ジュエリーデザイナーになるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
ジュエリーデザイナーは、金属や鉱石など象徴的な素材を用いて装飾品などを作りますが、素材にも特別な意味があるからこそ、それを生かす高度なセンスが求められます。今回は、ジュエリーデザイナーに向いている人の性格や、求められるスキルについてご紹介します。
ジュエリーデザイナーになるには何が必要?
扱う素材に関する幅広く深い理解が不可欠
ジュエリーデザイナーは、安価なアクセサリーから高級な宝飾品まで、非常に多種多様な素材で装飾品を生み出す仕事です。どんな素材であっても、基本的に金属加工というのは、非常に繊細な技術が要求されます。そして日常的に身につけるアクセサリーとなると、容易には壊れない頑丈さも重要になります。
ジュエリーは、金属や宝石を適切に切り出し、加工することで、装飾品として成形されます。金属や宝石に輝きを与えるだけでも、高度な研磨技術や切削技術が求められます。金属を薬品に漬けて色を変えたり、文様を削ったり、そうした作業工程には、金属や鉱石の物質的構造をはじめとする様々な専門知識が必要となります。
実務として実際にジュエリー製作にあたるかどうかは、自身のデザイナーとしての方針によっても異なりますが、ジュエリーデザイナーはジュエリー製作全般、仕上げに至るまでの全ての作業を想定して、デザイン画を描き、完成予想図を製図します。
デザイナーが物理的に完成が難しいデザインを提案してしまうと、プロジェクトそのものの破綻を招き、素材も無駄になりかねません。そのため、素材の扱い方に関する包括的な理解が必要不可欠となります。
工作の技法、金属素材や宝石の物理的特性や構造、どういった化学反応を起こし、それによってどういった効果が得られるのか、金属アレルギーを起こす可能性はあるのかなど、金属や宝石にどのような処理を施せばどう変化するのか、人体にどう影響するのか、そうした化学的な知識、技術的な知識を豊富に身につけておかなければなりません。
ジュエリーが好きで、様々なジュエリーに詳しいこと
ジュエリーデザイナーになるためには、ジュエリーが好きであることもまた重要です。あたりまえに思われるかもしれませんが、特に宝飾品の場合、素材には象徴的な意味合いが付与されることが多い、独自の美学を持った品目です。
これは色や種類によって細かく違った花言葉を持つ花とも似ていますが、古来より神聖視されてきた宝石や貴金属は、身につける人やその位置によって、細かく意味が付けられてきました。これは半ば迷信のようなものでもありますが、ジュエリーの世界には、そうした象徴的意味合いを重要視する美学があります。
これは、作る側ではなく顧客もまた求めているものです。顧客にもそうした宝石や金属の持つ意味合いに詳しい、特別な意味合いを見出す人たちが大勢います。そうした需要に応えるために、まず誰よりも第一にジュエリーデザイナーがジュエリーを愛し、ジュエリーに特別な意味合いを見出していかなければなりません。
こうした美学は宗教的であるとすら言え、細かなルールを把握せずに決まりごと、約束事から逸脱してしまうと、すぐさま反感を買う場合が少なくありません。顧客が持つ美学に反するジュエリーを作ってしまっては、ジュエリーデザイナーとして失格です。
ジュエリーデザイナーに向いている人、適性がある人
様々な職種の人と、コミュニケーションがしっかり取れること
ジュエリーデザイナーにとって大切なのは、ジュエリー開発に関わる様々な職種の人との適切な連携、協力です。企業デザイナーは特に、様々な職種の人が関わる分業制となっていますので、様々な部署で働く人のことを考えた仕事が求められます。
商品企画から降りてきたコンセプトやターゲット、シーズンなど販売計画に沿ったデザインを起こすまでにも、複数回の打ち合わせと差し戻しを経ますし、固まったデザインを元に実際に製作するクラフトマンとも密に打ち合わせを行い、一貫した認識をその都度共有する必要があります。
そのうえで、製作時に問題が起きたら商品企画部にもフィードバックを行い、そのたびにデザインの見直しも行いながら、現場が無理と判断したら一回持ち帰って企画部の計画を再検討するなど、実際にジュエリー製作を行うクラフトマンの作業効率、ショップで実際に販売するスタッフのことも考えて、トップダウンで同じ目線での認識の共有を図らなければ、ジュエリーが適切なかたちで世に出ることはないでしょう。
そうした際に必要となるのは、ジュエリー開発全体のプロセスを巨視的に俯瞰する視点と、すべての部門において無理が生じないように調整と連携を行うためのコミュニケーション能力です。
独立したジュエリーデザイナーの場合、企画からジュエリー製作、販売までを一手に引き受ける場合もあるようですが、そうした場合でも、一定程度に広い流通と販売を行うには、必ず誰か他の人の力が必要になります。
仮に作業工程には必要がなくても、顧客とのコミュニケーションは必ず発生します。自分の作品を買い求めてくれる顧客の需要は、必ず把握しておかなければなりませんし、人々はジュエリーに特別な意味を見出しやすいですから、ジュエリーの作者に対しても特別な意味合いを持ちます。
心が通じ合っていれば、ジュエリーと同じくらい、作者にも意味を見出してくれ、継続的な購入をしてくれる可能性が高まります。ジュエリーデザイナーには、こうした顧客との心の通じ合いも含めた、包括的なコミュニケーション能力が求められます。
好奇心旺盛で、様々な仕事に積極的に取り組める熱意があること
デザイナー職はどの仕事でも同じですが、基本的にデザインする商品に関する包括的な知識を要求されます。ジュエリーデザイナーも例外ではなく、いくら理想的なデザインや計画を描いたとて、それが実際に製作や実行が不可能なものであれば、何の意味もありません。
デザイン職においてしばしば失敗とみなされるのは、リアルを無視し、絵に描いた餅を作ってしまうことです。こうした失敗は、業界の経験があまりない頭でっかちなデザイナーに多い傾向にあります。なので、自分の夢が絶対で、その過程の実現性に目を向けない人は、ジュエリーデザイナーとしても失格です。
ジュエリーデザイナーは特に扱う素材がデリケートなので、よりいっそうリアルな素材の組み立て方、切削や研磨などをきちんと実感として知っていなければなりません。また、商品がどういうコンセプトのもとで開発され、どういった状態で販売されるのか、あらゆるプロセスにおいてリアルな実感を持って取り組まなくては、計画はどこかで破綻します。
自分で企画するにしても、そうでないとしても、適正なデザインを起こすためには、商品が顧客に行きわたるまでのすべての工程の現状を把握し、自らの肌で実感しておくことが重要です。デザインは開発から販売までのすべてに通じるからです。
ですので、ジュエリーデザイナーになるまでには、様々な部署での経験を積んでおく必要があります。または最低限、研修として様々な部署の現場において仕事を体験することが大切になってきます。直接デザイン画を起こす仕事でないからとそれらをなおざりにしていると、肝心のデザインで失敗することになるでしょう。
ジュエリーデザイナーになるための学校・教室
ジュエリーデザイン、あるいはクラフト系の大学への進学がおすすめ
ジュエリーデザイナーになるにあたって、特別な免許や資格、また学歴は問われません。しかし、ジュエリーデザイナーになるにあたって役立つ知識や技術を学べる学校はあります。
代表的なものが、芸術系、美術系の大学でしょう。しかし美術系の大学の場合、ジュエリーデザインに特化した学科というよりは、造形デザインすべてを包括的に幅広く学べることが特徴となります。
例えば武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科、京都造形大学のプロダクトデザイン学科、国際ファッション専門職大学のファッションクリエイション学科などです。工芸デザイン、クラフトデザイン、ファッションデザインなど、立体物、造形物に関するデザインを学ぶことは、ジュエリーデザインにも大いに有用となることでしょう。
ジュエリーデザインを学べるファッション系やデザイン系の専門学校も
専門学校には、かなり少ないものの、ジュエリーデザインに特化した学科があるのが特徴です。例えば山脇美術専門学校や文化服装学院には、ジュエリーデザイン学科が設けられています。
また、ファッションデザイン、アクセサリーデザインなどファッションに絞ったより専門的かつ実践的なコースも充実しているのが、大学にはあまりない専門学校ならではの特色といえるでしょう。
専門学校であれば、現役でプロのジュエリーデザイナーによる講義も実施されていますし、ファッション分野に特化した様々な専門知識を、大学よりも仕事現場が近い実践的なカリキュラムによって得ることが可能です。
ジュエリーデザイナーになるには?まとめ
ジュエリーデザインには包括的な専門知識が要求される
ジュエリーデザイナーになるためには、ただデザイン画が描けるだけではなく、ジュエリー開発から販売に至るあらゆる工程を、積極的に経験し、我が身のものとする必要があります。
また、実際に経験しなくとも、他の部署の人間にとって重要な価値観や、仕事の限界を真摯に聞き、デザインに反映させる努力も重要です。自分の信念も大事ですが、様々な部署と連携し、誰もが不幸にならないデザインを手がけることもまた大切です。そうした細やかな心配りが、最終的には顧客の満足へとつながるのです。
ジュエリーデザイナーの参考情報
平均年収 | 300万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 広告・デザイン・アート |
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