細胞検査士の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
細胞検査士を目指す上で役立つ資格は臨床検査技師の国家資格です。臨床検査技師の資格を取得した人(例外あり)が細胞検査士認定試験を受験することができます。では、細胞検査士認定試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。また、資格取得を目指すにはどのような方法があるのでしょうか。
細胞検査士の資格とは?
「細胞検査士認定試験」を受けるために満たすべき要件にはどんなものがあるか
細胞検査士は臨床検査技師の上位資格です。そのため、基本的には国家資格である臨床検査技師の資格を取得しなければ細胞検査士になることはできません。
細胞検査士になるためには「日本臨床細胞学会」と「日本臨床検査医学会」が認定している「細胞検査士認定試験」を受験して合格する必要があります。細胞検査士の認定試験を受けることができる人は以下の条件を1つ以上満たした人だけです。
- 臨床検査技師の国家資格を取得した後、1年以上の実務経験がある人
- 臨床検査技師の国家資格を取得した後、専門の養成機関で勉強し、単位を修得した人
- 臨床検査技師・細胞検査士を同時に目指せる大学や専門学校を修了した人
臨床検査技師として1年以上働くことで受験資格が得られるため、臨床検査技師として働いている人がキャリアアップの一環として勉強をすることも多いです。
国家資格である衛生検査技師も臨床検査技師と同様の条件で細胞検査士の試験を受けることが可能です。しかし、現在衛生検査技師の新たな養成は行っていないため、実質は臨床検査技師のみが細胞検査士の資格を受けられると思ってよいでしょう。
「臨床検査技師」とは?細胞検査士との違いとは
臨床検査技師は病気の診断や治療のための検査を行う職業です。検査は2つに大別されます。心電図や脳波など、患者本人の身体から検査を行う「生理学的検査」と、血液や尿、髄液などを採取し成分を調べる「検体検査」です。
検体検査の中には顕微鏡で組織や細胞を観察して異常がないか調べる検査もあり、それを「病理検査」といいます。臨床検査技師と細胞検査士の業務内容は重複している部分もあります。しかし、細胞検査士は細胞検査に関してさらに専門的な知見を持ち、より正確な病変推定ができます。
臨床検査技師の業務内容の一部を、さらに専門的に掘り下げたのが細胞検査技師といえるでしょう。
細胞検査士の資格の難易度と合格率
「細胞検査士」の認定資格とはどんな資格?取得後も勉強が欠かせない!
細胞検査士は日本臨床細胞学会と日本臨床検査医学会が認定を行っている認定試験です。試験は一次試験と二次試験に分かれています。1年に1回認定試験が実施され、毎年10月末ごろに一次試験が実施され、合格した人だけが二次試験に進むことができます。
一次試験では筆記試験と、細胞画像を見て設問に答える問題が出題されます。二次試験は実技試験です。細胞診標本を顕微鏡で検査し、病変推定を行うなど、実務に即した試験が出題されます。二次試験に落ちた場合、翌年の試験のみ一次試験が免除されます。
細胞検査士資格を取得した後にも、5年ごとの更新が必要とされます。更新するには、5年の間にセミナーやワークショップ、研修会に参加することで所定の単位を得る必要があります。細胞検査士の仕事は、正しい細胞判定能力を維持しなければならず、常に新しい知見を得るために、資格を取得した後も常日頃から勉強が欠かせない仕事といえるでしょう。
「細胞検査士」認定資格の難易度はどれくらい?
細胞検査士の認定資格を得るための試験の合格率は、一次試験は50%程度、二次試験も50%程度です。そのため、全体の試験を通した試験の合格率は30%前後ではないかと推測されています。
細胞検査士の認定資格を得る前に臨床検査技師の国家資格に通過する必要があり、細胞検査士認定試験は合格率が3割を切る年もあることから、細胞検査士の資格試験は難易度が高いといってよいでしょう。臨床検査技師の実務経験が1年以上あれば認定試験を受けられますが、臨床検査技師として働きながら資格取得の勉強をするのに苦労する人も多いようです。
臨床検査技師として1年以上経験を積むこと以外の方法もあります。臨床検査技師の国家資格を取得した後、細胞検査士の専門養成機関で勉強して必要単位を取得し、細胞検査士の認定資格試験を受ける人もいます。養成機関で徹底した勉強を行い、試験対策を行った場合、養成機関内で合格率が90%以上になることもあるようです。そのため、徹底して試験対策を行えば合格不可能ではない試験といえるでしょう。
細胞検査士認定試験を受けるために必要な「臨床検査技師」の国家資格とは
細胞検査士になるためにはまず「臨床検査技師」の国家資格を取得する必要があります。臨床検査技師の資格を取得するためには、大学の医療系学部を卒業したり、専門学校などで臨床検査技師になるための勉強をする必要があります。それらの要件を満たした人だけが臨床検査技師国家試験を受験することができます。
合格率は毎年70~80%を推移しており、専門学校や学部でしっかりと試験対策をしている学校も多いことから、国家試験にしては高い合格率です。ただし、専門学校や大学で3~4年間臨床検査技師の勉強をしなければならないことを加味すると、難易度が低い資格とはいえないでしょう。
その他の細胞検査士に関連する資格
細胞検査士のスキルを用いて海外にまで活躍の場を広げられる「国際細胞検査士」
「細胞検査士」の資格は日本国内のみ有効の資格です。しかし国際細胞学会が認定する、2年に1回実施の国際細胞検査士認定試験に合格すると、日本国外で細胞検査士として仕事をすることができます。
試験を受けるためにはまず、日本国内の細胞検査士の資格を取得しなければなりません。国際細胞検査士認定試験の日本人の合格率は高いようです。国際基準と比べて、日本国内の細胞検査士認定試験が厳しいためです。
臨床検査技師の仕事と細胞検査士の仕事、両方とも機材や・医療の進化と働き手の増加によって飽和状態にあることが多いです。臨床検査技師から細胞検査士、国際細胞検査士とキャリアアップしていくことで今後も活躍のフィールドが広がるといえるでしょう。
細胞検査士の資格が取れる学校とは?
「九州保健福祉大学 生命医学部 生命医科学科」でダブルライセンスを目指す
「九州保健福祉大学 生命医学部 生命医科学科」は4年制のカリキュラムを修得することで臨床検査技師・細胞検査士の同時取得が可能な大学です。臨床検査技師のみのカリキュラムが組まれた学校の場合、卒業後は細胞検査士の養成スクールに通うか、1年間の実務経験を得た後、細胞検査士の認定試験を受けることになります。
養成スクールに通ったり、実務経験を積む場合、時間とコストがかかります。ダブルライセンス取得可能なカリキュラムが組まれている学校に通うことで時間とコストを削減でき、実務に即した知識と技術を学ぶことができます。
臨床検査技師・細胞検査士など、生命科学に関わる医療技術者は日々進化する医療技術を積極的に学び、新しい知見を取り入れる姿勢が必要です。生命医科学科では、自らが研究を計画し、遂行できる計画力・実行力・思考力を補うための研究実験や研究成果の発表を行う実習もカリキュラム内に組み込まれています。
臨床検査技師・細胞検査士として技術や知識を学ぶだけではなく、医療に携わる者としての姿勢や思考力を身に付けることができます。
「癌研究会有明病院付設 細胞検査士養成所」で徹底した専門知識を学ぶ
「癌研究会有明病院付設 細胞検査士養成所」は細胞検査士専門の養成所です。すでに臨床検査技師(もしくは衛生検査技師)の資格を持っている人、もしくは取得見込みがある人しか入学できません。また、入学するためにも病理学・解剖学・組織学を中心とした専門知識と一般教養の筆記試験、面接などに合格する必要があります。
養成所は毎年10~14人の入学を上限とする少人数制です。そのため、1人ずつに顕微鏡と机を与えられ、納得いくまで鏡検することができます。人数が少ない分、講師や細胞診断のプロにわからないことをすぐ質問することができます。また、同じ教室で学ぶ生徒同士でも、診断の仕方について意見を言い合ったり話し合ったりする機会を持つことができます。
細胞検査士の認定試験の合格率は例年30%前後であることが多く、難易度が高い認定試験です。しかし、養成所で細胞検査に関する知識をしっかり身に付け試験対策を行うことで、合格率は上がります。
臨床検査技師として経験を積んでから細胞検査士の認定資格を取得するのも良いですが、しっかり勉強する時間が取れないなど、苦労する臨床検査技師も多くいます。短期間で実践に即した知識と試験対策を行いたい人には最高の学習環境といえるでしょう。
細胞検査士の資格・試験まとめ
まずは「臨床検査技師」の国家資格取得を目指そう!
細胞検査士になるためには、臨床検査技師の国家資格を取得し、細胞検査士の認定試験を受ける必要があります。また、細胞検査士の試験を受けるためにも条件があり、いずれかを満たさなければなりません。
1つ目は臨床検査技師として1年以上の実務経験を有すること、2つ目は専門の養成学校に入学し、必要な単位を取得すること、3つ目は臨床検査技師・細胞検査士両方の資格取得が目指せる学部を卒業することです。
細胞検査士の参考情報
平均年収 | 400万円〜500万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 医療 |
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