ホワイトハッカーの仕事内容とは?1日のスケジュールや仕事のやりがいも解説
ITエンジニアとしての活躍を夢見る方も増えている中で、ホワイトハッカーとして活躍したいという方もいるでしょう。ホワイトハッカーは限られた優秀な人材が就ける職業として高尚なものがあります。今回はホワイトハッカーの仕事内容を中心に解説を行います。
ホワイトハッカーとはどんな仕事?
悪質なサイバー攻撃やハッキングに対抗する仕事
ホワイトハッカーとはブラックハッカーによる悪質なサイバー攻撃やハッキングに対抗する仕事です。インターネット空間にはコンピューターやネットワークに不正に侵入してハッキングを繰り返す人もいます。
そうしたサイバー攻撃に対応することや防衛策を見出して事前に対処することもホワイトハッカーの仕事です。サイバー攻撃も年々巧妙化しており、ホワイトハッカーに求められるスキルや役割も多様化しています。
システム内の不正行為や情報漏洩がないか調査
システム内の不正行為や情報漏洩がないか調査することもホワイトハッカーの仕事の1つです。国や企業が運営するウェブサイトやウェブサーバーに不正アクセスがあった場合、その調査や防御施策を実施します。
また、国や企業が管理する個人情報や機密情報などが漏洩していないかどうか調査を行い、必要に応じて対策を取ることも求められます。
不正行為や情報漏洩を未然に防ぐことも重要な役割であり、インターネット空間において常に監視の目を光らせています。
IT企業でセキュリティやシステムの開発を担当することも
ホワイトハッカーの中にはIT企業に就職してセキュリティやシステムの開発を担当する人もいます。一般的なシステムエンジニアとは異なり、サイバー攻撃に対応するためのシステム開発やセキュリティ基盤の構築に時間を割くことが特徴です。
場合によっては警察からのサイバー捜査の協力依頼を受けて捜査に協力するホワイトハッカーもいるなど、働き方は多様です。
ホワイトハッカーとして必要な知識やスキルがあれば活躍の場は一層広がります。
民間企業や官公庁で活躍するハッカーもいる
IT企業以外の民間企業や、中には官公庁などの公的機関で活躍するホワイトハッカーも存在します。国や政府も情報セキュリティには万全を期して、国家の機密情報や重要事項が外部に漏れないように対策を取る必要があります。
そうした対策に欠かせないのがホワイトハッカーであり、民間企業や官公庁を問わずあらゆる業界や組織で必要とされる存在です。インターネットやSNSが普及したことで簡単に多くの情報にアクセスできるようになりました。
それはメリットである反面、悪事を働こうとする存在を生み出してしまったことも事実です。ホワイトハッカーはインターネット空間における警察官のような存在として重宝されています。
ホワイトハッカーの具体的な仕事内容
ホワイトハッカーとして働く場合、サイバー攻撃やハッキングに対抗するためにさまざまな仕事をこなします。実際にサイバー攻撃を受けた場合もそうですし、未然に攻撃を防ぐという意味でも日々の任務を行います。
システムやセキュリティ基盤のアップデートも含めてホワイトハッカーに求められる役割です。そうした視点も持ちつつ、具体的な仕事内容について確認しましょう。
セキュリティ問題の発見と報告
ホワイトハッカー自身が担当するWebサイトやWebサーバーに何らかのセキュリティ問題が見つかった場合、すぐにクライアントに報告を行います。自社のシステムに問題があった場合も同様です。
サイバー攻撃もそうですが、セキュリティ問題に関してはできるだけ早めに問題を見つけて対処することが重要です。
システムや情報を守るための企画と提案
セキュリティ問題やシステムに何らかのトラブルが発生した場合は、その問題を解決しなければなりません。そのために必要な企画と提案を行います。
クライアントの中にはセキュリティやシステムに関する専門的な知識がないケースもあります。そうした方でも理解しやすいように問題点をまとめて、できるだけかみ砕いた説明をすることがポイントです。
何が問題になっていてどのように対応すれば問題解決につながるのかわかりやすく説明することで、クライアントにも納得してもらいやすくなります。
セキュリティシステムの設計や実装
実際にセキュリティ問題を解決するためにシステムの設計や実装も行います。問題解決のためのセキュリティシステムを実装するためには、さまざまなハッキングやトラブルを想定した中で設計を行う必要があります。
同じようなトラブルが起きないようにすることはもちろんのこと、将来的に懸念される課題があれば、その課題にも対応できるようなシステムを実装します。原因の調査や分析を通してセキュリティシステムの精度を高めることが重要です。
システムの脆弱性テスト
セキュリティシステムの脆弱性テストも行います。システムを実装する際には潜在的な脆弱性を発見した上で対策を行うことが求められます。
潜在的な脆弱性が残ったまま実装すると、将来的に再びサイバー攻撃やハッキングの被害に遭うリスクが高まります。
考え得る弱点を全て挙げた中でテストを行い、1つ1つ丁寧に解消することがポイントです。
ペネトレーションテスト(疑似ハッキングテスト)
脆弱性テストの中ではペネトレーションテストと呼ばれるテストも実施します。ペネトレーションテストはソフトウェアやアプリケーションのセキュリティホールを見つけるために行うテストのことで、疑似ハッキングテストとも呼ばれます。
疑似的にハッキング攻撃を行い、システム内に脆弱な部分がないか確認します。一般的なハッキング攻撃から最新のハッキング攻撃にいたるまでさまざまな手法のテストを行い、セキュリティ面の強化を狙います。
デジタルフォレンジックと不正侵入調査
デジタルフォレンジックとはサイバー攻撃を受けた際に残ったデータの収集や分析を行う業務のことです。重大なインシデントが発生した場合に対象となるデータを洗い出して調査を行います。
どういったルートで不正侵入があったのかなど、発生源の特定を行い再発防止に努めます。実際にインシデントが発生する前でも、その兆候が見られた場合にはシステム内のデータ収集や分析を行うこともあります。
セキュリティシステムの保守と運用
ホワイトハッカーはセキュリティシステムの保守と運用も行います。セキュリティシステムを導入すれば全て良しということではなく、適切な形で保守と運用を行わなければサイバー攻撃を防ぐことはできません。
安全に運用するために継続的な調査も必要ですし、万一のケースに備えることも重要です。社内の重要事項や機密情報が外部に漏れてしまった場合でも、閲覧制限やアクセス権限の設定を行うなど、細かい設定をして万一の際の対策も万全な状態にします。
システムのアップデート
セキュリティシステムを導入して時間が経つと、サイバー攻撃やハッキングからの対応が不十分になってしまうことがあります。システムは常に最新の状態にしておくことで、効果的にサイバー攻撃を防ぐことができます。
その点において、システムを定期的にアップデートすることもホワイトハッカーの仕事です。保守、運用につながる部分でもありますが、適切な形でアップデートを行うことで、国や企業のWebサイトやサーバーを守ることができます。
社員に対するセキュリティ教育やセミナー
ホワイトハッカーの仕事として、社員に対するセキュリティ教育やセミナーも挙げられます。ホワイトハッカーだけがサイバー攻撃に注意すれば良いわけではなく、国や企業で働く人たち全員が注意しなければなりません。
例えば、パスワードの使い回しはしていないかどうかも重要なポイントです。利用中のコンピューターやスマートフォンの使い方は安全かどうか、あるいは不必要なアプリやメモリを使っていないか確認してもらうことも重要です。
セキュリティ面に関する意識向上のためにセミナーを開催することもあり、継続的に啓蒙活動を行います。
ホワイトハッカーの一日のスケジュール
ホワイトハッカーの働き方は勤め先によってもさまざまですが、大まかにスケジュールを見ると以下のような流れとなります。
- 9:00 出社・メールチェック
- 9:30 定例ミーティング
- 10:00 システムの脆弱性テスト
- 12:00 お昼休憩
- 13:00 顧客との打ち合わせ
- 15:00 セキュリティシステムの企画書作成
- 17:00 プロジェクトチーム内での案件レビュー
- 18:00 社内雑務やメール処理
- 18:30 退社
9:00 出社・メールチェック
出社したらメールチェックを行い、必要に応じて返信します。この時間帯で前日の残作業を済ませることもあり、当日の業務にスムーズに入れるように備えます。
9:30 定例ミーティング
チーム内やプロジェクト内でのミーティングを通して、現時点での課題や進捗状況などを共有します。重要な問題や急ぎの課題があれば積極的に報告します。
10:00 システムの脆弱性テスト
システムの脆弱性テストを行い、脆弱性に問題がないか確認します。問題点を洗い出してシステム開発やアップデートにつなげます。
12:00 お昼休憩
お昼休憩の時間は会社によって固定されているケースと自由なケースに分かれます。
13:00 顧客との打ち合わせ
セキュリティシステムを導入している企業や導入を検討している企業との打ち合わせを行います。実際に企業を訪問することもあれば、オンライン上で打ち合わせをすることもあります。
15:00 セキュリティシステムの企画書作成
顧客との打ち合わせを踏まえてセキュリティシステムの企画書を作成します。改めて課題を洗い出して、その課題を解決するためのシステム開発につなげます。
17:00 プロジェクトチーム内での案件レビュー
進行中のプロジェクトに関してチーム内で情報共有します。1日の進捗状況や今後の展開について確認した上で、急ぎの課題があれば優先的に対応します。
18:00 社内雑務やメール処理
メールの確認を行い、必要な場合は返信します。また、簡単な資料の作成や電話応対などの社内雑務をこなします。
18:30 退社
その日の仕事を終えたら退社します。
ホワイトハッカーの仕事のやりがい
ホワイトハッカーは国や企業の機密情報を守る存在として欠かせません。ブラックハッカーからのサイバー攻撃やハッキングを防ぐためには相当な知識やスキルが必要であり、大変な仕事です。
大変だからこそやりがいを感じる部分も多いことがホワイトハッカーの魅力です。実際にどういったやりがいがあるのか確認しましょう。
コンピューターやネットワークに関する高度な知識を活かせる
コンピューターやネットワークに関する高度な知識を活かせることがやりがいの1つです。ホワイトハッカーになるためには、情報セキュリティ分野における相当な知識やスキルが必要です。
プログラミングスキルを含めて最先端のスキルが求められる仕事であり、高度な知識を活かして働けることがやりがいにつながります。探求心がある人や向上心がある人にとっては最適な仕事でしょう。
強い正義感や責任感を活かせる
ホワイトハッカーはインターネット上の番人とも言われており、国や企業の機密情報を守るという重要な役割を任されます。その点において、正義感や責任感が強い人にとってはこの上ないやりがいにつながるでしょう。
ホワイトハッカーとして働くことで社会的信用性があることも証明しやすくなり、人としてのモラルや規律も発揮しやすい仕事です。人の役に立ちたい、組織のために働きたいといった気持ちが強い方にも最適な仕事です。
英語力を活かして仕事をできる
英語力を活かして仕事をできることも、ホワイトハッカーのやりがいにつながります。セキュリティシステムに関する情報は英語で公開されていることも多く、プログラミングに関しても英語のスキルは欠かせません。
また、ホワイトハッカー同士でコミュニケーションを取る際にも英語が使われることが多く、英語力がある人にとっては自身の力を発揮しやすい環境にあります。
国や社会から頼りにされる
正義感や責任感につながる部分もありますが、ホワイトハッカーは国や社会から頼りにされる職業としても魅力があります。一企業から頼りにされる仕事は数多くありますが、国単位や社会という大きな括りで頼りにされる仕事はそれほど多くありません。
その点において、ホワイトハッカーは国家を守る存在でもあり、考え方によっては世界中のインターネット利用者を守る存在だと言えます。
自身の知識やスキルが多くの組織や人に役立っていることを実感できるようになると、より一層仕事に身が入りやすくなるでしょう。
多くの人と関わりながら仕事ができる
多くの人と関わりながら仕事ができることもやりがいにつながります。ホワイトハッカーはパソコンに向かっている時間も多いですが、関係各所やホワイトハッカー同士でコミュニケーションを取る時間も多くあります。
システムやセキュリティに何らかの問題が発生した場合は、クライアントに対して問題点を報告しなければなりません。その後の対応やシステムのアップデート等も含めて、多くの関係者の了承を得ながら仕事を進めていきます。
経験や実績を積めば積むほど、クライアントやプロジェクトメンバーと話し合う時間が多くなるので、多くの人と関わりながら仕事をしたい方にとっても充実感があるでしょう。
高年収を期待できる
ホワイトハッカーとして活躍を続けることで、高年収を期待することもできます。ITエンジニア自体が比較的高収入を期待しやすい職業ですが、それはホワイトハッカーも変わりありません。中には1,000万円を超えるような年収を稼ぐホワイトハッカーもおり、環境や活躍次第で収入を伸ばせます。
セキュリティ問題に対応できる人材が不足していることも高年収を期待できる要因です。需要に対して供給が合っていないので、ホワイトハッカーとして活躍できるスキルがある人材にはより多くの報酬を与えようと考える企業が多いことも影響しています。
セキュリティコンサルタントとしても活動できる
ホワイトハッカーとしての実績を積むことで、セキュリティコンサルタントとして活動することも可能です。セキュリティや情報漏洩の防止策などの知見があれば、企業に対してコンサルティング活動やセミナーを開催することも可能です。
コンサルタントとしての需要が高まれば、その方面で開業することも可能でしょう。あるいは、ホワイトハッカーの仕事を続けながら副業として活動することもできます。
仕事の幅が広がればそれだけ活躍の場も増えるので、やりがいも感じやすくなります。
ホワイトハッカーの仕事内容まとめ
ホワイトハッカーは国や社会を守るための欠かせない存在
ホワイトハッカーは悪質なサイバー攻撃やハッキングに対抗する職業であり、社会的にも欠かせない存在です。インターネットの普及に伴い、国境を越えて情報にアクセスできるようになって便利に感じることも多くなりました。
その反面、悪事を働こうとする存在も出現し、国や企業を問わずさまざまなWebサイトやサーバーが狙われる時代でもあります。簡単に機密情報が漏洩すると、国や社会としての正常な活動を行いにくくなってしまいます。
国や社会の健全な状態を担保するのがホワイトハッカーでもあり、インターネット上の番人としての活躍が求められます。簡単に務まる仕事ではありませんが、その分感じられるやりがいも大いにある魅力的な職業です。
ホワイトハッカーの参考情報
平均年収 | 600万円~800万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | コンピューター |
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