トレーダーの給与・年収は?初任給や平均給与の統計まとめ

トレーダーの給与・年収は?初任給や平均給与の統計まとめ

金融業の花形職業であるトレーダーは高給取りといわれていますが、実際はどの程度の年収をもらえるのでしょうか。厚生労働省が公開している統計から、その実態が浮かび上がってきました。トレーダーと金融取引業全体の給与・年収について紹介します。

トレーダーの初任給

トレーダーの初任給は他の産業と比較した場合、どの程度の水準なのでしょうか。

全産業平均との比較

厚生労働省が発表している統計情報「賃金構造基本統計調査」における平成27年の初任給について、全産業平均とトレーダーが含まれる大分類「金融業,保険業」を比較すると、以下のようになります。

a,全産業 b.金融業、保険業 割合(b/a)
大学院修士課程修了 22.8万円 23.1万円 101.23%
大学卒 20.2万円 20.1万円 99.60%
高専・短大卒 17.5万円 16.5万円 94.02%
高校卒 16.0万円 15.8万円 98.45%
平均 19.1万円 18.9万円 98.32%

大学院修士課程修了者の平均のみ全産業平均を上回りましたが、その他においてはわずかずつ下回り、全体の平均でも低い初任給になる傾向がわかりました。スタートの時点ではそれほど他の産業と差がつかないようです。

トレーダーの平均給与の統計

高給取りのイメージが強いトレーダーですが、平均給与はどの程度なのでしょうか。平成29年度「賃金構造基本統計調査」における年代別の給与平均を比較してみましょう。

全産業の平均を(a)トレーダーが含まれる大分類「金融業,保険業」を(b)、中分類「金融商品取引業,商品先物取引業」を(c)とし、それぞれの年代層の平均給与と中分類を基準とした比率を比較したところ、以下のようになりました。

この給与額は、超過勤務分を除いた支給額である「所定内給与額」を比較しています。

年齢 a.全産業平均 b.金融業,保険業 c.金融商品取引業,商品先物取引業 割合(c/b) 割合(c/a)
~19歳 17.5万円 15.6万円 17.2万円 110.3% 98.3%
20~24歳 20.6万円 21.4万円 24.9万円 116.5% 120.6%
25~29歳 23.8万円 25.7万円 32.3万円 125.4% 135.3%
30~34歳 27.2万円 31.9万円 48.2万円 150.9% 177.1%
35~39歳 30.1万円 37.0万円 60.1万円 162.6% 199.9%
40~44歳 32.7万円 41.3万円 69.6万円 168.4% 212.8%
45~49歳 35.2万円 46.0万円 69.9万円 151.8% 198.6%
50~54歳 37.2万円 48.1万円 73.3万円 152.4% 196.9%
55~59歳 36.3万円 42.3万円 71.2万円 168.2% 195.8%
60~64歳 27.4万円 31.1万円 48.6万円 156.2% 177.1%
65~69歳 25.0万円 31.4万円 58.6万円 186.3% 234.2%
70歳~ 25.8万円 32.9万円 39.2万円 119.2% 151.6%
平均 28.2万円 33.7万円 51.1万円 151.4% 180.8%

給与額は全産業平均の2倍

トレーダーを含む中分類「金融商品取引業,商品先物取引業」の平均給与は、全体で見ると全産業平均の1.8倍ほど、40~44歳、65~69歳では2.1倍を超える高額であることがわかりました。

初任給付近である10~20歳代ではまだ大きな差はありませんが、金融取引の主戦力となる30歳代以降は給与額の急激な伸びがあることがわかります。

金融商品取引の主力であるトレーダー、ディーラーは新卒直後ではなることができず、総合職として入社した後に適性を判断されてから就くことができます。

そのため総合職として就業している20歳代の多くはまだ高額な給与につながっていないと考えられます。

他の金融業よりも高額

また、銀行や貸金業、保険業を含む大分類「金融業,保険業」の平均と比較しても1.5倍の差が生まれるほど高給という結果が出ています。

このカテゴリの中では「金融商品取引業,商品先物取引業」が群を抜く高給取りであり、次点である「銀行業」の平均給与額が360.8千円であることから、金融業全体の中で見ても異質な存在であることがわかります。

トレーダーの年収統計

平均給与の比較により、トレーダーが大変な高給であることがわかりました。年収ではどれほどの差が生まれるのでしょうか。

平成29年度「賃金構造基本統計調査」における統計データには年収の統計はないため、超過勤務分の支給額を含む「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」から年収を類推し、以下の通り比較しました。

年齢 a.全産業平均 b.金融業,保険業 c.金融商品取引業,商品先物取引業 割合(c/b) 割合(c/a)
~19歳 247.9万円 199.9万円 216.0万円 108.1% 87.1%
20~24歳 314.9万円 326.3万円 365.9万円 112.2% 116.2%
25~29歳 391.3万円 459.3万円 598.1万円 130.2% 152.8%
30~34歳 450.5万円 577.1万円 890.8万円 154.3% 197.7%
35~39歳 495.1万円 648.4万円 1,059.0万円 163.3% 213.9%
40~44歳 536.4万円 713.3万円 1,193.2万円 167.3% 222.5%
45~49歳 576.2万円 795.6万円 1,186.7万円 149.1% 205.9%
50~54歳 606.4万円 818.2万円 1,265.5万円 154.7% 208.7%
55~59歳 583.1万円 691.2万円 1,173.8万円 169.8% 201.3%
60~64歳 409.2万円 466.4万円 743.1万円 159.3% 181.6%
65~69歳 348.7万円 452.8万円 941.6万円 208.0% 270.0%
70歳~ 348.2万円 477.1万円 511.4万円 107.2% 146.9%
平均 442.3万円 552.1万円 845.4万円 153.1% 191.1%

年収ではさらに差が生まれる

平均年収の比較の結果、全産業との比較において35~59までの全ての年代において2倍以上の差が生まれ、65~69歳においては2.7倍という驚異的な格差の存在が浮き彫りになりました。

また35歳から59歳までの全年代において、平均年収が1,000万円を超える結果となり、改めてトレーダーを含む「金融商品取引業,商品先物取引業」の収入の高さがわかりました。

給与比率よりも年収の比率のほうが広がっていることから、給与に対する賞与の金額が大きくなる業界であることも推測できます。

金融業間での比率は変わらない

「金融業,保険業」の平均年収は全ての年代を通して1,000万円を超えられず、「金融商品取引業,商品先物取引業」が圧倒している状況に変わりはありません。

ただし、年収の比率は平均給与と比較してもあまり変わらないため、金融業界は全体的に賞与額が大きいことが伺えます。

1,000万円以上の求人が豊富

トレーダーは実績によっては年収数千万円を目指せるという評判があります。ここまでの統計結果を見る限り嘘ではないと感じられますが、実際にそれほどの待遇で雇われることが現実的なのでしょうか。

大手中途採用専門求人サイトで「トレーダー・ディーラー・ファンドマネージャー」のカテゴリーで検索したところ、1,000万円以上の求人が多数見つかりました。

求人募集で提示されている給与額 求人件数
1000万円以上~1100万円未満 36件
1100万円以上~1200万円未満 14件
1200万円以上~1300万円未満 15件
1300万円以上~1400万円未満 4件
1400万円以上~1500万円未満 1件
1500万円以上~1600万円未満 0件
1600万円以上~1700万円未満 0件
1700万円以上~1800万円未満 3件

1,700万円を超える募集もあり、厚遇してもらえることは間違いないようです。

また多くの求人サイトでは非公開の求人を扱っており、80%以上が非公開であると公言している求人サイトもあります。一般公開はできないような、さらによい待遇の求人があることも期待できるでしょう。

統計は業界全体の平均

これまでの話ではあくまで業界の平均値を統計情報の上で追ってきました。

業界に属している人々全体の平均のため、事務職や管理部門といった金融取引に直接関係しない部門の人々の給与も反映されています。

実際にトレーダーとして働く人々の実態は、口コミという形で知ることができます。年収1,000万は珍しくないといわれる世界はどのようなものでしょうか。

30代以降に大きく花開く

トレーダーとして働く人々の声を聞くと、大変厳しくも成果次第で青天井の報酬が望める世界であることがわかります。

トレーダーは知識と経験が物をいい、30歳代以降に大きく花開く傾向が強いようです。20歳代では1,000万を超えると高給取りと言われるのに対し、30代は3,000万円代も珍しくないと言われています。

外資系企業はさらに高い報酬

外資系企業ではその傾向はさらに強く、また報酬の額も大きくなります。ベテランのトレーダーで5,000万円、ヘッドトレーダーでは平均7,000万も狙えるとのこと。ただし、大きなマイナスを出せば1年で、小さなマイナスでも2年続けば解雇と厳しい継続条件もセットとして考える必要があるようです。

さらに、外資系企業では社内公用語が英語であることが多いため、当然ビジネス会話も含めて全て英語で行える語学スキルが要求されます。高額の収入を得るにはそれだけの能力の高さが求められることは忘れてはいけません。

ベテランで実績のあるトレーダーが増え、人材の新陳代謝が起きにくい傾向もあるようです。トレーダーは精神的に追い込まれることが多い職業のため、新たに登場してきたトレーダーが退場する割合も高いようで、さらにベテランが仕事を伸ばすようになります。

厳しいプレッシャーを乗り越え、さらにベテランの中に割って入ることはかなり高いハードルになっているといえるでしょう。

トレーダーの給料・年収まとめ

業界平均はトップクラス

トレーダーを含む金融商品取引業は、他の業界の追随を許さない平均給与の高さを誇り、1,000万円プレイヤーも珍しくない業界であることが伺えます。

その中でも花形職業の一つであるトレーダーは平均を押し上げる収入を得ていることが考えられ、実際にトレーダーとして働く人々からは3,000万、5,000万といった声が聞こえてきます。

その代わり新規のトレーダーの参入が困難になっており、その高額報酬を得られるのは一握りのベテラントップトレーダーという実態もあるようです。

高額報酬を求め、海千山千のベテランが溢れる厳しい世界に身を投じる覚悟があれば、トレーダーは一攫千金の可能性がある夢の職業であると言えるでしょう。

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トレーダーの参考情報

平均年収1000万円~7000万円
必要資格
  • 証券外務員二種
  • 証券外務員一種
資格区分 公的資格
職業職種金融

統計情報 出典元:

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