臨床工学技士の資格試験とは?働くための必須資格と持っていると有利な資格

臨床工学技士の資格試験とは?働くための必須資格と持っていると有利な資格

命を支える医療機器を操作するスペシャリスト、臨床工学技士は国家資格なので、専門的な知識や技術を学んで国家試験に合格しなければなりません。また臨床工学技士以外にも持っていれば就職に有利な資格もあります。今回は、国家資格の臨床工学技士について、さらには、ME技術実力検定試験や専門臨床工学技士認定の試験の情報をご紹介します。

臨床工学技士の資格とは?

医療科学の専門医として働くための国家資格

臨床工学技士は昭和62年制定の臨床工学技士法に基づき、厚生労働省が定める国家資格です。資格保有者しか名乗ることのできない名称独占資格で、試験は北海道、東京都、大阪府と福岡県の4会場で行われます。

臨床工学技士の試験に合格すれば医療機器の操作や保守点検を行うことができます。扱うことのできるおもな医療機器として、人工心肺装置、人工呼吸装置、人工透析装置や体外式心臓ペースメーカーなどが挙げられます。

どれも患者の生命維持にかかわる大切な機器のため、臨床工学技士は常に安全かつ慎重に仕事することが求められます。

臨床工学技士の認知度はまだ低い

臨床工学技士に似た職種として臨床検査技師や診療放射線技師などがあります。臨床検査技師は血液、細菌検査や心電図などを扱い、診療放射線技師はレントゲン、CTやMRIなどを扱います。しかし、臨床工学技士は臨床検査技師や診療放射線技師と異なり、命に関わる医療機器を扱います。

臨床工学技士が扱う機器は一般の人や部外者が立ち入ることのできないエリアで動くことがほとんどです。そのため他の医療系の資格よりも認知度が低く、受験者数についても他の資格よりも少ないのが現状です。一例として平成30年度に行われた厚生労働省が認定する国家資格の受験者数を紹介します。

  • 臨床検査技師 5,101人
  • 診療放射線技士 3,309人
  • 臨床工学技士 2,737人

医療を裏で支える分野で従事したい人には、臨床工学技士にはまだまだ需要の多いおすすめの仕事といえます。

臨床工学技士の業務は拡大しつつある

平成16年1月に、厚生労働省による「医療機器管理室施設整備事業実施要綱」により、多くの医療機関で「医療機器管理室」が設置されるようになりました。

医療機器管理室には機器を適切に扱うことのできる「医療機器安全管理責任者」を配置するように推奨されたため、多くの臨床工学技士が医療機器管理室の責任者として働くようになりました。

さらに平成28年度の診療報酬改定における特定集中治療室管理料1の施設基準に「専任の臨床工学技士が病院内に勤務していること」が明記されました。そのため現在では多くの医療機関で臨床工学技士が求められています。

臨床工学技士の活躍の場は拡大している

臨床工学技士の資格を取得した後は国公立病院、大学病院、民間病院やクリニックで勤務している人がほとんどです。また医療機器についての知識を生かして、医療機器メーカーで働いている人もいます。

臨床工学技士の資格の難易度・合格率

難易度はそれほど高くはない、ただし医療についての十分な知識は必要

臨床工学技士の試験は筆記試験のみです。合格ラインは正答率60%以上で、180点満点のうち108点以上が合格とされています。出題形式は選択肢5つの選択問題タイプとなっており、合格率は約70~80%といわれています。

マークシート式の試験で合格ラインもそれほど高く設定されていないため、難易度的にはそれほど高くない傾向のようですが、医療についての知識を取り入れて、きちんとした国家試験対策を行うことが大切です。

臨床工学技士

合格率 全国平均約70~80%
受験資格 次のうちいずれかに該当すること
・学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することができる者であって、法第14条第1号の規定により文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、3年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの

・学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、文教研修施設若しくは養成所において2年以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者であって、法第14条第2号の規定により文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、1年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの

・学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学又は規則第14条に規定する学校、文教研修施設若しくは養成所において1年以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者であって、法第14条第3号の規定により文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、2年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの

・学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において厚生労働大臣が指定する科目を修めて卒業した者

・外国の生命維持管理装置の操作及び保守点検に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で臨床工学技士の免許に相当する免許を受けたもの

受験費用 30,800円
出題範囲 医用治療機器学、生体機能代行装置学、生体計測装置学、医学概論、医用電気電子工学、生体物性材料工学、臨床医学総論、医用機械工学および医用機器安全管理学

試験を受けるには一定の経験が必要

臨床工学技士になるためには、受験資格が必要となります。受験資格を得るための主な方法は、臨床工学科や医用生体工学科のある大学で学ぶ、臨床工学科のある短期大学で学ぶ、臨床工学科や臨床工学技士科のある専門学校で学ぶなどがあります。

試験合格後は免許申請をして資格取得を

試験自体はどこの都道府県でも受けることができます。ただし、臨床工学技士の資格を得るには、試験に合格したのちに免許を申請しなければなりません。申請をすると1か月ほどで、臨床工学技士の登録番号が記載されたハガキが郵送されます。さらにその後に正式な臨床工学技士免許証を受け取ることができます。

その他の臨床工学技士の関連資格

臨床工学技士以外の資格として以下の検定資格は就職に役立ちます。

ME技術実力検定試験

MEとはメディカルエンジニアリングのことで医療機器の技術を使う資格です。ME技術実力検定試験では、MEに関する機器を適切に取り扱うために制定された資格検定です。ME技術実力検定試験には第1種と第2種があります。

この資格には医療に関する知識だけでなく、他の医療技術者に対して指導できるレベルが求められているため、医療現場で責任者として働くためには有利な資格になります。

ME技術実力検定試験の難易度は高め

ME技術実力検定試験の合格率は20~25%のため、難易度はかなり高めといえます。ME技術実力検定試験に合格するための近道として、試験の講習会に参加する方法があります。講習会では、過去3年分の出題について詳しい解説がなされます。

ME技術実力検定試験では似たような内容の出題が出されることも多いため、合格するためには過去の問題から傾向と対策をすることが重要となっています。

臨床工学技士認定制度

臨床工学技士認定制度とは公益社団法人の日本臨床工学技士会が行っている認定制度です。臨床工学技士として正しい知識や指導できる能力を持つことを目指しており、臨床工学技士としてスキルアップを目指すには有利な資格です。

日本臨床工学技士会の認定制度で取得することができるものは呼吸治療、不整脈治療、血液浄化、高気圧酸素治療、手術関連の5つの分野です。

臨床工学技士認定制度はかなり難易度が高い

臨床工学技士認定制度は難易度がかなり高く、合格率は0~30%となっております。特に高気圧酸素治療についての認定試験については、平成28年度の合格率は0%でした。講習会に参加してから試験を受けるため、講習会で学んだことを十分に理解することが求められます。

臨床工学技士の資格が取れる学校

神奈川工科大学臨床工学科

神奈川工科大学臨床工学科は、工学の知識と技術を中心に学ぶことができる人気の大学です。臨床工学の分野で働くためには、工学と人体の構造について十分理解していることが重要です。

神奈川工科大学臨床工学科は医学的分野の基礎部分から応用部分まで幅広く学ぶことができるので、単に知識を取り入れるだけでなく、医療の安全を守る問題解決能力を身につけることができます。

さらに医療では大切な、個人情報の保護やセキュリティ対策についても学ぶことができるので、より実践的な教育を受けることができます。

就職サポートも万全

神奈川工科大学の卒業後の進路は、総合病院や大学病院などの大手医療機関、大手の医療機器メーカーや医療機器の研究機関などがあります。学校全体で卒業後の進路をサポートしてもらえるため安心して就職活動を行うことができます。

姫路医療専門学校

姫路医療専門学校の特長は、最先端の学習環境のもとで最新の医療に関する知識を学ぶことができる点です。臨床工学の知識を学ぶだけでなく、最新の医療器具が揃った実習室でより実務に近い知識を身につけ、見学実習によって安全管理について学ぶこともできます。

姫路医療専門学校では担任制度を用いているため、学生個人を丁寧にサポートしてもらえます。そのため卒業後も即戦力として現場で働くことができます。

資格取得のための万全なサポート体制も魅力のひとつ

姫路医療専門学校では臨床工学技士の資格取得のための万全なサポート体制をとっています。オリジナルの模試を行うことによって、苦手な科目を克服したり、本番さながらの雰囲気を体験したりすることができます。

臨床工学技士の資格まとめ

臨床工学技士になるためには、大学や専門学校で基礎から学ぶことが大切

臨床工学技士として働くためには、臨床工学技士の国家資格の取得が必須条件になります。まずは国家資格である臨床工学技士に合格するために、医療や工学についての知識や技術を身につけましょう。

臨床工学技士の受験資格を得るためには、大学、短期大学や専門学校などで臨床工学について学ぶ必要があります。臨床工学技士の試験の難易度はそれほど高くありませんが、まずは教育機関で医療の基礎から学びます。

臨床工学技士に関する資格試験は、国家資格以外にもさまざまな試験が行われています。スキルアップを目指す場合には、ME技術実力検定試験や臨床工学技士認定制度はおすすめです。

臨床工学技士の参考情報

平均年収450万円~600万円
必要資格
  • 臨床工学技士
資格区分 国家資格
職業職種医療

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