養護教諭に必要な資格や試験は?詳しい内容と関連資格を解説
養護教諭を目指すなら「養護教諭免許状」の取得をした後に、教職員採用試験に合格する必要があります。本記事では、養護教諭に必要な資格や試験の詳しい内容・難易度や合格率・関連資格・資格の取れる学校などについて解説します。
養護教諭の資格とは?
養護教諭になるための資格には「専修免許状」「一種免許状」「二種免許状」の3つがあります。これらの違いは大学院・大学・短大または専門学校のいずれかを卒業したことによるもので、実際に働く上での内容に違いは生じません。
ただし、これらの免許状を取るためには、それぞれ勉強する科目数や内容が異なり、場合によっては就職したときの初任給や年収などに差が出ることもあります。
また、学校側の採用の条件として「専修免許状または一種免許状」を持っているなど、条件が限られることもあります。ここではそれぞれの免許状がどのような特徴を持っているのか見ていきましょう。
専修免許状
大学を卒業した後に大学院の修士課程を修了し、「修士」の学位を与えられた人が取得できる資格です。3つの免許状の中でも最も高い学歴が必要です。
大学院卒以外での取得方法
大学を卒業して取得できる「一種免許状」を所有しながら養護教諭として3年以上良い成績をおさめながら働いている場合は、認定講習などで決められた単位をおさめて、教職員検定に合格すれば専修免許状を取得することができます。
一種免許状
一種免許状は養護教諭養成課程のある4年制大学を卒業した「学士」の学位のある人が取得できる免許状です。養護教諭の免許状の取得を目指す人の中では、一種免許状を取得するパターンが一番多いとされています。
一種免許状の取れる4年制大学は多く存在しますが、その中の教育学部・看護学部・体育学部・看護学部・医学部などに養護教諭養成課程が設置されています。
大卒以外での取得方法
看護師免許を所有している場合は、養護教諭養成施設(文部科学大臣指定)で1年以上、
保健師免許を所有している場合は半年以上在籍し、それぞれが決められた科目と単位をおさめて卒業することで一種免許状を取得することが可能です。
また二種免許状を取得後、養護教諭として3年以上良い成績で働いた後に、認定講習などで決められた単位をおさめて教職員検定に合格すれば一種免許状を取得することができます。
二種免許状
二種免許状は養護教諭養成課程のある短大(専門学校を含む)を卒業した人が取得できる免許状です。大学院や大学と大きく異なるのは、免許状を取得することができる学校数が少ないことです。
文部科学省が平成31年4月1日現在で、二種免許状を取得できると発表している短期大学は日本全国に10校しかありません。
短大・専門学校以外での取得方法
短大や専門学校を卒業していなくても「保健師」の資格を持っている人は、申請をするだけで二種免許状を取得することができます。
また、臨時免許状を取得して6年以上養護教諭として良い成績をおさめながら働いた後に、認定講習などで決められた単位をおさめ、教職員検定に合格すれば二種免許状を取得することができます。
養護教諭採用試験
養護教諭になるためには免許状を取得した後に、「養護教諭採用試験」に合格しなければなりません。
試験内容は自治体によって異なりますが、基本的には1次と2次試験があり、合格すると「採用候補者名簿」に名前が登載されます。この名簿に名前がある人の中から養護教諭の欠員や新規募集で採用が決定します。
養護教諭の資格・試験の難易度・合格率
養護教諭に必要な免許状と教職員採用試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。
難易度が高いのは専修免許状
養護教諭の免許状の中でも最も難易度が高いのは、一番高い学歴を求められる「専修免許状」と言えるでしょう。
専修・一種・二種の免許状を取得できる学校は多く存在しますが、偏差値はそれぞれの学校によってまちまちです。受験をするときは、自分の学力をよく考慮して志望校の選択をするとよいでしょう。
養護教諭採用試験の採用倍率は約10倍
養護教諭採用試験の受験者は年々増加する傾向にあります。ただし、採用数も同時に増えているので、昔と比べてそれほど採用倍率は変化していないとされ、平均するとおよそ10倍と言われています。
ただしこの採用倍率は地域によって大きく異なり、2018年度の養護教諭採用試験で一番倍率の高い大阪府豊能地区では43倍(受験者43名中合格者1名)にもなりました。一方、一番倍率の低かったのは北海道の2倍(受験者数208中合格者104名)です。
採用倍率の全体的な傾向として、地方都市の方は採用人数が少ないため倍率が高く、採用人数の多い都市部の倍率は低い傾向にあると言われています。
これらの結果から、養護教諭採用試験の難易度は地域によって大きな差があり、受験者数に対して合格者の数が少ない地域では、かなりの難関を突破しないと合格への道は遠いものと考えられます。
養護教諭に役立つ資格
子ども達の心の健康を支えるために、さらに知識を付けたい場合の関連資格を紹介します。
臨床心理士
最近では昔よりも「子どものこころの問題」が大きくマスコミ等に取り上げられるようになり、いじめや不登校などで保健室登校をする子どもや養護教諭に相談を持ちかける子どもの数も増えてきました。
養護教諭は心の問題をかかえた子ども達の窓口となることができますが、問題が深刻と判断したときは協力体制にある連携機関と連絡をとって問題の解決にあたります。連携先の一つにスクールカウンセラーの存在がありますが、スクールカウンセラーはこのような問題を解決するため公立私立問わず、学校への設置や派遣が増加傾向にあります。
スクールカウンセラーになるために必要とされる資格はありません。しかし、スクールカウンセラーに就職や転職をするときは、精神科医や臨床心理士の資格保有者が有利と言われています。
子ども達が少しでも健やかな生活を送るために養護教諭からスクールカウンセラーの道を考えた場合、診療心理士の資格の取得は有益となるでしょう。
臨床心理士資格の難易度は高い
臨床心理士の資格は「日本臨床心理士資格認定協会」が行っている民間資格です。この資格を受験するためには、「臨床心理士養成関連の専門職大学院の修了者」「指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者」などの条件がいくつかあります。
基本的に試験は年に1回、1次の筆記試験と2次の口述面接試験が行われます。合格率は約60~65%と約半数以上の人が試験を突破していることになりますが、受験資格を得る段階で大学院を修了しているレベルの学力を必要とされることを考えると、決して簡単に合格できる資格とは言えないでしょう。
学校心理士
学校心理士は、文部科学省により「スクールカウンセラーに準ずる者」と定義されており、スクールカウンセラーが不足している地域で教育現場にいる子ども・保護者・教職員の相談業務にあたる仕事をします。
養護教諭としてメンタルケアについての知識を深めてスキルアップしたい場合などに有益な資格とされています。
学校心理士も難易度が高い
学校心理士の資格は、「一般社団法人学校心理士認定運営機構」が行っている民間資格です。受験資格には「4年生大学卒業で学校心理学に関する専門的実務経験が5年以上ある者」などのいくつかの申請条件があります。
試験は年に1回、論述・多岐選択式・面接とケースレポートの提出と大きく3部門に分かれています。正式な合格率は発表されていませんが、合格するためには「ケースレポート」の出来具合が鍵となるようです。
養護教諭の資格が取れる学校
弘前大学 教育学部 養護教諭養成課程
弘前大学教育学部にある養護教諭養成課程は、東北地方にある国立大学の中で唯一養護教員免許状が取得できる大学です。
この大学の特徴は教員採用試験の合格率が高いこと。日々の勉強や実技実習の充実はもちろん、2010年に設置された「教職支援室」での強力な就職のバックアップ体制がとれていることが理由とされています。
教育学部に養護教諭養成課程を設置することで、教育現場ですぐに活用できる学習ができることが強みであり、相手を思いやる心を育てる人間教育に力を入れていることが特徴とされています。
養護教諭の資格・試験まとめ
養護教諭教職員試験の合格率は地域によって差が大きい
養護教諭に必要とされるのは「養護教諭免許状」と「教職員試験の合格」の2つです。特に教職員試験は地域によって合格率に著しい差があるので、確実な合格を目指すならなるべく競争率の低い地域を狙うのも一つの方法と言えるでしょう。
今回紹介した関連資格は養護教諭として働く中でキャリアアップにも役立つものです。興味があれば挑戦し、養護教諭としての知識をさらに深めていくことをおすすめします。
養護教諭の参考情報
平均年収 | 400万円~600万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 免許 |
職業職種 | 教育・保育 |
養護教諭の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします