ファイナンシャルプランナーの資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
ファイナンシャルプランナーとして活動したいと思っているのであれば、2級FP技能検定に合格することが必要でしょう。ファイナンシャル・プラニング技能検定は国家資格に分類されていますが、他の国家資格と比較すると難易度はさほど高くないようです。本記事では、ファイナンシャルプランナーに役立つ可能性が高い資格などについて詳しく解説します。
ファイナンシャルプランナーの資格とは?
ファイナンシャルプランナーに関する資格の種類
ファイナンシャルプランナーを目指す上で絶対に資格が必要というわけではありませんが、一般的にいずれかを取得しておくべきだといわれている資格は3種類あります。
資格名称 | 資格種類 |
---|---|
ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能士試験)1級~3級 | 国家資格 |
AFP | 民間資格 |
CFP | 民間資格 |
上記のようにファイナンシャルプランナーには国家資格と民間資格があります。それぞれに特徴があり、試験の難易度も異なります。詳しく解説していきます。
ファイナンシャル・プランニング技能検定の概要
ファイナンシャルプランナーとして技能を証明する国家資格
ファイナンシャルプランナーを目指す上で取得しておくべき主要な資格の一つが、ファイナンシャル・プランニング技能検定です。
FP技能士とも呼ばれるこの資格は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会と金融財政事情研究会として知られる団体が管理している技能検定です。2002年に国家資格の技能検定をして認められ、合格すれば○級ファイナンシャル・プランニング技能士と名乗ることができるようになりました。
ファイナンシャル・プランニング技能検定は1~3級にレベル分けされており、担当する業務内容によって必要とされる級が異なります。一般的にはファイナンシャル・プランニング技能検定2級が実務に活かしやすいといわれています。
ファイナンシャル・プランニング技能検定の受験資格
ファイナンシャル・プランニング技能検定は誰でも受験できるわけではありません。受験資格が設定されており、級によっては実務経験も必要になります。
1級ファイナンシャル・プランニング技能検定
- 2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
- FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定
- 3級技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
3級ファイナンシャル・プランニング技能検定
- FP業務に従事している者または従事しようとしている者
基本的には3級から順番に受験して、1級合格を目指すことになります。級が上がるにつれて難易度も上がり、特に1級FP技能検定は合格率も低く、十分な対策が必要になります。
3級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度
ファイナンシャル・プランニング技能検定3級は、ファイナンシャルプランナーを目指す人のための入門編ともいえる試験です。
学生や社会人、主婦などが受験しており難易度はさほど高くありません。学科試験の合格率は50~70%程度になっており、しっかりとした対策を行えば合格できる可能性は十分あります。
ただ、ファイナンシャル・プランニング技能検定3級に合格しただけではファイナンシャルプランナーとして活躍することは難しく、2級FP技能検定のためのステップと考えた方がいいでしょう。
勉強するためには市販の参考書や過去問集などを一通りやり終えて、問題の出題傾向を見極める必要があります。効率よく勉強しておくことで独学でも十分合格できる可能性があります。
ちなみに、合格の判断基準は以下の通りです。
- 学科 60点満点で36点以上
- 実技 50点満点で30点以上
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度
ファイナンシャルプランナーとして活動するのであれば、2級FP技能検定の合格が必須になるでしょう。この資格は国家資格に分類されていますが、合格率は35%程度になっており、国家資格の中では合格率の高い部類に張ります。
社会保険労務士や行政書士なども国家資格ですが、どちらも合格率は10%程度です。また、合格率が高いといわれている宅地建物取引士試験も15%程度に留まっています。
そのことを考えると、2級FP技能検定は国家資格でありながら合格率が高い試験です。初心者であってもしっかりとした対策を講じれば合格できる可能性が高く、ファイナンシャルプランナーとしての道が開けることになります。
2級FP技能検定に合格するためにはどうしたらいい?
ファイナンシャル・プランニング技能検定の合格基準は、受検者の数によって左右されません。6割以上の得点を取ると必ず合格できます。内訳では学科試験60点満点で36点以上、実技100点満点で60点以上の基準で合格できます。
また試験の問題も受験者を落とすための問題、いわゆるひっかけ問題のようなものはありません。過去の問題集や参考書を勉強することによって着実に合格に近づけます。
もし、絶対に合格したいと思っているのであれば、通信講座などを受講することもできます。通信講座の中には、合格率80%程度を誇っているところもあります。自分に合った方法を選んで合格への道を探しましょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度
ファイナンシャル・プランニング技能検定1級は難易度の高い試験であり、2級FP技能検定と比較しても合格率は低くなります。
2級FP技能検定の合格率は35%程度ですが、この中にはお試し感覚で受験している人もいます。そのため、真剣努力して本気で合格を狙っている人だけの合格率は50~60%程度あるとの意見もあります。
しかし、1級FP技能検定の場合はほとんどの受験者が合格を本気で目指していますが、それでも合格率は10%程度です。本気で勉強して受験に挑んでいる人の10人に1人しか合格していないことを考えるとかなりの難易度です。
さらに一回の受験で合格する人はさらに少なく、1級FP技能検定に合格した人の多くは3~4回程度受験しているようです。正確な数値を割り出すことはできませんが、1回で1級FP技能検定に合格する人は合格率の3分の1程度ではないかと思われます。
1級FP技能検定の合格率が低い理由
1級FP技能検定の合格率が低い理由はいくつかありますが、今回は3つ取り上げたいと思います。
- 有効な試験対策の参考書が少ない
- 過去問学習が通用しにくい
- 優良な通信講座、スクールが少ない
1級FP技能検定と2級FP技能検定の大きな違いは、有効な試験対策の参考書が少ないことです。大型の書店に行っても参考書が全くないことも多く、ネットでも入手困難です。たとえ、参考書を見つけることができても試験範囲の網羅が明確でなく、試験合格のためには多大な時間が必要になります。
また、試験対策には過去の問題集を繰り返し解いて学習するという方法が有効ですが、1級FP技能検定の場合はその方法が通用しにくいのです。確かに、過去の問題集からの出題もありますが、その数は圧倒的に少なく、自分の経験や応用力で回答することが必要になります。
これらの理由から、1級FP技能検定の合格率は非常に低くなっています。
ファイナンシャルプランナーに役立つ資格「AFP資格」
日本FP協会が認定する信頼性の高いFPの証
ファイナンシャルプランナーにはファイナンシャル・プランニング技能検定の他に、AFP資格というものがあります。この資格は日本FP協会が運営していて、ファイナンシャルプランナーとして十分な基礎知識を持っており、適切なアドバイスができると認定された者に与えられます。
日本FP協会は資格認定に関して、教育・試験・倫理を重視しており、信頼性の高いファイナンシャルプランナーを生み出すことをモットーにしています。そのため、AFP資格を持っていることで質の高いファイナンシャルプランナーであることをアピールできます。
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級が取得要件
AFP資格認定は2級FP技能検定と同レベルに位置付けられています。つまり、AFP資格を取得するためには2級FP技能検定に合格することが必要です。
AFP資格取得者には以下に関する知識が求められます。
- ライフプラン設計
- 金融
- 証券
- 保険
- 年金や住宅ローン
- 不動産などの税制に関する知識
2級FP技能検定に合格すれば上記の基本的な知識は習得していると判断されます。合格後、AFP認定研修を修了し、AFP資格登録手続きをすればAFP資格認定者となります。
2年ごとの資格更新が必要
AFP認定を得たとしても2年ごとに資格更新を行う必要があり、ファイナンシャルプランナーとして常に勉強し続ける必要があります。資格を更新するためには以下の条件を満たす必要があります。
- 単位数を15単位以上取得していること
- 課目をFP実務と倫理(1単位以上)を含む3課目以上履修していること
- 単位の取得記録(証明書等)を自身で管理していること
- 所定の継続教育期間内に更新手続きを行っていること
2019年現在では約16万人のファイナンシャルプランナーがAFPの認定を受けているようです。現状に満足せず、ファイナンシャルプランナーとして常に成長していきたいと思っている方にはおすすめの資格です。
AFP資格を取るメリットは?
AFP資格を得るためには2級FP技能検定に合格することが求められています。つまり、2級FP技能検定に合格すればAFP資格とのダブルライセンスが可能になるということです。
ファイナンシャルプランナーとして活動する際の名刺にも二つのライセンスを記載できることになり相談者からの信頼も得やすくなります。
また、AFP資格の認定を得ると日本FP協会から会報誌が送られてくるので、金融の最新情報や法律の改正などに関して把握することができます。常に自分の知識をブラッシュアップできるのも大きなメリットです。
AFP資格の難易度と合格率
一番の難関は2級FP技能検定に合格すること
AFP資格を得るためには2級FP技能検定に合格する必要があり、ここが一番の難関と言えます。ここをクリアすれば、あとは規定されているAFP研修を受け、登録申請をすることによってAFP認定を得ることができます。
2級FP技能検定の難易度に関しては先に解説した通りです。しっかりとした対策を講じれば十分に合格できる可能性はあります。
AFP認定研修の難易度は低い
AFP資格を得るためには日本FP協会が定めているAFP認定研修を修了する必要があります。この研修では一定の単位の履修に加えて、提案書の作成も求められ一定水準以上の点数で研修が修了します。
AFP認定研修の学習科目には以下のものがあります。
- FP基礎
- 金融資産運用設計
- 不動産運用設計
- ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- リスクと保険
- タックスプランニング
- 相続・事業承継設計
- 提案書の作成
難易度はさほど高くなく、2級FP技能検定に合格している人であれば難なく修了できるレベルです。研修修了後、所定の期間内に日本FP協会に登録申請を出すことでAFP資格が与えられます。
ファイナンシャルプランナーに役立つ資格「CFP資格」
世界で通用するファイナンシャルプランナーの最高峰
ファイナンシャルプランナー資格としてもっとも権威があるのが(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)です。1992年、日本FP協会とCFPボートとの業務提携によって日本に導入されたファイナンシャルプランナーの頂点ともいえる資格です。
現在、世界の24カ国、アジア、ヨーロッパ、北米などでも認められている資格試験であり、CFP取得者には世界水準のプロフェッショナルの称号が与えられます。
2018年、日本では21,000人程度のCFP認定者がいるようです。ファイナンシャルプランナーの最高峰を目指したい方におすすめです。
CFP認定を得るための条件
CFP認定を得るためには条件があります。
- AFP認定者
- CFP®資格審査試験に合格
- CFP®エントリー研修修了
- 通算で3年以上の実務経験
CFP認定を得るためにはAFP認定を得ている必要があります。いきなりCFP認定を受けることはできず、2級FP技能検定にも合格しておく必要があります。
また、CFP認定を得るためには実務経験も必要になりますが、ファイナンシャルプランナーとしての経験だけが対象になるわけではありません。様々な実務経験が対象になる可能性があります。もし、実務経験が不足している場合は研修を受講することによって補えるでしょう。
AFP同様、2年ごとの更新制
CFP認定にはAFPと同じように2年ごとの資格更新が必要になり、ファイナンシャルプランナーとしての継続的な学習が求められています。資格を更新するためには以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 単位数を30単位以上取得していること
- 課目をFP実務と倫理(2単位以上)を含む3課目以上履修していること
- 単位の取得記録(証明書等)を自身で管理していること
- 所定の継続教育期間内に更新手続きを行っていること
CFPを更新するためには指定されている教育期間ごとに30単位以上の継続教育単位を取得しておかなければいけません。つまり、資格を維持するためには継続的な学習が必要であり、常に最新の情報に通じておかなければいけません。
CFP認定を得るメリット
ファイナンシャルプランナーの最高峰ともいえるCFP認定を得るメリットには以下の点があります。
- 相談者からの信頼が深まる
- ファイナンシャルプランナーとしての自信がつく
- 活動できる幅が広がる
ファイナンシャルプランナーは相談者からの信頼を得ることが重要です。資格がすべてというわけではありませんが、有資格者は無資格者よりも有利に自分をアピールできます。
また、最高峰の資格を持っているという自信がファイナンシャルプランナーとしてのモチベーションを維持する助けにもなりますし、CFP認定者として講演会の依頼や執筆などのチャンスも増えるかもしれません。
自分の可能性を大きく伸ばしたいのであれば挑戦する価値があるでしょう。
CFP資格の難易度と合格率はどれくらい?
競争試験のため難易度が高い
CFP資格試験は競争試験となっています。一定のライン以上で合格者が決まるので、少しでも高い得点を取ることが必要です。
AFP認定研修では60%以上の得点で合格するのに対してCFPでは競争試験になっていることが大きな違いです。1級FP技能検定に匹敵する難易度といわれており、合格するためには十分な対策が必要です。
CFPの合格率
CFP資格審査試験の合格率は科目によって違ってきます。2018年度の例を挙げてみましょう。
科目 | 合格率 |
---|---|
金融資産運用設計 | 35.70% |
不動産運用設計 | 38.50% |
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | 36.30% |
リスクと保険 | 36.90% |
タックスプランニング | 39.90% |
相続・事業承継設計 | 39.20% |
科目別に見ると30%台の合格率になっていますが、全6科目一括で合格した人の合格率12%です。10%台の合格率はFPの資格試験でも最難関ですし、他の資格試験と比較しても難易度の高い試験に分類されます。
2級FP技能検定、AFPと順を追って受験するのがおすすめ
CFP資格はファイナンシャルプランナーの業界では最高ランクの資格試験です。金融に関する高度な教育を受けていることを証明する資格であり、国内だけでなく世界でも通用するものです。
CFP認定者になるためにはAFP認定を得ていること、つまり2級FP技能検定に合格する必要があります。一般的なステップとしては2級FP技能検定に合格し、AFP認定を得てからCFP資格に挑戦する方が多いようです。
長期的な計画が必要になりますが、世界で通用する資格なので挑戦するだけの価値はあるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格が取れる学校
専門学校で資格を取る
なるべく短い期間でFP技能検定に合格したいと思っているなら、会計系の専門学校がおすすめです。
ファイナンシャルプランナーになるためだけではなく、お金・金融に関する知識を専門的に学習することができます。そのため、FP技能検定に合格した後、ファイナンシャルプランナーとして活躍するために必要な知識を得ることができます。
専門学校の中には日本FP協会が公認する、AFP認定研修を得るための特別コースを設けているところがあります。専門学校に通っている間にAFP認定研修を受けると、2級FP技能検定試験とのダブルライセンスも可能になります。
なるべく短期間で資格を取得して、ファイナンシャルプランナーとして活動を開始したい人に適しています。
通信講座でファイナンシャルプランナーの資格を取る
すでに社会人として活躍している方や専門学校に通う時間がないという方は、通信制のカリキュラムを受講することで2級FP技能検定試験に合格できる可能性が高くなります。
ファイナンシャルプランナーになるためのスクール講座などもありますが、都心に集中している傾向があり、郊外に住んでいる場合不便に感じることがあります。その点、通信制の講座であればネット環境があればどこででも受講できます。そのため、時間とお金を節約したい方に適しています。
通信制の講座であってもAFP認定研修を修了できるコースがあり、修了するといきなり2級FP技能検定試験から挑戦できます。テキストや講師陣も充実しているので初心者であっても一から学習することが可能です。
大学で金融に関する基礎知識を蓄える
経済系の大学に進学すると、金融に関する知識を幅広く学習することができます。4年間の在学中にお金に関する基礎知識を蓄えることで、ファイナンシャルプランナーになってからの活動に備えることができます。
大学によっては、ファイナンシャルプランナー科を設けているところもあるようです。実際に活躍しているファイナンシャルプランナーと接する機会があるかもしれませんし、実際の仕事内容について詳しく質問することもできるでしょう。
多少の時間がかかってしまいますが、専門的な知識を奥深く学びたいという人におすすめです。
ファイナンシャルプランナーの資格・試験まとめ
一般的には2級FP技能検定試験が必要
ファイナンシャルプランナーとして活躍したいと思っているのであれば、資格取得が必須になります。一般的には2級FP技能検定に合格することが最低条件と言われており、合格するためには十分な対策と準備期間が必要です。
2級FP技能検定は国家資格に分類されますが、他の国家資格と比較すると難易度は低めです。そのため、独学でもしっかりとした対策を講じれば合格できる可能性があります。
専門学校や通信講座、大学などで知識を深めることでファイナンシャルプランナーとして活動するための資格を取ることができるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの参考情報
平均年収 | 300万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 金融 |
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