臨床工学技士の給与や年収は?給料は勤務体系次第、昇給すれば年収1,000万超えも
生命を支える医療器具を操作するスペシャリストの臨床工学技士。給料や年収は平均でいくらくらいなのでしょうか?今回は、臨床工学技士の平均給与や年収とともに、給与アップの方法についてご紹介します。
臨床工学技士の初任給
新人臨床工学技士の給料は平均17~20万円
臨床工学技士として働く場合、初任給は17~20万円前後が相場といわれています。病院の場合で18万円前後、クリニックで19万円前後になります。1年目の年収はボーナスを加えて300万円程になります。
人工呼吸器や人工心肺装置、透析などの生命維持管理装置を扱う臨床工学技士ですが、給料面では決して多くはありません。しかし生活が困窮するほど安いわけではありませんので、安定して働くことは可能です。
新人の頃は、医療機器を使いこなすために毎日勉強しなければなりませんし、他の医療系の仕事と比較して一人当たりの仕事量も多いため、仕事がきつく感じることもあります。一方で臨床工学技士は、給料が安くても人の命を助けるというやりがいを持てるというメリットもあります。
臨床工学技士は転職も可能
臨床工学技士の中には、いろいろな理由で転職する人もいます。総合病院からアットホームなクリニックで勤務したいという人や、残業がなるべく少ないところで働きたいという人、さらには人工透析以外の分野もチャレンジしてみたいという人もいます。
臨床工学技士は国家資格が制定されてから30年程度と日が浅いため、それほど求人数は多くないのが現状です。ただし医療技術は常に進歩するため、そのたびに臨床工学技士の役割は大きくなります。そのため臨床工学技士としていつまでも働ける強みがあります。
大学卒の人の方が初任給は高め
臨床工学技士には短期大学や専門学校などの3年制の教育機関の卒業者と4年制の大学の卒業者の2つのケースがあります。それぞれの初任給を比較すると、4年制の大学の卒業者の方が5,000~10,000円ほど多いです。大学卒業者が臨床工学技士の専門学校で学んで就職した場合は、3年制の教育機関の卒業生として給料が支払われるケースがほとんどです。
昇進を目指すなら大学卒が有利
臨床工学技士の中には、将来は総合病院で技士長や主任として活躍したいと考えている人もいます。臨床工学技士はどんな医療機器を扱えるか、どれほどの専門知識を持っているかで昇進が左右される実力主義の世界ですが、基本的には4年制の大学卒業者の方が昇進しやすい傾向があります。
大きな理由としては3年制の教育機関では、臨床工学技士の即戦力を育てることに重きがおかれていますが、4年制の大学では、臨床工学技士を学問として学ぶことが多く、より広範囲で深い専門知識を習得することができます。
そのため将来、臨床工学技士として出世したいと考えている場合には4年制の大学で学ぶ方がおすすめです。
臨床工学技士の統計
臨床工学技士の平均給料は約34万円
臨床工学技士は臨床工学技士法が制定されてから30年ほどしか経過していないため、資格保有者が絶対的に少なく、厚生労働省などの公的機関での給料に関する統計データはありません。
しかし一般の病院では臨床工学技士の平均給料は、診療放射線技師と同等とされています。厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」 のデータによると、診療放射線技師の平均給与は、全国平均が約34万円となっています。
勤務時間によって給料が変わる
臨床工学技士は命を守る重要な医療機器を管理するため、残業や早朝出勤の発生、さらには休日出勤も発生することもあります。
例えば総合病院で勤務する場合には、いろいろな医療機器を操作したり管理したりします。基本的に夜勤はありませんが、24時間救急の受け入れを行っている総合病院では、深夜近くまで残業があるところもあります。
一方、人工透析専門のクリニックの場合には1日中透析に携わります。人工透析は開院と同時に始まるため、なるべく朝早くに出勤して人工透析の準備にあたります。そのためクリニックによっては朝7時頃には到着して準備を始めなければならないところもあります。
そのため基本給が低くても、諸手当によって給料が大きく変わることもあります。臨床工学技士としてなるべく高い収入を得たい場合には、残業の有無や休日出勤の有無、さらには夜勤の有無などを確認すると良いでしょう。
平均給料は臨床工学技士として働く場所によって変動
公的機関による詳細な臨床工学技士の給料に関するデータはありませんが、臨床工学技士は勤務場所によって給料が大きく変わる傾向にあります。
国公立病院で勤務する場合には、公務員に準じた立場になるため、収入も安定している上に給料も高めに設定されます。一方、大学病院で勤務する場合には、給料は少ないですが扱うことのできる医療機器が多いため、将来へのスキルアップにつなぐことができます。
医療機器メーカーが高めの傾向
臨床工学技士の勤務先の中でも、比較的給料が高いケースが多いのが、医療機器メーカーへの就職です。大きな理由として、医療機器メーカーの中には外資系もあるため、実務経験を積んだ臨床工学技士がキャリアアップとして選ぶことが多いということが挙げられます。
医療機器メーカーへ就職するためには、一般的な臨床工学の知識のほかに、過去の実績が求められます。病院やクリニックである程度の経験を積んでから転職するほうが、チャンスが大きいでしょう。
また医療に関する知識のほかに、英語の能力があると採用されやすい傾向があります。そのため、ある程度のビジネス英語ができれば就職への武器にすることができます。
臨床工学技士の年収統計
臨床工学の年収は200~300万円前後
診療放射線技師の平均を厚生労働省の統計一覧の平均給与と年間賞与から算出すると、約500万円になります。臨床工学技士について同じような年収と考えられますが、臨床工学技士の資格が比較的新しいため、平均年齢は診療放射線技師よりも若く、年収は500万を下回ると考えられます。
新人の場合、月々の給料が17~20万円であれば、年収は200万円台になることも考えられるため、臨床工学技士の一般的な年収は200~500万円前後と予想されます。
経験を積めば平均給与以上の給料や年収の可能性も
臨床工学技士は知識や経験を積むことで、扱うことのできる医療機器が増えていきます。それにつれて年収もアップします。20代では年収が300万前後でも、30代前半になると年収が400万を超えることもあります。
主任や管理者になれば年収1,000万超えも
臨床工学技士でキャリアアップを目指すなら、大手の総合病院や国公立病院で臨床工学技士の主任や管理者を目指すのがおすすめです。病院によっては年収が1,000万を超えることもあります。
管理者になると残業は増えますが、夜勤はそれほどないため、ある程度のワークライフバランスを保つことができます。また病院内の別の部門の人たちとの交流も広がり、人脈を広げることもできます。
臨床工学を究めて研究職を目指すことも
医療業界の中では、臨床工学技士の資格はそれほど注目されていませんが、医療機器が毎日のように進歩するため、臨床工学技士のニーズはますます高まっており、将来性がある分野といえます。これからさらに最新医療機器の需要が高まれば、臨床工学の世界は広がっていきます。
そのため臨床工学技士の中には、大学や大学院へ進学して研究機関や教育者を目指す人もいます。臨床工学は他の医療分野と違い、臨床工学技士の資格が制定されて30年と比較的新しいため、研究者を目指すときにライバルが少ないというメリットがあります。
臨床工学技士は医療だけでなく、教育の道へ進むこともできる魅力的な職業です。
臨床工学技士の給料・年収まとめ
臨床工学技士の年収は高くないものの、雇用状況によってはアップすることも
臨床工学技士の平均給料や年収レベルは、医療系の職業としてはあまり高くはないといえます。
ただし残業代や休日出勤などで大きな差が生まれることもあります。
臨床工学技士も他の医療の仕事と同じように知識と経験が重要になります。最新医療機器を扱う臨床工学技士には常にニーズがあるため、将来にわたって安定して働くことができます。
臨床工学技士という職業は、患者の命を陰で支えるというゆるぎない意思があれば喜びを持って働くことのできる素晴らしい仕事といえます。
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臨床工学技士の参考情報
平均年収 | 450万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 医療 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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