臨床検査技師になるには?向いている人の性格や持っていると役立つ資格
検査のスペシャリスト・臨床検査技師になるには、一体どんなスキルや資格が必要なのでしょうか。今回はこの記事で臨床検査技師に必要なスキルや持っていると役立つ資格、向いている人の性格的特徴などをご紹介します。
臨床検査技師になるには向上心が必要
臨床検査技師になるにはいくつか必要な要素が考えられますが、まずひとつには臨床検査技師を極めたいという向上心を持ち続けることです。
医療の世界は日々進歩しており、臨床検査の世界についても同じことがいえます。そのため基礎的な知識だけでなく、最新の技術についても学ぶ必要があります。基礎的な知識として求められるのは、高等学校で学んだ物理や化学、生物についての知識ですのでしっかりと勉強し、覚えておく必要があります。
臨床検査技師になった後でも、新しい検査方法や検査機器が開発されるので、そうした技術について理解しておくことも大切です。そのため、常に勉強に熱心に取り組む姿勢をもちながら、臨床検査技師としてさらなる進歩を遂げたいという向上心が求められます。
根気があれば臨床検査技師になれる
臨床検査技師として働くには、根気を持つことも大切です。臨床検査技師は、看護師や医師のように直接、患者さんと接する機会は少ないですが、病気の治療や診断に必要な情報を提供するための検査を行うという大事な役割があります。
しかし臨床検査技師は1日中顕微鏡を覗き込んで仕事をするときもありますし、機械相手に仕事をすることもあります。同じ作業を繰り返すことも多いので、黙々と仕事をこなすことのできる根気が求められます。
そのため臨床検査技師については大雑把な人はあまり向いていません。大雑把に仕事をしてしまうと超音波検査でがんなどの病気を見逃したり、検体検査で誤った結果が出てしまう危険性があるからです。どの臨床検査技師が行っても同じ結果が出るように、コツコツと行う根気が必要となります。
情熱も必要な臨床検査技師の仕事
臨床検査技師にとって必要な要素は情熱です。臨床検査技師が出した結果をもとに医師は診断結果や治療方法を患者に提案することになるので、患者の命にかかわる仕事といえます。
そのため一人でも多くの患者の命を救いたい、患者の支えになりたいという熱い情熱を持つことが必要になります。
臨床検査技師として働くためにあると便利な資格
臨床検査技師は国家資格ですので、臨床検査技師として働くためには臨床検査技師国家試験に合格する必要があります。この資格を取得できれば、どこでも働くことができますが、臨床検査技師以外にもあると便利な資格があります。
細胞検査士はがん細胞を見つけるスペシャリスト
人間の体の中には約60兆個の細胞があり、すべての細胞が秩序正しく働いていれば問題ありません。しかし細胞の中には好き勝手に動く細胞もあり、それらの細胞に異変が起きると人の命を脅かすがん細胞へと変化します。
細胞検査士は顕微鏡を使ってがんになる危険性のある細胞を見つけ出し、退治するためのいわば「番人」としての役割を担います。この資格の特徴として取得者の6割が女性という点があげられます。乳がんなど女性特有の病気とも関わりのある重要な資格です。
超音波技師の資格も臨床検査技師の仕事に役立つ
超音波検査は一般的にはエコーともいわれています。臨床検査技師が病院で勤務する場合には、超音波検査を行うことも重要な仕事になります。
超音波技師の資格がなくても臨床検査技師は超音波検査を行うことができますが、この資格については現場では高く評価され、持っているほうが就職には有利な資格です。
試験には循環器、泌尿器、体表臓器、健診、産婦人科、消化器、血管の7領域についてそれぞれ筆記試験と症例レポートの提出が求められるため、合格するためには超音波検査の実績と経験を積む必要があります。
スキルアップを目指すなら二級臨床検査士や一級臨床検査士も
臨床検査技師の上位資格として二級臨床検査士や一級臨床検査士という資格もあります。
試験を受けるためには、二級臨床検査士については臨床検査技師の資格を所有していること、一級臨床検査士については臨床検査技師の資格を所有してから5年以上の実務歴があること、二級臨床検査士の資格を所有してから3年の実務歴があることが条件になります。
二級臨床検査士や一級臨床検査士の資格があれば、臨床検査の技師長としても働くことができるので、スキルアップを目指すときには便利な資格です。
臨床検査技師に向いている人、適性がある人
臨床検査技師になるには、持って生まれたセンスや性格的な要素も影響することが多いです。
協調性は臨床検査技師の適性のひとつ
臨床検査技師に求められる適性として、まずは協調性があげられます。
臨床検査技師の仕事自体は顕微鏡や機械と向き合う時間がほとんどですが、臨床検査技師は病気や適切な治療方法を見つけるために、医師や看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士や作業療法士などと連携し協力することが求められます。
特に、医師は臨床検査技師の検査結果をもとに治療方法を判断しますので、医療チームとして働く場合は重要な分野を担うことになります。そのため、病院内の別の分野で働く人たちともこまめにコミュニケーションを取る必要があります。
臨床検査技師は検査内容によっては患者と直接向き合うこともあります。そのような場合、臨床検査技師は患者の立場になって、思いやりや安心感を与える必要もあります。技術だけでなく協調性も臨床検査技師にとって必要な要素です。
手先が器用な人も臨床検査技師向き
臨床検査の分野では機械化がかなり進んでいますが、それでも人の手を必要とする仕事はたくさんあります。
例えば、血液標本や病理標本を作製するときや、検査で使用するピペットを操作するときなどは慎重に扱う必要があるため、手先の器用さが求められます。さらに血液や髄液を扱うときはひとつのミスが重大な事故につながる危険性もあるため、手先の器用さが必要となります。
ただし手先が不器用であっても心配することはありません。いつでも丁寧に作業をしようとする心構えや几帳面さがあれば臨床検査技師として働くことはできます。臨床検査技師については自分の仕事に対する責任感が必要になります。
臨床検査技師ならではの問題もある
臨床検査技師が扱う検体には細胞以外にも患者の血液や排出される尿や便などがあります。そのため検体を汚いと思ってしまう人は臨床検査技師には向いていません。
臨床検査の仕事を心から楽しみ、患者の役に立っていることを喜びと感じることができる心構えが必要となります。
臨床検査技師になるための学校
臨床検査技師として働くためには、臨床検査技師の資格を取得することが必要です。資格を取得するためには大学や専門学校などの教育機関で学び、受験資格を得る必要があります。
受験資格を得るためには?
臨床検査技師の受験資格を得るには3つの方法があります。
大学で学ぶ
臨床検査技師の受験資格を得る方法として大学で学ぶことがあげられます。大学で学ぶ場合の費用は初年度でおよそ817,800円から2,098,000円です。
以下のような学部・学科名の場合は、臨床検査技師の受験資格を得ることができますので詳しくチェックしてみるといいでしょう。
- 保健学系
- 医学系
- 歯科学系
- 獣医学系
- 薬学系
短期大学で学ぶ
短期大学でも臨床検査技師の受験資格を得ることができます。3年生の短期大学では臨床検査学科が設置されているところがあるので、そこで学び受験資格を得ることができます。短期大学で学ぶ場合の費用は初年度でおよそ817,800円から2,098,000円です。
専門学校で学ぶ
ほかにも臨床検査技師の受験資格を得る方法として専門学校という選択肢もあります。専門学校を含む厚生労働大臣指定の養成所で3年以上学ぶと臨床検査技師の受験資格が与えられます。
専門学校で学ぶ場合の費用は初年度でおよそ1,000,000円から1,600,000円です。専門学校の場合は、高校卒業の人たちだけでなく、大学卒業の人や社会人経験者など幅広い年齢層が学んでいるのが特徴です。
働く場所
臨床検査技師が働く場所はおもに病院になります。病院には総合病院、産婦人科、整形外科、保健所や臨床検査センターなどがあげられます。
このほか製薬メーカー、健康食品を扱う食品メーカーや医療機器メーカーなどに就職する人も多くいます。
臨床検査技師になるには?まとめ
臨床検査技師になるためには資格取得が必須。さらに命を預かるものとしての心構えも
臨床検査技師として働くためには向上心や情熱、根気が必要となります。患者と接する機会は少ないですが、医師や看護師と同じように命に関わる仕事ですので、医療の裏方として支えていきたいという心構えが必要となります。
臨床検査技師は国家資格ですので、まずは大学、短期大学や専門学校での受験資格を持つことが必須になります。
平成29年度の臨床検査技師国家試験の合格率は79.3%となっており、決して取得が難しい資格ではありませんが、資格の取得だけを目的とするのではなく、将来臨床検査技師として働くための知識を学び、取り入れることが大切となります。
臨床検査技師の参考情報
平均年収 | 400万円~450万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 医療 |
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