カラリストの資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
カラリストに必須の資格は特にありません。しかし色という普遍的なものを専門にする以上、様々な分野での専門知識をベースにした総合力が必要です。どのような資格をとっておくとカラリストの仕事に役立つのでしょうか。今回は、カラリストに役立つ資格や、試験の難易度などの情報をご紹介します。
カラリストの資格とは?
カラリストの携わる分野は非常に多岐にわたる
カラリストは、アパレル業界をはじめ、美容業界、ヘアサロン、ネイルサロン、ブライダル業界、お菓子メーカー、マスメディア業界など幅広い業界に「色の専門家」として関わる仕事です。
社会的存在であり、視覚情報を重視する人間にとって、「色」は重要で、だからこそその組み合わせには気を遣うものです。お客様の状況や要望を鑑み、TPOをわきまえた色を提案するのがカラリストの大切な役割です。
例えばファッションにおける色使いや色の組み合わせ、例えば服やネクタイ、鞄や靴、ネイルやヘアカラーの色など、人に見られることが多く礼儀にも関わる分野においては特に、素人が一人で判断するのは難しいもの。
それだけでなく、プライベート空間における快適な部屋づくりにおける家具の色選び、飲食業界の新メニュー開発、WEBサイトのデザイン、ジュエリーデザインなど様々な業種で多様な目的に応じて、カラリストの色を判断する能力が問われています。
基本的には、カラーチャートや色彩学的な専門知識をベースに、アナログ的な感性を駆使して色を決めていく仕事が多いですが、映像分野におけるカラリストのように、オペレータ的な役割を求められる場合もあります。
オペレータ的な役割とは、例えばカメラマンや映像監督の求めに応じて、映像のコンセプトに応じて色の雰囲気を変えるため、ないし製品の実際の色(現実に見える色)に限りなく近づけるために、ソフトウェアなどを駆使して色調整を行うなどです。
カラリストになるために必須となる資格などはない
色の専門家として、非常に多種多様な知識を問われるカラリストではありますが、カラリストになるのに特別な資格や免許は必要ありません。
人に応じて、また環境に応じて、必要な色、適切な色、見合った色などは異なります。そして、業界の慣習やルール、状況によっても、求められる色、似合う色は違い、そういった細かな差異に応じて、その時々で最も合う色を的確に提案していくことが、カラリストには求められます。
そうした場合に、豊富な知識、色彩学分野の深い教養が必要となるのは当然です。免許や資格が必須ではないので、ある意味屋号さえ掲げてしまえば誰にでもなれる職業ではありますが、確かな実績を重ね続けていくためには、相応の勉学は必須となります。
また、相応の勉学や経験によって培われた自身のスキルや知識は、発揮することがなければ伝わりませんし、実績がまだ少ない段階においてはいくら相手に知識や技能があることを説明したところで、どうしても口先だけではないかと疑われやすいものです。
そうした場合に、資格取得は役に立ちます。資格によって、肩書きを付けることができるからです。肩書きや、技能の度合いに応じた等級を掲げることができる事によるメリットは大きく、特に就職前、実務経験が乏しい段階では、大きなアピールポイントになります。
カラリストに役立つ資格「パーソナルカラリスト検定」
色彩のスペシャリストを目指す資格「パーソナルカラリスト検定」
パーソナルカラリスト検定は、一般社団法人日本カラリスト協会が認定する民間資格です。色彩のマーケティング活用を主軸に、目的やTPOに沿ったニーズに的確に応えていける色彩のスペシャリストを認定する資格となっています。
近年は色の具合一つで売上が左右すると言われており、多くの成功事例から導き出したマーケティング理論を取り入れている企業も多く、そうした色彩によるマーケティングを商品開発に生かしています。
この資格が認定する「パーソナルカラリスト」は、業種を問わず、人と色との直接的な関係性を主に取り扱います。色彩のスペシャリストとして、人それぞれの魅力を最大限に活かせる色使い、よりその人が輝いて見える色使いを提案できる人材を育て、認定するためにこの資格が設立されました。
カラリストにも色々な仕事がありますし、色についての資格も沢山あります。しかしパーソナルカラリスト検定の資格は、より人と色の関係を重視した、「人に合う色」を追求する観点を学びます。
こうした視点から色彩そのものの知識、および色の調和に関する知識を学ぶことは、ある意味でカラリストの根幹に関わるアプローチと言えるでしょう。
「パーソナルカラリスト検定」試験の概要
受験資格
受験資格は特になく、年齢、学歴、性別等の制限はありません。
等級
等級は3つに別れていて、3級→2級→1級の順番に難しくなっていきます。
試験実施
認定試験は7月、11月、2月の年3回実施されますが、2月の試験では1級は団体受験のみの受付となるので注意が必要です。
3級と2級は併願が可能で、3級の試験は午前、2級の試験は午後に行われます。1級は併願不可となっており、午前中に1次試験、午後に2次試験が行われます。
試験内容
出題内容はそれぞれの等級により異なります。
3級は日本の伝統色や歴史、色の仕組み、色彩とファッション、パーソナルカラーについての知識が問われます。
2級は3級の内容に加えヨーロッパの文化や染色、色の見え方、アンダートーンの色相と色調、ファッションやディスプレイ、ネイルカラーなどが問われます。
1級は2・3級レベルの内容に加え、専門的な内容が問われます。色の分類の始まりや、色彩調和の理論と応用、CUS表色系、アンダートーンと色調配色、知覚効果など、より突っ込んだ内容の知識が問われます。
合格率
合格率は3級がおよそ75%、2級がおよそ70%、1級がおよそ50%となっていて、1級はある程度合格率は落ちるものの、そこまで難しい試験ではないようです。
その他のカラリストに関する資格
「色彩検定」「カラーコーディネーター検定」など色に関する資格は様々
カラリストは、色を扱う専門家であり、色に関する幅広く深い知識が必須となります。日本には色彩学に関する資格が多く、様々な民間資格が乱立している状態です。
その中でも、抜群の知名度を誇っているのが「色彩検定」です。この資格は民間資格ではありますが、文部科学省による後援を受けている公的資格の一つで、公益社団法人色彩検定協会が認定しています。
色彩検定は、公的資格としての信頼性と知名度は抜群ですが、扱う内容については色に関する基本的、かつ包括的な知識であり、パーソナルカラリスト検定に比べると、ターゲットを絞っていない印象があります。実践的な知識も問われますが、総合的な知識を証明する資格と言えるでしょう。
色彩検定の特徴はプロフェッショナル向けの最上位等級である「1級」に実技試験があることと、公共の福祉にまで裾野を拡げた「UC(色のユニバーサルデザイン)級」を設け、社会的にも必要性が叫ばれているユニバーサルデザインに配慮した知識を問う等級があることです。
色のユニバーサルデザインとは、色盲や色覚障害など色覚の多様性に配慮し、誰しもが見やすく、認識しやすい色使いを重視する考え方で、この観点から専門知識を積んでいくことからも、色彩検定は公益性の高さのある資格となっています。
色に関する資格は他にも、「カラーコーディネーター検定」「ファッションカラーコーディネーター検定」「トータルカラリスト検定」「色彩士検定」などがあります。
また、色に関する資格を得るだけでなく、色が絡む職業に必要な関連資格をとることでよりしっかりとした足場を作るのも一つの手です。例えば、二級建築士、インテリアコーディネーター、美容師、編物技能検定などですが、これは個々の目指す業界や自身の夢に応じて、必要があれば得ておくといいでしょう。
カラリストに役立つ資格が取れる学校など
色に対する素養を身につけるため、美大かデザイン系の専門学校へ
カラリストになるためには、資格や免許は特に必要ありません。あくまでも必要なのは、色に対する豊富な知識と、それに基づいた色彩感覚や、鋭い感性です。また、どういった業界において活躍するカラリストになりたいのかを考えて進路を決めることも大切になってきます。
例えば美容院におけるカラリストになりたいのなら、美容師の専門学校に行く必要がありますし、ネイルやファッション業界であれば、ネイルやファッション系の専門学校に行くのが効果的になります。
プロダクトやグラフィックのデザイン、商品開発などに携わるのであれば、逆に芸術系、美術系の大学に進むのが就職に有利になりやすいです。
色に関する素養そのものを得たい、ということであれば、色彩感覚を養い、色彩理論の基礎から学ぶことが大切です。そのために、美術大学、芸術大学、とりわけデザイン科に進むといいでしょう。
大学では、よりアカデミックな色彩理論を歴史や文化的側面から学ぶことができます。また、美術大学、芸術大学のデザイン科は、入学試験に色彩構成を課すことが多く、受験前から美大予備校などで訓練を積む必要があるので、より真に迫った感性を基礎の基礎から身につけることが可能です。
一方で、デザイン系の専門学校もお勧めです。専門学校では、現役で活躍する各分野のプロフェッショナルから直接、社会に出てからのキャリアプランを意識したより実践的な教育を、より短期間で身につけることが可能です。
カラリストの資格・試験まとめ
どういうカラリストを目指すのかをよく考えてキャリアプランを決めよう
カラリストに問われるのはあくまで仕事のスキルや経験であり、資格がなくても社会で活躍することは可能です。しかし長く不況が続く中、売り手市場とはいえ新規採用を渋っていたり、大手の競争率が高かったり、障壁は様々に立ちはだかります。
そうした競争社会の中でよりいい職場に就職するには、自らのポテンシャルをあげるために資格を取得することである程度選考を有利に勝ち上がって行く必要があります。
学歴を問われるのか、即戦力の素質を問われるのか、またどういったカラリストになりたいのか、そうしたことをよく考えて、取る資格や進路を決めることが大切です。
カラリストの参考情報
平均年収 | 300万円〜500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 広告・デザイン・アート |
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