人事コンサルタントになるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
人事コンサルタントは、企業の根幹となる人材を扱う部署である人事に関係する経営戦略上の課題を解決に導くために様々な支援を行います。実際に企業を訪問し聞き取り調査をしたり、内部資料を分析したりとその仕事内容は様々です。人事コンサルタントになるには、どういった適性やスキルが求められるのでしょうか。
人事コンサルタントになるには何が必要?
企業経営や人事制度に関する幅広く深い理解が不可欠
人事コンサルタントが直面するのは、国内外を問わず様々な企業が抱える問題です。企業経営には、人事制度が大きく関わることが多いので、人事コンサルタントが必要となる場面は多いと言えるでしょう。
従業員が人間であるように、企業もまた、人間です。大きな企業の場合、あまりにも規模が大きいせいで、何か人間を超えた創発的な概念が想起されがちですが、人間で構成され、人間が経営する以上、人間が一人一人違うように、企業風土や環境もまた、企業ごとに大きく異なります。ですので、企業に存在する経営上の課題も一つ一つ違います。
人事コンサルタントに大事なことは、いくら豊富な経験や優秀なスキルを持っていても、既存のパターンに企業を当てはめようとは考えないことです。似たような事例があっても、人や組織の空気感や風土が異なれば、打ち出す改善・解決策も異なるものにならざるを得ません。
しかし、ある程度の課題抽出能力を鍛える必要はあります。そのために、企業経営における学問的な深い理解と、人事考課、人事評価など人事部の仕事の詳細、社内資料の読み取りやマーケティング分析のための経済学、統計学、経営学的な諸々の専門知識への深い造詣など、既存の様々なモデルケースを、一定のフィルターとして機能させるだけの幅広く深い知識の蓄積が要求されます。
経験や知識に頼りすぎてはいけませんが、改善策を判断し提案していく為に、知識は必須となります。
自社や自分が勤めてきた会社への人事制度に関する強い問題意識
人事コンサルタントになるには業務経験も必要ですが、それよりも大きく必要とされるのが、自社や自分が勤めてきた会社など、自分の勤める企業やかつて勤めた企業など、自分にとって身近にある企業の人事制度への強い問題意識です。
なぜならば、クライアント企業の人事制度の問題を洗い出す必要のある仕事をするのに、自社の人事制度を把握していないようでは務まらないからです。実態を把握していて何よりも身近なのは自分が勤める企業や、かつて勤めてきた企業など、自分がよく知る企業です。
自分に関連性の高い企業をモデルケースとして、日頃から、自分が勤める会社の人事制度も具にチェックしておき、強い問題意識を持っておくことが大切です。そうすることで、クライアント企業の問題点を抽出する能力に結びつきます。クライアントの問題点を指摘するからには、自分の勤める企業をも客観的に眺められ、問題意識を持つことができなければいけません。
また、自社内の採用面接に積極的に関わるなど、マネジメントや、人材育成に高い関心を常日頃から持っておくと、より強く確かな問題意識を持ち続けることができるでしょう。
人事コンサルタントに向いている人、適性がある人
様々な人との密な連携、明確なコミュニケーションが取れること
人事コンサルタントに最も必要なことは、クライアント企業の経営陣や人事部の窓口担当者、様々な部署の従業員との密な連携です。
企業へ訪問した際、真っ先に役員室や社長室に直行するのではなく、様々な関連部署へ逐一巡回訪問し、管理者やその下で働く様々な従業員に顔を見せ、挨拶と会話を通して、普段から、問題意識、危機意識の共有と問題解決への糸口を様々な身分の従業員と一緒に探していく姿勢が大切です。
ろくな共有もないままにトップダウン的な経営判断が常態化すると、必ずどこかから不満が噴出します。経営陣と従業員と人事担当者の意思の共有ができていないと、現場の社員は混乱してしまいますし、急な方針転換や人事的な処遇の変化の煽りをろくな事情把握もないままに受けてしまっては怒りが生まれてしまいます。
経営陣から、末端の現場まで、抱える課題は社内全体の課題という意識を持ち、様々な身分の従業員が一丸となって取り組まないことには、経営上の課題は解決されないと言っても過言ではありません。
そのために人事コンサルタントは、様々な身分の従業員からしっかりとヒアリングを行います。その上で第三者としての的確な判断が生まれます。人事コンサルタントは、人事、現場、経営陣それぞれの意見を集約した上で客観的な改善策、解決策を提案していく必要があります。
クライアントも人間で構成された組織なので、一枚岩とはなかなかいかないのが実情です。組織全体が一つの方向に向かってしっかり進んでいくように、クライアントの人事担当者や人事コンサルタントがうまく連携を生み出していくことが必要不可欠となってきます。
高い論理的思考力を持つ人
人事コンサルタントは、企業の経営上の課題や、人事制度における問題点を、様々な身分や部署の従業員からのヒアリング、豊富な社内資料の分析を通して導き出して行きます。人材の処遇に関わる重要な決定を下すように経営陣を促していかないといけない場合も出てきますから、曖昧な思考や、勘など根拠に基づかない判断は禁物です。
デリケートな判断を求められる仕事ですから、資料の数字一つに至るまで細かく読み取ることができる観察力や洞察力、なにか施策を提案するときに一つ一つ、細部にわたって「なぜそうなるのか」を明確に、論拠を持っておく必要があり、また、その論拠が妥当であるかを客観的に判断できる能力が重要です。
自分の行動一つ一つに対して、明確な理由づけ、論理付けを行えるような高い論理的思考力を持った人が、人事コンサルタントに向いています。
相手の話をしっかり聞き、物事を相手にわかりやすく伝えることができる人
人事コンサルタントは、様々な人に対して聞き取り調査を行うことで、企業の経営上の課題や問題点を客観的に炙り出していく必要があります。そのためには、居丈高な態度で接することなどはご法度です。真摯な気持ちを持って、相手の話をしっかりと聞く、聞き上手さが求められます。
また、企業における様々な部署、身分の従業員から話を聞くのと同時に、自身が企業に提案する施策への理解を様々な部署、身分の従業員に求めていく必要があります。そのためには、ただ聞き上手なだけでなく、物事をわかりやすく相手に伝える能力も重要になってきます。
専門用語を織り交ぜてそれらしいことをそれっぽく抽象的に言うのではなく、明確な意図、意思を、簡潔な言葉で具体的に伝えることができる能力が、人事コンサルタントには強く求められます。むしろ、そうした能力がないと人事コンサルタントには向いていない、と言っても過言ではありません。
人事コンサルタントになるための学校・教室
経営論、経済学を学ぶことができる大学等への進学が適切
人事コンサルタントの根幹は、豊富な経験と高いスキルに基づく問題解決能力ですが、そうした能力を養うのは、現場経験です。人事コンサルタントには明確な資格は必要なく、またあまり新人の未経験者は採用されにくい業界です。
ですが、そのための素養を学校で磨くことは可能です。例えば経営学や経済学、経理や財務などを学び、企業経営や組織マネジメントに際する、様々な数字や統計を読み取り、分析する力は特に必須となります。それに合わせて、保険の知識、法律の知識も豊富に兼ね備えていなければなりません。
人事コンサルタントに有用な資格は、国家資格である「社会保険労務士」「中小企業診断士」などがありますが、特に人事における労務管理に強く関わる「社会保険労務士」の資格を得る為には、無資格者の場合大学卒業がほぼ必須条件となっています。
しかし社会保険労務士試験は、行政書士の資格を持っていれば受験でき、かつ行政書士の受験資格は特に学歴を問われないことから、高卒から目指す人は、まず行政書士の資格をとってから社会保険労務士試験を受ける人が多いようです。
とはいえ、コンサルティング業界は特に外資系大手を中心として高学歴の学生を求める傾向にあることから、大学あるいは大学院まで卒業しておくと、有利であると言われています。マネジャー以上の役職は英語は必須であるとも言われる業界ですので、大学在学中にTOEICやTOEFLなどの語学検定試験を受験し、高いスコアをマークしておくと、ポテンシャルが高いと見做され、就職に有利に働く可能性があります。
「キャリアコンサルタント」という国家資格もありますが、こちらは受験資格を得るまでに実務経験が大きく重視されますので、実際に就職してから資格を取得するといいでしょう。
人事コンサルタントになるには?まとめ
人事コンサルタントは責任が大きく、やりがいも大きい仕事
人事コンサルタントになるには、特別資格は必要ありませんが、何よりも重視されるのは、経験とスキルです。とはいえ新卒採用は皆無ではないので、いかに自分のポテンシャルを高めるかが、人事コンサルタントを目指す上で大事になってきます。
また就職してからも、一件一件を真摯に取り組むことで、自分の中に様々なモデルケースが蓄積されていくでしょう。しかしそれに驕ることなく、一つとして同じパターンの企業は存在しない、という意識を持って、一つ一つ丁寧に仕事を行って、経験を着実に積み重ねていくことが、有能な人事コンサルタントを育てます。
人と数字に真摯に向き合い、鋭い洞察力で企業の様々な問題を解決、ないし改善する為に地道な努力を積むのが、成長への一番の近道です。
人事コンサルタントの参考情報
平均年収 | 650万円〜850万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | その他 |
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