考古学者の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説
考古学者として働くには、フリーランス・大学教授・学芸員などさまざまな就職先があり、所属先や役職などによっても給与や年収が大きく異なります。本記事では、考古学者として働く場合の学芸員と大学教授の初任給、平均的な給与、平均的な年収など、収入面についてご紹介します。
考古学者の初任給
ここでは考古学者として働く学芸員と大学教授の初任給について解説します。
学芸員の初任給は博物館の運営母体によって異なる
学芸員が働く博物館には、国立・県立・市町村立などの「公立」と、民間会社が経営する「私立」に分かれます。公立の博物館で採用された学芸員は「地方公務員」として扱われ、各自治体が設定した給与体系によって初任給が出されます。
一例をあげると平成30年度、東京都板橋区の学芸研究採用選考募集では学芸員の新卒採用の初任給は約22万400円です。新卒以外で職務経験がある場合はこの金額に一定の加算がされるとしています。公立博物館の学芸員の採用は収入が安定することが見込まれるため、競争倍率が高いことや経験者が優遇されて採用されるのが特徴です。
一方、民間の博物館学芸員の初任給平均値はおよそ15~20万円とされており、手取り計算だと10万台前半になる場合もあります。民間の博物館学芸員の収入は公立よりも低い傾向にありますが、それぞれの企業規模や集客数が給与に大きく反映するため、必ずしも低いということにはなりません。
大学教授の初任給
考古学者として大学に勤務する場合、初めから大学教授としてスタートすることはありません。考古学者にかかわらず、どの学部の大学教授でも助手や講師として経験を積み、認められれば准教授や教授といったステップを踏んで位を上げていきます。助手として給与を受け取る場合の平均は約10~15万円になります。
新卒で一般企業に入社した人の初任給と比べても低いことが多く、助手だけで生活を成り立たせるのは難しいため、助手をしながらアルバイトなどの副業をする人も多くいます。
とはいえ、助手としての初任給は大学によって異なるため、全員の初任給が低いとは断言できず、同学歴の一般企業に勤める人と同じ位の初任給で、加えて通勤手当や居住手当などがつくこともあります。
大学教授になるまでのステップアップの課程とは
大学教授になるためには、博士の学位が必要です。博士を取得するためには、大学卒業後に修士課程を修了し、博士課程に進む必要があります。最低でも修士課程の2年間と博士課程の3年間で考古学に関する単位を取得したり、研究結果の論文を仕上げるなどして、初めて助手として就職先を探すことができます。
助手の主な仕事内容は教授や准教授の研究サポートです。助手はこれらの仕事をこなしながら、自分の研究活動も同時に進める必要があります。助手として高い他者評価を得られた場合は、常勤講師・非常勤講師・准教授へと進むことができます。准教授から教授になるためには「審査委員会」の評価と「教授会」での可決が必要です。
「専門誌や学会誌にいくつの論文が掲載されたか」「生徒に対してどのような授業を行ったか」など、それまでに行ってきた研究結果や授業の内容が大きく昇格に影響します。
大学によって雇用流動性はさまざまなので、長年同じ大学で教授を務めている人が多いところではポストが空かずに、なかなか准教授から教授になることが難しい場合もあるようです。
考古学者の平均給与
ここでは学芸員と大学教授の平均給与について解説します。
学芸員の平均給与
公立と私立に関わらず、博物館学芸員の平均給与に関する正確なデータはありません。経営母体に関係なく、博物館全体における学芸員の年代別平均給与は、20代で約17万円、30代で約20万円、40代で約25万円といわれています。
公立であっても正規職員以外の採用も多い
公務員の給与体系が反映される公立博物館の学芸員ですが、国や各自治体の経費削減により運営を民営に委託するなど、正規職員以外の契約社員・非常勤職員・任期付き職員として採用するケースが増える傾向にあります。
大学教授の平均給与
考古学者として働いた場合、大学教授の平均給与は約67万円前後となっています。
大学教授の平均給与は勤め先の大学が「国立」か「私立」かによって異なり、国立大学の方が安定した収入を得ることができますが、早稲田大学や慶応大学、その他MARCHといわれる人気私立大学になると集客が多いことが理由となり、国立大学よりも給与は多くなります。
日本学術振興会特別研究員の給与
文部省では博士課程で学業を続ける1~2割の学生に対し月額20万円、および年間最大15万円までの研究費を支援する制度を設けています。
制度の対象となる学生は日本学術振興会特別研究員として認定されますが、これら研究員から位をあげて大学教授となった場合の推定平均収入は約65.5万円です。また、平均年齢47.4歳の准教授では約55万円、平均年齢約42.8歳の大学講師では約49万円とされています。
考古学者の平均年収
ここでは考古学者として働く学芸員と大学教授の年収について解説します。
学芸員の平均年収は低め
考古学者として働く学芸員の平均年収は約250~400万円前後となっています。年代別では20代で約250万円、30代で約290万円、40代で平均350万円です。専門知識を活用して働く職業のわりには「一般的なサラリーマンの平均年収よりも低め」というのが学芸員の年収の実情です。
有名博物館の館長クラスになると年収が1,000万円、50代では約700万円前後の年収を得ているケースもあり、そのような博物館で働く学芸員は前述の平均年収よりも高い収入を得ているようです。
公立の博物管に正社員として採用された場合は、年に2回のボーナスが支給されますが、契約社員などの非正規社員の場合は支給がありません。したがって、安定していると思われる公立の博物館でも、場合によっては私立博物館の学芸員よりも年収が低くなるケースが考えられます。
また、非正規社員は正社員での登用よりも社会保険等の待遇があまり恵まれていません。学芸員として成り立たせるためには、学生時代から専門的な研究を行ったり、採用募集をこまめにチェックするなどして正規職員の採用を狙うことが大切となるでしょう。
学芸員の昇給や勤務態勢
一般的な学芸員の休日は平日で、月に6~8日に設定されています。これは、来館数の多い土日祝日に博物館を運営するためです。学芸員には休日を利用して自分の研究に打ち込む人も多くいます。
通常営業の場合は定時に帰れることもありますが、展示会などの催し物をするときの、準備や展示物の梱包や配送などの片付けは営業時間が終わってからおこなわれます。そのため、日によっては残業があることを考慮しておくとよいでしょう。
また、博物館内の仕事以外にも、文化講座などでの講師活動、後輩育成のための実習や講義などの教育活動等の仕事をする学芸員の場合は残業する機会が多くなります。
超過勤務に関しては、公立博物館の多くでは支給されますが、私立博物館の場合は運営企業によって出されたり、出されなかったりと対応はさまざまです。正規社員の学芸員として採用された場合は、経験や勤務年数が多くなるにつれて昇給が見込めますが、非正規社員での採用ではあまり期待することはできないでしょう。
大学教授の平均年収は高水準
運営母体や規模によって異なる大学教授の給与や年収ですが、国立大学の大学教授の場合は人事院の定める俸給基準によって支給されます。ただし、地域手当の額は場所によって異なるので働く場所によって年収には違いがでてきます。
国立大学の大学教授の平均年収は1,000~1,200万円前後です。私立大学の場合は1,200~1,600万円くらい、最低でも年収は約800万円前後が相場といわれています。
ただし、昨今の少子化の流れにともない大学生の数が減りつつあることから、地方の私立大学を中心として以前よりもボーナスの金額が下がり、結果的に年収が下がる傾向が見られます。
有名な大学教授は副収入もある
大学教授としてお有名になれば、マスコミなどのメディアへの出演・書籍執筆・講演会・社外役員就任などの副業をする機会に恵まれます。
あまり収入に結びつかない副業もありますが、上場企業の社外取締役などに就任すると年間に平均数百万の収入に結びつくことがあります。
考古学者として名前を売るのは難しいですが、副収入の種類によっては平均年収を大きく上げることは不可能ではないでしょう。
考古学者の給与・年収まとめ
考古学者は収入よりも仕事に生きがいを感じられる人向け
考古学者は、大学教授として活躍することができれば一般サラリーマンよりも多くの収入を得ることができます。ただし、教授になるには競争率が高く、それまでに多くの段階を経ることが必要となるため、学校を卒業してすぐに稼げるわけではありません。
考古学者として学芸員や大学教授として働くなら、給与や年収などのお金に関することよりも、仕事内容にやりがいを十分に感じられる人に適性があるといえるでしょう。
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考古学者の参考情報
平均年収 | 250万円~1200万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 教育・保育 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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