彫金師の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
彫金師として実績を残すためには、長年の経験に基づいた高い技術力が求められます。彫金師として働くために必要な資格や試験はありませんが、関連性の高い資格を取得することで業務への理解を深められるほか、技術力を活かして関連分野で活躍することも可能です。このページでは、彫金師に関わる資格やその難易度、資格取得に有利な学校についてまとめました。
彫金師の資格とは?
彫金師に必須となる資格や試験はありません。ただ、活躍の場が増えるにあたって、彫金技術を磨き続ける他にメーカーへの就職や開業のために幅広い知識を身につけたり、実績を証明したりすることへの必要性が高まってきています。
彫金師として活動できる可能性の幅を広げるためにも関連性の高い資格を取得すれば役立つでしょう。
彫金師に役立つ資格「貴金属装身具製作技能士」
「貴金属装身具製作技能士」とは、貴金属や宝石類を用いたジュエリーの製作に求められる技術や知識レベルを評価する技能検定です。
技能検定は中央職業能力開発協会によって実施されている試験で、130種類ほどの職種に関する検定が存在します。各職種における技能を一定の基準によって評価し、試験に合格することで「技能士」と名乗ることが許されます。
貴金属装身具製作技能士検定の受験資格
貴金属装身具製作技能士検定は1級、2級、3級というレベルに分かれており、それぞれの等級ごとに受験資格が異なります。
等級 | 受験資格 |
---|---|
3級 |
|
2級 |
|
貴金属装身具製作技能士検定の受験費用
受験にかかる費用は学科試験が3,100円、実技試験が17,900円です。金額は都道府県によって異なり、年齢によっても変動する場合がありますので、受験する自治体の情報を確認しましょう。
学科試験 | 実技試験 | |
---|---|---|
受験費用 | 3,100円 | 17,900円 |
貴金属装身具製作技能士検定の試験内容
どの級においても学科試験と実技試験があり、学科試験では以下の項目についての知識が問われます。
学科試験
- 貴金属装身具製作法
- 材料
- デザイン及び製図
- 電気及びガス
- 安全衛生
これらの分野について、3級の場合は真偽法、1級・2級は真偽法及び四肢択一法による出題となります。
実技試験
実技試験では貴金属装身具の製作を行います。受験者が持参した材料および会場で支給された材料を用いて指定の製作図通りに作品を完成させる試験となります。
製作時間は3級で3時間、1級・2級で7時間与えられ、時間内にジュエリーの細工から仕上げまでを行います。
貴金属装身具製作技能士の難易度・合格率
国家資格であるため難易度は高く、専門スクールでの学習が望ましい。
等級 | 合格率 |
---|---|
3級 | 50% |
2級 | 40% |
1級 | 40%~50% |
貴金属装身具製作技能士の合格率は、3級が50%、2級が40%、1級では40%~50%程度で、受験者の半数程度が合格者だといわれています。合格率が比較的高いように見えますが、1級・2級とそれぞれ相応の実務経験が受験条件となることから、ベテランの技術者による受験が多数であるということが合格率の高さの理由であるといえるでしょう。
3級については協会によって発行されている問題集を解くことで試験の対策ができますが、1級や2級は難易度が高いため、独学での合格は難しいとされています。ジュエリー製作の専門スクールで合格に向けたサポートが受けられるため、試験対策には専門学校での学習が望ましいでしょう。
その他の彫金師に関連する資格
貴金属の歴史や製造、販売の知識を身につけるなら「ジュエリーコーディネーター」
彫金師関連の資格にはジュエリーに関する資格が多くあります。
貴金属装身具製作技能士に次いで彫金師の仕事に関連のある資格として、「ジュエリーコーディネーター」が挙げられます。こちらの検定試験は、「一般社団法人日本ジュエリー協会」によって行われており、ジュエリーの歴史や製造、販売やコーディネートに関する知識を測る試験となります。
検定のレベルは1級、2級、3級と分かれており、1級に合格するとジュエリー製作における人材育成や店舗経営ができるほどの高度なスキルを有していると認められます。受験資格については3級が経験不問、2級・1級についてはそれぞれ一つ下の級での合格が条件とされています。
協会発行のテキストや過去問題集で学習ができ、未経験者向けには3級試験対策の通信講座なども存在します。2級、3級ともにテキスト中心の学習とはなりますが、1級のみ実技試験が設けられており、テキストに関わらない上級者レベルの内容が出題されます。
資格試験に合格した後は協会への資格登録が必要となり、登録後に晴れてジュエリーコーディネーターとして名乗ることが許されます。登録には登録料として19,000円が発生し、3年ごとに更新が必要となります。これらの登録を行うと、年4回機関誌が送付されるほか、協会主催のセミナーに参加することもできます。
シルバー加工の技術と知識を問う「シルバージュエリー検定」
「NPO法人宝石宝飾教育振興会」によって行われている「シルバージュエリー検定」は、シルバーアクセサリーの加工技術や知識を評価する検定です。シルバーアクセサリーの人気が高まっているということもあり、シルバーアクセサリーの製作スキルを身につけることは就職にも有利になるでしょう。
試験は学科試験と実技試験に分かれており、学科試験では貴金属や加工に関する知識、実技試験ではペンダント製作によって基礎から中級程度のシルバー加工スキルが試されます。
宝石宝飾教育振興会ではシルバージュエリー検定の他にジュエリーデザイン画検定、ワックスジュエリー検定など、ジュエリー加工に関連したいくつかの検定がありますので、ジュエリーに特化した彫金師を目指すのであれば、これらの資格取得を目指してはいかがでしょうか。
彫金師の資格や技術などを学べる学校・講座
ジュエリー分野で彫金師関連の資格を取るなら、デザイン系の専門学校へ
ジュエリーという分野に特化して彫金師の仕事を行うのであれば、ジュエリーやデザインを専門としたスクールがおすすめです。
全日制の学科から通信教育、短期間講座など学び方の選択肢が豊富であるため、ライフスタイルに合わせて彫金技術を学べる点が特徴です。大学が4年制であるのに比べて、全日制の学科でも学習期間が2年であることが多いので、働きながら短期間で技術を習得したいという方に適しています。
彫金師として工学、美術的側面から学ぶなら芸術・美術系の大学へ
ジュエリーに関わらず、彫金師として幅広く学ぶのであれば、彫金技術が習得できる芸術系大学、美術系の大学へ進学するという選択肢もあります。
このような大学では工芸科や美術科といったコースで彫金技術が学べます。デザインの基礎や総合的な学習から始め、年次によって金属での制作活動へと領域を広げることで、体系的に美術の知識を学べる点がポイントです。
また、工芸や芸術への関心が強い仲間と一緒に学ぶことで、感性も研ぎ澄まされ、創作活動への刺激やインスピレーションを与え合うことができます。彫金師には技術だけではなく美的センスも必要となるため、偏った分野の知識だけではなく広い視点で芸術を捉えることでセンスを磨くことができるでしょう。
彫金師の資格・試験まとめ
彫金師として必須の資格はない。ジュエリー業界に進むなら関連資格の取得が役立つ
彫金師の仕事は繊細な作業を要するため、一人前として仕事ができるようになるには経験こそが一番の鍵となります。
資格の取得のみで彫金師として働けるようにはなりませんが、活躍の場を広げることに役立つでしょう。特にジュエリー業界においては資格や検定が充実しているので、自身の実績を示す手段やスキルの向上を目的として、関連資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
彫金師の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 広告・デザイン・アート |
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