検査結果報告や治療方針への提案などを医師や他の医療従事者に打診できるかが、診療放射線技師としての腕の見せ所です。
知的好奇心やチャレンジ精神が豊富な人
放射線を用いた検査、治療の分野は日進月歩で、日々最新の治療法や技術、医療機器が開発されては、医療現場への落とし込みが行われています。こうした常なる発展が望まれる分野には特に、日々の勉強が欠かせないものとなってきます。
例えば日々の医師や他の医療従事者とのカンファレンスや勉強会、医療機器メーカー担当者の応対など、情報は様々なところから常に仕入れ続けないといけません。そうしないと、的確な治療が望めなくなるからです。
特に放射線ほど繊細な検査道具、治療道具はなく、目覚ましい効果と危険性が表裏一体の諸刃の剣となるために、他の治療よりもさらに繊細な対応が必要となってくる中で、最新の医療知識を仕入れていないと、患者さんにとってより安全で的確な治療を医師に提案できません。
治療や検査方針の決定権は医師にあるものの、その決定のための情報提供は専門職である診療放射線技師が行わないといけないので、専門職としてのプライドを持って、日々最新事情を頭に叩き込んでおく必要があります。また最新の医療機器の操作方法も常に把握しておかないといけません。
就職後も一生勉強する覚悟で知識や技能を仕入れたり、最新の治療法に基づいた技術力を磨き続けるなどの知的好奇心やチャレンジ精神を長期的に持つ事ができる人が、診療放射線技師に向いています。診療放射線技師である限り一生勉強は尽きない、そうした覚悟で仕事に臨むべきです。
診療放射線技師になるための学校・教室
文科省、厚生省が指定する養成校への進学が定石
診療放射線技師の資格は国家資格であり、所定の国家試験を受験し合格する事で資格を取得する事ができます。
所定の国家試験を受けるためには、特異な例外を除いて、文部科学大臣が指定する所定の大学や、厚生労働大臣が指定する所定の養成校への進学をし、診療放射線技師に必要な専門知識や技能を修得するのが必須条件となります。また特異な例外に該当するためにも、それと同等の知識や技能が必須です。
高校を卒業し、新たに診療放射線技師を目指す場合には、医療技術科などを置く所定の大学へ進学し、所定の単位を取得し修了見込みの時点で診療放射線技師の国家試験に臨むのが最も合理的な方法です。
所定の大学、養成校には、国公立大学、私立大学から、短期大学、専門学校まで様々な学校があります。全国各地に、合計40校ほどの大学、養成校が存在しますので、選択肢は比較的豊富と言えます。しかし、診療放射線技師の特徴として、高学歴であればあるほど、就職後の金銭的待遇が高くなる事が挙げられます。
ですので、どうせ学ぶのであれば、目指せる範囲で最も高い学歴を得るために努力する事が大切です。最も高待遇となるのが大学院卒で、その次が大学の学部卒、短大・専門学校卒などとなります。大学以上の学歴を持って、修士号、学士号を得ておく方が、より幅広い教養を得ることにも繋がりますし、そうした学歴の高さが、就職に際する競争を勝ち残るための強みにもなるでしょう。
診療放射線技師になるには?まとめ
予防医療や治療に大きく寄与する、社会的意義の大きい仕事
診療放射線技師は、非常に専門性が高く、専門知識と細心の注意が必要な仕事です。重病の早期発見、治療に大きく寄与する放射線診療を扱う仕事だからこそ、社会的な意義も大きいという事ができるでしょう。
生活習慣病が大きな問題となっている昨今、幅広い知識と専門性を持った診療放射線技師の存在はますます重要になっていき、需要がますます高まっていくことが予想されています。細やかな検査と効果的な治療を行える放射線医療だからこそ、診療放射線技師には常に専門性を深めていく日々の努力が求められます。
診療放射線技師の参考情報
平均年収 | 350万円〜600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 医療 |
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