指揮者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
演奏者を統率する指揮者は、実際にどのような仕事を行なっているのでしょうか。基本的に、指揮者は演奏する曲を譜面などから研究、作曲者の意図を理解し、指揮を通して演奏者に伝えた上で、全体の表現をするのが重要な仕事となります。本記事では、識者の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
指揮者とはどんな仕事?
指揮者というと、楽器の奏者たちが演奏している最中に指揮棒を振っているだけの仕事と思われがちですが、実際には指揮者の仕事はオーケストラなどの中でも重要で、選ばれた人しかできない職業です。
ここからは、指揮者がどのような仕事を行なっているのか簡単に紹介していきましょう。
演奏をまとめあげる
指揮者の主な仕事内容は演奏をまとめあげることです。指揮者がいなければ演奏にまとまりが出ません。
一見、指揮者の動きは不規則な動きをしているので、演奏者もリズムが取れていないと思うことがありますが、決してそうではなく指揮者が基準となって演奏を行うので、演奏者は自分のパフォーマンスを発揮させることができます。
1人の演奏であればその人の演奏の感覚で何とかなりますが、オーケストラの演奏では1人の独りよがりな演奏では、良い演奏を奏でることができません。そのためにも、指揮者は欠かすことができない存在であると言えます。
音楽の世界観を伝える
指揮者はさまざまな曲の譜面を読んでどのような曲なのかを分析し、演奏者に伝えます。演奏する曲の中には誰もが知っているクラシック曲もありますが、自分なりの解釈をしなければなりません。
ただ演奏の歩調を合わせるのではなく、この曲はどのような曲で、どのように演奏をして欲しいかを伝えるというのも指揮者に課せられた重要な仕事です。
音楽への膨大な知識はもちろんのこと、さまざまな譜面を分析・作曲者の意図を理解して表現へと繋げる能力も指揮者には求められると認識しておくと良いでしょう。
指揮者の具体的な仕事内容
指揮者が実際にどのようなことを行なっているのか、具体的な仕事内容を紹介しましょう。今回は、指揮者が公演までにどのようなことを行うのかを詳しく解説し、指揮者が行なっている仕事を紐解いていきます。
公演までの流れ
1つの公演までに1ヶ月以上の準備をします。公演によっては1年前から準備を行うこともあります。それまで公演までの期間内に指揮者はどのような動きをするのか、1つずつ細かく追って紹介していきましょう。
研究
公演を行うにあたり指揮者は演奏する曲を研究します。クラシック曲であれば研究を既にしていることが多く、この過程を無視することもあります。しかし、最近ではオーケストラが演奏するジャンルもクラシック音楽だけでなく、現代音楽をアレンジした楽曲もあります。
聴きなれていない曲の場合、音源が無い場合は自分なりに曲を解釈しオーケストラで演奏した場合、どのような仕上がりになるのか頭の中でイメージを膨らませながら演奏をするポイントを探ります。
打ち合わせ
ある程度演奏に関する構想を膨らませていく中で、演奏に関する打ち合わせも指揮者が積極的に行います。この時、どのような人に演奏してもらうか、編成はどのようにするかを入念に決めます。メンバー構成が決まったら演奏者のスケジュールを調整し、本番に向けての演奏練習を行います。
練習
練習では会場使うことができるわけではないので、リハーサル室などメンバーが集まれる場所を借りて演奏を行います。この時、演奏をする上でどのような気をつけるポイントがあるのかに注目しながら、指揮者は演奏の状態をまとめていきます。
リハーサル
本番直前になるといよいよ会場でリハーサルを行います。実際の会場で行うリハーサルなので、実際にどのように音が聴こえるのか感触を確かめながらチェックすることができます。場合によっては練習していた演奏方法では効果的でないので、演奏を大幅に変えてもらうということを演奏者にお願いすることもあります。
リハーサルは公演に向けての最終的なチェック段階なので、指揮者が一番神経を尖らせて問題ないかを1つずつチェックをしていきます。
公演
公演になると、今までやってきたことを披露するだけです。演奏会によっては1度きりしかない場合もあれば、期間内に何公演かある公演もあるので複数公演がある場合は、その都度微妙な修正を要求することもあります。
公演で指揮者が行うことは、演奏者を鼓舞することなどと限られたことしかないので、あとは仲間を信頼して演奏を終えるだけになります。
演奏以外の仕事
公演以外でも指揮者の仕事は多くあります。最近では映画、ドラマ、ゲームのBGMにオーケストラの壮大な音楽を収録するケースもあるので、現場に参加することもあります。
有名な指揮者になればこのような仕事も多くなるので、指揮者としての活動の幅が広がるでしょう。
指揮者の仕事のやりがい
指揮者の仕事のやりがいについて簡単に紹介していきましょう。指揮者は次のようなやりがいがあります。
仕事が評価される
指揮者は演奏をするたびに自分のパフォーマンスが評価されます。良い演奏を行えば、スタンディングオベーションで拍手喝采を受けますが、その一方で良いパフォーマンスをすることができなければ、観客から厳しい批判にさらされることもあります。
最近ではSNSで演奏後にどのような演奏だったのか、演奏を聴きに訪れたファンから評価されることもあります。もちろん悪いことばかりではありません。
自分が苦労をして演奏をした結果が、すぐに評価として現れるので良い演奏をすることができれば、自分の頑張りが無駄ではなかったということが分かります。もちろん、観客の声に耳を傾けることが怖いという指揮者もいます。一流になればなるほどそういう反応を示す傾向にあります。
良い演奏をすれば、「あの人の演奏じゃないと嫌だ」「人生で最も感動した演奏」など賞賛に値する評価を聞いた時は、指揮者をやってよかったと感じるでしょう。
音楽に厳しい人は多い
アイドルや俳優のお芝居を見たあとの観客は「よかった」「感動した」とした良い評価しかありませんが、クラシック音楽は違います。伝統的な音楽でもあるので、昔からのファンが多く曲へのこだわりが多い人ばかりです。
しかも、世界的に有名な指揮者になれば世界中の人から評価されることになるので、日本人どうしで通じるような建前は一切ありません。時には有名指揮者を激しく非難することもあります。
このような状況なので、指揮者として活躍するためにはクラッシック音楽に対する情熱はもちろんのこと、観客を魅了するスキルが必要不可欠であると言えるでしょう。
自分の好きなように音楽を作りあげることができる
指揮者は、様々なクラシック音楽を自分の解釈で奏者に演奏してもらうことができます。自分の好きな曲を自分の好きなように演奏し、しかも一番近い位置で音を聴くことができるのは指揮者だけです。
指揮者として舞台に上がるまでには膨大な苦労があります。とはいえ、実際に演奏をするに至った際には指揮者にしか味わうことができない最高の音楽を間近で聴けるという特典があります。
達成感がある
演奏に至るまでに、バラバラな演奏だったオーケストラの統一や、1つの曲に向けてのさまざまな打ち合わせ、細かい部分の修正など観客が知らない苦労が多くあります。
そのため、演奏を終えた時に起きる拍手喝采を受けると、「この仕事をやっていてよかった」と感じることができます。またチームで1つの作品を作りあげていくので、苦労をした分だけ曲を終えた時の達成感があるでしょう。
指揮者の仕事内容まとめ
指揮者の仕事内容は、まさに演奏を支える縁の下の力持ち
指揮者は一見すると舞台上で美味しいところだけを取り、目立つだけの仕事と思われるかもしれません。しかし、実際には演奏に至るまでに指揮者が中心となって、オーケストラなどの演奏者たちと細かい打ち合わせを重ね1つの作品を作り上げていきます。
指揮者は縁の下の力持ちでもあるので、これから指揮者を志そうとする方は華やかな面だけでなく、苦労する面も多々あることを認識した上で目指すようにしてください。
指揮者の参考情報
平均年収 | 400万円〜700万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 音楽・ラジオ |
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